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終章
しおりを挟むただ、これで二人は幸せに暮らしましたと簡単に終わったわけではない
ルッツがアリーチェを受け入れたからと言っても、解決しなければならない事は残っている。
アリーチェがそれに頭を悩ませていると、ルッツはアリーチェの腕をじっと眺め考え込んでいた。
「魔族に治癒魔法は効くのか? 」
「光魔法の分類になるものは逆効果よ」
剥き出しの腕が恥ずかしくてアリーチェはルッツを振り払った。
そして、羽織っているルッツから借りた上着の中に隠す。
アリーチェの衣服は変化した時にビリビリやぶれになったので、アリーチェの体を隠せるのは唯一この上着だけ。
体はボロボロだし、服もどうにかしたいが、対処しなければならぬことが多すぎる。
「痛むか? 」
「浄化魔法の傷は残るのか? 」
「魔族の魔力補給はどうやる? 」
けれど、ルッツは質問ばかりを投げてくる。
「なんなのよ! 喋りすぎ! 考えられないじゃない! 今はそれよりも、今回の事をどう収集するかでしょ! 」
アリーチェは恥ずかしさも混じった叫びでルッツを蹴散らす。
「どうするのよ! 王女には正体バレちゃったし、あんたは彼女と婚約もしちゃってる! 逃げて暮らす魔族たちもいるの! あぁ、もう、どうしろってんのよ」
あの神父のことだって片付いてないのにとアリーチェは叫んだ。
すると、ルッツが顎に手を置いて少しだけ考える素振りをした後、「方法はある」と特に表情を変えることなく宣った。
それは、「この王国で魔族が暮らしやすいよう、記憶操作すればいい」というルッツの考えの元作られた作戦。
「王宮の地下にある水源に手を加えれば、自然とそれは行き届く」
そして、ルッツの記憶を消した魔法は、ただ消し去るだけでなく、不都合がないように書き換えられていたと、ルッツは語った。
だからアリーチェが水源に、魔族に対する人間の嫌悪感を消すように書き換えればいいのだと。
そして、王女たちも同じようにすればいいと。
「既に魔族が人間の暮らしに入り込んでいるのなら、不自然ではないだろ? 」
無表情にルッツはそういうが、もしその魔法が解けたらとアリーチェは狼狽える。
するとルッツは言った。
「アーチェ、お前は俺よりも強い。魔族が何百年かけて作ったその力を超えるやつなんて現れないだろ」
その彼の言葉は本当で、結果的にそれは上手くいった。
王女はルッツに固執しなくなったが、たまにバケモノに襲われる夢を見るらしく、夜に悲鳴をあげはた迷惑な姫様だと噂されるようになった。
あの心底むかつく神父は既に自害をしていて、アリーチェにはどうすることもできなかったが、魔力で支配する魔族たちはアリーチェに従い、なんとかうまくまとまってしまった。
あの子は救えなかったが、他の子どもたちは無事で、教会は新しい神父を迎え順調そうだ。
まだまだ問題は山積みだが、それでも世界は変わった。
人間と魔族が共に生きる時代がそうして始まった。
________________
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
お楽しみいただけたでしょうか?
ご都合主義で「おいおい」と思われる方、いらっしゃると思いますが、どうかご容赦いただけると幸いです。
この物語は、巨大なバケモノ化したヒロインの手のひらに乗ってるヒーローを書きたくて始まった物語です。
内容的にもできるだけリズミカルにしようと思い、1話の文字数を制限しながら書いたのですが、結局、ずらずらと伸び、当初の予定よりも5話ほど多くなってしまいました。
設定もどんどん追加されていき・・・、短編と表示させつつ、「これって短編で合ってる? 」といつも悩んでいます・・・
また次の物語でお会いできれば幸いです。
本当にありがとうございました。
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