日本語しか話せないけどオーストラリアへ留学します!

紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!

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Chapter #2

アドバイス求む①

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 翌日は授業を受けている間もずっとオリバーのことで頭を悩ませていた。
 教室の前方で先生が何を言っていてもほとんど頭に入ってこない。

「Hey, Misaki. What is the correct answer?」

 私が上の空であることに気づいたのか、先生が名指しでこちらに問題を振ってくる。
 いきなりのことで少しだけ焦ったけれど、問題文があまりにも簡単だったので、私はそれほどタイムラグもなく正解を導き出すことができた。

 何せ最下位の学力のクラスなのだ。
 授業で取り扱われる内容もまるで子ども向けのようなものばかり。
 例文を否定形にしなさいとか過去形にしなさいとか、そんなレベルの問題しか出されない。

 しかし私以外のクラスメイトたちはみんなその程度の英語ですら苦戦しているようだった。
 やはりプレイスメントテストでの結果は伊達ではない。

 しかもクラスメイトの中には常に遊び心を忘れない、まさに子どものような学生もいる。

「Which is the correct answer?」

 四択問題の答えを求める先生に対し、

「⑤!」
「⑥!」

 などと有りもしない選択肢をわざと選んで爆笑したりする。
 それぞれフィリピンとサウジアラビアから来た男子学生だ。

 特にサウジアラビアの男性は確かもう二十代半ばだと言っていたけれど、まるで小学生のように無邪気な人だった。
 今朝も仲の良いクラスメイトが席に着こうとしたところを、こっそりイスを引いて転がしてケタケタと笑っていたのを見た。
 本当に小学生では?





 放課後は昨日とは逆で、舞恋の方がこちらのキャンパスへ遊びに来た。
 どうやら昨日のカヒンとの結果を聞きたいらしい。

「で!? 昨日は彼とどうなったのさ~~?」

 シャトルバスを降りるなり、挨拶もなしに斬り込んでくる舞恋。
 その顔は昨日のすっぴんとは打って変わって濃いめのメイクを施している。

「……なんか、今日はメイクばっちりだね?」

「えへへ~、そうそう! 昨日行ったショッピングモールがさ、もうすんごい広くて品揃えがすごかったの! せっかくだからメイク道具一色そろえちゃった」

 てへっと首を傾げる姿は幸せそのものである。
 どうやら彼女も昨日の彼とは上手くいったらしい。

「で? 焦らさないで早く教えてよ~~。カヒンとは昨日どうだったの?」

「……今度の週末、二人で遊びに行くことになった」

「まじで!? やるじゃん、みさきち。人見知りのあんたがそんなことできるなんて見直したぞ~~!!」

 ひしっとハグをされ、ご褒美に頭を撫でられる。

「舞恋の方こそどうだったの? 昨日は確か、タイ人の……ええと」

「ゴルフ!」

「そうだ、ゴルフ。彼とデートだったんでしょ?」

 舞恋はやっと私を放すと、にひっといつものイタズラっぽい笑みを浮かべる。
 そして、

「実はさあ、私……ゴルフと付き合うことになりました!」

「ええっ!?」

 予想していた以上の進展に、私は仰け反った。

 昨日の今日で、まさかのカップル成立。
 あまりの早さに脳が追いつかない。

「なんか意気投合しちゃってさー。あとは勢い? 帰りがけにちょっと良い雰囲気になったから冗談でさ、私のボーイフレンドになる? って聞いてみたらまさかのOKもらっちゃった!」

「す、すごいよ舞恋。まだオーストラリアに来て数日なのに、もう彼氏を作っちゃうなんて」

 さらに言えば授業が始まったのは昨日からで、おそらくゴルフと出会ったのもそのときだろう。
 つまりは初対面の日にそのまま勢いで恋人になったということだ。

「まー、お互い海外に留学してテンション上がってたってのもあるかも? あれだよ、海に遊びに行ったら財布の紐が緩む、みたいな。なんか今の勢いなら何にでも挑戦できそうな気がするんだよね」

 だからさ! と舞恋は急に私の両手をとってこちらの顔を覗き込む。

「この機会に、みさきちももっと積極的になってみればいいんだよ。カヒンだって、今ならすぐに落とせちゃうかもよ?」

「お、落とすなんてそんな……」
 
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