日本語しか話せないけどオーストラリアへ留学します!

紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!

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Chapter #4

旅の終わり

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「っはあ~~~間に合った! みさきちってばもう、なんでそんな時間ギリギリになったのさ!?」

 長時間トイレにでも籠っていたのかと問いただす舞恋に、私は全力で謝罪しながら今朝のことを全て話した。

「なるほどねえ……。送迎の車は論外だけど、みさきちの運の悪さも磨きがかかってるよねえ。スマホもまさかよりによって今日壊れなくたっていいのに」

 まったくだ。

 おかげで舞恋に迷惑をかけた上、せっかく来てくれたカヒンにお別れを言うこともできなかった。

 せめて彼には謝罪だけでもしたいので、舞恋のスマホを借りてSNSでメッセージを送る。

 するとすぐに返信があり、彼は相変わらずの優しい対応で私を慰めてくれる。
 これだけ迷惑をかけてしまったのに、彼は怒るどころかむしろ私のことを心配して、大変だったねと労りの言葉をかけてくれる。

 それが余計に、私の自己嫌悪に拍車をかけた。

「私って、本当にダメな子だよね……」

「なーに暗くなってんの! カヒンも許してくれてるんだからさ、これ以上引きずったって仕方ないじゃん。切り替えが大事だって! ほら、私らの席こっちだよ」

 舞恋の後ろをトボトボとついていき、指定された席に腰掛ける。

 はぁ、と小さく溜息を吐き、ほぼ無意識のまま、カヒンから貰ったネックレスに触れようとして、

「…………あれ?」

 首元にあったはずのそれの感触を、私は見つけることができなかった。

「みさきち? どうかしたの?」

「……ない……」

 そこにあるはずのものが、ない。

 カヒンから貰ったプレゼントが。

(もしかして、落とした……?)

 さあっと全身から血の気が引いていく。

 今朝は確かに、この場所にネックレスがあったのだ。

 まさか先程ロビーを爆走していたときにでも落としたのか、と考えたとき、ふと保安検査場でのことを思い出す。

 そういえば。

 ボディチェックのとき、金属探知機にネックレスが引っかかって、一度外した覚えがある。

(あのときだ……!)

 私が勢いよくその場に立ち上がると、隣の舞恋はギョッと目をむいた。

「ちょっ、みさきち何してんの!? トイレなら離陸した後にしなって!」

「違う! 忘れ物!!」

 すぐさま駆け出そうとする私を、舞恋が慌てて引き止める。

「だめだって。もう間に合わないから! 忘れ物なら、後で空港に問い合わせるしかないって」

 舞恋の言う通り、飛行機は今にも飛び立たんとスタンバイしている。
 この状況で外に出してもらえるとは思えないし、たとえ出られたところで今度は再び搭乗することはできなくなるだろう。

 やがて騒ぎを聞きつけたキャビンアテンダントの一人がこちらへやって来て、やんわりと私に座るように指示を出す。

(嘘でしょ……)

 カヒンにお別れを言えなかったどころか、彼から貰った大事なネックレスまでなくしてしまうなんて。



 こうして、私の四十日間に渡るオーストラリアへの旅は幕を閉じた。

 最後の最後で最悪のフィナーレを飾る様は、まさに私という人間を体現していたようで悲しくなる。
 
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