╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編

流転小石

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第3章 獣王国編

第93話 それぞれの行動2

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まずはベルデボラを取り込むか潰すかを調べていたフォーレに聞いてみた。

「フォーレェ~、ベルデボラの事は何処まで分かった?」
「最悪だ!」
「えっ?」

珍しいと言うか初めてフォーレの否定的な返事を聞いた。
エルヴィーノは息抜きと称してリカルドとたまにティールーム・カラコルへ出かける様にしている。
これは城の者も知っており、ティールーム・カラコルにわざわざ裏口と特別室を作らせたくらいだ。
なぜならば”昼”が夜の仲間に会う集合場所の1つだからだ。
勿論王様がカラコルを気に入って息抜きに御忍びで来る為とカラコル側に承諾を取っての事だ。


「それで何が最悪なんだ?」
「ベルデボラの組織自体は大したものでは無いし上から下まで人名リストは調べた。ただし、後ろに居る奴らがヤバい」
「へぇ、フォーレが嫌がるなんてよっぽどの奴らが居るんだね」
「あぁ出来れば関わり合いになりたくない連中だ」
「ふぅ~ん」

エルヴィーノはこの店自慢のクッキーと香り豊かな紅茶を楽しんでいた。

「そいつは某国の大使なんだ」
「えぇ!?王国うちに来てそんな事してる奴がいるのか?」
「あぁそいつはアベストロース帝國の大使ガンソだ」

ぶぶぅぅぅっと紅茶を拭きだしてしまった。

「オイオイ子供じゃないんだから落ち着いて飲めよ」
「ゲホゲホ、あぁ、すまない」

(そうかあいつか。リアム殿が手をこまねくわけだ)

「それで、フォーレの意見は?」
「さっきも言ったように、出来れば関わりたくない」
「では引き込めたら?」
「それは・・・強力な力になると思うが、所詮無理な話しだ」
「何でだ?」
「奴は大使だぞ! 国を裏切る訳がない」
「なるほどねぇ分かったよ、しばらく考えてみる」

(って言うかフォーレのヤツ、俺の力を忘れているんじゃないかな? あれ? 教えたよな? 俺が忘れてどうするんだよ)

国王になってからは過去に無いほど沢山の人と会って会話をしたので、誰と何を話したのか余り覚えて無いのであった。
ただし、ガンソや配下になった者は良く覚えている。



「リカルド」
「ハイ」
「ガンソと会いたいが呼ぶか? 行くか? どっちがいい?」
「話しの内容にもよりますが夜の話しですよね?」
「そうだ」
「では、使者を出してティールーム・カラコルでお会いした方が良いと思われます」
「何故だ?」
「国王のお力を信じていない訳ではありませんが、噂のガンソ大使があの様に変貌するとは流石に信じられません」
「でも他の奴らも同じだったろ?」
「確かにそうですが、ガンソ大使はいろんな噂の有る方ですからリアム様は全く信じておりませんよ」
「そうか・・・では、俺の仲間に信じてもらう為に何かさせよう」
「何かとは?」
「それも考えさせる」

エルヴィーノは直ぐに使者を送った。
手紙の内容は【会いたい。明日午後の15時にティールーム・カラコルで待つ】だった。



手紙を受け取ったガンソは有頂天になっていた。
忠誠を捧げた者からの呼び出しだからだ。
しかし、しばらくして良く考えてみた。

「城に招く訳でも無く、この館に来るわけでも無く、紅茶店での密会か? 」

ガンソは頭の回る男で直ぐに分かった。
過去の自分の行動と噂が有るのでワザワザ密会になったという事だ。

定刻前には到着したガンソ。
意気揚々とティールーム・カラコルの店内に入るとカウンターに以前見かけた人物が居た。
その人物は立ち上がり話しかけてきた。

「ようこそいらっしゃいましたガンソ様。謁見の際にもお会いしましたが、わたくしモンドリアン陛下の親衛隊長でリカルドと申します。以後お見知り置きください」
「おぉそうでした、アベストロース帝國の大使ガンソです、宜しくお願いします」

簡単な挨拶を交わしリカルドに案内されて入室する。
エルヴィーノは事前にバオス・ホステ(音声調整魔法)で部屋の外に声が聞こえない様にしていた。



「国王陛下、わざわざこのガンソの為に御足労頂いて申し訳ございません」

入るなり平謝りするガンソにエルヴィーノとリカルドは拍子抜けだった。

「私の今までの行いで、城の方々には信じてもらえないのは十分に理解しております。しかしながら、このガンソこれからは国王陛下の為に身を粉にして尽くす次第でございます」

それは見事な謝り方で腰を45度で曲げて両手は腰にぴったりと付いている。

「ガンソ」
「ハッ」
「確かにこの国の他の者達はお前の事を疑っているのは事実だ。だが、俺はお前を信じよう」

それを聞いたガンソは腰を45度で曲げたままでボロボロと涙を流した。

「ガンソ」
「ハヒッ」
「お前に聞きたい事が有る」
「ハッ何なりと! グズッ」

「ではまず一つ目は、大使としてのこの国で帝國の仲間がどれ程居るのか?」
「はい、大使としての屋敷には常時15人おりますが半分は年に一度交代しております」
「その者達はお前の心の内は知っているのか?」
「私が信用する5人だけに話しましたが決して誰にも言うなと釘を刺してあります」
「分かった、近いうちにその者達にも会おう(キッチリと魅力で虜にしないとな) 」
「おぉ、ありがとうございます」

「二つ目は帝國以外の仲間は居るのか?」
「ハイ、冒険者崩れなど人種を問わず使っております」
「いつも同じ連中か?」
「いえ、外部の者は主に3人です。その時の内容によって人を集めさせて使い分けております」
「なるほど」

「三つ目は俺の配下となるならば大使として仕事と帝国との関係をどうするのか?」
「はい、基本的にはこれまでと同じ様に対応します」
「あぁ、その方が良いだろう」
「それで重要な懸案は分かり次第、リカルド様にお渡しすれば良いですか?」
「それは不味い」
「ハッ」

「リカルドでは無く、ガンソも動くな」
「ハハッ」
「お前の信用する部下に、新しく外部の協力者を作った事にして、更にその部下に手紙だけを極秘にココへ持って来させるようにすればいいだろう」
「流石は陛下!」
「そうする事でお前も怪しまれずに済むからな」
「有り難きご配慮。痛み入ります」
(最終的にはガンソにも夜用のエマスコ(通信魔道具)を渡す事になる)

「四つ目は大使として、この国との関係をどうするのか? これに付いては、今まで通りを演じる事で良いか?」
「ハハッ畏まりました」

「五つ目はベルデボラと言う組織が有るだろう? あれは誰が指示を出している?」
「ハッ、流石は陛下! 良くご存じでいらっしゃる。ベルデボラは帝国上層部が考案した敵対国に対して内部から資金の散財をさせる事が目的であり、具体的な行動は各大使が行う事になっています」
「どのくらいの人数が居るんだ?」
「ハッ、王都には10人で、この国全体となると50人ほどだったと思います」
「なるほど、結構いるな。じゃ俺にくれ!」
「ハハッ賜りました。しかし一体何の為にでしょうか?」
「その質問は次の話しに答えが有る」

「では最後に一番重要な事をお前に話し、お前のやるべき事を問おう」

目を輝かせて真剣に聞くガンソ。

「俺は新しく夜の帝國を作った。表向きは夜のゲレミオ(組合)としてだがな。アベストロース帝国でも夜は他の者が支配していると聞いているが、俺は世界の夜を帝國として支配する為にまず夜のゲレミオを作った。今はこの国で準備をしているが、いずれ獣王国、エルフ国、勿論アベストロース帝国の夜も支配するぞ。その為の組織作りと人集めがベルデボラだ」

ガンソは震えていた。
エルヴィーノの語る欲望を聞いてワナワナと身震いしていた。
ガンソは側に来て跪いた。

「どうかこのガンソを使ってください。どんな事でもします」

ガンソの懇願を聞いて指令を出す。

「分かった、ではベルデボラの人名リストを作りお前が必要だと思う者と要らない幹部を選別しろ」
「ハハッ」
心配そうなリカルドだが話しを進めるエルヴィーノ。

「それから夜のゲレミオだが四つに分かれていて、食べ物屋、酒を飲ます所、大人のグッズを売る店、えっちぃ~店だ。ガンソお前は、どれが興味ある?」
「えっ! ・・・ええっと・・・全部です」
「合格だよ、ガンソよ」
「ハハッ有り難きお言葉」
「お前には全ての管理を経験しアベストロース帝国の夜を支配してもらう役目が有るからな」
「この私にそこまでの御配慮をして頂くとは!」

片膝をついたまま、また泣き出した。

「ははははっ気にするな、お前が謁見の時に言ったように我らは出会ってしまったのだよ」
「おおおぉぉ陛下!」
「リカルドの出会いもかなり大変だったよな!」
「ハァそんな事もありましたねぇ」

もう遥か昔の事の様に遠くを見る目のリカルドだった。

「だがなガンソよ、お前の過去を知る者に、お前を信じる事が出来ない者がいるのだが、どうする? お前にはその手段を考えて欲しい」
「ハハッ賜りました」
「まぁ、そうは言ったが余り気にするな気楽に行け」
「ハハッ」

一通り話し終えてある事を思い出した。

「あっ忘れてた。俺、夜の名前作ったから、”俺達の話しは”夜の名前を使ってくれ。決して昼の名前とか国王などと言うなよ」
「ハハッ、それでお名前は?」
「うむ、エル・モンドと言う」
「ハハッ賜りました。では夜の帝國の支配者エル・モンド様で宜しいですね?」
「まだ帝國になって無いよ」
「では常闇の帝王エル・モンド陛下でしたらどうでしょう」
「語呂も良いしそれが宜しいのでは?」

よくもまぁそんな言葉がポンポンと思い着くと感心していたらリカルドまで調子に乗り出した。

「何でも良いけどさぁ」
「畏まりました、これからは常闇の帝王エル・モンド陛下で統一する方向で宜しいですか? リカルド親衛隊長」
「それでお願いします」

エルヴィーノは最後に念を押して城や昼の名前と夜の名前を間違うなと言うと
「どちらも陛下で宜しいのでは?」とリカルドが答えた。

確かにそうだ。
「分かった、任せる」







あとがき
ヤル気満々のガンソ。
ちょっと恥ずかしい肩書になってない? 常闇の帝王エル・モンド陛下だって。
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