╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編

流転小石

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第12章 戻ってから四度目の儀式

第320話 ダークエルフ族御一行様

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シオンとアルコンの連名でアルコン一派がリーゼロッテに謁見したいと申し出が有った。
朝方エマスコに気づき、城に戻ると何故かメルヴィから昨夜何処で泊まったのか執拗に問いただされた。
勿論、”ガルガンダの宿で泊まった”の一点張りを通しきった。と言うか同族の要望をリーゼロッテに早急に確かめなければならないと、問題をすり替えて逃げたエルヴィーノだ。

脇は嫌な汗で濡れていて、そこまで執拗に聞いて来るのも不思議に思っていたが、蒸し返すと何らかの制裁があると感じたので、永遠に忘れる努力をする男だった。

「母さん、向こうに居る同族が女王様に会いたいって言ってるけど、どうする?」

隣から冷たい視線で睨んでくるメルヴィを意識的に見ない様にして、何事も無く業務報告のように問いただしたエルヴィーノだ。

「そうねぇ、ここで会うか、向こうで会うかよねぇ。まさか何も無い未開の地で会う訳にもいかないでしょ?」
「じゃ、ここで良くないか?」

建国予定地である未開の地よりもノタムル国の方がまだましだが、カスティリオ・エスピナの方が見栄えが良い。
ただし、女王としての立場や玉座などは無いので例によって超高級旅館エスピナの一室で謁見する事とした。
一族全員に確認を取りシオンに連絡して段取りを組んだ。
慌ただしく忙しい振りをして妻の疑惑から逃げる夫だった。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


事前に準備をし、獣王国バリエンテのカスティリオ・エスピナと城下街ペンタガラマを視察する二泊三日の旅となり、アルコン一派にとって一大行事となっていた。
参加者は一族全員の32人とシオンを入れて総勢33人だ。
流石に多いので二回に分けて転移した。
一班はシオンで二班はアルコンだ。

転移したペンタガラマの郊外で、待っていたのはデイビットとオリビア夫婦だ。
同族には事前に通達してあり、二組に分かれたのはペンタガラマでの行動は人数が多いからで、子供も数名含まれるから迷子にならない様に配慮したのだ。

デイビットとオリビアは変化の魔法を使えるので、普通に街に出て買い物もするし街の説明も可能なのだ。
挨拶を終え、観光用のブロエ・マルシベェゴォを運転して案内するデイビットとオリビアは終始笑顔で街の説明をしていた。
初めて訪れた街と巨大な城を目の当たりにして、驚愕の声と質問攻めになるが快く答えたと言う。

内心は自分達の弟の様な存在だった娘婿が龍人の力を借りて作った物だが、同族に称賛されると自分の事のように嬉しく思ったデイビットとオリビアだ。

一行の予定は初日に女王との謁見。
そして夜に一族全員での会食。
二日目は城の見学と黒龍王に謁見。
これは単に城内と玉座の間を見学するだけだ。
そして自由行動での街の見学。
二日目の夜はゲレミオからも人を呼び説明してもらう。
そして三日目に帰る。
今回の視察はあくまで、自分達の街と城を造る為の参考になるよう見学し要望を出してもらう為だ。


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女王との謁見は広間に集まってもらい、そこにリーゼロッテが向かう事となった。
いつもとは逆の手法だ。
これは単に謁見する人数が多く、いつもの部屋に入りきらないからだ。

アルコンと同族が跪いて待ち受けるなか、王族一派が入室して来る。
現女王のリーゼロッテを筆頭に、エルヴィーノ、アロンソとメルヴィにデイビットとオリビアだ。
ダークエルフ一族が全員集まると国王派が6人で、アルコン派が32人。
合わせて38人だ。
未だかつて無い多くの同族を見て、妙に緊張する国王派の面々だ。
シオンが紹介し話しを進めると女王から挨拶があった。

「みなさん、長い間本当に苦労を掛けましたね。ですが、もうすぐ新しい我らの歴史が始まります。皆さんの思いは未来の為にいしずえとして国の土台となるでしょう。そしてこれからが我ら一族に取って本当の始まりです。一族と仲間を信頼して幸せを掴みましょう」

リーゼロッテが話し終えるとメルヴィが手を叩いき全員に拡散した。
大きな拍手の中には泣いて喜ぶ者達も見受けられるほどだ。
そんな姿を見て貰い泣きするデイビットとオリビアだ。

謁見の後、旅館の食事処を貸し切っての宴会となる。
最初は王族に緊張し遠慮していた一同もデイビットとオリビアが間に入り気さくに話す様になっていた。
リーゼロッテ女王以外にもう1つ驚いた事が判明して騒ぎ出すアルコン一派。

それは食べ物だ。
出てくる料理全てが今までに見た事も無く味わった事も無い調理法だった。
しばらく誰も話さずに食べてばかりなので、口に合わないのかと心配していた王族派をよそに、感想を述べるアルコンの一言で全員の言葉と表情が戻って来た。

「失礼しました女王様。余りにも料理が美味しいので、驚きの余り言葉を無くしてしまいました」

既に食べ慣れている王族派にとって、エルヴィーノの管理しているゲレミオの料理が別格だと再認識できたのは、同族の美味しそうな表情と会話で理解したからだ。
そうなると、決まって出てくる要望がある。

「我らの新しい国にも、この様な料理店が出来るのですか?」
誰が質問したのかは解らないが一族の疑問にはキッチリと答えるエルヴィーノだ。
「勿論、計画しているさ。この料理屋の料金設定は高いが、安くて旨い店も考えているぞ」

一族から賛同する奇声があがった。
やはり、胃袋をおさえる事が一番効果的だと実感した。
そして、明日の夕食にはゲレミオの幹部との会食も説明する。
何故ならば国興しに深く関わり早期に町と行政を確立したいからだ。

既にシオンからは、粗々の計画は聞いていた。
デイビットとオリビアは現女王の側近でも有り親衛隊的な存在だ。
現状のまま新天地でも活動して欲しいと要望が有った。
2人は恐縮しているようだった。
そして同族の大人たちが三つの班に分かれて内政の役に立ちたいと申し出が有った。

現在のアルコン派は女13、男15、女子3、男子1だ。王家の見習いに親子四人を差し引いても組織として活動できるだろう。
それにジャンドール王との契約も有る。
それは諸外国への諜報活動だ。
ただし、エルヴィーノの嫁が関与する国に関しては情報交換が行われるので、今までとは違い近隣の国を対象とする事になるだろう。

初日の同族一同は美味しい料理と旨い酒に久しぶりに羽目を外すが、酒に弱いと誤魔化しシオンを身代りにして王族派と帰宅するエルヴィーノだったが、夜遅く”2人だけの場所”に転移してメルヴィからタップリと搾り取られる浮気がバレていた男だった。





黒龍王→大魔王→そのうち浮気王になるのかな?
品が無ぇなぁ。
多妻王とか?
そのまんまかよ
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