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第14章 Sin fin
第404話 再び降臨
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国王の手が振り下ろされた。
その合図に合わせて闘技場に配置されていた弩弓隊全員が矢を放った。
その数、千人。
そして矢は続けて二度放たれた。
空を覆いつくす矢の雨が闘技場に降り注いだ。
「全方位反転反射」
エルヴィーノがつぶやいた。
するとどうだろう。
ガルダたちを串刺しにする矢が、また空に向かって飛んで行ったのだ。
驚いたのは弩弓隊たちの方だった。
命令は至極簡単なもので闘技場の中心に矢を二度放つだけだ。
しかしどうだろう。
自らが放った矢が飛んでくるのが目視できたのだ。
眼に映る事は理解した。
だが、体が反応しない者達が大勢いたのだ。
そんな馬鹿な事は無い。
何かの間違いだ。
どうして矢が戻ってくるのだ。
理解できない。
訳が分からない。
脳裏に過るのはその程度の事だが、視界に入るのは無数の弓矢が戻っている様子だ。
愚かにも周りの同僚を見てしまう兵士たち。
そして被矢する兵士が大勢いた。
孤児たちは目を閉じて従者にしがみついていた。
会場の観客は、何が起こったのか理解できなかった。
そして一番理解できない者がいた。
「ば、馬鹿なっ!! 何故矢が戻っていくのだ」
「陛下、この場は一度退避された方が宜しいかと」
一方では・・・
「何か凄い事になっとるのぉ」
「は、ご覧の様に弓矢が放たれましたたが、打ち返したようですな」
「あれはそんな生易しいものではなさそうだぞ、アポストルよ」
「そうおっしゃいますと?」
「多分お前が連れて来た従者が何かしたのではないか?」
「そ、それは・・・どうでしょうなぁ。わたくしめもあの従者は良く知らないので、ハハハッ」
笑って誤魔化すアポストルを疑い深く見つめるボノスだ。
「ボノス」
「何でしょ母上」
「子供たちはどうなったの?」
「死んでは居ないはずですが、重症でしょうな」
「そう・・・この国はどうなってしまうのかしらねぇ」
フロルは血族の子供たちを案じていた。
闘技場はざわめいていた。
自らの目を疑い理解できない者が大勢いたのだ。
エルヴィーノには国王が席を立とうとしている所が目に入った。
(そろそろ潮時か。アポストル達は・・・あそこか)
エルヴィーノは強い意志で拡散念話を使った。
(静まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!)
全ての視線が闘技場の中心に集まった。
(国王よ、我に矢を放つとは万死に値する。お前には無限の苦痛を与えようではないか!!)
「何いぃぃっ、何者だぁ貴様ぁぁ!!」
「この声は!! アポストルッ!!」
「はい、女王様」
「この声はもしかして・・・」
既に目が潤んでいる老婆だ。
「はい、強く願いましょう」
優しく答える老人だ。
「声がここまで届くとはな」
一人だけ解らないボノスだった。
(我の事が知りたいか国王よ!)
「貴様ぁ名を名乗れ!」
(そうか我を知りたいか。では教えてやろうではないか。無知なお前たちに我が秘術を持って答えよう)
ここで単体念話に切り替えた。
(久しいなフロル。覚えているか?)
「はい!」
この場合フロルの返事は解らないが、きっと同意してくれているだろうと思って語りかけているだけなのだ。
(召喚魔法は覚えているか? また一緒に唱えてくれ。いくぞ)
「デスセンディエンテ・インボカシオン・オスクロドラゴン」
エルヴィーノは龍人の腕輪に魔素を流し、念話を使わずに叫んだ。
「デスセンディエンテ・インボカシオン・オスクロドラゴン」
フロルは、か細い声で涙しながらつぶやくように囁いた。
それに気づいたボノス。
「母上、何を言っているのだ。何が悲しいのだ?」
「ボノス、しっかりと見ていなさい」
「何を見ろと言うのだ、母上」
「魔剣王様、空をご覧ください。待ち望んでいた方がお見えになります」
ポロポロと大粒の涙を流す母が気になるが、アポストルの言う待ち望んでいた方も気になって振り返った。
するとどうだろう、空が黄金に輝いていた。
「何だ! 何が起った!?」
始めて体験するボノスは驚きを隠せなかった。
隣にいる老人と老婆は涙ぐんでいた。
☆
魔法陣でーす。
召喚でーす。
出番でーす。
その合図に合わせて闘技場に配置されていた弩弓隊全員が矢を放った。
その数、千人。
そして矢は続けて二度放たれた。
空を覆いつくす矢の雨が闘技場に降り注いだ。
「全方位反転反射」
エルヴィーノがつぶやいた。
するとどうだろう。
ガルダたちを串刺しにする矢が、また空に向かって飛んで行ったのだ。
驚いたのは弩弓隊たちの方だった。
命令は至極簡単なもので闘技場の中心に矢を二度放つだけだ。
しかしどうだろう。
自らが放った矢が飛んでくるのが目視できたのだ。
眼に映る事は理解した。
だが、体が反応しない者達が大勢いたのだ。
そんな馬鹿な事は無い。
何かの間違いだ。
どうして矢が戻ってくるのだ。
理解できない。
訳が分からない。
脳裏に過るのはその程度の事だが、視界に入るのは無数の弓矢が戻っている様子だ。
愚かにも周りの同僚を見てしまう兵士たち。
そして被矢する兵士が大勢いた。
孤児たちは目を閉じて従者にしがみついていた。
会場の観客は、何が起こったのか理解できなかった。
そして一番理解できない者がいた。
「ば、馬鹿なっ!! 何故矢が戻っていくのだ」
「陛下、この場は一度退避された方が宜しいかと」
一方では・・・
「何か凄い事になっとるのぉ」
「は、ご覧の様に弓矢が放たれましたたが、打ち返したようですな」
「あれはそんな生易しいものではなさそうだぞ、アポストルよ」
「そうおっしゃいますと?」
「多分お前が連れて来た従者が何かしたのではないか?」
「そ、それは・・・どうでしょうなぁ。わたくしめもあの従者は良く知らないので、ハハハッ」
笑って誤魔化すアポストルを疑い深く見つめるボノスだ。
「ボノス」
「何でしょ母上」
「子供たちはどうなったの?」
「死んでは居ないはずですが、重症でしょうな」
「そう・・・この国はどうなってしまうのかしらねぇ」
フロルは血族の子供たちを案じていた。
闘技場はざわめいていた。
自らの目を疑い理解できない者が大勢いたのだ。
エルヴィーノには国王が席を立とうとしている所が目に入った。
(そろそろ潮時か。アポストル達は・・・あそこか)
エルヴィーノは強い意志で拡散念話を使った。
(静まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!)
全ての視線が闘技場の中心に集まった。
(国王よ、我に矢を放つとは万死に値する。お前には無限の苦痛を与えようではないか!!)
「何いぃぃっ、何者だぁ貴様ぁぁ!!」
「この声は!! アポストルッ!!」
「はい、女王様」
「この声はもしかして・・・」
既に目が潤んでいる老婆だ。
「はい、強く願いましょう」
優しく答える老人だ。
「声がここまで届くとはな」
一人だけ解らないボノスだった。
(我の事が知りたいか国王よ!)
「貴様ぁ名を名乗れ!」
(そうか我を知りたいか。では教えてやろうではないか。無知なお前たちに我が秘術を持って答えよう)
ここで単体念話に切り替えた。
(久しいなフロル。覚えているか?)
「はい!」
この場合フロルの返事は解らないが、きっと同意してくれているだろうと思って語りかけているだけなのだ。
(召喚魔法は覚えているか? また一緒に唱えてくれ。いくぞ)
「デスセンディエンテ・インボカシオン・オスクロドラゴン」
エルヴィーノは龍人の腕輪に魔素を流し、念話を使わずに叫んだ。
「デスセンディエンテ・インボカシオン・オスクロドラゴン」
フロルは、か細い声で涙しながらつぶやくように囁いた。
それに気づいたボノス。
「母上、何を言っているのだ。何が悲しいのだ?」
「ボノス、しっかりと見ていなさい」
「何を見ろと言うのだ、母上」
「魔剣王様、空をご覧ください。待ち望んでいた方がお見えになります」
ポロポロと大粒の涙を流す母が気になるが、アポストルの言う待ち望んでいた方も気になって振り返った。
するとどうだろう、空が黄金に輝いていた。
「何だ! 何が起った!?」
始めて体験するボノスは驚きを隠せなかった。
隣にいる老人と老婆は涙ぐんでいた。
☆
魔法陣でーす。
召喚でーす。
出番でーす。
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