【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

ともボン

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第六章 ~続・この世はすべて因果応報で成り立っている~

道場訓 四十四   勇者の誤った行動 ⑨

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 現在、キース・マクマホンこと俺は中央街から西にある職人街へと来ていた。

 俺だけじゃない。

 カチョウとアリーゼの2人もいる。

 2人ともまだ本調子ではなかったが、それでも虎の子の高級回復薬ハイ・ポーションを使ったので魔物退治に行けるぐらいには回復していた。

 やがて俺たちは職人街の大通りから裏通りへと足を運んだ。

 そして数十分かけて目当ての人物を見つけるなり、周囲の目を気にしながらを購入する。

「ほらよ、全部で4本だ。他の奴らに見つかるんじゃねえぞ」

 俺たちは決して安くはない代金を支払うと、その4を3人で分配ぶんぱいした。

 俺が念のため2本、そしてカチョウとアリーゼが各1本づつという具合にだ。

 正直、後ろめたい気持ちも少なからずあった。

 だが、俺たちにはもう後がない。

 万が一にも今回の《神剣・デュランダル》を取り戻すための依頼任務クエストに失敗するわけにはいかないのだ。

 そうして俺たちは裏の売人ばいにんから目当ての代物を手に入れると、再び大通りへと出て本来の目的の場所へと向かった。

「チッ、それにしても相変わらずクソうるせえ街だな」

「ほんとほんと。こんなとこにいたら耳が馬鹿になっちゃうよ」

 俺の悪態あくたいにアリーゼが同意する。

「だが、これもキースの神剣を取り戻すためだ。我慢がまんしようではないか」

 などとカチョウは言っていたが、それでも我慢がまんの限界はあった。

 この職人街はその名の通り、武器や防具を生産する職人たちがつどっている街だ。

 大通りをはさんでいくつもの専門店が立ち並び、その店先には一つずつ違った看板かんばんが突き出ている。

 剣の形、盾の形、斧の形、槍の形、弓の形など特色のある看板かんばんなどだ。

 他にもなべの形、かまの形、くぎの形、はさみの形など、武具ではなく一目で日用品を扱っていると分かる看板かんばんも多く存在していた。

 そして専門店の多くは鍛冶屋も兼業けんぎょうしているのがほとんどのため、そこらじゅうの専門店からは「トンカンカントンカンカン」と槌音つちおとが鳴り響いている。

 冒険者の中にはこの槌音つちおとが心地良いと感じる奴もいるらしいが、正直なところ俺には下手くそで下品なオーケストラにしか聞こえない。

 そんな専門店が立ち並ぶ中、俺たちは冒険者ギルドへと向かった。

 大通りの外れにあった冒険者ギルドに辿り着くと、そのまま中に入って奥のテーブル席に座る。

 依頼任務クエストをしに来たわけではない。

 この冒険者ギルドでサポーターを探すためだ。

 中央街の冒険者ギルドはすでに俺たちの悪評あくひょうが広まっている。

 しかし、この職人街の冒険者ギルドならば大丈夫だろうと思ったからだ。

 俺は何となく周囲を見渡す。

 昼時とあって室内はにぎやかな喧騒けんそうに包まれており、依頼任務クエストの確認とは別に昼飯を食いに来ている冒険者たちの姿があった。

 なので俺たちも腹を満たしてからサポーターを探そうと思い、まずはメニューを見るために給仕専用の職員を呼びつける。

 やがて職員がメニューを持ってきたので、俺たちは適当に頼んで腹を満たした。

「ほらよ。飯代めしだいだ」

 俺たちは10分ほどで食事を済ませると、再び職員を呼んで食事代を渡す。

「へいへい、確かに……ぷっ……そ、それではどうぞ……ごゆっくり」

 職員は金を受け取るなり、そのまま店の奥へと去ろうとする。

「ちょっと待て」

 そんな職員を俺は呼び止めた。

「な、何でしょう?」

「てめえ、どうして俺たちを見て笑った?」

「え?」

 職員は何のことですかととぼけたが、勇者である俺の目は誤魔化ごまかされない。

「嘘つきやがれ! 俺たちを見て笑っただろうが!」

 俺は鋭い目つきとともに職員に怒声を上げた。

「てめえ、俺が誰か分からねえのか! 俺は国から認められた――」

 勇者なんだぞ、と言葉を続けようとしたときだ。

「何をいい気になってんだ、このクソ野郎どもが」

 周囲から俺を罵倒ばとうする声が聞こえてきた。

 俺は職員から声が聞こえてきたほうに顔を向ける。

 装備品などを見ても明らかに俺たちよりも格下の連中が、あろうことか勇者パーティーである俺たちを遠巻きに見ながらニヤついている。

「おい、てめえら! 遠くからガキみてえにコソコソと言ってるんじゃねえぞ! 俺たちに文句があるのなら堂々と言えってんだ、おうコラッ!」

 俺は椅子から立ち上がって言い放つ。

 まあ、俺たちに真正面から文句を言える奴なんていないだろうがな。

 この職人街の近くにはオンタナの森と呼ばれる場所がある。

 Aランク以上の凶悪な魔物は一体たりともいないが、オンタナの森を縄張なわばりにしているゴブリンやBランクのさるに似た魔物――ジャイアント・エイプの生息地として有名だった。

 他にもオンタナの森は武具の素材である上質な鉱物こうぶつが多く採取できるため、職人街の重要な資源として重宝ちょうほうされているばかりか、実戦経験のとぼしい低ランクの冒険者たちの狩場かりばとしても名が広まっている。

 そう、つまりこの職人街にいる冒険者どもはそろって低ランクばかりなのだ。

 下は最下位のEランクから上はせいぜい良くてBランクだろう。

 一方の俺たち勇者パーティーのランクは文句なしのSランクだった。

 ならばその勇者パーティーのリーダーである俺の一喝いっかつなど、ここにいる低ランクの冒険者どもにしてみれば神の怒りに等しいだろう。

 つまり連中が大口を叩けるのは陰口だけであり、こうして俺に面と向かって怒りをぶつけられたら委縮いしゅくするしかないのだ。

 いや、おそらく奴らは床に土下座して俺に泣きながら謝るに違いない。

 ふん、それでも許さねえけどな。

 俺は床にひたいをこすりつけて謝る冒険者どもを見下ろしながら、その後頭部をみつけて高笑いする自分を想像した。

 しかし――。

「おいおい、あいつらじゃねえのか? Bランクのダンジョン攻略に失敗した勇者パーティーってのは」

「マジかよ。じゃあ、あいつらが神剣を没収ぼっしゅうされたってのも本当か?」

「間違いないんじゃない。だって神剣を持っていないよ」

「しかもあの金髪のリーダーはダンジョンで仲間を見捨てて逃げたらしいぞ」

「うへえっ、そんなん最悪じゃねえか。俺だったら絶対に仲間を見捨てるなんざしないね」

「仲間を見捨てて逃げるくらいなら自分が盾になれってんだ。ヘボ野郎が」

 返ってきたのは謝罪しゃざいではなく、連中からの容赦ようしゃない罵詈雑言ばりぞうごんだった。
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