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第一章
3・ロケットの写真
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妻の為に用意した屋敷も、なにもかもが燃え尽きていた。
「―――――彼女はどこだ」
ふらつきそうになり、それでも燃えた屋敷跡に入ろうとして、部下であろう男性が男を止めた。
「おやめください!なにもかも、燃えております!」
「見れば判る!それでも、」
彼女を探さなければならない。
しかし、あまりに酷い状況に、流石の男もめまいを覚えずにいられなかった。
「きっと、お逃げになっておられます、とにかく今はお休みにならないと」
「これが休んでいられるというのか!」
確かに戦場から、必死に戻ってきて疲れは限界で、それでも妻に臨んだ女性との婚姻だからと無理矢理帰って来たのだ。
まさか、彼女の為に用意した屋敷が火事になるなんて。
「いますぐ、彼女の家へ向かえ。ひょっとしたら一度は戻っているかもしれん」
「はっ」
部下は頷き、すぐに確認するように指示を出した。
(どこへ行ったのだ、キイロ)
彼女がこの屋敷で犠牲になったとは、例え事実がそうであったとしても決して信じる事はできない。
(それに、彼女であれば)
助かる可能性の方が高い。
なぜなら、彼女には特殊な力があるはずだからだ。
(どうにかして見つけなければ)
決して失う事が出来ない、唯一無二の存在である彼女を。
男は胸元からペンダントを取り出し、ロケットを開く。
ぼんやりと、それでもしっかりと幼いキイロの姿がそこにあった。
「ふう」
あたたかいお風呂にじっくり浸かって、キイロはため息をついた。
「キイロ―、お湯加減はどう?」
「おかげでめちゃくちゃ気持ちいい!ありがとう梅花!」
「なんの!女学校の親友の為ならこのくらい」
そういってお風呂の薪をくべてくれる。
キイロが頼ったのは、女学校時代の親友、梅花の家だった。
「でもまさか驚いたわ。白無垢で現れるなんて」
「わたしだって、まさか嫁入りの日に火事とか思いもよらなかったもん」
キイロが家族に酷い目にあっているのを、梅花は知っていてずっと心配してくれていた。
「でも梅花だったら助けてくれるって思ったの!」
「当然よ!大した家じゃないけど親友の為にはなんでもするわ」
そういって梅花はぽいぽい薪をくべてくれる。
「あんまり贅沢をしないでね」
「親友が疲れてるのに、いまが贅沢のしどきでしょ!」
張り切ってお風呂を温めてくれる。
ありがたいなとキイロは思った。
「本当に嬉しい。助かる」
「なに言ってんの。父の事業がうまくいかなくて、女学校を辞めるしかない私に勉強を教えてくれたのキイロじゃないの。おかげでわたし、塾が開けてるんだから!」
元は裕福な家のお嬢様だった梅花は、父の事業がかたむいたせいで女学校を辞める事になった。
優しい梅花は、ろくな格好をしていなかったキイロに服を譲ってくれ、いろいろ気にかけてくれた。
外面だけを気にするキイロの父は、女学校に通わせはしても、最低限にすら手助けをしてくれなかった。
あまりに格好が貧乏すぎると学校に注意されても、キイロが勝手にやっているだけで、とヘラヘラ笑っていた。
そんなキイロを助けてくれたのが梅花だった。
だから、梅花が家の都合で女学校を辞める羽目になっても、キイロは毎日、梅花に授業の内容を伝えた。
出来る事はなんでもしたかったからだ。
「そっかあ、塾かあ。いいなあ」
「キイロだって塾くらい出来るわよ?私だってなんとかなってるんだし、キイロは頭が良いんだし」
「そうでもないわよ。梅花に伝えなくちゃって、真面目に必死に授業を聞いたからマシになったみたいなものだもの」
助けてくれた梅花になんとか恩返ししたい、その一念で必死に勉強して、そのおかげでキイロの成績も上がったのだ。
(塾かあ)
どうせこの先、一人で生きていかなくちゃいけないんだし、塾もいいかなあ。
そう思った時だった。
ふぇええ、と泣き声が聞こえた。
「うわ、起きたかな。さっきまで寝てたけど」
「いますぐあがるね!」
助けた子供の目が覚めたようだった。
キイロは慌てて、お風呂から上がった。
「―――――彼女はどこだ」
ふらつきそうになり、それでも燃えた屋敷跡に入ろうとして、部下であろう男性が男を止めた。
「おやめください!なにもかも、燃えております!」
「見れば判る!それでも、」
彼女を探さなければならない。
しかし、あまりに酷い状況に、流石の男もめまいを覚えずにいられなかった。
「きっと、お逃げになっておられます、とにかく今はお休みにならないと」
「これが休んでいられるというのか!」
確かに戦場から、必死に戻ってきて疲れは限界で、それでも妻に臨んだ女性との婚姻だからと無理矢理帰って来たのだ。
まさか、彼女の為に用意した屋敷が火事になるなんて。
「いますぐ、彼女の家へ向かえ。ひょっとしたら一度は戻っているかもしれん」
「はっ」
部下は頷き、すぐに確認するように指示を出した。
(どこへ行ったのだ、キイロ)
彼女がこの屋敷で犠牲になったとは、例え事実がそうであったとしても決して信じる事はできない。
(それに、彼女であれば)
助かる可能性の方が高い。
なぜなら、彼女には特殊な力があるはずだからだ。
(どうにかして見つけなければ)
決して失う事が出来ない、唯一無二の存在である彼女を。
男は胸元からペンダントを取り出し、ロケットを開く。
ぼんやりと、それでもしっかりと幼いキイロの姿がそこにあった。
「ふう」
あたたかいお風呂にじっくり浸かって、キイロはため息をついた。
「キイロ―、お湯加減はどう?」
「おかげでめちゃくちゃ気持ちいい!ありがとう梅花!」
「なんの!女学校の親友の為ならこのくらい」
そういってお風呂の薪をくべてくれる。
キイロが頼ったのは、女学校時代の親友、梅花の家だった。
「でもまさか驚いたわ。白無垢で現れるなんて」
「わたしだって、まさか嫁入りの日に火事とか思いもよらなかったもん」
キイロが家族に酷い目にあっているのを、梅花は知っていてずっと心配してくれていた。
「でも梅花だったら助けてくれるって思ったの!」
「当然よ!大した家じゃないけど親友の為にはなんでもするわ」
そういって梅花はぽいぽい薪をくべてくれる。
「あんまり贅沢をしないでね」
「親友が疲れてるのに、いまが贅沢のしどきでしょ!」
張り切ってお風呂を温めてくれる。
ありがたいなとキイロは思った。
「本当に嬉しい。助かる」
「なに言ってんの。父の事業がうまくいかなくて、女学校を辞めるしかない私に勉強を教えてくれたのキイロじゃないの。おかげでわたし、塾が開けてるんだから!」
元は裕福な家のお嬢様だった梅花は、父の事業がかたむいたせいで女学校を辞める事になった。
優しい梅花は、ろくな格好をしていなかったキイロに服を譲ってくれ、いろいろ気にかけてくれた。
外面だけを気にするキイロの父は、女学校に通わせはしても、最低限にすら手助けをしてくれなかった。
あまりに格好が貧乏すぎると学校に注意されても、キイロが勝手にやっているだけで、とヘラヘラ笑っていた。
そんなキイロを助けてくれたのが梅花だった。
だから、梅花が家の都合で女学校を辞める羽目になっても、キイロは毎日、梅花に授業の内容を伝えた。
出来る事はなんでもしたかったからだ。
「そっかあ、塾かあ。いいなあ」
「キイロだって塾くらい出来るわよ?私だってなんとかなってるんだし、キイロは頭が良いんだし」
「そうでもないわよ。梅花に伝えなくちゃって、真面目に必死に授業を聞いたからマシになったみたいなものだもの」
助けてくれた梅花になんとか恩返ししたい、その一念で必死に勉強して、そのおかげでキイロの成績も上がったのだ。
(塾かあ)
どうせこの先、一人で生きていかなくちゃいけないんだし、塾もいいかなあ。
そう思った時だった。
ふぇええ、と泣き声が聞こえた。
「うわ、起きたかな。さっきまで寝てたけど」
「いますぐあがるね!」
助けた子供の目が覚めたようだった。
キイロは慌てて、お風呂から上がった。
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