わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第二章

10・火事場泥棒?!

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 火災現場に到着したキイロは、詳しく状況を見ようと近づくと、警官らしき男に止められた。

「ああ、近づくな。お前らの欲しいものはないぞ」
「欲しいもの?」

 何を言われているのかとキイロが首を傾げると、警官はふふんと笑った。

「物乞いが、お屋敷なら立派なものがあると拾いに来たんだろう。お前らみたいなのを火事場泥棒というんだ」

 そこまで言われてやっと、キイロは自分が泥棒扱いを受けたと気づいた。
 怒ったのは梅花のほうだった。

「なんですって?!私たちが火事場泥棒?!」

 元は上流の出身である梅花は怒ったが、警官は鼻で笑った。

「泥棒でなければなんなのだ?物乞いの格好だろうが」

 そんなに酷い着物じゃないし、外見もちゃんとしてるはずなのにな、とキイロはむっとしたが、こちらは子供が一緒だ。

「いえ、私たちはこの子の親を探しに来ただけです」
「親?お前の弟ではないのか?」
「違います。この火事の現場で」

 そうキイロが言うと、警官ははっと表情を変えた。

「そうか、探している子供はこいつか。よこせ!」

 そういってキイロから子供を奪おうとしたので、キイロはさっと避けた。

「なにするんですか」
「お前の子供じゃないんだろう、その子供はお偉い方が探している子供かもしれん。いいからさっさとよこせ!」
「でしたらその方に直接お渡しします」

 こいつは信用できないとキイロは思ったし、子供もぎゅっとキイロにしがみついた。

「大丈夫。お前は絶対に、おやごさんの元に私がかえしてあげるからね」

 キイロがそう伝えると、子供は安心したようにキイロに頭をくっつけた。
 信頼されるのが嬉しくて、キイロもまた、絶対この子の親を自分が探してやると決意した。

(こんなやつに絶対、ぜーったいに渡すもんか!)

 そう思ったのが顔に出たのか、警官は激高した。

「女ァ!!!ふざけるな!!その子供を返せえぇええ!」

 なにが返せだ馬鹿野郎。
 そう思ってキイロが睨むと一瞬警官がひるんだ。
 ひるんだのが悔しいのか、警官は梅花の肩を掴む。

「痛っ!」
「いいからとっとと子供を渡せ!」
「梅花になにするの!」

 どん、と突き飛ばすと警官はキイロの髪をぐしゃっと掴んだ。

「いたっ!!!」
「ふざけるなこの女が!!さっさと子供をよこさないとどうなるか判っているのか!!!」

 そう言って警棒でキイロを殴った。

「っ!」

 焼けたような痛みを腕に受けたが、そんなものはなんでもない。
 義母にもむかしよくやられていたから、骨はどうもなっていない。
 それより子供に当たっていないかのほうが心配で、子供を見るが、無事だ。
 良かった、とホッとすると警官はキイロの髪を掴んで引きずろうとした。

「このクソ女め、調子に乗りやがって」

 その時だった。

「私の妻になにをする!」

 怒気をはらんだ、厳しい声が響く。
 遠くからでも判る、響く声なのに、キイロは驚いた。

(なんて美しい声なのかしら)

 素晴らしく美しい楽器から、一番大きな音が響いたみたいに、その声は美しかった。

 キイロの髪を離させて、どんと背中から抱きしめる。
 一体なにが起こって、どうなっているんだ?とキイロが首を傾げていると、警官は一瞬怒った顔だったが、すぐに青ざめた。

「貴様の上官をいますぐここへ」
「い、いえ、あの、これはなにかの間違いで」
「呼べと言っただろう!」
「ひぇっ、ははは、はい、」

 腰を抜かす勢いで警官は慌てて上官を呼び、そして偉そうな上官がのしのしと歩いてきて、軍人を一瞥しようとして、ざっと青ざめた。

「こ、こ、これは、まさか、薄氷さま、ではありませんか。こ、このような、こんな場所に、なぜ、」
「先ほど貴官の部下が私の妻に暴行を働いていたようだが」

 上官はざっと青ざめ、「な、なにかの間違いでは」と、とぼけようとした。
 梅花がさっと近寄ってキイロの袖をまくりあげた。

「見なさいよ!さっきこいつが殴った跡よ!」

 キイロの腕にはひどいあざがついていて、うっすら血が滲んでいた。
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