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第十一章
73・愛の表現方法
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「はは、まさか、それはいくらなんでも」
「キイロは甘いわよ!あの女、物凄く朧様に執着していたもの!海外逃亡位へっちゃらでやりそう」
やりあった梅花はどうも気持ちがおさえられないらしい。
「でも、もしそうだとしてもかなり強引じゃない?」
海外に向かう船ならいろいろ制約も厳しいし、荷物を載せるのだって簡単にはいかないだろう。
「そもそも、本当に普通の結婚式っていう可能性も」
「ないわね!もしそうなら極秘って意味わからないもの!」
きっぱり言い切る梅花に、キイロはそうなのかな、と判らない。
「面倒な場合とか、そういうのとか?わたしだってそうだったみたいだし」
キイロなんか相手が誰なのか全く知らない状態で結婚式に向かったくらいだから、貴族ならそういう事もありそうだと思う。
「もう!キイロはそのあたりが世間ズレしてるわね。でも絶対にあやしいわよこれは。あの女が、朧様じゃない男と結婚なんか考えられないもの。自分のプライドが許さないわよ」
「そうだとしても……」
朧が今更、キイロ以外の女性と結婚は考えられない。
(今更、わたしが愛人になるわけにもいかないし)
徐々に過去の事を思い出していくと、キイロの記憶の中には確かに朧の姿があった。
(でも、あの方のことは思い出せない)
幼馴染というなら、|潤朱の彼女もキイロの記憶にありそうなものなのだが、どうしても思い出せないし、どこかで会った記憶もない。
(入れ替わりに朧様と出逢ったのかしら?)
「私は絶対にあの女はあやしいとおもっているの!だから、兄にも頼んでいろいろ情報は探っているの。万が一、朧様になにかあっても大変だし」
「そこは助かるわ」
思い過ごしといっても、やはりなにかあってはキイロも嫌なので、梅花に頭を下げた。
「手間をかけて申し訳ないけど、どうかたくさん調べておいてね。朧様になにもないように」
「勿論よキイロ。朧様は私の一家にとっても恩人なんだから、絶対守ってみせるからね!」
そういう梅花に、キイロは頷いた。
朧は部屋で仕事を済ませ、さて、ぼちぼち寝ようかと伸びをした。
(その前に)
引きだしから一葉の写真を取り出し、じっと見つめた。
それは幼い頃のキイロ、正しくは木蘭の姿だった。
(可愛らしいな)
なんとか手に入れた写真のひとつで、朧と出逢った頃の幼い木蘭の姿に朧は目を細めた。
(本当ならずっと、あなたと育ちたかった)
初恋だった。
家の重責をわけもわからず背負わされ、自分でも気づかないうちに傷ついていた。
誰も自分を見てくれない。
見るのは『薄氷の次期当主』としての自分だけで、なぜか悲しくてたまらないのに、自分は心が切り離されたみたいに、立派な子供を演じていた。
そんな朧を慰めてくれたのが木蘭だった。
手が傷ついても朧のために薔薇をもってきてくれた。
あの優しさは変わる事がなかったらしい。
(探したんですよ、木蘭)
探して探して、どこにいったのか判らず、とうとう彼女を探すために軍属になった。
『出世が約束されているのにどうしてよ!』
関係ないはずの思―――――潤朱思は、朧が軍に所属したと知ってそう怒鳴った。
お前には関係ない、と朧は相手にしなかったが、思の兄の葵から、勝手に官僚のポストが用意されていたと知って呆れた。
身内でもない、ただの幼馴染なのに。
呆れる朧に、葵は許してやってくれと苦笑した。
『あれは幼稚で、愛を知らないんだ。立派なものを与えてやればいいと考えている。まあ、うちの教育が悪いんだがな』
思の兄、葵はそう言った。
「愛、か」
到底朧には、思の行動は愛に思えない。
『僕だって自分の行動が愛より執着に近いと思う事はあるけどね』
ため息交じりで葵にそういうと、葵は笑った。
『そりゃ愛は執着も含むからな。ただ、妹はそのやり方を知らないだけさ』
お前には迷惑だろうが、あれでも可愛い妹でな、勘弁してくれと葵は笑った。
(葵の言う事はわかるが)
朧は全く思に感情はない。
いつになれば判るのか、朧は溜息を何度もついた。
「キイロは甘いわよ!あの女、物凄く朧様に執着していたもの!海外逃亡位へっちゃらでやりそう」
やりあった梅花はどうも気持ちがおさえられないらしい。
「でも、もしそうだとしてもかなり強引じゃない?」
海外に向かう船ならいろいろ制約も厳しいし、荷物を載せるのだって簡単にはいかないだろう。
「そもそも、本当に普通の結婚式っていう可能性も」
「ないわね!もしそうなら極秘って意味わからないもの!」
きっぱり言い切る梅花に、キイロはそうなのかな、と判らない。
「面倒な場合とか、そういうのとか?わたしだってそうだったみたいだし」
キイロなんか相手が誰なのか全く知らない状態で結婚式に向かったくらいだから、貴族ならそういう事もありそうだと思う。
「もう!キイロはそのあたりが世間ズレしてるわね。でも絶対にあやしいわよこれは。あの女が、朧様じゃない男と結婚なんか考えられないもの。自分のプライドが許さないわよ」
「そうだとしても……」
朧が今更、キイロ以外の女性と結婚は考えられない。
(今更、わたしが愛人になるわけにもいかないし)
徐々に過去の事を思い出していくと、キイロの記憶の中には確かに朧の姿があった。
(でも、あの方のことは思い出せない)
幼馴染というなら、|潤朱の彼女もキイロの記憶にありそうなものなのだが、どうしても思い出せないし、どこかで会った記憶もない。
(入れ替わりに朧様と出逢ったのかしら?)
「私は絶対にあの女はあやしいとおもっているの!だから、兄にも頼んでいろいろ情報は探っているの。万が一、朧様になにかあっても大変だし」
「そこは助かるわ」
思い過ごしといっても、やはりなにかあってはキイロも嫌なので、梅花に頭を下げた。
「手間をかけて申し訳ないけど、どうかたくさん調べておいてね。朧様になにもないように」
「勿論よキイロ。朧様は私の一家にとっても恩人なんだから、絶対守ってみせるからね!」
そういう梅花に、キイロは頷いた。
朧は部屋で仕事を済ませ、さて、ぼちぼち寝ようかと伸びをした。
(その前に)
引きだしから一葉の写真を取り出し、じっと見つめた。
それは幼い頃のキイロ、正しくは木蘭の姿だった。
(可愛らしいな)
なんとか手に入れた写真のひとつで、朧と出逢った頃の幼い木蘭の姿に朧は目を細めた。
(本当ならずっと、あなたと育ちたかった)
初恋だった。
家の重責をわけもわからず背負わされ、自分でも気づかないうちに傷ついていた。
誰も自分を見てくれない。
見るのは『薄氷の次期当主』としての自分だけで、なぜか悲しくてたまらないのに、自分は心が切り離されたみたいに、立派な子供を演じていた。
そんな朧を慰めてくれたのが木蘭だった。
手が傷ついても朧のために薔薇をもってきてくれた。
あの優しさは変わる事がなかったらしい。
(探したんですよ、木蘭)
探して探して、どこにいったのか判らず、とうとう彼女を探すために軍属になった。
『出世が約束されているのにどうしてよ!』
関係ないはずの思―――――潤朱思は、朧が軍に所属したと知ってそう怒鳴った。
お前には関係ない、と朧は相手にしなかったが、思の兄の葵から、勝手に官僚のポストが用意されていたと知って呆れた。
身内でもない、ただの幼馴染なのに。
呆れる朧に、葵は許してやってくれと苦笑した。
『あれは幼稚で、愛を知らないんだ。立派なものを与えてやればいいと考えている。まあ、うちの教育が悪いんだがな』
思の兄、葵はそう言った。
「愛、か」
到底朧には、思の行動は愛に思えない。
『僕だって自分の行動が愛より執着に近いと思う事はあるけどね』
ため息交じりで葵にそういうと、葵は笑った。
『そりゃ愛は執着も含むからな。ただ、妹はそのやり方を知らないだけさ』
お前には迷惑だろうが、あれでも可愛い妹でな、勘弁してくれと葵は笑った。
(葵の言う事はわかるが)
朧は全く思に感情はない。
いつになれば判るのか、朧は溜息を何度もついた。
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