異世界召喚されたので、能天気な冒険者やっています〜復讐を果たすその時まで〜

大和由愛

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旅の途中

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「やっぱり、このまますぐには、魔王を倒しにはいけねぇだろ」
「そうですね、もっと強くならなくてはいけません」
「ユウ、やっぱりこういう時はあれしかねぇだろ!」
「あれか……」

 私はライトと顔を見合わせ、そして、頷く。

 ――次の日のお昼

「お姉さん、お茶とかどうかな?」

 ライトが情報収集の為に声をかけにいく。

「アレって、ナンパでは?」
「ナオトにはそう見えるようだな、だが、あれはナンパなどではない、情報収集だ!」

 ライトが肩を落としながら、戻ってくるのが見える。

「駄目だった、なあ、やっぱりあっちの人通りが多い所の方がいいんじゃね?」
「じゃあ、ライトだけいってきていいよ」

 あまり人通りが多い所には行きたくない。

「まあ、俺が本気出せば、百発百中だけどな」
「フッ」
「おい、今鼻で笑ったろ!」

 いつもの様に話していると、ナオトがガタイのいい男の人を連れて戻ってくる。

「ナオト……ナンパに成功したの?」
「違いますよ!情報収集です!」
「「なんだ」」

  落胆の声がライトと被る。

「すみません、先程のダンジョンの話なのですが、もう一度お願いしてもいいですか?」
「ダンジョンって、この世界のあちこちに存在してるあれか?」
「ああ、俺の聞いた話だと、ダンジョンの深層部には魔剣や魔具が眠ってるって話だ、強くなりたいってんなら、ダンジョンに行ってみるのも、一つの手だな」

 ガタイのいい男はそれだけ言い残し、去っていく。

「装備は整えた方がいいか、ユウも魔剣あったほうがいいだろ?」
「それはそう、ライトばっかりずるい」
「まあ、それは、俺が天才だからしょうがないってことで」
「は?」

 早速次の日の朝、この国から馬車で四日ほどかかる隣国ウルティナへ出発する。

 道中強いモンスターに遭遇することもなく、順調に進み、早くも3日がたっていた。

「そういや、この辺、ウルフの出現ポイントじゃなね?」

 ふと思い出したかのように、ライトが出発前に聞いた情報を口にする。

「この辺だっけ?」
「ウルフ?」

 ナオトはピンと来ていないようで、首を傾げていた。

「ナオトは知らないか、ウルフは群になって行動するモンスターなんだぜ」
「一匹でもそこそこ強いのにね」

 まあ、そう話していると、来るというのは、お約束という事で――

「おい、マジで、現れたぞ!」

 私たちは、急いで、馬車から飛び降りる。もうすでにウルフに囲まれていて、逃げ場は残されていない。

「どうすんだ、これ……」

 このままだと、私たちが負けるのは目に見えている。

 だが――ライトは忘れていると思うけど、このパーティーには、ナオトがいるのだ、負けるはずがない。

「任せてください」

 ナオトは右腕を前へ掲げ、目を瞑る。

 私たちの周りには、沢山の氷の矢がすごい速さで作られていく。

「はあ!」

 ナオトの声と共に、千本以上の矢がウルフへと放たれる。

「すっごいな、ナオト!つか、マジで、俺らいらなくね?」
「そんな事ないですよ、まだ、一匹残っているようですから」

 ナオトの視線の先には、他のウルフとは、明らかに大きさの違う、ウルフがいた。

「ボスかよ……」
「ライト、ユウ、時間を稼げますか?」

 ナオトがボスウルフを見ながら呟く。

「 任せな!俺を誰だと思ってんだ!」
「いいよ、でも、早めにね」

 私は、ライトと二人で、ボスウルフへと突っ込む。

「はあ!」

 勢い任せに剣を振り、ボスウルフへと当てる。だが、かすり傷にもなっていないようで、反対側を攻撃した、ライトの方へと向きを変えた。

「こっちかよ!」

 ライトはボスウルフの攻撃を軽快に避け、反撃を繰り返している。

 ライトの剣とボスウルフの爪が当たる音が、森中にこだまする。

「なんでこっちばっかり!ユウ!ちゃんと攻撃してるか!」
「してるよ!でも、普通の剣じゃ攻撃通らないんだって!」

 先程から何度も試しているが、私の攻撃が届くことはない。

「ちょっまっ、ヤべ!」

 ライトの剣が吹き飛ばされ、数メートル先の地面へ刺さる。

「おいおい、マジかよ」

 ボスウルフとライトの距離がジリジリと近くなっていく。

 ライトの背中と木がぶつかり、ボスウルフが攻撃の構えをする。

 その瞬間、ナオトの声が聞こえた。

「お待たせしました!」

 一瞬の隙をつき、ライトがボスウルフから、離れる。

 ナオトが上に上げていた手を下ろした、その瞬間――

  上空から、大きな光の玉がボスウルフへと落ちていく、ボスウルフは光の玉に潰される。

「はあああ、死ぬかと思った!」

 ライトが腰から崩れ落ちるように、座り込んだ。

「大丈夫?」
「なんとか、死ぬかと思ったぜ」
「間に合って、よかったです」

 戦闘も終わり、暗くなってきたのもあり、今日はここで野宿をする。

 その日の夜――

 この洞窟に来れたのはよかったかな。

 私は二人と離れ、一人で洞窟に来ていた。

 ここは、一番初めのローブのお爺さんの記憶にあった洞窟、ここに魔剣が眠っている。

 モンスターが襲ってくる、だが、昼間の戦闘とは違う、軽快に避け、腕に魔力をまとわせ、貫通させる。

 右腕だけでなく服や顔も血だらけ、だが、悠長に洗っている暇はない。

 洞窟に入って30分ほどで、一番奥へとたどり着く。そこは行き止まりで何もない。

 その先は記憶にない、彼は結局見つけられずに帰ったのだから。

 『貴方は誰?』

 何処からか声が聞こえる、脳内に直接喋りかけられているような感覚。

 これは記憶にはなかった。

「私はユウ」
『私をどうするの?』

 答えると、また質問される。

「使う。目的の為に」
『貴方は、悪?それとも善?』

 質問されては答える、その繰り返し。

「それは、私が決めることではない」

 声が聞こえなくなり、これ以上質問は聞こえない。変わりに目の前が歪み深淵から短剣が出てくる。

 その短剣を握る。

 握った瞬間、心臓が跳ねる。

 これが魔剣『貪欲剣《グラトニー》』……

『おなか…すいた……』
「今、食べさせてやる」
 
  近くにいた、モンスターを魔剣で倒し、吸収させる。

『もっと……たべたい……』

 殺した生物の肉体と魂を餌に成長する、伝説の魔剣。使用者の使い方次第で善にも悪になる。

「たくさん食べな……」

 次の日の朝――

「よっしゃ!そろそろ行くか!」
「え~もう?眠い……」
「お前いつまで寝てんだよ」

 ライトが呆れた表情で、言う。

「寝てるから、ついたら起こして~」
「わかりました。ゆっくり寝てください」
「おい、ナオト、甘やかすなよ!」

  ライトの声と共に瞼を閉じる。

『お姉ちゃん……助けて!』
「ルナ……」
『なんで?なんで助けてくれなかったの?』
「ごめん、ルナ……ルナ……」
「お、て、ユ、おき……ろユウ、起きろユウ!」
「ハッ!」

 目を開けると、ライトがいた。

「やっと起きたか」
「ついたの?」
「ああ、着いたぜ!」
 
  国へ入国し、宿でゆっくりしようとしたのも、つかの間、何か争っているような、声が聞こえる。

「離して!」

 女の子二人が男の人に絡まれていた。

 フードを被っていて顔は見えないが、声からして女の子だろう。

 それを見て、ナオトは助けに走る。

「助けないと!」

 次に来るのは厄介事か……それとも……

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