Ωの不幸は蜜の味

grotta

文字の大きさ
1 / 5

Ωの不幸は蜜の味(1)

しおりを挟む
俺――川西望かわにしのぞむは昔から不幸な恋ばかりしてきた。

俺はオメガだけど、アルファとつがいになることが出来ない。うなじ全体に大きな火傷を負って、皮膚のフェロモン受容器官が壊死してるから噛まれてもつがいになれないのだ。


初めてセックスしたのは大学生の頃――相手はアルファの幼馴染だった。
俺には仲がいいベータ女子とアルファ男子がいた。小学生からの付き合いで、付かず離れずなんだかんだ大学まで三人でよく遊んでいた。

ベータ女子が同じアルファ男子にずっと恋してたのは神に誓って知らなかった。
ある日ベータ女子が都合が悪くて来られなかった日、アルファ男子の部屋で酒を飲んだ。
そこで俺がヒートを起こしてしまい、酔った勢いで一夜を共にした。
ただの友達だと思っていたのに、ずっと好きだったと言われ抱かれているうちに俺もそうだったかもと錯覚しそうになった。
少なくとも事後に二人の間で言葉にできない繋がりのようなものが生まれたのは間違いなかった。

付き合おうと言われたわけではなかったが、そういう流れになるだろうと俺は思い込んでいた。

しかしそれは違った。

後日ベータ女子に呼び出され、彼女とアルファ男子が実は2年前から付き合っていたと聞かされ「彼氏を寝取ったクズオメガ」となじられた。

そもそも付き合ってるとか初耳だったし、アルファ男子に騙されたみたいでショックだった。
――ただの性欲処理かよ。面倒なことに巻き込みやがって……。

しかし俺と寝たせいでアルファ男子の気が変わり、彼女と別れることになったという。

何を今更。そんなの知るかよ。

一応ベータ女子には改めて謝った。だけど彼女の怒りはおさまらなかった。
――でも幼馴染なのに俺に内緒で付き合ってる方が悪いだろ?

話は平行線で、もう何を言っても無駄だと思った俺は口汚い罵り声を浴びながらその場を去ろうとした。すると、背中を向けた俺に彼女が何かをぶつけた。
それは首の後ろを中心に俺の皮膚を焼いた。 
酸性の液体だった。

幸い命に別状はなかったが、オメガとしてのうなじの機能は永久に失われた。
 
その後そのアルファ男子とはしばらく付き合っていた。だけど、俺のうなじを見るたびに罪悪感で萎えてしまって彼はセックスできなくなっていた。
お互い気まずくなり、自然と別れることになった。今は元気でやってるといいけど。
 




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

捨てられオメガの幸せは

ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。 幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

隣の番は、俺だけを見ている

雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。 ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。 執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。 【キャラクター設定】 ■主人公(受け) 名前:湊(みなと) 属性:Ω(オメガ) 年齢:17歳 性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。 特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。 ■相手(攻め) 名前:律(りつ) 属性:α(アルファ) 年齢:18歳 性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。 特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

やっぱり、すき。

朏猫(ミカヅキネコ)
BL
ぼくとゆうちゃんは幼馴染みで、小さいときから両思いだった。そんなゆうちゃんは、やっぱりαだった。βのぼくがそばいいていい相手じゃない。だからぼくは逃げることにしたんだ――ゆうちゃんの未来のために、これ以上ぼく自身が傷つかないために。

【BL】無償の愛と愛を知らない僕。

ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。 それが嫌で、僕は家を飛び出した。 僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。 両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。 それから十数年後、僕は彼と再会した。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。

αとβじゃ番えない

庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。 愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。

処理中です...