10 / 69
1936年 大日本帝国:中国内戦への介入機会
しおりを挟む
1936年11月中国と雲南軍閥の間で内戦が始まった…。
「中国国民党は危機管理を怠ったな。」
会議室で永田は一人呟く。これは我々大日本帝国にとっては僥倖であるのは確かだ。この波に乗ることが出来れば、中国の確保も比較的容易になる。
(しかし気になるのは、他の軍閥の反応だな。これを機に中国国民党に恩を売るのか、覇権を目指すか…。)
永田の元には内戦が始まって数日がたったにも関わらず、詳しい情報が届けられていなかった。中国の通信インフラが不足している点や、大日本帝国の暗躍がバレない為に怪しまれないために隠れているなどの影響であった。
大日本帝国は秘密裏に雲南軍閥に小規模ながら武器のレンドリースを行っていた。これは広西軍閥にも同様に行い、中国国民党に最低でも二正面作戦を強いることを目的としていた。その目的の半分が現状達成されている。あとは…
「おう、永田。邪魔するぞ。」
一人しか居なかった会議室にノックも無しに杉山が入ってくる。
「いつもの執務室に行ったら、会議室に居るとお前の秘書に言われてね。まるで何かを待っているようじゃないか。」
杉山は適当な席に腰を下ろして、煙草に火をつける。
「杉山もなんの用もなく来るほど殊勝じゃないだろ?何か用があるんじゃないのか?」
フンと鼻を鳴らすが、何も言わない杉山。こっちが察せと言うことだろうかと、永田は考えを巡らす。
「帝国陸軍にはもう出せる予算はないぞ?」
「…」
「人員追加ももう少し待ってくれ。中国国境の再配置もは既にそっちで完了しているのだろ?」
「…」
幾つか思い付きいたことを言ってみたが、杉山は一切返事をしなかった。
「杉山、お手上げだ。要件を教えてくれ。」
そう言うと、ニカッと口元を緩めて杉山は嬉しそうに言った。
「ハッハッハ。少し休んだらどうだ?頭が回っておらんぞ?」
「余計なお世話だ、と言いたいところだがぐっすり眠れていないのも事実だからな…。有難く忠言を受け止めようと思う。」
「生真面目な性分は治らんな。まぁ今回はお前を出し抜けたようで気分が良い。」
緩んだ口元を引き締めて杉山は雰囲気を作り出して本題を切り出した。
「1つ目はドイツが技術協力に応じた、というものだ。彼の国の戦車技術は周辺諸国より進んでおるという、お前の判断は正しかったわけだ。」
杉山は永田に1つの紙束を封筒から出して投げ渡す。それに目を通す永田は小さく、ハハっと笑った。
「まさかII号戦車の技術が貰えるとわな…。」
「こちらの虎の子である零式艦上戦闘機、通称零戦の技術提供との交換であるからな…。その上、これからの技術協力にも前向きな回答を得られたのは収穫であるな。」
永田は陸軍力の強化に安堵する一方、ドイツが技術協力にこうも簡単に乗って来た点が少し気になった。
空母を持たないドイツが艦上戦闘機の技術提供を飲んだ。それはつまり空母の建艦に取り組むということか?…いや違うな。あるとすれば、対艦攻撃機への転換か!!あくまでも手に入れるのは技術であり、用途に応じた兵器に変換する。なるほど合理主義者共は発想が我らとは違うな。
「2つ目はなんだ?」
「目下の大事ごととしてはこっちの方が重要だな。広西軍閥への扇動が功を奏したぞ。近いうちに広西軍閥が中国国民党に宣戦することになった。」
「それは…!!」
「ちまちまと密かにレンドリースしたかいがあったな。広西軍閥と雲南軍閥に恩が売れただけでなく中国国民党には二正面作戦、いや三正面作戦を行わせることが出来る。もうそろそろ、時期だな?動き始めても?」
「ああ、始めてくれ。戦争目標の正当化を。」
「中国国民党は危機管理を怠ったな。」
会議室で永田は一人呟く。これは我々大日本帝国にとっては僥倖であるのは確かだ。この波に乗ることが出来れば、中国の確保も比較的容易になる。
(しかし気になるのは、他の軍閥の反応だな。これを機に中国国民党に恩を売るのか、覇権を目指すか…。)
永田の元には内戦が始まって数日がたったにも関わらず、詳しい情報が届けられていなかった。中国の通信インフラが不足している点や、大日本帝国の暗躍がバレない為に怪しまれないために隠れているなどの影響であった。
大日本帝国は秘密裏に雲南軍閥に小規模ながら武器のレンドリースを行っていた。これは広西軍閥にも同様に行い、中国国民党に最低でも二正面作戦を強いることを目的としていた。その目的の半分が現状達成されている。あとは…
「おう、永田。邪魔するぞ。」
一人しか居なかった会議室にノックも無しに杉山が入ってくる。
「いつもの執務室に行ったら、会議室に居るとお前の秘書に言われてね。まるで何かを待っているようじゃないか。」
杉山は適当な席に腰を下ろして、煙草に火をつける。
「杉山もなんの用もなく来るほど殊勝じゃないだろ?何か用があるんじゃないのか?」
フンと鼻を鳴らすが、何も言わない杉山。こっちが察せと言うことだろうかと、永田は考えを巡らす。
「帝国陸軍にはもう出せる予算はないぞ?」
「…」
「人員追加ももう少し待ってくれ。中国国境の再配置もは既にそっちで完了しているのだろ?」
「…」
幾つか思い付きいたことを言ってみたが、杉山は一切返事をしなかった。
「杉山、お手上げだ。要件を教えてくれ。」
そう言うと、ニカッと口元を緩めて杉山は嬉しそうに言った。
「ハッハッハ。少し休んだらどうだ?頭が回っておらんぞ?」
「余計なお世話だ、と言いたいところだがぐっすり眠れていないのも事実だからな…。有難く忠言を受け止めようと思う。」
「生真面目な性分は治らんな。まぁ今回はお前を出し抜けたようで気分が良い。」
緩んだ口元を引き締めて杉山は雰囲気を作り出して本題を切り出した。
「1つ目はドイツが技術協力に応じた、というものだ。彼の国の戦車技術は周辺諸国より進んでおるという、お前の判断は正しかったわけだ。」
杉山は永田に1つの紙束を封筒から出して投げ渡す。それに目を通す永田は小さく、ハハっと笑った。
「まさかII号戦車の技術が貰えるとわな…。」
「こちらの虎の子である零式艦上戦闘機、通称零戦の技術提供との交換であるからな…。その上、これからの技術協力にも前向きな回答を得られたのは収穫であるな。」
永田は陸軍力の強化に安堵する一方、ドイツが技術協力にこうも簡単に乗って来た点が少し気になった。
空母を持たないドイツが艦上戦闘機の技術提供を飲んだ。それはつまり空母の建艦に取り組むということか?…いや違うな。あるとすれば、対艦攻撃機への転換か!!あくまでも手に入れるのは技術であり、用途に応じた兵器に変換する。なるほど合理主義者共は発想が我らとは違うな。
「2つ目はなんだ?」
「目下の大事ごととしてはこっちの方が重要だな。広西軍閥への扇動が功を奏したぞ。近いうちに広西軍閥が中国国民党に宣戦することになった。」
「それは…!!」
「ちまちまと密かにレンドリースしたかいがあったな。広西軍閥と雲南軍閥に恩が売れただけでなく中国国民党には二正面作戦、いや三正面作戦を行わせることが出来る。もうそろそろ、時期だな?動き始めても?」
「ああ、始めてくれ。戦争目標の正当化を。」
22
あなたにおすすめの小説
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
対ソ戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。
前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。
未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!?
小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
対米戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。
そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。
3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。
小説家になろうで、先行配信中!
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
征空決戦艦隊 ~多載空母打撃群 出撃!~
蒼 飛雲
歴史・時代
ワシントン軍縮条約、さらにそれに続くロンドン軍縮条約によって帝国海軍は米英に対して砲戦力ならびに水雷戦力において、決定的とも言える劣勢に立たされてしまう。
その差を補うため、帝国海軍は航空戦力にその活路を見出す。
そして、昭和一六年一二月八日。
日本は米英蘭に対して宣戦を布告。
未曾有の国難を救うべく、帝国海軍の艨艟たちは抜錨。
多数の艦上機を搭載した新鋭空母群もまた、強大な敵に立ち向かっていく。
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる