世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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1938年 大日本帝国 地下資源開発成果

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「冬季攻勢休止期間に入って2ヶ月。南部の広西軍閥は攻勢を続けておりますが、無能な将軍のお陰で被害がただただ拡大しているだけです。」

陸軍将校の1人が中国大陸の戦線の現状について説明する。いつも説明をする杉田は列島にはおらず、大陸で陸軍の総指揮を執っている。3月からの春季攻勢に向け準備中である。港湾と交通網の整備も順調に進んでいる。

現地で調達できない資材、人材は山本の采配のおかげで輸送船団が編成され滞りなく輸送されている。

そして今日資源調査の結果が報告される。期待していないと言えば嘘になるが、鉄でもアルミでも良い。何も無かったという徒労だけには終わって欲しくないと永田は願っていた。

昼を過ぎ、遅い報告書にやきもきしていた永田にようやく、部屋をノックするおとがとどいた。

「永田参謀本部長。資源開発局より報告書が届いております。」

はやる気持ちを押さえ付け、努めて冷静に礼を言い、封筒を受け取る。扉前で敬礼一つで退出していく将校を眺め、扉が閉まったと同時。永田は勢いよく開封した。

資源開発局資源調査報告書
調査地域:朝鮮半島及び満州国

遼寧で10億トン級の良質な鉄の鉱床を発見。

大慶にて石油資源の存在を確認。埋蔵量は不明。また遼河にて石油資源存在可能性を調査中。

その他小規模鉄鉱床やアルミ鉱床も発見。

報告書を要約するならばこんなものであった。永田は調査結果を一度机の上に置き、一人幸運を噛み締めた。

その後永田はすぐに資源開発局にアポイントメントを取り、翌日詳細の報告と現状を押してえて貰えるようにした。と同時に、山本、杉田に電文を飛ばした。



その夜帝都某所の料亭に永田は来ていた。もちろん一人ではなく、永田の前には大日本帝国首相廣田が座っている。

「随分と優れた采配を振るっておるようだな。陸軍と海軍の仲も落ち着いていると聞く。永田がいて随分と政治がしやすい。」

「それは、嬉しい一言ですね。一時は胃に何個の穴を開ければ良いのかと思ったほどでしたからね…。」

「お前も苦労人だな。」

「首相ほどでもありませんよ。……米英仏は今のところどんな感じでしょうか?」

「静観って感じだな。しかし自分たちの庭が荒らされない限りは、と言う括りはつくがな。」

「香港進行はやはり不味いでしょうか?」

「時期の問題だな。香港と東南アジア諸国を両方手に入れるには戦争しかないが、片方であれば一時的には合意の下併合できるだろうな。」

「一時的ですか…?」

「ああ。ドイツと英仏は戦争になるのは必至だ。主義・主張イデオロギーがあまりにも違いすぎる。その戦争時に交渉を持ちかけ、インドと香港を不可侵としマラヤを奪うかインドとマラヤを不可侵とし香港を奪うか…この2つだろうな。その後のは情勢次第だな。ヨーロッパが落ち着けば矛先は我々に向くだろう」

廣田は猪口で酒を干す。永田は黙々と考え、一つの可能性を見出した。

「マラヤと香港の両方を手に入れる方法があるかも知れません」

「永田、戦略的に可能であってもそもそも英国領に手を出す時点で悪手なのだ。かのロイヤルネイビーだけでも相手にできないというのに、アメリカまで参戦する可能性が増すばかりだ」

永田はここで悟ってしまった。我々にはまだ狂気が足りないのだと。そして同時に願った。他の何も何もされない真の独立国の未来を。そのために必要なのは狂気に駆り立てるリーダーである。しかし今はそのリーダーはいない。ならば自分がなろうと永田は誓った。この日を境に大日本帝国は誰も想像だにしない狂気の道へと進むことになる。
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