世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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ドイツ第三帝国 敵地ショプロン近郊

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ペーターは敵増援の前に少しずつ後退を繰り返していた。歩兵の盾となりながら、徐々に後退し敵陣地の端にまで押し戻されていた。

手当り次第に砲撃を行っていたこともあり、既に砲弾の残りも心許ない。そんな中、塹壕が轟音と共に砂埃を上げる。

歩兵の部隊が撤退しながらダイナマイトを撒いていたようである。それが爆発し、塹壕は一部破壊される。

しかし、これ以上後退をすることは出来ない。開けた場所に出てしまうことになる。それだけは避けねばならなかった。

「敵後方!!戦車!!」

操縦手の一言で車内が凍りつく。このタイミングでの敵戦車の登場は最悪のタイミングであった。

戦車の相手は対戦車砲が無ければ、戦車にしか務まらない。ペーターは悩んだ。このまま留まるのか。それとも突撃をして敵戦車を叩くのか。

ペーターが答えを出すよりも早く、戦況は一変した。

「敵後方からさらなる戦車!!……ん?あれはII号戦車、味方のか?」

そこには敵後方から包囲するように現れた味方戦車があった。

「ハンガリー王国兵士に告ぐ!!この陣地は既に包囲された!!銃を捨て投降せよ!!」

拡声器による降伏勧告。ペーターには何が起きているのかがわからなかった。しかし、その勧告以降一発の銃弾すら発砲されることは無かった。

前線基地に補給のため戻る許可の出たペーターは基地に着くとすぐさま方面司令官のロンメル将軍に会いに向かった。

「失礼します」

部屋に入ると椅子に腰かけたロンメル将軍がいた。

「ペーター車長か…。何か用かね?」

紙から少しだけ目を上げ誰かを確認してからロンメルは口を開いた。その行動にペーターがどうこう思う点はない。ただ今回の戦場での出来事でどうしてもペーターは確認しておかないといけないことがあった。

「ロンメル将軍…。今回の作戦で我々は囮であったのですか?それ故に満足な説明もなく、我々の知らない事が多くあったのですか?」

ペーターは命令であれば囮であろうと、決死突撃であろうと、なんの躊躇いもなく実行する。その中で、もちろん自分が生き残る事、自分の部下への被害を最小限に留めることに注力する。しかし、実行を渋ることは無い。

だからこそ、今回のロンメルの差配に物申さずには居られなかった。

「素直に答えると、君たちは囮であった。陣地内の敵をその場に釘漬けにする為の囮だった。酷い言い方羽すれば決死隊のようなものだった。文字通り全滅することも可能性としてはあった。それだからこそ君に任せたのだよ。」

「と、申しますと?」

「あの場で君が死ねば、それまでの男だったと私は切り捨てていた。しかし君は今生きて私の前に立っている。そして率いた部隊の損耗は我々の想定よりもずっと少ない。これは君自身の才能と言わざるを得ない。」

席を立つロンメル。そして1枚の紙を取りだしペーターの正面に立つ。

「本日付でペーター・ワーグナーを第一機甲師団師団長に任命する。」

「承りました!!」

敬礼を持ってその紙を受け取る。

「編成は明日には完了する。師団を率いて、戦争に参加せよ。作戦会議はよく明朝に行う。詳細な時間はおって通達する。」

「承知しました。」

そしてピーターは部屋を出ていった。
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