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ドイツ第三帝国 対仏戦争論理論争1
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ペーターのベネルクス侵攻案、ヘルマンのマジノ線火力による面制圧案を終え、フェーラの仏伊国境攻勢案の説明に移った。
ベネルクスが中央になった地図を移動させ、仏伊国境を中心に添える。そしてその後、フランス語で書かれた新聞がいくつか同じボードの上に貼られた。
「では私から、フランス南部攻勢について説明します。まず独伊同盟によって、フランスに対してイタリアの協力が十全に得られることを前提とします」
そう前置きをしてから、フェーラは指示棒を持ち詳細な説明に入る。
「フランス国内では、我が国やイタリアのハンガリーに対する武力行使に危機感を覚え、防衛費の増大を望む声が大きくなっています。それに加えて資本家と労働者の対立も激化の一途を辿っており、防衛費どうこうの話ではないとの見方もあります。ここまででなにか質問はありますか?」
いくつかの新聞の見出しを指しながら、フランスの情勢を語るフェーラにペーターは意外感を覚えた。
「この新聞の記事は自身で翻訳したのか?」
「ええ、フランス語ならビジネスができるくらいには話せますよ。イタリア語は辞書があれば、それなりに…って感じです」
「これは良いことを聞けた。そして、もう少し詳しくフランス情勢について語ってくれ。多分な私見を加えてくれて構わん」
「わかりました」
フェーラは新聞をボードから外し、3人の正面にある机の上に並べた。ボードには空白が生まれ、フェーラは指示棒とペンを持った。
「現在のフランスが抱える問題は2つ。労働者階級と資本家階級の衝突…それに伴う政治不信です。もう1つは我らを標的とした外患です。後者は我々のことなので置いておくとして、前者の問題に対して政府は両階級に折り合いをつけることに専念しています。これはおそらく、フランスの共産化を恐れての対処であると言うのが私の私見です。ここからは私の想像になりますが、現在のフランスは米英とソ連の政治ゲームの真っ只中ではと推測します。」
「大国の仲間を得たいソ連と、隣人としての英米か…」
「そんな不安定な状態のフランスに対して有効な攻撃とは都市部への一撃だと考えます。よって都市部の少ない南部地域への攻勢は無価値だと判断しました。」
そう結論付けたフェーラ。戦力・地形といった戦術・作戦面での評価ではなく政治・情勢面での評価というペーターとヘルマンにはない論点で示された結論は、ペーターにとって非常に興味深いものであった。
「来週再度集まろう。各自の戦争論理を戦力面ではなく政治的意義をふまえること。ただし、今回話した内容から大きく脱線しても良い。戦争は前線だけが戦場ではないからな」
「承知しました」
2人の返事を聞いて、今日の3人の職務はここで終了した。ペーターは2人とともにクナイッペ(居酒屋)に向かうのだった。
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