世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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ドイツ第三帝国 戦争論理論争2

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あれから1週間が経過し、資料の束を抱えた3人が先週と同じ会議室に集まっていた。ロンメル将軍への戦略考案の提出期限も迫ってきており、今回で一定の成果を出さざるを得ない。それを知っているのかどうか、ペーターは知る由もないが、ヘルマン・フェーラ共に抱える資料は膨大であった。

「それじゃ、始めようか。いちばんは誰にする?」

その問いに反応したのはフェーラだった。

「私の初期の戦略は無くなったので、第3案として1番初めに話させてください」

ペーターはヘルマンの方を見てもなんの異存もないことが分かる。ボードの前に立ったペーターはフェーラにその場所を譲り、フェーラの発表が始まった。

「私は二つの衝撃によってフランスは我々に屈すると考えます。1つ目の衝撃は多額の費用を通して作られたマジノ線の攻略、及びエルザス・ロートリンゲンの占領。2つ目の衝撃は後方からの暴動圧力です。前者についてはそのまんまであり、その方法についてはヘルマンが話すと思うので、私は後者について解説します」

そして、フェーラは2人に対して1cm程の紙束を手渡す。

「こちらは、フランス国内の独立勢力であります」

その資料には8つの勢力が記載されており、ここに詳細が記載されている。そしてその8つのうち、オクシタニア・ブルターニュ・ガスコーニュ・北カタルーニャの4つにマーカーされている。

ここで既にフェーラの言わんとすることはおおよそ理解できる。が、敢えてここで流れを切る必要もあるまいと、ペーターは何も言わない。そしてフェーラは満を持して、言った。

「私が提案するのは、侵攻と内乱誘致の2弾攻勢です」と。

なるほど、確かに敵の国力・団結力を削ぎ落とす手段として内乱は良手であることは間違いないだろう。が、フェーラの選定基準がまだ明かされていない。それを聞かねばいけないだろう。そうペーターが思っていると、案の定フェーラは選定の基準を語った。

「この勢力の選定基準は我々の権益を損なわないことに重点を置いています。例えばですがアルザスの独立勢力はこちらに組みさせたとしても、我々の権益と対立します。そういった理由でアルザスは排除しています」

その説明を受け、ヘルマンは挙手する。フェーラはヘルマンに意見を求めた。

「アルザスの独立勢力に独立の確約とともに武装蜂起を差せられた方が、マジノ線攻略は容易なのではないか?マジノ線を突破した後に約束を反故にしたって構わないだろ。どうせ反社会組織だ。世論だってわかないだろうさ」

「それは戦争後を見据えていないためではないでしょうか。彼らに独立を認めることによって私は、統治の面において反感を一部緩和できると考えています。彼らに独立を認めた土地は国際法上微妙な立ち位置に置かれることでしょう。そうなった場合、彼らが頼らざるを得ない国家は我々だけとなります。そこに付け入る隙すらあるでしょう」

名ばかりの独立国…極東の国で満州国を打ち立てたやり方に似ているとも言える。しかし……。

ペーターはこの件に関して沈黙を貫くことにした。その姿勢を察した2人はペーターに話を振ることは無かった。そして、フェーラの発表は終わり、ヘルマンがボードの前に立ったのだった。
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