世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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東洋からの使者

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 イタリアの外務官を務めるオルランドはイタリアのアフリカ植民地ソマリアの沿岸都市モガディシュにいた。イギリス軍やフランス軍が潜水艦を用いた補給船襲撃を行うためそう余裕のある場所ではない。と同時に、大陸側からの断続的な攻勢によって安全な場所ともいえない。

 戦略的にもその重要性は明らかだ。そんな場所に好き好んでくる人間はいない。にもかかわらず、オルランドがこの場にいるのはひとえに仕事のためだった。誰もいない質素な宿。そんな場所で本国から託された書類をもって来訪客をじっと待っていた。

 予定時刻5分前。客室の扉をノックする音が響く。緊張の面持ちで扉を開けるとそこには、西洋ではあまり見かけない面持ちの人間がいた。

「あなたはサブローですか?」そう尋ねると、相手は頷く。
「石橋三郎。天皇陛下の命を受けて、ここに来ました」

 二人の表情は少し和らぎ、オルランドは三郎を部屋の中に通す。オルランドはしっかりと施錠をしたのちに、席に着き、二人は机を挟んで相対する。

「この会談は非公式ながら、決めごとについては効力を発揮する。その認識で間違いないな」
「間違いない」

「調印書を交換する」
オルランドがそういうと、二人はそれぞれの厳かな冊子を取り出し、交換する。そして、
「調印内容を確認する」といって、声を出しながら調印書を音読する。

「イタリアはソマリアを大日本帝国に割譲する。旧エチオピア及びエリトリアから集積した金品等の所有権も放棄し大日本帝国に帰属するものとする。次に大日本帝国はイタリアに対し、戦艦長門、重巡洋艦愛宕、重巡洋艦加古、駆逐艦6艦を提供する」

 この秘密条約はこの日を境に施行され、翌日のソマリア総督府にはイタリアの国旗ではなく大日本帝国の旭日旗が翻ることとなった。

 この条約は二国間の思惑がまがいなりにも一致したために決断された。先日のイタリア海軍の壊滅的被害を受け早々に立て直しが必要になったため、水面下で行われていたこの条約は締結に至った。大日本帝国としては、依然として中国大陸の安定化に失敗しており、多数を抱え維持費のかさむ艦船を処分し、国内投資や安定化に資金を投じたいという思いがあった。

そして、大日本帝国からイタリアへ譲渡された艦船は半月後。カナリア諸島にてスペイン海軍と編成を行い伊西第一艦隊と称され、この発表と同時にスペインの枢軸加盟が宣言された。

 ジブラルタルへ艦隊は迫り、事態を予測できなかったイギリスは沿岸からの砲撃と陸上からの突撃によって1日足らずでジブラルタルを失陥した。これにより、地中海の支配者はいまだ決着がつかず、混沌を続ける。

 ドイツはスペインに対する譲歩として、ダンツィヒおよび西部を除き、ポーランド人による協力政府をクラクフに設立することを承諾した。

またアフリカの主戦場は、リビアからモロッコへと移ることになる。
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