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もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか 2 おまけミニショート
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「ティラン、私達が婚約したのは学園の皆も知っているし、ティランに危害を加える者もいなくなった。だから、もう眼鏡を外してもいいんじゃないか?」
「アーサー様、ですが⋯、子供の頃からずっと掛けていたので、皆に素顔を見られるのが恥ずかしいです」
「大丈夫だよ。私が傍にいるから。何かあったら、私が必ずティランを守る」
「はい。では、明日から外してみます」
「「「えっ!?ティラン!?」」」
「「「可愛い⋯」」」
「「「ティラン、一緒にランチでもどうだ」」」
放課後、ティランを伯爵家まで送る馬車の中で、私はつい、思っている事を口走ってしまった。
「⋯ティラン、やっぱり眼鏡を掛けようか」
「えっ⋯?やっぱり、僕⋯、顔を隠した方がいいですか?」
ティランが大きな瞳に涙を湛えている。
「違う!」
「アーサー様?」
「ティランが可愛いのは、私だけが知っていればいい!」
自分で言って、真っ赤になるのが分かった。
私は恥ずかしくなり、ティランから顔を背けるように横を向いた。
するとふわりと甘い香りがして、横を向く私の胸にティランがそっと頬を寄せて呟いた。
「嬉しい⋯、僕、ちゃんとアーサー様に愛されているんですね」
胸が切なさでいっぱいになった。
私はその切なさの理由を探すようにティランを抱き締め、そして初めての口付けをした。
そっと触れるだけの口付けは、私の胸をいっそう切なくさせるだけだった。
「アーサー様、ですが⋯、子供の頃からずっと掛けていたので、皆に素顔を見られるのが恥ずかしいです」
「大丈夫だよ。私が傍にいるから。何かあったら、私が必ずティランを守る」
「はい。では、明日から外してみます」
「「「えっ!?ティラン!?」」」
「「「可愛い⋯」」」
「「「ティラン、一緒にランチでもどうだ」」」
放課後、ティランを伯爵家まで送る馬車の中で、私はつい、思っている事を口走ってしまった。
「⋯ティラン、やっぱり眼鏡を掛けようか」
「えっ⋯?やっぱり、僕⋯、顔を隠した方がいいですか?」
ティランが大きな瞳に涙を湛えている。
「違う!」
「アーサー様?」
「ティランが可愛いのは、私だけが知っていればいい!」
自分で言って、真っ赤になるのが分かった。
私は恥ずかしくなり、ティランから顔を背けるように横を向いた。
するとふわりと甘い香りがして、横を向く私の胸にティランがそっと頬を寄せて呟いた。
「嬉しい⋯、僕、ちゃんとアーサー様に愛されているんですね」
胸が切なさでいっぱいになった。
私はその切なさの理由を探すようにティランを抱き締め、そして初めての口付けをした。
そっと触れるだけの口付けは、私の胸をいっそう切なくさせるだけだった。
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