126 / 132
第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:激安の幽霊屋敷と二人の看板娘
第126話 即採用決定! 優秀すぎる二人組を、破格の好条件でスカウトです!
しおりを挟む
彼女たちが落ち着いたところで、私は改めて姿勢を正し、にっこりと微笑んだ。
「改めまして、ようこそ『ヤマネコ商会』へ。私が店主のヤマネ・コトリです。コトリと呼んでください」
「あ、はい! 私はリア、こっちは双子の妹のミアです。15歳です!」
ピンク髪の子がリアちゃん、水色髪の子がミアちゃんね。覚えた!
15歳。この世界ではもう立派な働き手なのだろう。
「分かりました。では、いくつか質問させてください。……まず、お家はこの近くですか? ご両親は?」
履歴書がない以上、口頭での身元確認は必須だ。
どんなに良い子そうでも、素性の知れない人を雇うわけにはいかないからね。
「はい、職人街に住んでます。父は家具職人で、母はその手伝いをしています」
リアちゃんがハキハキと答える。
職人街ならここから歩いてすぐだ。通勤に問題はないし、地元の子なら逃げられる心配も少ない(はず)。
「お仕事の経験はありますか?」
「実家のお店番を時々手伝うくらいですけど……でも、接客は大好きです! 市場でお買い物をする時も、ついお店の人と話し込んじゃうくらいで」
リアちゃんが胸を張る。
うん、確かに彼女の明るい笑顔と通る声は、接客向きだ。広場での客引きも任せられそう。
「ミアさんはどうですか?」
私が水を向けると、ミアちゃんは少し照れくさそうに口を開いた。
「私は……リアほどお喋りは得意じゃないです。でも、細かい作業とか、計算は嫌いじゃありません」
「計算?」
私はピクリと反応した。
商売において、計算能力は生命線だ。この世界、電卓なんて便利なものはないのだから。
まあ、いざとなったら通販でポチって使ってもらうけど、それでも簡単な暗算ぐらいは出来てほしい。
「じゃあ、ちょっと質問です。ジャムが一つ大銅貨2枚。クッキーが一つ中銅貨5枚。お客さんがジャムを2つとクッキーを3つ買いました。代金はいくら?」
私が即興で問題を出すと、ミアちゃんは一瞬だけ宙を見て、即答した。
「大銅貨5枚と中銅貨5枚です」
「……お釣りは? 銀貨1枚預かりました」
「大銅貨4枚と中銅貨5枚です」
速い。
「すごいわ、ミアさん! 正解です!」
「えへへ……。父の仕事の帳簿付けを手伝ったりしているので、数字には慣れてるんです」
これぞ、求めていた人材だ。
接客が得意なリアちゃんと、正確な事務処理ができるミアちゃん。
凸凹コンビに見えて、これ以上ないほどバランスが取れている。
(……決まりね)
私は、大きく頷いた。
他に応募者もいないし、何よりこの二人は私の店のファンだ。これ以上の人材は望めないだろう。
「合格です!!」
私が高らかに宣言すると、二人は顔を見合わせて、手を取り合って喜んだ。
「やったー! ミア、合格よ!」
「……うん。よかった……」
「ぜひ、ヤマネコ商会に来てください! まずは一ヶ月の試用期間ということで、明日から働けますか?」
「はいっ! もちろんです!」
「条件は貼り紙の通りです。良い仕事には、良い対価を。それが私のポリシーですから」
私は胸を張って答える。
ブラック労働は、私のスローライフの敵だ。従業員には潤沢な給与を払い、高いモチベーションで働いてもらう。それが結果的に、私の安眠に繋がるのだ!
「その代わり、少し忙しくなるかもしれないですよ? 私たちの目標は、このハルモニアで一番愛されるお店になることですから!」
忙し過ぎるのは嫌だけど、スローライフのためには、まずは稼がなければいけないのだ。
私の言葉に、リアちゃんとミアちゃんは真剣な表情になり、そして、キラキラとした笑顔で答えた。
「はいっ! 頑張ります、店長!」
「……ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
二人の採用が決まり、ホッと一息ついたところで、私はずっと気になっていた疑問を口にする。
「……ところで、お二人に聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「こんなに条件が良いのに、どうして、これまで誰も来なかったのでしょう? てっきり、何十人も並ぶかと思ったのですが」
「改めまして、ようこそ『ヤマネコ商会』へ。私が店主のヤマネ・コトリです。コトリと呼んでください」
「あ、はい! 私はリア、こっちは双子の妹のミアです。15歳です!」
ピンク髪の子がリアちゃん、水色髪の子がミアちゃんね。覚えた!
15歳。この世界ではもう立派な働き手なのだろう。
「分かりました。では、いくつか質問させてください。……まず、お家はこの近くですか? ご両親は?」
履歴書がない以上、口頭での身元確認は必須だ。
どんなに良い子そうでも、素性の知れない人を雇うわけにはいかないからね。
「はい、職人街に住んでます。父は家具職人で、母はその手伝いをしています」
リアちゃんがハキハキと答える。
職人街ならここから歩いてすぐだ。通勤に問題はないし、地元の子なら逃げられる心配も少ない(はず)。
「お仕事の経験はありますか?」
「実家のお店番を時々手伝うくらいですけど……でも、接客は大好きです! 市場でお買い物をする時も、ついお店の人と話し込んじゃうくらいで」
リアちゃんが胸を張る。
うん、確かに彼女の明るい笑顔と通る声は、接客向きだ。広場での客引きも任せられそう。
「ミアさんはどうですか?」
私が水を向けると、ミアちゃんは少し照れくさそうに口を開いた。
「私は……リアほどお喋りは得意じゃないです。でも、細かい作業とか、計算は嫌いじゃありません」
「計算?」
私はピクリと反応した。
商売において、計算能力は生命線だ。この世界、電卓なんて便利なものはないのだから。
まあ、いざとなったら通販でポチって使ってもらうけど、それでも簡単な暗算ぐらいは出来てほしい。
「じゃあ、ちょっと質問です。ジャムが一つ大銅貨2枚。クッキーが一つ中銅貨5枚。お客さんがジャムを2つとクッキーを3つ買いました。代金はいくら?」
私が即興で問題を出すと、ミアちゃんは一瞬だけ宙を見て、即答した。
「大銅貨5枚と中銅貨5枚です」
「……お釣りは? 銀貨1枚預かりました」
「大銅貨4枚と中銅貨5枚です」
速い。
「すごいわ、ミアさん! 正解です!」
「えへへ……。父の仕事の帳簿付けを手伝ったりしているので、数字には慣れてるんです」
これぞ、求めていた人材だ。
接客が得意なリアちゃんと、正確な事務処理ができるミアちゃん。
凸凹コンビに見えて、これ以上ないほどバランスが取れている。
(……決まりね)
私は、大きく頷いた。
他に応募者もいないし、何よりこの二人は私の店のファンだ。これ以上の人材は望めないだろう。
「合格です!!」
私が高らかに宣言すると、二人は顔を見合わせて、手を取り合って喜んだ。
「やったー! ミア、合格よ!」
「……うん。よかった……」
「ぜひ、ヤマネコ商会に来てください! まずは一ヶ月の試用期間ということで、明日から働けますか?」
「はいっ! もちろんです!」
「条件は貼り紙の通りです。良い仕事には、良い対価を。それが私のポリシーですから」
私は胸を張って答える。
ブラック労働は、私のスローライフの敵だ。従業員には潤沢な給与を払い、高いモチベーションで働いてもらう。それが結果的に、私の安眠に繋がるのだ!
「その代わり、少し忙しくなるかもしれないですよ? 私たちの目標は、このハルモニアで一番愛されるお店になることですから!」
忙し過ぎるのは嫌だけど、スローライフのためには、まずは稼がなければいけないのだ。
私の言葉に、リアちゃんとミアちゃんは真剣な表情になり、そして、キラキラとした笑顔で答えた。
「はいっ! 頑張ります、店長!」
「……ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
二人の採用が決まり、ホッと一息ついたところで、私はずっと気になっていた疑問を口にする。
「……ところで、お二人に聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「こんなに条件が良いのに、どうして、これまで誰も来なかったのでしょう? てっきり、何十人も並ぶかと思ったのですが」
184
あなたにおすすめの小説
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
【毎日18:00更新】
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。
※表紙画像はAIを使用しています
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
従魔と異世界スローライフのはずが、魔王と噂されていく日々
ソラリアル
ファンタジー
漫画やアニメでは、なぜか悪役として恐れられるドラゴンや魔獣たち。
だけど俺にとって彼らは、誰よりも癒やしをくれる愛おしい存在だった。
――もっと、彼らが愛される物語が見たい。
そんな願いを抱いたまま命を落とした俺は、
女神アイリスに拾われ、異世界へと転生した。
そこで授かったのは、【無限の魔力】と、
見捨てられた命を救う力【救いの手〈Angelic Hand〉】。
目覚めた先で出会った従魔(かぞく)たちは、頼もしくて、可愛くて。
拠点を直し、畑を耕し、皆でごはんを食べて笑い合う。
――俺が望んだ、理想の穏やかな日々が始まった。
……はずだった。
それなのに――
「あの森に、恐ろしい魔王が降臨したらしい」
「伝説の魔獣たちを力で従えているそうだ」
「裏で国王を操り、世界を支配しようとしているのでは?」
そんな噂が立ち始めた。
「いや、ただのんびり暮らしたいだけなんですけど!?」
それなりに強い力を持ちながら、ただのんびりしたいだけのヨシヒロが、
個性豊かな従魔たちと共に送る、
救っては誤解され、噂だけが膨らんでいく――
勘違いだらけの、終わらない異世界救済スローライフ。
※本作は旧題
『魔王と噂されていますが、ただ好きなものに囲まれて生活しているだけです』
の設定を整理し、加筆修正を行った改稿版です。
※物語の大きな流れに変更はありません。
今後はこちらで更新を続けていきます。よろしくお願いいたします。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!
ひより のどか
ファンタジー
気がついたら何かに追いかけられていた。必死に逃げる私を助けてくれたのは、お花?違う⋯小さな小さなうさぎさんたち?
突然森の中に放り出された女の子が、かわいいうさぎさん達や、妖精さんたちに助けられて成長していくお話。どんな出会いが待っているのか⋯?
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の、のどかです。初めて全く違うお話を書いてみることにしました。もう一作、『転生初日に~』の、おばあちゃんこと、凛さん(人間バージョン)を主役にしたお話『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』も始めました。
よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。
*8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる