異世界で魔族が全滅してるらしいが、俺は普通にゴルフしてるだけ ~無能扱いされた男が 、距離だけで世界を変える話~

ぬこまる

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3 あの無能が何をしたのか、城がざわついているらしい

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芝の上で石を打った翌朝、
俺は城外の簡易宿で目を覚ました。

宿と言っても、元は兵士の仮眠所だ。
床は藁、壁は薄く、毛布が二枚。
だが不思議と、よく眠れた。

会社にいた頃は、
目覚ましの電子音と通知の振動で起こされていた。
ここでは、風が壁を撫でる音と、鳥の声が朝を告げる。

(……目覚め、優しいな)

目を開けたまま、しばらく天井を見ていた。
何もしなくても、朝が勝手に進んでいく。

扉を叩く音がした。

一度だけ。
無駄のない間隔。

扉を開けると、すでに人が立っていた。

無駄のない姿勢。
衣服はきっちり整えられ、
立っているだけなのに、空気が締まる。

例の兵士――ガルドだ。

「……起きたか」

「はい。おはようございます」

「朝だ」

「それは分かります」

一瞬、沈黙。

ガルドは何も言わず、
布に包まれたパンと水袋を差し出した。

「……昨日より量、多くないですか?」

「今日は、動く」

(相変わらず説明が少ない)

だが、その短い言葉の裏に、
城がすでに慌ただしく動き始めていることは感じ取れた。

城門に入り、しばらく歩いたところで足音が止まった。

振り返らなくても分かる。
一定の距離で、人がいる。

近すぎない。
遠すぎない。
だが、ずっと変わらない。

「……あの」

俺は足を止めた。

「ずっと付いてきてますよね?」

少し間を置いて、低い声が返ってくる。

「……職務だ」

振り返ると、あの兵士が立っていた。
鎧は整い、姿勢に無駄がない。
剣は持ってないが、いつでも動ける空気だ。

「ですよね」
俺は苦笑する。
「じゃあ、せめて名前くらい聞いてもいいですか?」
「無言で追跡されてる一般人、ちょっと怖いんで」

男は一瞬だけ考え、短く答えた。

「ガルド・フェルナー」

「ナオキです」
俺は軽く頭を下げる。
「異世界に来た一般人です」
「戦えません」
「あと、ゴルフが趣味です」

「……ごるふ?」

「距離を測って、風を読んで、無理しない競技です」

「……意味が分からない」

「ですよね」

沈黙。

ガルドの視線が、俺の足元から、少し先へ移る。
地面、起伏、影。
何かを測っている。

「……歩幅が安定している」

「え?」

「無駄な動きがない」
「癖だが……距離を取りやすい」

(急に評価された)

「ありがとうございます?」
俺は一応言ってみる。

「褒めてはいない」
ガルドは即座に否定する。

「……監視対象としての確認だ」

「じゃあ、合格ですか?」

「……まだだ」

(厳しい)

俺は肩をすくめた。

「まあ、逃げる気はないです」
「自然がきれいなんで」

ガルドは、少しだけ間を置いて言った。

「……不用意に近づくな」
「城の外は、安全ではない」

「忠告、ありがとうございます」

「任務だ」

それでも、距離は変わらない。
半歩後ろ。
一定。

「ガルドさん」
俺は歩き出しながら言った。
「距離、好きですよね」

「……仕事だ」

「いや、趣味でしょ」

ガルドは答えなかった。
だが、歩幅が俺と揃った。

ほんの少しだけ。

「……ナオキ」

「はい」

「妙な真似をするな」

「ゴルフはします」

「それも含めてだ」

(含まれてるのか)

俺は笑った。

「じゃあ、よろしくお願いします」
「距離見る係さん」

ガルドは、ほんの一瞬だけこちらを見て、言った。

「……係ではない」

その声は、少しだけ柔らかかった。

城と町、中世らしい景色を見ながら歩く。

城と城下町の間にある、あの広場――
昨日、芝を見下ろした丘の上には、
すでに人が集まり始めていた。

兵士。
商人。
職人。
そして、特に用もないが、気になって来た市民たち。

「……昨日の音、聞いたか?」
「雷じゃなかったよな?」
「魔族が石で倒れたって……」

噂は、風より速く広がる。
ドライバーで打ったゴルフボールより、よほど速い。

芝は、昨日よりも少し整っていた。
草丈が揃い、踏み荒らされた跡もない。
朝露がまだ残り、光を受けて静かに輝いている。

(……誰か、ちゃんと手入れしたな)

そう思った瞬間、
王城の門が開き、人影が現れた。

王と重臣たち。
その少し後ろに、姫の姿もある。

姫は城の外に出ること自体が珍しいのか、
少し緊張した様子で辺りを見回していた。

芝を見て、
人の集まりを見て、
最後に――俺を見る。

目が合う。

姫は一瞬だけ、ほんの少しだけ戸惑ってから、
小さく会釈した。

(……あ、礼儀正しい)



王が、声を張った。

「静粛に」

ざわめきが、波が引くように収まる。

「昨夜、城外にいた魔族が全滅した」
「理由を、説明してもらう」

視線が、俺に集まる。

説明、と言われても。

「……ゴルフをしました」

重臣たちが、一斉に顔をしかめた。

「ごるふ? まさか遊戯で戦況が変わると?」

「遊戯というか……」
俺は、肩をすくめる。
「距離を測って、風を読んで、無理しないで打つだけです」

姫が、首をかしげた。

「……無理しない?」

「飛ばそうとしない、って意味です」
「ゴルフでは、だいたい無理したショットが一番危ないです」

勇者のユウマが、腕を組んで言った。

「でもさ、強い敵が来たら、全力で叩くしかないだろ?」

「ゴルフだと、それでOBです」

「……おーびー?」

「コース外にいっちゃうやつです」

アヤが、小さく吹き出した。

「それ、玉が消えるやつじゃん」

「はい。だから無理しません」



そこで、ガルドが一歩前に出た。

「陛下」

低く、落ち着いた声。
一言で場の空気が締まる。

「私は、遠方を視る目を持っています」
「昨日、彼が打った石は、
 ほぼ同じ距離、同じ着弾点でした」

重臣たちがざわつく。

「偶然ではない、ということか?」
王が問う。

「再現性があります」

その言葉に、俺は思わず頷いた。

「同じことを何度もできる、って意味です」
「ゴルフでは、それが一番大事です」

ガルドは、短く言った。

「……理解できる」

(この兵士、理解が早いな。
 キャディかよ……)



王は、しばらく芝を見つめてから言った。

「この広場をナオキ殿の……」

重臣が息を呑む。

「“芝域”とする」

姫が、目を丸くした。

「ナオキさんの、しば……いき?」

「ここは、
 剣を振る場所ではない」
「距離と判断で、
 敵を近づけない場所だ」

俺は内心、
(ほぼゴルフの打ちっぱなしじゃん)
と思っていた。



会議が終わり、人が引いたあと、
俺は芝の端で準備をしていた。

ガルドが、自然と俺の後ろに立つ。
距離は、半歩。

「……風、左から」
「距離、昨日と同じ」

「詳しいですね」

「昨夜から、測っている」

「寝ました?」

「不要だ」

(ブラック企業適性、高そう)



会議が一段落し、重臣たちが散っていく中、
兵士たちも持ち場へ戻り始めていた。

その途中、数人の兵士がガルドの横を通り過ぎる。

「……あれが、ガルドか」

声は低い。
だが、聞こえないほどではない。

「前線に出ないやつだろ」
「昔はすごかった、って話だけは聞くけどな」

別の兵士が、鼻で笑った。

「剣を抜かない兵士なんて、飾りだ」
「距離だの判断だの言って、結局後ろだろ」

俺は、思わず口を開きかけた。

だが、ガルドは何も言わない。
視線も動かさない。
ただ、少しだけ距離を取った位置で、芝の向こうを見ている。

「……臆病者」

その一言が、はっきりと落ちた。

胸の奥が、ひやっとした。

(……そんな言い方、あるかよ)

俺が何か言う前に、
ガルドが、ぽつりと呟いた。

「……持ち場が、違うだけだ」

声は低く、感情はない。
言い訳にも、反論にも聞こえなかった。

通り過ぎた兵士の一人が、肩をすくめる。

「好きに言え」
「だが、魔族は近づいてくる」
「その時、後ろで測ってて守れるならな」

笑い声が、少しだけ混じる。

ガルドは、それでも動かない。
視線は、変わらず遠く。

俺は、その横顔を見た。

(……この人)

怒っていない。
悔しがってもいない。

ただ、
「そう思われている距離」
を、もう受け入れている。
俺は、ガルドの背中を見て思った。

剣を振らないから、臆病者。
前に出ないから、役立たず。

そう決めつけるには、
この人はあまりにも――静かすぎる。

(……距離を見るって、前に立つのと同じくらい、怖いぞ)

ガルドは、何事もなかったように言った。

「……準備する」
「風が、変わる」

その声は、誰に向けたものでもない。
だが、俺にははっきり聞こえた。

この人は、
自分の仕事を、ちゃんと分かっている。

そのときだった。

風が、いつもよりはっきり吹いた。

青く澄んだ香り。
朝露と若草、ほんのりミント。

――ね。

声がした。

今までより、
ずっと近い。

――ちゃんと、
――芝、見てるね。

俺は、思わず笑った。

「……そりゃまあ」

――ゴルフ、
――好きでしょ?

「はい」

その瞬間、
風が“形”を持った。

芝の上、俺の肩の高さで、
小さな影がふわりと止まる。

透き通る羽。
淡い緑の髪。

さっきまで“風”だった存在。

「……あ」

俺が呟くと、
その小さな少女は、得意そうに言った。

「やっと、気づいた? 妖精シルフィだよ」

ガルドが、すっと視線を鋭くする。

「……そこに、何かいるな」

「見えます?」
俺が聞く。

「ああ、信じられん……」

妖精が、くすっと笑ってガルドを指さす。

「この人、キャディ向き」

「誰がだ」



妖精は、芝を見渡して言った。

「ここ、すごくいい芝」
「ボール、跳ねない」
「スピン、ちゃんと効く」

「……本当にゴルフ雑誌を読んだっぽいな」

「うん、ちょっとね」

そして、少しだけ顔を曇らせる。

「あいつら、きらい」
「森も、芝も、汚す」

俺は、木の枝を握り直した。

「じゃあ、一緒に守ろうか?」

妖精は、ぱっと笑った。

「うん」

ガルドが、静かに言う。

「……距離は、私が見る」

こうして、
芝には
・距離を見る男ガルド
・風の加護をくれる妖精シルフィ
が揃った。

――で、俺は、

普通にゴルフしているだけ。
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