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11:画期的な提案?(1)
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「なんでまた!?」
「言っただろう。おれは銀太が生きていればしたかったことを代わりにしているんだ、と」
「…………」
そう言われては何も言えなかった。
銀太は美緒と同じ高校に通いたかったのか。
正体は狐なのに、人に化けてでも、それでも美緒の傍にいたいと思ってくれたのだろうか。
(……それは、嬉しいけど。でも……だから、悲しい)
そこまで想ってくれていた銀太を失ったことが、とても悲しい。
鼻の奥がつんとしたのは、きっと気のせいではない。
美緒は朝陽の左手首に巻かれた赤い紐を見つめた。
朝陽は銀太のためにあやかしの相談員になるという。
自分も望めばあやかしの相談員になれるのだろうか。
アマネという神さまに認めてもらって、朝陽とともにあやかしの相談員となり、七年前に銀太を助けたように、困っているあやかしを助ければ、天国で銀太は喜んでくれるだろうか。
少しでも、銀太に報えるだろうか。
考えながら、美緒は尋ねた。
「……じゃあ、朝陽さんも近くで暮らす予定なんですか? わたしは二丁目に越してきたんですけど」
アパートの所在地を教えると、朝陽は言った。
「おれは三丁目のアパートに住む予定だった」
「三丁目ですか。そういえば、あの辺りで火事があったってニュースになってましたね。わたしが引っ越してくる前日でしたか……ん? ちょっと待って、いま住む予定『だった』って言いました?」
何故に過去形なのか、と訝り、美緒はその可能性に思い当たって愕然とした。
「……まさか」
「ああ。それがおれの住む予定だったアパートだ」
「えええええ!?」
またしてもすっとんきょうな声が美緒の口から迸った。
「あのアパートはあやかし専用のアパートでな。その日は新しく入居してきた輪入道《わにゅうどう》の歓迎会が開かれていたらしい。アパートの住民たちが無駄に酒豪揃いだったせいで、輪入道も浴びるほど酒を飲まされた。輪入道は酔っ払い、大暴れした。結果があの大惨事だ。まさか引っ越し初日で棲み処を失うとは思わなかった」
遠い目をして語る朝陽。
「輪入道といえば、炎に包まれた車輪に顔のあるあやかしですよね。見ただけで死ぬなんて逸話もある怖い妖怪が、酔っぱらって暴れたんですか? イメージが全然違うんですけども……」
銀太と会ってからというもの、美緒はあやかしに関する書物を読みふけった。
あやかしの相談員をしていたからか、祖母はそういった類の本をたくさん所有していたし、せがめば若い頃に関わったあやかしたちの話をしてくれた。
おかげで美緒は知識を蓄え、有名なあやかしならば調べずとも諳んじることができる。
「言っただろう。おれは銀太が生きていればしたかったことを代わりにしているんだ、と」
「…………」
そう言われては何も言えなかった。
銀太は美緒と同じ高校に通いたかったのか。
正体は狐なのに、人に化けてでも、それでも美緒の傍にいたいと思ってくれたのだろうか。
(……それは、嬉しいけど。でも……だから、悲しい)
そこまで想ってくれていた銀太を失ったことが、とても悲しい。
鼻の奥がつんとしたのは、きっと気のせいではない。
美緒は朝陽の左手首に巻かれた赤い紐を見つめた。
朝陽は銀太のためにあやかしの相談員になるという。
自分も望めばあやかしの相談員になれるのだろうか。
アマネという神さまに認めてもらって、朝陽とともにあやかしの相談員となり、七年前に銀太を助けたように、困っているあやかしを助ければ、天国で銀太は喜んでくれるだろうか。
少しでも、銀太に報えるだろうか。
考えながら、美緒は尋ねた。
「……じゃあ、朝陽さんも近くで暮らす予定なんですか? わたしは二丁目に越してきたんですけど」
アパートの所在地を教えると、朝陽は言った。
「おれは三丁目のアパートに住む予定だった」
「三丁目ですか。そういえば、あの辺りで火事があったってニュースになってましたね。わたしが引っ越してくる前日でしたか……ん? ちょっと待って、いま住む予定『だった』って言いました?」
何故に過去形なのか、と訝り、美緒はその可能性に思い当たって愕然とした。
「……まさか」
「ああ。それがおれの住む予定だったアパートだ」
「えええええ!?」
またしてもすっとんきょうな声が美緒の口から迸った。
「あのアパートはあやかし専用のアパートでな。その日は新しく入居してきた輪入道《わにゅうどう》の歓迎会が開かれていたらしい。アパートの住民たちが無駄に酒豪揃いだったせいで、輪入道も浴びるほど酒を飲まされた。輪入道は酔っ払い、大暴れした。結果があの大惨事だ。まさか引っ越し初日で棲み処を失うとは思わなかった」
遠い目をして語る朝陽。
「輪入道といえば、炎に包まれた車輪に顔のあるあやかしですよね。見ただけで死ぬなんて逸話もある怖い妖怪が、酔っぱらって暴れたんですか? イメージが全然違うんですけども……」
銀太と会ってからというもの、美緒はあやかしに関する書物を読みふけった。
あやかしの相談員をしていたからか、祖母はそういった類の本をたくさん所有していたし、せがめば若い頃に関わったあやかしたちの話をしてくれた。
おかげで美緒は知識を蓄え、有名なあやかしならば調べずとも諳んじることができる。
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