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80:大鬼の招待(12)
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◆ ◆
朝陽がいなくなると、廊下で控えていた鬼が二匹入って来た。
広大な屋敷には身内の他に住み込みで働く者、通いの者、護衛等、様々な者がいる。
無論、この二匹は護衛だ。腹心の部下である。茨ほどではないが腕が立ち、体格も良い。初見の者はまず圧倒される。
「茨様。何故あのような暴言を許すのです。いえ、いまからでも遅くはありません。お許しさえいただければ、わたくしめがあの生意気な狐の首を撥ねて――」
「止めろ」
腰に下げた刀に手をかける鬼を、茨は片手を振って制した。
この屋敷にいるあやかしはただ一匹の鬼を除いて皆、茨の忠実な僕《しもべ》だが、たまに忠心が過ぎて暴走しそうになる奴がいて困る。
「なかなかに肝の据わった、気骨のある奴ではないか。野狐と侮っておったが、気に入ったぞ」
茨は軽く首を巡らせて背後を振り返った。
香炉は絶えることなく一日中、白い煙を吐き出し続けている。
「さて、あの気概がいつまで持つやら。楽しみだ。ところで地下牢の様子はどうだ?」
「変わらず元気ですよ。暇だと喚き、うるさくて仕方ないので碁石を差し入れておきました」
「一羽で碁が打てるものか?」
「積み木のように石を重ねていけば、まあ、遊ぶことは不可能ではないかと」
「ふむ」
地下牢で一羽の烏が石を積み上げていく様子を思い浮かべ、茨は笑った。
「いくら見目美しいといえど、烏では靡《なび》かぬようだ。烏よりも狐を捕まえるべきだったかな」
朝陽がいなくなると、廊下で控えていた鬼が二匹入って来た。
広大な屋敷には身内の他に住み込みで働く者、通いの者、護衛等、様々な者がいる。
無論、この二匹は護衛だ。腹心の部下である。茨ほどではないが腕が立ち、体格も良い。初見の者はまず圧倒される。
「茨様。何故あのような暴言を許すのです。いえ、いまからでも遅くはありません。お許しさえいただければ、わたくしめがあの生意気な狐の首を撥ねて――」
「止めろ」
腰に下げた刀に手をかける鬼を、茨は片手を振って制した。
この屋敷にいるあやかしはただ一匹の鬼を除いて皆、茨の忠実な僕《しもべ》だが、たまに忠心が過ぎて暴走しそうになる奴がいて困る。
「なかなかに肝の据わった、気骨のある奴ではないか。野狐と侮っておったが、気に入ったぞ」
茨は軽く首を巡らせて背後を振り返った。
香炉は絶えることなく一日中、白い煙を吐き出し続けている。
「さて、あの気概がいつまで持つやら。楽しみだ。ところで地下牢の様子はどうだ?」
「変わらず元気ですよ。暇だと喚き、うるさくて仕方ないので碁石を差し入れておきました」
「一羽で碁が打てるものか?」
「積み木のように石を重ねていけば、まあ、遊ぶことは不可能ではないかと」
「ふむ」
地下牢で一羽の烏が石を積み上げていく様子を思い浮かべ、茨は笑った。
「いくら見目美しいといえど、烏では靡《なび》かぬようだ。烏よりも狐を捕まえるべきだったかな」
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