美緒と狐とあやかし語り〜あなたのお悩み、解決します!〜

星名柚花

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99:対抗手段を手に入れました(4)

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「これが香を無効化しているものです。アマネ様からいただいたんですよ。私は幼い頃から掃除が好きでしてね、大人のあやかしと交じってアマネ様の神社をよく掃除しに行ったものです。そうしたらアマネ様からいただきました。幸運と魔除けのお守りだと。虐められたらこれを見せるといいと」

「虐められたら?」
 質問すると、百地は頬を掻いた。

「ええ。恥ずかしい話ですが、私は鬼にしては虚弱なほうでして。皆のように外へ出て殴り合うよりは部屋で読書しているほうが好きでした」

(殴り合うって……そこは普通、皆のように外へ出て『遊ぶ』よりは、じゃないの?)

 殴り合いが日常なのか。鬼の気性は随分と荒いようだ。

「おかげでよく虐められていたんです。一度、顔に痣を作ってアマネ様の神社に行ったのですよ。するとアマネ様は私を心配し、これをくださったんです。もしまた虐められたらこれを見せるといいと。この組み紐はアマネ様の加護の象徴です。効果は覿面でした。もう誰も私を虐めようとはしてきませんでしたよ。何せアマネ様は神様、ヨガクレで最強の存在ですからね」
 百地は組み紐の留め具を外した。

「それを外してしまったら百地さんが……」
「ええ。しかし、しばらくは大丈夫です。香の影響を受ける前に、私は急いで屋敷を離れます。事態が落ち着いた頃に戻ってきますから、これはあなたのご友人に使ってください。大切な方なのでしょう?」
「……はい」
 微笑まれて、美緒は頷いた。

「ご友人に馬鹿親父が本当にすまなかったと伝えておいてください。謝って済むことではありませんが……」
 差し出された組み紐を受け取って、首を振る。

「お父様を恨むことがあっても、あなたを恨むことはありませんよ。優しい人ですから。ありがとうございます。使わせていただきます」
 組み紐を両手で握り締める。
 これがあれば、朝陽を救える。元の彼に戻ってくれる――そう思うと、いますぐに駆け出したいくらいだった。

 喜ぶ美緒をどう捉えたのか、ふと、百地の表情が曇った。
「……本来父を諫めるのは息子である私の仕事。私が無力なばかりにこんなことになってしまって、本当に情けなく、申し訳ない限りなのですが……どうか父をよろしくお願いします」

 百地は深々と頭を下げた。
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