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118:一難去って(2)
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「茨のことは良い。姫子はどうじゃ? 人になったのじゃろう?」
「はい、幸せです!」
姫子は力いっぱいに答えた。
事件から二日後、仕事をしにヨガクレに行くと、百地が楼閣で待っていた。
百地は丁寧に頭を下げて謝罪し、朝陽と美緒にそれぞれ慰謝料として金貨10枚もの大金を支払った。黒田にはそれ以上の金を払ったと聞く。
美緒がもらった慰謝料は、受け取ったことをどこから聞きつけたのか、後ほどひょっこり現れた夜霧に全額渡った。
夜霧は「毎度どうも!」と嬉しそうに笑い、去り際にちゃっかり名刺まで渡してきた。朝陽に破り捨てられそうになった名刺は手元に保管してある。
朝陽はもらった金貨のうち、3枚を姫子にあげた。
姫子は「ありがとう! 優くんがいなかったらあんたと結婚してもいいくらい感謝してる!」と大感激し、朝陽の「断固断る」という冷静な返しも聞こえない様子で烏丸の私室に突撃し、人になって戻って来た。
姫子は元より人型だったので見た目上に変化はないが、とにかく人になったらしい。
翌日姫子は優に全てを報告し、晴れて二人は正式なカップルとなった。
「これでもう障害はない、何でも好き放題」と悦に浸る姫子を見ていると優の貞操が心配になるが、優には頑張れとしか言えない。後は二人の問題だ。
「そうか。それでは姫子の件はこれで落着じゃな。美緒、朝陽、よく頑張ってくれた」
「いえ、そんな。わたしは何もしていません。人になれる薬の代金を出したのは朝陽くんですし――」
「美緒」
手首を引かれ、美緒は言葉を止めて朝陽を見た。
「こういうときは野暮なことは言わずに『そうです』って胸を張ればいいんだよ。お前は姫子のために一生懸命働いたり、部屋を貸したり、色々と尽くしてきただろ。お前の頑張りはみんな知ってるよ」
朝陽は笑っていた。
「そうよ。あんたには本当に感謝してるんだから。朝陽にも……ああ、もちろん、銀太にもね」
物言いたげな銀太の視線を受けて、姫子は慌てたように付け足した。
見回せば、アマネも篝も笑っている。
誰一人、朝陽の言葉を否定する者はいない。
「……はい。頑張りました」
胸を張ると、アマネは頷いた。
「うむ。お主のために茨の屋敷に集まったあやかしたちの姿も、わらわはこの目でしかと見た。もはや認めぬわけにはいくまい。美緒。お主をあやかし相談員と認めよう」
「ありがとうございます!」
「しかしいますぐというわけにはいかぬ。何事も相応しい時と場というものがあるからな」
「?」
どういう意味だろうか。
「ときに美緒、砂の月の七日は空いているか」
「砂の月?」
「ああ、現世とは日の数え方が違うか。ええと……」
「五月二十七日。ちょうど中間テスト直後ですね」
朝陽が現世の日付に直してくれた。
「うむ。その日は空いておるか」
「はい。特に用事はありません」
よくわからないまま頷くと、アマネが微笑んだ。
「ではその日に縁日を行うので、そのまま空けておくように」
「はい、幸せです!」
姫子は力いっぱいに答えた。
事件から二日後、仕事をしにヨガクレに行くと、百地が楼閣で待っていた。
百地は丁寧に頭を下げて謝罪し、朝陽と美緒にそれぞれ慰謝料として金貨10枚もの大金を支払った。黒田にはそれ以上の金を払ったと聞く。
美緒がもらった慰謝料は、受け取ったことをどこから聞きつけたのか、後ほどひょっこり現れた夜霧に全額渡った。
夜霧は「毎度どうも!」と嬉しそうに笑い、去り際にちゃっかり名刺まで渡してきた。朝陽に破り捨てられそうになった名刺は手元に保管してある。
朝陽はもらった金貨のうち、3枚を姫子にあげた。
姫子は「ありがとう! 優くんがいなかったらあんたと結婚してもいいくらい感謝してる!」と大感激し、朝陽の「断固断る」という冷静な返しも聞こえない様子で烏丸の私室に突撃し、人になって戻って来た。
姫子は元より人型だったので見た目上に変化はないが、とにかく人になったらしい。
翌日姫子は優に全てを報告し、晴れて二人は正式なカップルとなった。
「これでもう障害はない、何でも好き放題」と悦に浸る姫子を見ていると優の貞操が心配になるが、優には頑張れとしか言えない。後は二人の問題だ。
「そうか。それでは姫子の件はこれで落着じゃな。美緒、朝陽、よく頑張ってくれた」
「いえ、そんな。わたしは何もしていません。人になれる薬の代金を出したのは朝陽くんですし――」
「美緒」
手首を引かれ、美緒は言葉を止めて朝陽を見た。
「こういうときは野暮なことは言わずに『そうです』って胸を張ればいいんだよ。お前は姫子のために一生懸命働いたり、部屋を貸したり、色々と尽くしてきただろ。お前の頑張りはみんな知ってるよ」
朝陽は笑っていた。
「そうよ。あんたには本当に感謝してるんだから。朝陽にも……ああ、もちろん、銀太にもね」
物言いたげな銀太の視線を受けて、姫子は慌てたように付け足した。
見回せば、アマネも篝も笑っている。
誰一人、朝陽の言葉を否定する者はいない。
「……はい。頑張りました」
胸を張ると、アマネは頷いた。
「うむ。お主のために茨の屋敷に集まったあやかしたちの姿も、わらわはこの目でしかと見た。もはや認めぬわけにはいくまい。美緒。お主をあやかし相談員と認めよう」
「ありがとうございます!」
「しかしいますぐというわけにはいかぬ。何事も相応しい時と場というものがあるからな」
「?」
どういう意味だろうか。
「ときに美緒、砂の月の七日は空いているか」
「砂の月?」
「ああ、現世とは日の数え方が違うか。ええと……」
「五月二十七日。ちょうど中間テスト直後ですね」
朝陽が現世の日付に直してくれた。
「うむ。その日は空いておるか」
「はい。特に用事はありません」
よくわからないまま頷くと、アマネが微笑んだ。
「ではその日に縁日を行うので、そのまま空けておくように」
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