それなりに怖い話。

只野誠

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たいふうのひ

たいふうのひ

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 女は昼間から家にいた。
 外は物凄い雨だ。
 まだ風は強くないが、風もこれから強くなってくるという話だ。

 部屋の電気をつけているが、窓から差し込む光が弱いせいか室内が暗く感じる。
 女が窓を見て、もう雨戸も閉めてしまった方が良いのでは、そう考えていた。

 これから台風が来るのだ。

 とはいえ、女が住んでいる地域では、台風も大降りの強い雨とそう変わらない。
 だからといって、わざわざ外に出来る気は女にもない。
 女は予報を見て、今日は雨が止むことはないし、これから風も強くなり本格的な台風になる、というのを確かめて、家の雨戸を閉めた。
 風が強くなってもこれで安心だし、雨と風が強くなってからだと、打ち付けてきて窓ガラスが雨で汚れてしまう。

 しばらくして夕方付近になると、雨が鉄製の雨戸を叩く音が聞こえて来る。
 ボツボツボツボツッと。
 雨戸を締め切っていて、女は気づけなかったが、風の音も相当だ。
 ゴオオオオオオォという風の音も耳を澄ませば聞こえて来る。

 本格的に台風が来た、と、女が思い速報を確かめる。
 だが、速報には台風は軌道がずれたし、熱帯低気圧になったと書いてある。
 女はこんなに雨と風が強いのに?

 と、そう思い雨戸の方を見る。
 今も雨戸を叩く雨音と強い風の音が聞こえて来る。

 女は確認の為に、窓を少し開けてみる。
 そのとたんだ。

 雨戸を叩いていた雨音がピタリと止まる。
 風の音もだ。さっきまでゴォォォォ、と物凄い唸りを上げていたのに今は何もしない。

 女は恐る恐る雨戸も開ける。

 そこにはまさに綺麗な夕焼け空が広がっていた。
 驚いて、女は何度も周りを見回す。

 確かに雨の降った後があるが、先ほどまでという感じではない。
 もう雨が止んでしばらく経ったかのような、そんな感じだ。
 風もそれほど強くない。

 女は首をひねる。
 先ほどまで聞いていた、雨戸を叩く雨音や風の音はなんだったのか。

 だが、もう夕方は夕方だ。
 そのまま雨戸を閉める。

 その時だ。
 女は確かに誰かの、あざけわらうような笑い声を聞いたのだ。

 ただ、それだけの話だ。





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