それなりに怖い話。

只野誠

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かべのめ

かべのめ

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 少年は長い廊下を歩いていた。
 学校の廊下だ。

 もうとうのとっくに下校時刻は過ぎ、日も暮れ始めていた頃だ。
 誰もいない薄黒い学校の廊下だ。
 どこか不気味な長い廊下だ。
 そんな廊下に少年の足音だけが響く。

 少年の通っている学校は古い学校で、教室と廊下を隔てる壁はコンクリートでできていた。
 分厚く無機質なコンクリートの壁、その反対側は窓。
 窓からは赤い夕日が、まだ少しだけ差し込んできている。
 影と夕日のコントラストが不気味さに拍車をかけている。

 少年は自分の教室を目指して歩く。
 廊下がどこか不気味だと感じつつも、今は進むしかない。
 だが、誰もいないはずの廊下なのに、なぜだか視線を感じる。
 確かに見られているという感覚を少年は感じていた。

 ふと少年は視線のほうへと顔を向ける。
 そこにはコンクリートの壁しかない。
 触ってみても冷たいただの壁だ。
 なぜこんな場所から視線を感じるんだろう、そう考えていた。
 少年がじっと壁を見ていると、視界の端で何かが動き、そちらのほうに少年は視線を向ける。

 そうすると目が合った。

 壁にピンポン玉くらいの大きさの目が現れて少年を、じっと見ていたのだ。
 ヒィ、と少年は情けない声を上げる。
 その声に反応して、目が大きく開く。

 あちらこちらでだ。

 教室と廊下を隔てる壁のいたるところで、ピンポン玉くらいの大きさの目が見開き、少年を見つめていたのだ。
 今までその目は閉じられていて「気づくことができなかったのだが、少年の声に反応するように、その目を開いたのだ。
 少年はパニックになりながらも、走り出し自分の教室へと逃げ込み、自分の鞄を取り、教室からも逃げ出し昇降口へと飛ぶように走った。
 廊下を走り、階段を駆け下り、昇降口から出て逃げ帰った。

 それ以降、少年は人の視線が怖くて仕方なくなった。
 あとは、コンクリートの壁も嫌いになった。

 あの壁の目がどうしても忘れられないからだ。




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