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おおみそか
おおみそか
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女は大晦日に実家に帰っていた。
その途中で見慣れない地下鉄の入り口を見つけた。
こんなところに地下鉄なんて通ってたかしら? と、その地下へと続く入り口を覗く。
確かに最寄り駅の〇〇〇駅の文字が見える。
道の隅に階段の出口だけがあるタイプだ。
女は地下鉄への階段を降り、どんな駅かを見に行く。
しばらく実家に帰ってないうちに、地下鉄ができたのかと、女も驚いている。
こちらの駅のほうが実家には近いので、これからはこちらを使うと、そんなことを考えていたら階段を降りきった。
まだ新しい駅だ。
明るい光で満たされ、どこもかしこも白く見える。
まだ夕方の時間だが、人っ子一人いない。
さすがにおかしいと、そう思いつつ改札の場所まで行く。
駅員もいない。
真っ白い誰もいない駅だ。
改札の向こうは幅の広い階段とエスカレーターが見えるだけだ。
駅のホームはさらに地下のようだ。
こんなことで採算がとれるのかしら、などと女が考えていると、電車が止まる音がして、しばらくしてベルがなり、電車が発信する音が聞こえて来た。
するとエスカレーターから電車に乗っていた客が上がってきた。
その姿に女は震えだす。
どれもこれも人の姿をしていない。
人外ばかりだ。
昔話で語られるような妖怪や神様、そんななりをした者たちがまばらではあるが、エスカレーターを上がってきたのだ。
女は悲鳴を上げようとしたが声が出ない。
いや、体が指一本動かせない。
どんなに力を入れても、せいぜい震えるだけで立ったまま身動き一つできない。
妖怪の姿をした何かや、神様のような何かは、改札から出て女など気にせず歩き、女のすぐ横を通り過ぎて地下鉄の駅から出ていく。
最後の、七福神にいそうな神様がゆっくりと駅から出て行った後のことだ。
迷い込まれた方ですね、ここはあなたのような人がくる場所ではありません、すぐに引き返してください。
と真後ろから声をかけられる。
反射的に振り返りそうになるが、体はまだ動かない。
振り返ってしまったら帰れなくなりますよ、いいですか? 振り返らずに元来た道をゆっくりと歩いて階段を上りなさい。
続けてそう言われた。
体がまだ動かなかったし、声も出なかったので、頭の中で女が頷くと、スッと、体が楽になる。
つい、振り向いてしまいそうになるのをこらえて、女は自分が来た道を戻っていった。
そして、地下鉄からの階段を登り切った。
そうすると、今までなかった恐怖が一気に女にやってくる。
女はその場で腰を抜かして動けなくなってしまった。
電話で実家に助けを呼べたのは、それから十数分経って女が落ち着いてからだ。
実家に無事たどり着き、地下鉄のことを女が両親に話すと、神様や妖怪も大晦日には里帰りするのかねぇ、などのんきなことを言っていた。
もちろん、女が降りて行った地下鉄の駅など存在はしていない。
その途中で見慣れない地下鉄の入り口を見つけた。
こんなところに地下鉄なんて通ってたかしら? と、その地下へと続く入り口を覗く。
確かに最寄り駅の〇〇〇駅の文字が見える。
道の隅に階段の出口だけがあるタイプだ。
女は地下鉄への階段を降り、どんな駅かを見に行く。
しばらく実家に帰ってないうちに、地下鉄ができたのかと、女も驚いている。
こちらの駅のほうが実家には近いので、これからはこちらを使うと、そんなことを考えていたら階段を降りきった。
まだ新しい駅だ。
明るい光で満たされ、どこもかしこも白く見える。
まだ夕方の時間だが、人っ子一人いない。
さすがにおかしいと、そう思いつつ改札の場所まで行く。
駅員もいない。
真っ白い誰もいない駅だ。
改札の向こうは幅の広い階段とエスカレーターが見えるだけだ。
駅のホームはさらに地下のようだ。
こんなことで採算がとれるのかしら、などと女が考えていると、電車が止まる音がして、しばらくしてベルがなり、電車が発信する音が聞こえて来た。
するとエスカレーターから電車に乗っていた客が上がってきた。
その姿に女は震えだす。
どれもこれも人の姿をしていない。
人外ばかりだ。
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女は悲鳴を上げようとしたが声が出ない。
いや、体が指一本動かせない。
どんなに力を入れても、せいぜい震えるだけで立ったまま身動き一つできない。
妖怪の姿をした何かや、神様のような何かは、改札から出て女など気にせず歩き、女のすぐ横を通り過ぎて地下鉄の駅から出ていく。
最後の、七福神にいそうな神様がゆっくりと駅から出て行った後のことだ。
迷い込まれた方ですね、ここはあなたのような人がくる場所ではありません、すぐに引き返してください。
と真後ろから声をかけられる。
反射的に振り返りそうになるが、体はまだ動かない。
振り返ってしまったら帰れなくなりますよ、いいですか? 振り返らずに元来た道をゆっくりと歩いて階段を上りなさい。
続けてそう言われた。
体がまだ動かなかったし、声も出なかったので、頭の中で女が頷くと、スッと、体が楽になる。
つい、振り向いてしまいそうになるのをこらえて、女は自分が来た道を戻っていった。
そして、地下鉄からの階段を登り切った。
そうすると、今までなかった恐怖が一気に女にやってくる。
女はその場で腰を抜かして動けなくなってしまった。
電話で実家に助けを呼べたのは、それから十数分経って女が落ち着いてからだ。
実家に無事たどり着き、地下鉄のことを女が両親に話すと、神様や妖怪も大晦日には里帰りするのかねぇ、などのんきなことを言っていた。
もちろん、女が降りて行った地下鉄の駅など存在はしていない。
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