それなりに怖い話。

只野誠

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ゆうじんのかお

ゆうじんのかお

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 最近、夜になると友人が訪ねて来る。
 男は少し不思議に思っていたが、元々変わった友人だ。
 それほど気にすることはなかった。

 何が不思議だったかって?

 毎夜、友人は窓から顔だけを出して、男を訪ねて来るのだ。
 そして、窓越しにしばらく男と話して、友人は帰っていく。

 それだけ聞くと、やはり奇妙な話だ。
 だが、友人は元から変人と呼ばれるような人間だし、話す内容も世間話やその友人が好きそうな話なので、その点では違和感はなかった。

 一番男がおかしいと思っていた点は、友人が窓から顔を出して、話している間、ずっと顔だけを窓から出している点だ。
 男が、そんなところにいないで家に上がれよ、と言っても、ここでいい、と言い返すし、窓に近づこうとすると、近づくな、とそういうのだ。
 それでも男にとっては、その友人は親友であり、訪ねて来てくれることは嬉しかった。

 だが、ある日、町中で偶然その友人と男は出会う。
 友人も嬉しそうに近づいてきて、ヨ! 久しぶり! と男に声をかけたのだ。
 男は訝しんで、昨日の夜も訪ねて来ただろ? と言うと、友人は不思議そうな顔をした。

 それで、男は友人に夜訪ねて来ていることを話すのだ。
 だが、友人は夜に訪ねてなんかいない、と言い張った。

 その結果、なぜか男の家に友人が泊まることになった。
 友人いわく、お前がそんな嘘を吐くとは思えないから、俺が二人になるか確かめる、とのことだ。
 それを聞いた男は、やはり少し変わっている、とそう感じただけだ。

 日が暮れるまで男は友人と話した。
 その中で、友人は驚く、友人が男にまだ話していない内容を、男が知っていたからだ。
 男としては、夜に友人が来て話してくれた内容なので、何とも思わない。
 いくら友人が変わっているからといって、そこまで手の込んだことをしてとぼけるような人間でもないので、男も疑問に持ち始めていた。

 二人が神妙な顔をしていると、窓をコンコンと叩き、窓から友人の顔だけがヒョコっと顔を出した。
 もちろん、友人は男の部屋の中にいる。
 さすがの友人も顔を青ざめて驚いている。
 窓の方から顔を出している友人は、部屋の中に本物の友人がいることに、しまった、という顔をして驚いている。

 お前は誰だ! と友人が叫ぶと、その顔は、友人のフルネームを答えた。
 そして、ゆっくりと顔を窓の下にひっこめていく。
 部屋の中にいる友人が、動き出し、窓を開ける。
 男もそれに続く。

 そうすると、顔は急いで顔をひっこめる。
 友人が窓から乗り出すと、そこには友人の顔に長い首がついて、それがずっと遠くから伸びていて、逃げていく様子が見て取れた。

 友人は、ろくろ首だ! 俺のろくろ首が出たぞ! と、なぜか嬉しそうに叫んでいた。
 男はやはりこの友人は少しどころかかなり変わっていると、そう思った。

 それから、ろくろ首の友人は訪ねて来ることはなくなった。

 あのろくろ首がなんだったのか、男には分からないし、友人は今でも変わった奴のままだ。




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