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でんとう
でんとう
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男がふと明かりのちらつきを感じ、明かりの元である電灯を見る。
廊下の天井にある電灯だ。
電球をガラスの細工で覆うような、シャンデリアとまではいかないが、電球を覆うそれなりに飾りのついているものだ。
電球が切れかかっているのか。
男はそう思ったが違った。
その電灯の中に蛾が入り込んでいて、それが羽ばたくたびに明かりが遮られ、ちらついていたのだ。
まだ冬だというのに、こんな蛾がいるのか。
男はそう思った、この時期にはかなり大きな蛾だと。
毒蛾じゃないだろうな、なんてことを思いつつ電灯を観察する。
すると、男はあるものを見つけて嫌な顔をする。
電灯を覆っているガラス細工の底、そこに大小さまざまな羽虫が溜まっているのだ。
無論そのほとんどは電球の熱にあてられてか死んでいる。
小さな羽虫も含めればパッと見では数えきれないほどの虫の死骸が溜まっていた。
そこに加え光を遮るほど大きな蛾も入り込んでしまったようだ。
さすがに掃除しないといけない、そんなことを男は考える。
近くの物入れから脚立を持ってきて、電灯の真下に置く。
脚立にまたがり、電灯のガラス細工の部分に触れる。
それほど熱くはない。
留め金を外して、ゆっくりと電灯のガラス細工の部分を降ろす。
その中に大きな蛾もいる。
電球の熱にやられてか、あまり元気はないようだが。
だが、その蛾は真っ黒で少し緑がかった光沢がある。
目だけが蠅のように赤い。
不思議な蛾だった。
こんな蛾は見たことない。美しいと思うのと同時に嫌な感じがとてもする。
何て名前の蛾だろう? 男はそんなことを思い蛾をよく観察する。
だが、少し妙だ。
顔や体つきを見ると蜂や虻といったそんな虫にも見えてくる。
けれども、羽は膜翅ではなく、鱗粉のついた蝶や蛾の羽なのだ。
だからこそ、男もそれを一目見て蛾だと判断したのだが。
羽と赤い目以外は黒い蜂そのものなのだ。
どこかあべこべというか、様々な虫が混ざりあっているかのような感じだ。
それでいて美しく均等は取れているのだが、どこか気味が悪い。
毒でも持っていそうな見た目もしている。
だから男も直接触るのは少し怖く思った。
ガラス細工の電灯カバーを床に置き、ティッシュを取りに行く。
まだ生きている蛾か何かの虫だけでも摘まみだして外に逃がしてやろう、そんなことも考えてだ。
ただ、今は冬だ。
外に逃がしたところでこの蛾が生き残れるとも思えないが。
だが、男がティッシュをもって帰ってくると、その黒い虫は姿を消していた。
男はゲッ、と思い辺りを見回るがあの虫の姿はない。
廊下で隠れるような物もなく白い壁紙なので、真っ黒なあの虫はすぐにわかりそうなものだが、その姿はどこにもない。
仕方なく男は電灯のカバーの掃除を始める。
そこで男は気づく。
色々な虫が入り込んでいる。種類がわからない羽虫から、羽蟻、蛾、蠅、虻、蜂…… どれも小さい羽虫だ。
それでいてどこか見覚えがある。
よく見る虫と言えばそうなのだが、ピンッとくるものが男にはあった。
あの黒くよくわからない蛾のような虫だ。
あの虫の、部分部分の特徴は、ここで死んでいる虫達を全部合わせたような、そんな特徴をしていたのだ。
それに気づいた男はふと天井を見上げる。
裸になった電球の光を遮るように、あの虫が元気に飛んでいる。
そして、壁まで飛んでいき、壁の中へと吸い込まれて消えていった。
男はなんとなくあの虫の正体を悟り、恨まないでくれよ、と心の中でそう願った。
そして、線香を廊下で炊いた。
季節外れの蚊取り線香だったが。
それ以降、男の家の廊下でちょっとした不幸が起こることがある。
足の指を角にぶつけたり、何かに気を取られ階段を踏み外しそうになったりと。
その程度の不幸で済んでいれば、幸いだったのかもしれない。
なぜなら、これ、有名な虫や小動物を使ったあの呪術に少し似てませんか?
廊下の天井にある電灯だ。
電球をガラスの細工で覆うような、シャンデリアとまではいかないが、電球を覆うそれなりに飾りのついているものだ。
電球が切れかかっているのか。
男はそう思ったが違った。
その電灯の中に蛾が入り込んでいて、それが羽ばたくたびに明かりが遮られ、ちらついていたのだ。
まだ冬だというのに、こんな蛾がいるのか。
男はそう思った、この時期にはかなり大きな蛾だと。
毒蛾じゃないだろうな、なんてことを思いつつ電灯を観察する。
すると、男はあるものを見つけて嫌な顔をする。
電灯を覆っているガラス細工の底、そこに大小さまざまな羽虫が溜まっているのだ。
無論そのほとんどは電球の熱にあてられてか死んでいる。
小さな羽虫も含めればパッと見では数えきれないほどの虫の死骸が溜まっていた。
そこに加え光を遮るほど大きな蛾も入り込んでしまったようだ。
さすがに掃除しないといけない、そんなことを男は考える。
近くの物入れから脚立を持ってきて、電灯の真下に置く。
脚立にまたがり、電灯のガラス細工の部分に触れる。
それほど熱くはない。
留め金を外して、ゆっくりと電灯のガラス細工の部分を降ろす。
その中に大きな蛾もいる。
電球の熱にやられてか、あまり元気はないようだが。
だが、その蛾は真っ黒で少し緑がかった光沢がある。
目だけが蠅のように赤い。
不思議な蛾だった。
こんな蛾は見たことない。美しいと思うのと同時に嫌な感じがとてもする。
何て名前の蛾だろう? 男はそんなことを思い蛾をよく観察する。
だが、少し妙だ。
顔や体つきを見ると蜂や虻といったそんな虫にも見えてくる。
けれども、羽は膜翅ではなく、鱗粉のついた蝶や蛾の羽なのだ。
だからこそ、男もそれを一目見て蛾だと判断したのだが。
羽と赤い目以外は黒い蜂そのものなのだ。
どこかあべこべというか、様々な虫が混ざりあっているかのような感じだ。
それでいて美しく均等は取れているのだが、どこか気味が悪い。
毒でも持っていそうな見た目もしている。
だから男も直接触るのは少し怖く思った。
ガラス細工の電灯カバーを床に置き、ティッシュを取りに行く。
まだ生きている蛾か何かの虫だけでも摘まみだして外に逃がしてやろう、そんなことも考えてだ。
ただ、今は冬だ。
外に逃がしたところでこの蛾が生き残れるとも思えないが。
だが、男がティッシュをもって帰ってくると、その黒い虫は姿を消していた。
男はゲッ、と思い辺りを見回るがあの虫の姿はない。
廊下で隠れるような物もなく白い壁紙なので、真っ黒なあの虫はすぐにわかりそうなものだが、その姿はどこにもない。
仕方なく男は電灯のカバーの掃除を始める。
そこで男は気づく。
色々な虫が入り込んでいる。種類がわからない羽虫から、羽蟻、蛾、蠅、虻、蜂…… どれも小さい羽虫だ。
それでいてどこか見覚えがある。
よく見る虫と言えばそうなのだが、ピンッとくるものが男にはあった。
あの黒くよくわからない蛾のような虫だ。
あの虫の、部分部分の特徴は、ここで死んでいる虫達を全部合わせたような、そんな特徴をしていたのだ。
それに気づいた男はふと天井を見上げる。
裸になった電球の光を遮るように、あの虫が元気に飛んでいる。
そして、壁まで飛んでいき、壁の中へと吸い込まれて消えていった。
男はなんとなくあの虫の正体を悟り、恨まないでくれよ、と心の中でそう願った。
そして、線香を廊下で炊いた。
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それ以降、男の家の廊下でちょっとした不幸が起こることがある。
足の指を角にぶつけたり、何かに気を取られ階段を踏み外しそうになったりと。
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