それなりに怖い話。

只野誠

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きぐるみ

きぐるみ

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 商店街の広場に着ぐるみがいた。
 何のキャラかはわからない。
 この商店街のオリジナルキャラなのかもしれないが、今までそこそこ長いこと、この商店街を使ってきていた女も今日初めて見る。
 濃いピンク色とクリーム色の、恐らくはクマだろうか。
 色はかわいらしいが造形がなんていうか微妙に崩れていて不気味だ。
 崩れているというか、アイスが溶けかかっているような、そんな姿なのだ。

 そんな着ぐるみが商店街の中を看板を持ってうろついている。
 看板の内容は、着ぐるみが結構機敏に動いていて、遠くからではよく見えない。
 少なくともあまり宣伝の意味はなさそうだ、そう女には思えた。

 その着ぐるみは通行人、特に女子供に寄っていき、話しかけるようなしぐさをしている。
 その崩れたような造形から女子供には怖がられているようだが。

 その着ぐるみが女のところまでやってくる。
 近くでよく見ると、どこか不安になるようなデザインだ。
 あと割と薄汚れていて汚い。
 洗ってないのか、妙な臭さもある。

 女も怖がられて、というよりは女子供に嫌がられていたのだと気づく。
 臭く汚い。
 それに加え、どこか近寄りがたい雰囲気があるのだから。
 怖い、というよりは生理的な嫌悪感がある。

 着ぐるみは女にチラシを渡そうとするが、それを受け取るのもなんか嫌だ、そう感じた。
 だが、その時、女はふと着ぐるみが持っていた看板を見て絶句してしまう。

 ポップな感じで色鮮やかに描かれていた看板は、○○家お通夜会場はコチラ、と大きく書かれていたのだ。

 そんな品性を疑うような看板だった。
 そこで女に疑問が生まれてしまう。
 チラシには何が書かれているのだろうと。
 そこで着ぐるみに差し出されたチラシを受け取ってしまう。

 それは一見してゴミ回収のチラシなのだが、看板と一緒でポップな感じで描かれている。
 ただよくよく読むとどこにもゴミを回収するとは書かれておらず、ただ回収する、とだけ書かれていた。
 何の回収だろうと、着ぐるみに聞こうとしたとき、既に着ぐるみは女の目の前から消えていた。
 辺りを見回すが、着ぐるみがいた痕跡がまるでなかった。

 数日後、チラシを受け取った女は行方不明になる。
 女が商店街の着ぐるみと会っていたことはあまり知られていない。
 それに着ぐるみが持つお通夜会場を知らせる看板、その名字が女の名字に変わっていたことも、あまり知られてはいないし、看板にはコチラと書かれていても場所までは書かれていない。

 この着ぐるみが何者なのか、知る者もいない。


 
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