それなりに怖い話。

只野誠

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おばあちゃん

おばあちゃん

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 少女が道を歩いていると、腰の曲がったおばあちゃんがいる。
 手押し車とでもいうのか、前方に物を入れられるカートのついた手押し車を押しながら歩いている。
 それを押して道を歩くおばあちゃんがいるのだ。
 
 少女はあまりにも腰が曲がっているおばあちゃんを見て大変そうだな、とそう思いつつ道を行く。
 すると、そのおばあちゃんが急に立ち止まり、腕を伸ばして何かを指さす。
 少女がその指さされた方に視線を向けると何もない。
 視線をおばあちゃんに戻すと、そのおばあちゃんがゆっくりと少女に向かい歩いてくる。
 少女の真ん前まで来たおばあちゃんは少女に言うのだ。

 見えたかい?

 と。
 少女は首を傾げ、何のことですか? と逆に尋ねる。
 すると、おばあちゃんは、見えないならそれでええ、とそう言い残し、道を歩いていった。

 ただそれだけのことだ。
 だけど、そのことが少女の心の中でなぜか引っかかってしまう。
 あのおばあちゃんには何が見えていたのだろうと。

 それから数日たち、再び道であの腰の曲がったおばあちゃんを見かける。
 おばあちゃんが再び道の真ん中で止まり、どこかを指で指し示している。
 今度は少女のほうからおばあちゃんに近寄り、合わせて、指さされている方を見る。

 そこには黒い塊がいた。
 それは人の形をしている黒い影で、凹凸だけで人の形を表現したような何かだった。
 少女はそれを見て、悲鳴をあげる。

 すると、おばあちゃんが少女に気づき、あれが見えちまったのか? 仲間だね、でも、若いのにご愁傷様だよ、と少女にそう言った。

 その黒い影はすぐに居なくなる。
 おばあさんも何事もなかったように歩いて行ってしまった。

 少女だけがその場に呆然と立ち尽くしていた。
 その後、しばらくしてあのおばあちゃんが死んだと噂で聞いた。
 そこでやっと少女は、あの黒い影が死神だったのでは、と気が付いた。

 それが見えてしまったということは、自分も近いうちに、と少女は独り震えだした。
 いつ、あの黒い影が迎えに来るのか、それはわからないが、少女はただ震えることしかできなかった。




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