それなりに怖い話。

只野誠

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かれー

かれー

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 カレーの匂いがする。
 学校から帰ってきた少女は今日はカレーなんだと喜んだ。

 少女は家の台所を探すが、カレーを作っている様子はない。

 そこで少女は母親に、今日の夜はカレー? と聞くのだが、違う、と言われてしまう。
 なら、近所でカレーなのだろうと、そう思った。
 母親は、なんでカレーだと思ったの? と少女に聞く。

 少女はカレーの匂いがするから、と答える。
 母親は少し不思議な顔をする。そして、少女に聞き返す。

 カレーの匂いなんてしないわよ?

 と。
 少女はそう言われて、辺りの匂いを嗅ぐ。
 すると、やはりカレーの匂いがするのだ。
 少女は母親に、カレーの匂いがやっぱりする、と告げる。

 母親に、どこからするの? と言われて、少女はスンスンと鼻を鳴らして、カレーの匂いを追っていく。
 確かに台所からしていたわけではない。
 匂いの元を少女がたどっていくと、そこは和室だった。

 和室に入ったとたん、母親にもカレーの匂いを感じる。
 確かにカレーの匂いがすると、母親は娘に謝る。
 けど、和室にはカレーなどない。あるわけもない。

 そこで再度少女が匂いを嗅ぐ。
 カレーの匂いはなぜか押入れから臭ってくる。
 少女が押入れの襖を開ける。

 そこには客用の布団が入っているはずだが、それがなくなっていて、食べかけのカレーが置いてあった。
 しかも、コンビニで売っている普通のカレーだ。

 少女も母親も、目が点になる。

 なぜカレーがこんな場所に? という疑問が二人の頭の中を駆け巡る。
 しかも、そのコンビニのカレーはまだ温かいのだ。
 湯気を発しているほどだ。
 プラスチックのスプーンが残されたご飯に刺さっている。
 そんなカレーが押入れの中に置かれていたのだ。

 母親はついさっきまでこの押入れに誰かがいてカレーを食べていた? と考えるが、そんなわけはない。
 今日一日、母親は家にいて家事をしていたのだ。
 さすがに気づくはずだ。

 母親は少女がカレーに興味津々だったので、その食べかけのカレーを処分した。
 その時、近くにコンビニの袋があり、中にレシートがあったのだが、そのレシートに記された日付は三年も前の日付だった。

 その後、家の中を隈なく探すが、やはり誰か忍び込んでいる様子はない。
 その話を少女と母親から聞いた父親は、半信半疑だったが、カレーの神様でもいたんじゃないか? と、冗談でそう言った。

 何も解決しないし、落ちもないのだが、この話はこれで終わる。
 ただ謎とカレーの匂いだけを残していった話だ。



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