4 / 27
第1章 石ころ大好き少女の夢への第一歩
3:愚者の金
しおりを挟む
◆◆3◆◆
パスタやミートソース、ビールの泡にフォークやナイフなどといった食器が散乱する受付ロビー。
その真ん中にいるシャーリーはうろたえている不思議な本ドロシアを見つめていた。
『私、どうしてこんな身体に……というかどうして本なの!? あ、あぁ、どうして、どうしてこんなぁ』
泣いているようにも見えるドロシアに、シャーリーは同情する。
どうしてそんな姿になったかわからないが、とりあえず本人曰くものすごい美人だったようだ。なら全く原型がない本の姿になったことは大変ショックだったかもしれない。
そう考えていると、ドロシアはムクリと起き上がりシャーリーに叫んだ。
『ねぇ、どうしてよ! どうしてこんな姿になってるの! 教えてよ!』
「え、えぇー! そんなこと言われてもわからないですよぉー!」
『なら励ましてよ! そのくらいできるでしょ!?』
「そ、そんなこと言われても……」
無茶なことを言われたシャーリーは頭を抱えた。
そもそも初めて会った人(見た目は本)にどんな言葉をかければいいかわからない。
というか人並みの励ましの言葉をかけて満足する人物なのかもわからない存在だ。しかし、ドロシアはずっと期待に満ちた目で見つめている、ように見える。
とても困る。だが、その期待を裏切るのは気が引けた。
「えっと、美人さん、なんですよね? その、元の姿を見てみたいなぁー。なんて」
『……ハァ』
ドロシアにとても残念がられた。
なんだか悔しい思いをシャーリーは抱く。
だが、これで怒るというのはバカらしい。だから彼女は誤魔化すように笑うことにした。
『まあいいわ。それより、なんだか物騒な奴らがいるわね。もしかして山賊?』
「え? 物騒?」
ドロシアに言われてシャーリーは振り返る。
よく見ると鎧に身を包んだ大男達がシャーリーの周りを取り囲んでおり、全員が槍と剣を持って睨みつけていた。
どうして、とシャーリーは一瞬考えたがすぐにアネットから言われたルールの一つを思い出す。
ギルド内で騒ぎを起こさないこと、というルールを。
「来てもらおうか、君」
シャーリーの顔は青ざめた。一
瞬逃げだそうとしたがすぐに腕を掴まれ、そのまま拘束されてしまう。
泣きながら「私じゃないです! 何もしてないですー!」と叫ぶが誰も信じてくれない。
そんな彼女を見ていたドロシアは、あらあらと他人事のように見つめる。
しかし、ドロシアも持ち上げられ、しっかりと縄で結ばれて一緒に連行されたのだった。
『ちょ、ちょっと! なんで私もなのよ!』
「すごいな、この本。人の言葉を発してるぞ」
『はーなーせー! 私はアクビしただけよー!』
「なんだか気持ち悪いな。燃やしちゃうか?」
『人殺しぃー! 私は人だぞー!』
シャーリーは絶望しながら泣く。
迷宮探索者になってまだ一日目であるのに、騒ぎを起こして捕まってしまった。もしかしたらこのまま牢屋に連行され、生涯を過ごすかもしれない。
それだけは避けなければならないが、打開する手段がなかった。
シャーリーはもう一度絶望する。
何もできないままギルドの外へ連行されていく中、突然扉が乱暴に開いた。
「あン? 何の騒ぎだコリャ?」
騒然としていたロビー内が急に静かになる。
シャーリーが思わず顔を上げると、そこには黒髪の痩せ細った男がいた。漆黒のマントに漆黒の鎧、漆黒のシャツとズボンを身にまとった何もかも黒い男性だ。
その男が足を踏み出すと、シャーリーを担いだ大男が慌てて道を譲る。
よく見ると大きな袋を担いでおり、それを受付嬢アネットへ向かって持っていった。
「……いかがいたしましたか?」
「大金を出しやがれィ。いいモンを持ってきてやったからなァ」
乱暴に大きな袋がテーブルに置かれる。中からは鈍色の岩石がくっついた黄金の輝きを放つ鉱物があった。
それを見たアネットは目を大きくする。
思わず漆黒の男に目をやると、彼はとても不敵な笑みを浮かべていた。
「どうしたァ? さっさと金を出せ」
「……一応、鑑定を致します。少々お時間をいただきますが」
「ダメだ。今すぐ用意しろ」
「規定です。お待ちください」
「なら他に持っていく。文句は、ネエだろ?」
アネットが険しい表情を浮かべる。もし本物ならば大きな損失になるが、即決できない理由があった。
ここは少しでもいいので鑑定する時間をもらいたい。そう考えるが、目の前にいる男はそれを許してくれない様子だ。
「またグレイズの奴、ギルド職員を困らせているよ」
「アネットさんかわいそうだな。今日ギルマスいたっけ?」
「ちょっと遠出してるって聞いたな。だから狙ってきたんじゃね?」
みんながヒソヒソと話す中、漆黒の男グレイズはテーブルを叩いた。
一気に周囲は黙り込み、それを確認した彼はアネットに詰め寄る。
「どうするんだ? 買うのか買わないのか?」
アネットは唸る。
グレイズは三つ星の迷宮探索者。本来ならば五つ星になっていてもおかしくない人物だが、素行の悪さがあって上に行けていない。
その理由の一つが、偽物を本物だと言い張って買わせる行為だ。だいたいが偽物だが、時折本物を持ってくる。しかも稀少な素材をだ。
もし切れるなら切りたいものだが、グレイズが持つ価値を上回る迷宮探索者は少ない。ここで失えばギルドにとって大きな損失になる。
その事情をよく知るアネットは、頭を抱えた。完全に足下を見られていることはわかっている。
だが、ここで理由なく突っぱねてしまえばギルドの信頼性に影響が出てしまう可能性があった。
グレイズがいい思いをさせず、かつギルドの信頼性を落とさない方法はないか。
そんなものを探していると、一人の少女が顔を出した。
「わぁー、金だぁー」
それは思いもしない人物でもあった。
アネットが目を点にし、鉱物を持ち上げているシャーリーを見つめる。
グレイズはというと、怪訝そうな顔をして「なんだテメェ」とドスの利いた声をぶつけた。
だが、シャーリーは怯まない。というか気にしない。
鉱物をいろんな角度から見て、質感などを確かめていた。
「うーん、これ本当に金ですか?」
「アッ? 何言ってんだテメェ?」
「えっとですね。これたぶん、偽物ですよ」
シャーリーがそう指摘すると、途端にグレイズの顔が歪んだ。
まるで苦虫を噛み潰しているかのような表情である。アネットはそれを確認し、敢えてシャーリーに問いかけてみた。
「どうしてそう言い切れるんですか?」
「え? だってこれ、もうボロボロになってますよ。たぶん空気中の水分を吸ってこうなってるかも。金だったらこんなことならないし」
「な、何言ってんだテメェ! これは金だ! その証拠に黄金の」
「金色に輝いてますけど、他にもそういう鉱物はありますよ」
シャーリーはそういってどこかから小さなハンマーを取り出した。それを鉱物から欠けて落ちた金色の物体に思いっきり打ち付ける。
途端に火花が散り、テーブルが焦げた。
何が起きたかわからずアネットは呆然としていると、シャーリーが説明し始める。
「金なら叩いたら伸びるだけ。でもこれは火花を散らせてボロボロになってるじゃないですか。この特徴から考えられることは、この鉱物は金じゃなくて黄鉄鉱ってことかな。黄鉄鉱は元々、金と見た目が似てるからよく間違えられていたって聞きますよ。だから〈愚者の金〉って呼ばれてもいます。あ、もしかしたらおじさんも間違えちゃったかも。特徴を知らなきゃわかりませんからね。そうですよね、おじさん」
「て、テメェ……!」
シャーリーの指摘にグレイズは震えていた。アネットは今にも殴りかかりそうな彼を見て、シャーリーを守るように立つ。
そして強い眼差しでグレイズに言葉を放った。
「お引き取りください。それとも、正規の値段で引き取りましょうか?」
グレイズは舌打ちをした。
そして黄鉄鉱がたくさん入った袋を置き、机を叩く。
そう、今回の商談は完全にグレイズの負け。
シャーリーというイレギュラーの存在によって、完全に騙し取る算段が取れなくなったためだ。
去っていくグレイズをシャーリーは見つめる。
グレイズはというと、不愉快な顔をして彼女を睨みつけていた。
『へぇー、やるじゃない』
そんな光景を見ていたドロシアは、感心する。
周囲もまたシャーリーに感心していると、アネットが唐突に身体を抱きしめた。
「ありがとうございます。あなたのおかげで騙されずにすみました」
「え? アネットさん騙されそうになってたの?」
「とても困っていました。詳しいことは、後で教えますね」
素敵な笑顔を見せるアネットに、シャーリーは照れくさそうにしながら笑い返した。
みんながみんな、思いもしない活躍をしたシャーリーを見つめる。
中には興味を持つ迷宮探索者もいた。
そんな中、縄で縛られていたはずのドロシアがシャーリーの元へ飛んでいく。
そして、あることを持ちかけた。
『ねぇ、あなた。名前を教えてくれない?』
「シャーリー。シャーリーって言います」
『シャーリーね。ふーん、なるほど』
「え、えっと?」
『あなた、鉱物に詳しいのね。さっきはお見事だったわ』
「は、はい! 幼い頃からいっぱい図鑑とか見てたので、それで」
『ふーん、なるほど。ねぇねぇ、あなた。どうして本を読んでたの?』
「特技が欲しくて。でも、すぐにできないから知識をつけようかと」
『なるほどねぇ』
ドロシアは楽しげに笑う。それはどこか嬉しそうな笑顔だった。
シャーリーが不思議に感じながら見つめていると、ドロシアはこんな提案をする。それは思いもしない言葉だ。
『これも何かの縁かしら。シャーリー、あなた〈錬金術〉を学んでみない?』
「れんきんじゅつ?」
『ええ、とってもためになると思うわ』
それは思いもしない技術の出会い。だからこそ様々な道が開かれる。
シャーリーはまだその可能性に気づかない。だが、ドロシアとの出会いによってその可能性が開かれた。
シャーリーの運命。それがこの瞬間に始まりを告げた。
パスタやミートソース、ビールの泡にフォークやナイフなどといった食器が散乱する受付ロビー。
その真ん中にいるシャーリーはうろたえている不思議な本ドロシアを見つめていた。
『私、どうしてこんな身体に……というかどうして本なの!? あ、あぁ、どうして、どうしてこんなぁ』
泣いているようにも見えるドロシアに、シャーリーは同情する。
どうしてそんな姿になったかわからないが、とりあえず本人曰くものすごい美人だったようだ。なら全く原型がない本の姿になったことは大変ショックだったかもしれない。
そう考えていると、ドロシアはムクリと起き上がりシャーリーに叫んだ。
『ねぇ、どうしてよ! どうしてこんな姿になってるの! 教えてよ!』
「え、えぇー! そんなこと言われてもわからないですよぉー!」
『なら励ましてよ! そのくらいできるでしょ!?』
「そ、そんなこと言われても……」
無茶なことを言われたシャーリーは頭を抱えた。
そもそも初めて会った人(見た目は本)にどんな言葉をかければいいかわからない。
というか人並みの励ましの言葉をかけて満足する人物なのかもわからない存在だ。しかし、ドロシアはずっと期待に満ちた目で見つめている、ように見える。
とても困る。だが、その期待を裏切るのは気が引けた。
「えっと、美人さん、なんですよね? その、元の姿を見てみたいなぁー。なんて」
『……ハァ』
ドロシアにとても残念がられた。
なんだか悔しい思いをシャーリーは抱く。
だが、これで怒るというのはバカらしい。だから彼女は誤魔化すように笑うことにした。
『まあいいわ。それより、なんだか物騒な奴らがいるわね。もしかして山賊?』
「え? 物騒?」
ドロシアに言われてシャーリーは振り返る。
よく見ると鎧に身を包んだ大男達がシャーリーの周りを取り囲んでおり、全員が槍と剣を持って睨みつけていた。
どうして、とシャーリーは一瞬考えたがすぐにアネットから言われたルールの一つを思い出す。
ギルド内で騒ぎを起こさないこと、というルールを。
「来てもらおうか、君」
シャーリーの顔は青ざめた。一
瞬逃げだそうとしたがすぐに腕を掴まれ、そのまま拘束されてしまう。
泣きながら「私じゃないです! 何もしてないですー!」と叫ぶが誰も信じてくれない。
そんな彼女を見ていたドロシアは、あらあらと他人事のように見つめる。
しかし、ドロシアも持ち上げられ、しっかりと縄で結ばれて一緒に連行されたのだった。
『ちょ、ちょっと! なんで私もなのよ!』
「すごいな、この本。人の言葉を発してるぞ」
『はーなーせー! 私はアクビしただけよー!』
「なんだか気持ち悪いな。燃やしちゃうか?」
『人殺しぃー! 私は人だぞー!』
シャーリーは絶望しながら泣く。
迷宮探索者になってまだ一日目であるのに、騒ぎを起こして捕まってしまった。もしかしたらこのまま牢屋に連行され、生涯を過ごすかもしれない。
それだけは避けなければならないが、打開する手段がなかった。
シャーリーはもう一度絶望する。
何もできないままギルドの外へ連行されていく中、突然扉が乱暴に開いた。
「あン? 何の騒ぎだコリャ?」
騒然としていたロビー内が急に静かになる。
シャーリーが思わず顔を上げると、そこには黒髪の痩せ細った男がいた。漆黒のマントに漆黒の鎧、漆黒のシャツとズボンを身にまとった何もかも黒い男性だ。
その男が足を踏み出すと、シャーリーを担いだ大男が慌てて道を譲る。
よく見ると大きな袋を担いでおり、それを受付嬢アネットへ向かって持っていった。
「……いかがいたしましたか?」
「大金を出しやがれィ。いいモンを持ってきてやったからなァ」
乱暴に大きな袋がテーブルに置かれる。中からは鈍色の岩石がくっついた黄金の輝きを放つ鉱物があった。
それを見たアネットは目を大きくする。
思わず漆黒の男に目をやると、彼はとても不敵な笑みを浮かべていた。
「どうしたァ? さっさと金を出せ」
「……一応、鑑定を致します。少々お時間をいただきますが」
「ダメだ。今すぐ用意しろ」
「規定です。お待ちください」
「なら他に持っていく。文句は、ネエだろ?」
アネットが険しい表情を浮かべる。もし本物ならば大きな損失になるが、即決できない理由があった。
ここは少しでもいいので鑑定する時間をもらいたい。そう考えるが、目の前にいる男はそれを許してくれない様子だ。
「またグレイズの奴、ギルド職員を困らせているよ」
「アネットさんかわいそうだな。今日ギルマスいたっけ?」
「ちょっと遠出してるって聞いたな。だから狙ってきたんじゃね?」
みんながヒソヒソと話す中、漆黒の男グレイズはテーブルを叩いた。
一気に周囲は黙り込み、それを確認した彼はアネットに詰め寄る。
「どうするんだ? 買うのか買わないのか?」
アネットは唸る。
グレイズは三つ星の迷宮探索者。本来ならば五つ星になっていてもおかしくない人物だが、素行の悪さがあって上に行けていない。
その理由の一つが、偽物を本物だと言い張って買わせる行為だ。だいたいが偽物だが、時折本物を持ってくる。しかも稀少な素材をだ。
もし切れるなら切りたいものだが、グレイズが持つ価値を上回る迷宮探索者は少ない。ここで失えばギルドにとって大きな損失になる。
その事情をよく知るアネットは、頭を抱えた。完全に足下を見られていることはわかっている。
だが、ここで理由なく突っぱねてしまえばギルドの信頼性に影響が出てしまう可能性があった。
グレイズがいい思いをさせず、かつギルドの信頼性を落とさない方法はないか。
そんなものを探していると、一人の少女が顔を出した。
「わぁー、金だぁー」
それは思いもしない人物でもあった。
アネットが目を点にし、鉱物を持ち上げているシャーリーを見つめる。
グレイズはというと、怪訝そうな顔をして「なんだテメェ」とドスの利いた声をぶつけた。
だが、シャーリーは怯まない。というか気にしない。
鉱物をいろんな角度から見て、質感などを確かめていた。
「うーん、これ本当に金ですか?」
「アッ? 何言ってんだテメェ?」
「えっとですね。これたぶん、偽物ですよ」
シャーリーがそう指摘すると、途端にグレイズの顔が歪んだ。
まるで苦虫を噛み潰しているかのような表情である。アネットはそれを確認し、敢えてシャーリーに問いかけてみた。
「どうしてそう言い切れるんですか?」
「え? だってこれ、もうボロボロになってますよ。たぶん空気中の水分を吸ってこうなってるかも。金だったらこんなことならないし」
「な、何言ってんだテメェ! これは金だ! その証拠に黄金の」
「金色に輝いてますけど、他にもそういう鉱物はありますよ」
シャーリーはそういってどこかから小さなハンマーを取り出した。それを鉱物から欠けて落ちた金色の物体に思いっきり打ち付ける。
途端に火花が散り、テーブルが焦げた。
何が起きたかわからずアネットは呆然としていると、シャーリーが説明し始める。
「金なら叩いたら伸びるだけ。でもこれは火花を散らせてボロボロになってるじゃないですか。この特徴から考えられることは、この鉱物は金じゃなくて黄鉄鉱ってことかな。黄鉄鉱は元々、金と見た目が似てるからよく間違えられていたって聞きますよ。だから〈愚者の金〉って呼ばれてもいます。あ、もしかしたらおじさんも間違えちゃったかも。特徴を知らなきゃわかりませんからね。そうですよね、おじさん」
「て、テメェ……!」
シャーリーの指摘にグレイズは震えていた。アネットは今にも殴りかかりそうな彼を見て、シャーリーを守るように立つ。
そして強い眼差しでグレイズに言葉を放った。
「お引き取りください。それとも、正規の値段で引き取りましょうか?」
グレイズは舌打ちをした。
そして黄鉄鉱がたくさん入った袋を置き、机を叩く。
そう、今回の商談は完全にグレイズの負け。
シャーリーというイレギュラーの存在によって、完全に騙し取る算段が取れなくなったためだ。
去っていくグレイズをシャーリーは見つめる。
グレイズはというと、不愉快な顔をして彼女を睨みつけていた。
『へぇー、やるじゃない』
そんな光景を見ていたドロシアは、感心する。
周囲もまたシャーリーに感心していると、アネットが唐突に身体を抱きしめた。
「ありがとうございます。あなたのおかげで騙されずにすみました」
「え? アネットさん騙されそうになってたの?」
「とても困っていました。詳しいことは、後で教えますね」
素敵な笑顔を見せるアネットに、シャーリーは照れくさそうにしながら笑い返した。
みんながみんな、思いもしない活躍をしたシャーリーを見つめる。
中には興味を持つ迷宮探索者もいた。
そんな中、縄で縛られていたはずのドロシアがシャーリーの元へ飛んでいく。
そして、あることを持ちかけた。
『ねぇ、あなた。名前を教えてくれない?』
「シャーリー。シャーリーって言います」
『シャーリーね。ふーん、なるほど』
「え、えっと?」
『あなた、鉱物に詳しいのね。さっきはお見事だったわ』
「は、はい! 幼い頃からいっぱい図鑑とか見てたので、それで」
『ふーん、なるほど。ねぇねぇ、あなた。どうして本を読んでたの?』
「特技が欲しくて。でも、すぐにできないから知識をつけようかと」
『なるほどねぇ』
ドロシアは楽しげに笑う。それはどこか嬉しそうな笑顔だった。
シャーリーが不思議に感じながら見つめていると、ドロシアはこんな提案をする。それは思いもしない言葉だ。
『これも何かの縁かしら。シャーリー、あなた〈錬金術〉を学んでみない?』
「れんきんじゅつ?」
『ええ、とってもためになると思うわ』
それは思いもしない技術の出会い。だからこそ様々な道が開かれる。
シャーリーはまだその可能性に気づかない。だが、ドロシアとの出会いによってその可能性が開かれた。
シャーリーの運命。それがこの瞬間に始まりを告げた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる