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第百七話 途切れる
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「へぇ……やるな……息子ちゃん……」
ばたりと、ジャイルは倒れ伏す。
奴の顔は崩れ、まるで鉄板の上で溶けかけたバターがソースと交わるかのように、リルクスの顔とジャイルの顔が混じり合ったまま絶命した。
「冒涜的だ……」
「だが、それが奴の望んだことでもある」
俺の独り言にリルクスはそう返す。
「なんだと……」
「奴は前大戦の際、条例違反の魔導兵器の後遺症でな、一ヶ月と持たない生命だった」
だから、とリルクスは続ける。
「私は彼に命を与えてやった。私の体を半分奴に譲り渡してやった」
「心の弱みに漬け込んで、実験材料にしただけだろ」
「失礼な、半分は慈善事業のつもりで私はやっている」
「反吐が出る」
「なるほど、ならお前の弟は胃腸を強くなるように調整しよう」
ふざけるな、そんな言葉を飲み込んだまま俺は再び剣を構える。
「全く、しかし驚異的なスピードだ。全員で一斉に飛び掛からなくて正解だったかもな、一網打尽にされていたかもしれん」
「今から、全員ボコボコにされんのに、まだ分析かよ」
「4対1……数の計算ができるのなら、状況的に貴様が不利だとわかるはずだが……」
見下すように、見つめるリルクスに俺は見つめ返す。
宙に浮いたまま俺も同じ白髪の男は、ただヘラリと笑ったままだ。
「たとえ、一人でも俺が四人分の働きをすりゃあ良い!!」
「愚かな」
リルクスの一人が手を振り上げる。
何かしらの魔法か、それは攻撃か妨害か。
どちらにせよ、足を止めればそこで袋叩きにされる、俺のできることは一つしかない。
ありったけを今この一瞬に!!!
光。
リルクスの頭上に閃光が迸った。
奴の魔法か、何かが発動したのか。
いや違う。
「チッ……」
リルクスがなぜか焦っている。
いやあれは……!
光の中から、三人の人影が現れた。
「エル!!」
「ミラナ!!」
ミラナ、ドンキホーテさん、ダナノさんもいる!
全員生きていた!
瞬時に三人はリルクスたちを押さえつける。
ダナノさんは、四肢を部分的にドラゴンに変化させ、リルクスの一人を押さえつけ。
「オラァ!!」
ドンキホーテさんもまた、奴の太ももに瞬時に抜刀した直剣を突き刺し地面に叩きつけた。
そして最後にミラナが一瞬で、氷の魔眼を発動させ、瞬時にリルクスを氷漬けにしてしまった。
「これは、これは……」
残ったリルクスがわざとらしく拍手する。
「見事だ、私を三人捕まえたな? で? どうする? なぜ、私を殺さない?」
「狙いが定まらなかっただけだ」
ドンキホーテさんはそう冷徹に言い放つ。
「殺す前に聞きたいことがある」
「もう、勝ったつもりか、ドンキホーテ?」
「お前を今この下にいる奴を殺して、すぐにお前を殺すのは造作もない、いいから質問に答えろ」
ドンキホーテさんの言葉にリルクスは黙ったままだ。
「お前は何人いる?」
ドンキホーテさんは、リルクスの反応を見て、情報を聞き出す気だ。
もしこの三人のリルクスが死ぬことを一瞬でも惜しまないような姿勢を見せれば、まだこいつに余裕はある。
だが、もし焦りを見せれば……リルクスの戦力はそれまでということ。
ドンキホーテさんは徹底的にリルクスを知ろうとしている。
おそらく完全にここで、リルクスという災禍を断つつもりだ。
「話すわけがないだろう」
リルクスは冷静にそう返した。
いや、僅かだが、焦りの色が見えている。流石に4人ものクローンを失うのは奴にとって痛手なのだろう。
「貴様の魔法の工房または、研究所の場所を言えばお前一人だけでも生かしてやる」
ドンキホーテさんの提案にリルクスは笑う。
「は……ッ! いうわけがないだろう」
そう言った時だった。リルクスが俺を見つめた。
「セーフティ発動……!」
「しまっ……」
しまった!
体の制御が効かない……動けねぇ!
瞬時にリルクスがこちらに向かって飛んでくる。
こいつ俺を殺すつもりか!?
「これでまずは一人!」
リルクスが俺に向かってくる。
そして血が舞い散った。
俺ではなくリルクスの血が。
「くっがぁ……!!」
ドンキホーテさんがリルクスの心臓を貫いていた。
いつのまにかドンキホーテさんは押さえつけていたリルクスにトドメを刺し、俺に向かってきていた方のリルクスに攻撃したのだ。
「なる、ほど……テレポート、の魔法……適性があるのか……」
心の臓を貫かれたままリルクスはしゃべる。
「ああ、だからダナノさんを元の世界に連れ戻すための役に選ばれた」
「ふ、ふ……私の隕石を避けたのも……テレポートの魔法で……別の場所に飛んだのか……」
「ああ、咄嗟に……ダナノさんを送り届けるための魔法触媒(魔法が込められ、魔法を補助する物)を使ってな……おかげで、エルマー君と合流するのに手間がかかったが……」
最後の息を吐きながら、リルクスは笑う。
「ふ、ふ……見事……だ……」
しかしその笑みは明らかに、ただの死ぬゆく者の顔ではない。
「だが、私のかち、だ!!」
「……! エルマー!」
ミラナが、叫ぶ。
だが俺は動けない。
俺の足元の地面が盛り上がり、見知った顔が出てきた。
「しまっ……エルマー君!!」
リルクス……ッ!!
「予定より早いが……まあいい」
何をする気だ、この男は!?
「理想の肉体がようやく揃ったな……」
視界が暗くなっていく。
意識が途切れ──。
ばたりと、ジャイルは倒れ伏す。
奴の顔は崩れ、まるで鉄板の上で溶けかけたバターがソースと交わるかのように、リルクスの顔とジャイルの顔が混じり合ったまま絶命した。
「冒涜的だ……」
「だが、それが奴の望んだことでもある」
俺の独り言にリルクスはそう返す。
「なんだと……」
「奴は前大戦の際、条例違反の魔導兵器の後遺症でな、一ヶ月と持たない生命だった」
だから、とリルクスは続ける。
「私は彼に命を与えてやった。私の体を半分奴に譲り渡してやった」
「心の弱みに漬け込んで、実験材料にしただけだろ」
「失礼な、半分は慈善事業のつもりで私はやっている」
「反吐が出る」
「なるほど、ならお前の弟は胃腸を強くなるように調整しよう」
ふざけるな、そんな言葉を飲み込んだまま俺は再び剣を構える。
「全く、しかし驚異的なスピードだ。全員で一斉に飛び掛からなくて正解だったかもな、一網打尽にされていたかもしれん」
「今から、全員ボコボコにされんのに、まだ分析かよ」
「4対1……数の計算ができるのなら、状況的に貴様が不利だとわかるはずだが……」
見下すように、見つめるリルクスに俺は見つめ返す。
宙に浮いたまま俺も同じ白髪の男は、ただヘラリと笑ったままだ。
「たとえ、一人でも俺が四人分の働きをすりゃあ良い!!」
「愚かな」
リルクスの一人が手を振り上げる。
何かしらの魔法か、それは攻撃か妨害か。
どちらにせよ、足を止めればそこで袋叩きにされる、俺のできることは一つしかない。
ありったけを今この一瞬に!!!
光。
リルクスの頭上に閃光が迸った。
奴の魔法か、何かが発動したのか。
いや違う。
「チッ……」
リルクスがなぜか焦っている。
いやあれは……!
光の中から、三人の人影が現れた。
「エル!!」
「ミラナ!!」
ミラナ、ドンキホーテさん、ダナノさんもいる!
全員生きていた!
瞬時に三人はリルクスたちを押さえつける。
ダナノさんは、四肢を部分的にドラゴンに変化させ、リルクスの一人を押さえつけ。
「オラァ!!」
ドンキホーテさんもまた、奴の太ももに瞬時に抜刀した直剣を突き刺し地面に叩きつけた。
そして最後にミラナが一瞬で、氷の魔眼を発動させ、瞬時にリルクスを氷漬けにしてしまった。
「これは、これは……」
残ったリルクスがわざとらしく拍手する。
「見事だ、私を三人捕まえたな? で? どうする? なぜ、私を殺さない?」
「狙いが定まらなかっただけだ」
ドンキホーテさんはそう冷徹に言い放つ。
「殺す前に聞きたいことがある」
「もう、勝ったつもりか、ドンキホーテ?」
「お前を今この下にいる奴を殺して、すぐにお前を殺すのは造作もない、いいから質問に答えろ」
ドンキホーテさんの言葉にリルクスは黙ったままだ。
「お前は何人いる?」
ドンキホーテさんは、リルクスの反応を見て、情報を聞き出す気だ。
もしこの三人のリルクスが死ぬことを一瞬でも惜しまないような姿勢を見せれば、まだこいつに余裕はある。
だが、もし焦りを見せれば……リルクスの戦力はそれまでということ。
ドンキホーテさんは徹底的にリルクスを知ろうとしている。
おそらく完全にここで、リルクスという災禍を断つつもりだ。
「話すわけがないだろう」
リルクスは冷静にそう返した。
いや、僅かだが、焦りの色が見えている。流石に4人ものクローンを失うのは奴にとって痛手なのだろう。
「貴様の魔法の工房または、研究所の場所を言えばお前一人だけでも生かしてやる」
ドンキホーテさんの提案にリルクスは笑う。
「は……ッ! いうわけがないだろう」
そう言った時だった。リルクスが俺を見つめた。
「セーフティ発動……!」
「しまっ……」
しまった!
体の制御が効かない……動けねぇ!
瞬時にリルクスがこちらに向かって飛んでくる。
こいつ俺を殺すつもりか!?
「これでまずは一人!」
リルクスが俺に向かってくる。
そして血が舞い散った。
俺ではなくリルクスの血が。
「くっがぁ……!!」
ドンキホーテさんがリルクスの心臓を貫いていた。
いつのまにかドンキホーテさんは押さえつけていたリルクスにトドメを刺し、俺に向かってきていた方のリルクスに攻撃したのだ。
「なる、ほど……テレポート、の魔法……適性があるのか……」
心の臓を貫かれたままリルクスはしゃべる。
「ああ、だからダナノさんを元の世界に連れ戻すための役に選ばれた」
「ふ、ふ……私の隕石を避けたのも……テレポートの魔法で……別の場所に飛んだのか……」
「ああ、咄嗟に……ダナノさんを送り届けるための魔法触媒(魔法が込められ、魔法を補助する物)を使ってな……おかげで、エルマー君と合流するのに手間がかかったが……」
最後の息を吐きながら、リルクスは笑う。
「ふ、ふ……見事……だ……」
しかしその笑みは明らかに、ただの死ぬゆく者の顔ではない。
「だが、私のかち、だ!!」
「……! エルマー!」
ミラナが、叫ぶ。
だが俺は動けない。
俺の足元の地面が盛り上がり、見知った顔が出てきた。
「しまっ……エルマー君!!」
リルクス……ッ!!
「予定より早いが……まあいい」
何をする気だ、この男は!?
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視界が暗くなっていく。
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