俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太

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第十八話 狩人達とママ

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「ようこそ! お集まりいただき誠に感謝感激! 雨あられ! で……ござぃます!!」

 野外の噴水広場、台に乗ったトップハットとタキシードの男が大仰に俺たちに向かってそう挨拶をかます。
 全く、嘘くさい挨拶だ。

 レミーラムとスライム達から離れ、二週間。俺達はアトランタ王国の東にあるカラミナ国、その首都ローゼカールにきていた。

 なぜこんな所にいるかと聞かれれば、答えは一つだ。

「皆様に集まっていただいたのは……まあ説明しなくてもお分かりでしょうが!? 改めて説明させてもらいましょう! ただ一匹の獣を、狩っていただきたいのです!!」

 男のスピーチに若干の忖度が混じった歓声が上がる。
 あくまで盛り上げるために発せられた、戯れの声、その声をひとしきり浴びた男は再び大袈裟に言った。

「その獣とはぁ──?!」

 全く、なんでも誇張して言えばいいってもんじゃあないぜ。

 ─────────────

 事の始まりは先日、馬車の中、俺とあの子達との繋がりが再び活性化したことから始まった。

「おお! ビンビンに感じる!!」

 俺の発言に訝しげな、表情を見せるミラナ。
 だが俺も冗談で言っているわけではない、今まで、薄かった繋がりが再び感じ始めたのだ。

 しかも、移動中の車内で。

「本当なんでしょうね? あたりは平和そうな牧場と平原しかないけど?」

「大丈夫だよ、今度は薄い出涸らしみたいな感じじゃない! 確かに感じる! あの子達のうち、誰かがいる!」

 俺の自身満々な答えにミラナはため息で応える。
 なんだよ、疑ってんのか?

「そろそろ着く?」

 すると後ろからそんなカミネの声がした。
 どうやら長時間、車にいるのが彼女にとっても苦痛になってきたようだ。

 そうだ、ちょうどいい、あの子達との繋がりも感じたところで、俺は提案する。

「そろそろ、ここらで休憩にするか? カミネも疲れたみたいだしな」

 俺がそう言ったのは彼方に豆粒となった馬車の駅が見えたからだ、おそらく酒場などもあるだろう。

 まだまだ街などは見えてこない街の道中、慌てて先を急いで消耗してしまっては元も子もない。

 だからほんの少し休もうと俺は思ったのだ。
 もちろん国際指名手配をされているからうまくフードなどで顔を隠して。

 そうして思いの外すんなりと、駅の酒場に入った俺達は案の定というか、やはりというか、現実というものを見せつけられる。

「げ、やっぱ指名手配されてるよ……」

 酒場に入るなり、目についた指名手配版にはデカデカと俺の顔が張られている。
 ミラナは指名手配されてないから俺は車に戻っているか……そう思っていた時だった。

 酒場の主人らしき男が粗雑に、俺の手配書を剥がしゴミ箱に捨てる。
 その光景に疑問に思った俺はついバレるリスクも忘れて主人男に問うた。

「な、なあご主人なんで、俺……この手配書捨てたんだ?」

「あ? ああ、今朝続報が入ってな、この男アリバイがあったんだよ、あんたも見るかい? ちょうどこれが詳細だ」

 主人が俺に手渡したのはどうやら俺の手配書の代わりに貼ろうとしてた、何かの書類のようだ。

 それにはこう書かれていた。

 ──今回、指名手配していたエルマーは、王都での民達からの声により無罪となった。この男は当初、国家を転覆させた罪を疑われていたが、それは現場の混乱により発生した冤罪である。
 エルマーは王都アトス陥落事件発生の折、民を救助して回ったという証言が取れ、よってこのものも無罪放免とし、手配も取り消す旨をここに通達する。

 要するに、あの時、助けた人々が俺の無罪を主張してくれた、ということだろう。
 まじか! すげ~ラッキーじゃん!!

 俺はつい踊り出してしまいそうになるほどの、衝動を抑え付けた。
 すると男主人がいう。

「あんた、もしかして指名手配犯を捕まえて一攫千金を狙ってたのか? 残念だったねぇまさか冤罪とは」

 少し勘違いが発生しているようだが、まあいい。俺は「まあ、そうなんだ」などと適当に話を合わせた。

 すると主人は思いの外、親切だったようで心配をしてくれたのか、俺に向かってこう言った。

「そうか、ちょうど実は新しい手配書……というか冒険者ギルドから大規模な募集があってね、見てみるかい?」

 まあ、断る理由もないテーブルに座り、「エル、何やってるの?」なんて言いたげなミラナと料理を待ってソワソワしているカミネの姿がちらつくが、まあ、この先、資金も必要になるだろう。

 俺はとりあえず、その仕事とやらを見せてもらうことにした。

「ほら、にいちゃん! これだ。」

 主人が俺に紙を差し出してくる。どうやら依頼の概要を書かれた書類のようだ。
 どれどれ、と俺は紙面に目を落とす。

 最初に目に入った文字に俺は、思わず息を飲んだ。

 ──不死鳥狩りの狩人、集う。

 ─────────────

「そう、皆さんに狩っていただきたい獣! それはフェニックスです!」

 歓声が上がる、今度は熱狂と化した本物の歓喜。

 その中で俺とミラナは周りの熱気に水を差すような冷めた表情で周りを見ていた。

 そう、ここに入る奴らは全員、我が子フェニックスのファムファームを狩るためにここにいる。

 無論、黙ってるわけがない。

「わかってるな? ミラナ」

「誰に聞いてるのよ」

 そう、あくまで俺たちは狩人として近づき、あの子を保護する。
 つまり、この周りにいる不死鳥狩りにきた冒険者、戦士、傭兵、全てが──。

「敵だ……!」
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