18 / 115
第十八話 狩人達とママ
しおりを挟む
「ようこそ! お集まりいただき誠に感謝感激! 雨あられ! で……ござぃます!!」
野外の噴水広場、台に乗ったトップハットとタキシードの男が大仰に俺たちに向かってそう挨拶をかます。
全く、嘘くさい挨拶だ。
レミーラムとスライム達から離れ、二週間。俺達はアトランタ王国の東にあるカラミナ国、その首都ローゼカールにきていた。
なぜこんな所にいるかと聞かれれば、答えは一つだ。
「皆様に集まっていただいたのは……まあ説明しなくてもお分かりでしょうが!? 改めて説明させてもらいましょう! ただ一匹の獣を、狩っていただきたいのです!!」
男のスピーチに若干の忖度が混じった歓声が上がる。
あくまで盛り上げるために発せられた、戯れの声、その声をひとしきり浴びた男は再び大袈裟に言った。
「その獣とはぁ──?!」
全く、なんでも誇張して言えばいいってもんじゃあないぜ。
─────────────
事の始まりは先日、馬車の中、俺とあの子達との繋がりが再び活性化したことから始まった。
「おお! ビンビンに感じる!!」
俺の発言に訝しげな、表情を見せるミラナ。
だが俺も冗談で言っているわけではない、今まで、薄かった繋がりが再び感じ始めたのだ。
しかも、移動中の車内で。
「本当なんでしょうね? あたりは平和そうな牧場と平原しかないけど?」
「大丈夫だよ、今度は薄い出涸らしみたいな感じじゃない! 確かに感じる! あの子達のうち、誰かがいる!」
俺の自身満々な答えにミラナはため息で応える。
なんだよ、疑ってんのか?
「そろそろ着く?」
すると後ろからそんなカミネの声がした。
どうやら長時間、車にいるのが彼女にとっても苦痛になってきたようだ。
そうだ、ちょうどいい、あの子達との繋がりも感じたところで、俺は提案する。
「そろそろ、ここらで休憩にするか? カミネも疲れたみたいだしな」
俺がそう言ったのは彼方に豆粒となった馬車の駅が見えたからだ、おそらく酒場などもあるだろう。
まだまだ街などは見えてこない街の道中、慌てて先を急いで消耗してしまっては元も子もない。
だからほんの少し休もうと俺は思ったのだ。
もちろん国際指名手配をされているからうまくフードなどで顔を隠して。
そうして思いの外すんなりと、駅の酒場に入った俺達は案の定というか、やはりというか、現実というものを見せつけられる。
「げ、やっぱ指名手配されてるよ……」
酒場に入るなり、目についた指名手配版にはデカデカと俺の顔が張られている。
ミラナは指名手配されてないから俺は車に戻っているか……そう思っていた時だった。
酒場の主人らしき男が粗雑に、俺の手配書を剥がしゴミ箱に捨てる。
その光景に疑問に思った俺はついバレるリスクも忘れて主人男に問うた。
「な、なあご主人なんで、俺……この手配書捨てたんだ?」
「あ? ああ、今朝続報が入ってな、この男アリバイがあったんだよ、あんたも見るかい? ちょうどこれが詳細だ」
主人が俺に手渡したのはどうやら俺の手配書の代わりに貼ろうとしてた、何かの書類のようだ。
それにはこう書かれていた。
──今回、指名手配していたエルマーは、王都での民達からの声により無罪となった。この男は当初、国家を転覆させた罪を疑われていたが、それは現場の混乱により発生した冤罪である。
エルマーは王都アトス陥落事件発生の折、民を救助して回ったという証言が取れ、よってこのものも無罪放免とし、手配も取り消す旨をここに通達する。
要するに、あの時、助けた人々が俺の無罪を主張してくれた、ということだろう。
まじか! すげ~ラッキーじゃん!!
俺はつい踊り出してしまいそうになるほどの、衝動を抑え付けた。
すると男主人がいう。
「あんた、もしかして指名手配犯を捕まえて一攫千金を狙ってたのか? 残念だったねぇまさか冤罪とは」
少し勘違いが発生しているようだが、まあいい。俺は「まあ、そうなんだ」などと適当に話を合わせた。
すると主人は思いの外、親切だったようで心配をしてくれたのか、俺に向かってこう言った。
「そうか、ちょうど実は新しい手配書……というか冒険者ギルドから大規模な募集があってね、見てみるかい?」
まあ、断る理由もないテーブルに座り、「エル、何やってるの?」なんて言いたげなミラナと料理を待ってソワソワしているカミネの姿がちらつくが、まあ、この先、資金も必要になるだろう。
俺はとりあえず、その仕事とやらを見せてもらうことにした。
「ほら、にいちゃん! これだ。」
主人が俺に紙を差し出してくる。どうやら依頼の概要を書かれた書類のようだ。
どれどれ、と俺は紙面に目を落とす。
最初に目に入った文字に俺は、思わず息を飲んだ。
──不死鳥狩りの狩人、集う。
─────────────
「そう、皆さんに狩っていただきたい獣! それはフェニックスです!」
歓声が上がる、今度は熱狂と化した本物の歓喜。
その中で俺とミラナは周りの熱気に水を差すような冷めた表情で周りを見ていた。
そう、ここに入る奴らは全員、我が子フェニックスのファムファームを狩るためにここにいる。
無論、黙ってるわけがない。
「わかってるな? ミラナ」
「誰に聞いてるのよ」
そう、あくまで俺たちは狩人として近づき、あの子を保護する。
つまり、この周りにいる不死鳥狩りにきた冒険者、戦士、傭兵、全てが──。
「敵だ……!」
野外の噴水広場、台に乗ったトップハットとタキシードの男が大仰に俺たちに向かってそう挨拶をかます。
全く、嘘くさい挨拶だ。
レミーラムとスライム達から離れ、二週間。俺達はアトランタ王国の東にあるカラミナ国、その首都ローゼカールにきていた。
なぜこんな所にいるかと聞かれれば、答えは一つだ。
「皆様に集まっていただいたのは……まあ説明しなくてもお分かりでしょうが!? 改めて説明させてもらいましょう! ただ一匹の獣を、狩っていただきたいのです!!」
男のスピーチに若干の忖度が混じった歓声が上がる。
あくまで盛り上げるために発せられた、戯れの声、その声をひとしきり浴びた男は再び大袈裟に言った。
「その獣とはぁ──?!」
全く、なんでも誇張して言えばいいってもんじゃあないぜ。
─────────────
事の始まりは先日、馬車の中、俺とあの子達との繋がりが再び活性化したことから始まった。
「おお! ビンビンに感じる!!」
俺の発言に訝しげな、表情を見せるミラナ。
だが俺も冗談で言っているわけではない、今まで、薄かった繋がりが再び感じ始めたのだ。
しかも、移動中の車内で。
「本当なんでしょうね? あたりは平和そうな牧場と平原しかないけど?」
「大丈夫だよ、今度は薄い出涸らしみたいな感じじゃない! 確かに感じる! あの子達のうち、誰かがいる!」
俺の自身満々な答えにミラナはため息で応える。
なんだよ、疑ってんのか?
「そろそろ着く?」
すると後ろからそんなカミネの声がした。
どうやら長時間、車にいるのが彼女にとっても苦痛になってきたようだ。
そうだ、ちょうどいい、あの子達との繋がりも感じたところで、俺は提案する。
「そろそろ、ここらで休憩にするか? カミネも疲れたみたいだしな」
俺がそう言ったのは彼方に豆粒となった馬車の駅が見えたからだ、おそらく酒場などもあるだろう。
まだまだ街などは見えてこない街の道中、慌てて先を急いで消耗してしまっては元も子もない。
だからほんの少し休もうと俺は思ったのだ。
もちろん国際指名手配をされているからうまくフードなどで顔を隠して。
そうして思いの外すんなりと、駅の酒場に入った俺達は案の定というか、やはりというか、現実というものを見せつけられる。
「げ、やっぱ指名手配されてるよ……」
酒場に入るなり、目についた指名手配版にはデカデカと俺の顔が張られている。
ミラナは指名手配されてないから俺は車に戻っているか……そう思っていた時だった。
酒場の主人らしき男が粗雑に、俺の手配書を剥がしゴミ箱に捨てる。
その光景に疑問に思った俺はついバレるリスクも忘れて主人男に問うた。
「な、なあご主人なんで、俺……この手配書捨てたんだ?」
「あ? ああ、今朝続報が入ってな、この男アリバイがあったんだよ、あんたも見るかい? ちょうどこれが詳細だ」
主人が俺に手渡したのはどうやら俺の手配書の代わりに貼ろうとしてた、何かの書類のようだ。
それにはこう書かれていた。
──今回、指名手配していたエルマーは、王都での民達からの声により無罪となった。この男は当初、国家を転覆させた罪を疑われていたが、それは現場の混乱により発生した冤罪である。
エルマーは王都アトス陥落事件発生の折、民を救助して回ったという証言が取れ、よってこのものも無罪放免とし、手配も取り消す旨をここに通達する。
要するに、あの時、助けた人々が俺の無罪を主張してくれた、ということだろう。
まじか! すげ~ラッキーじゃん!!
俺はつい踊り出してしまいそうになるほどの、衝動を抑え付けた。
すると男主人がいう。
「あんた、もしかして指名手配犯を捕まえて一攫千金を狙ってたのか? 残念だったねぇまさか冤罪とは」
少し勘違いが発生しているようだが、まあいい。俺は「まあ、そうなんだ」などと適当に話を合わせた。
すると主人は思いの外、親切だったようで心配をしてくれたのか、俺に向かってこう言った。
「そうか、ちょうど実は新しい手配書……というか冒険者ギルドから大規模な募集があってね、見てみるかい?」
まあ、断る理由もないテーブルに座り、「エル、何やってるの?」なんて言いたげなミラナと料理を待ってソワソワしているカミネの姿がちらつくが、まあ、この先、資金も必要になるだろう。
俺はとりあえず、その仕事とやらを見せてもらうことにした。
「ほら、にいちゃん! これだ。」
主人が俺に紙を差し出してくる。どうやら依頼の概要を書かれた書類のようだ。
どれどれ、と俺は紙面に目を落とす。
最初に目に入った文字に俺は、思わず息を飲んだ。
──不死鳥狩りの狩人、集う。
─────────────
「そう、皆さんに狩っていただきたい獣! それはフェニックスです!」
歓声が上がる、今度は熱狂と化した本物の歓喜。
その中で俺とミラナは周りの熱気に水を差すような冷めた表情で周りを見ていた。
そう、ここに入る奴らは全員、我が子フェニックスのファムファームを狩るためにここにいる。
無論、黙ってるわけがない。
「わかってるな? ミラナ」
「誰に聞いてるのよ」
そう、あくまで俺たちは狩人として近づき、あの子を保護する。
つまり、この周りにいる不死鳥狩りにきた冒険者、戦士、傭兵、全てが──。
「敵だ……!」
4
あなたにおすすめの小説
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる