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第二十三話 S級冒険者vsママ
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「さて、 どうします? アナタは二つの選択肢がある……。不死鳥を諦めるか、それか死ぬか」
白のズボンに裸の上半身。そして茶色い長髪の男マシラウスはそう言った。
なるほど、状況が読めてきた。
「潰し合いってことかい? はっ! S級冒険者が聞いて呆れるぜ」
俺の皮肉にしかしマシラウスは動じない。
「冒険者に清廉潔白を求めるとは……アナタは私たちS級冒険者がどのようにしてなるのかわかりますか?」
「興味ないからわからん」
俺の率直な意見にマシラウスは笑顔で返す。
「それは、飽くなき力への渇望です。そんなハングリー精神で私はこの地位まで上り詰めました。最弱のD級から始まり、そのトップS級までにね……」
「話が見えてこないな……不死鳥狩りのはずだろうが」
「はは」とマシラウスは笑う。俺のことを見下し、そしてまだ理解していないのかと言わんばかりに。
「不死鳥の血、それには人を不死の力を授けるといいます。最強を目指す戦士ならば当然……狙う他はない」
なるほど、通りで……こいつらはどさくさに紛れて、我が子、不死鳥のファムファームから血を掠め取るつもりのようだ。
当然、ギルドが指定したのは不死鳥の体そのもの、血に関してなど、なんの説明もなかった。
つまりは、ギルドも暗黙の了解で、その不死鳥の血を冒険者が掠め取ることに関しては黙認しているのかもしれない。
そうすれば、このように血を求める実力派の冒険者を釣れるというわけだ。
「さて、では聞きましょう。諦めますか? 死にますか?」
俺は一瞬、黙る。マシラウスの足と足の間からミラナが焦りの表情でこちらを見ている。大丈夫だミラナ、と目で訴える。
諦めるか、死ぬか、だと? そんなの決まっている。
「わかったよ……不死鳥は諦める、だから……命だけは……」
「聞き分けがいいですね……感心です……きちんと脳みそにも筋肉がついているようだ」
「そうだ、俺が独自に調査した不死鳥の居場所を予想した地図もやるよ」
「ほう?」
「ちょっと待てよ……どこだったっけ……なぁ!!」
俺は思い切り、マシラウスの股間を蹴り飛ばした。
「はうぁ!!!」
答えなどもちろん決まっているノーだ。悶えるマシラウスに向かって俺は叫ぶ。
「バカが! 自信で脳みそ溺れてんのか? この筋肉ダルマ!!」
続けて、俺は右ストレートをマシラウスの顔面にお見舞いする。
「ごほぉ!!」
そのままマシラウスは、吹っ飛ばされ背中に土をつけた。
「き、君! よくわかりました! 戦いたいのなら! ケルシー!!」
ケルシー……確かそれもS級の冒険者とかいう。
「はいよぉ」
その時、胸元が大きく開いた赤ローブの女が光と共に、馬車の付近に現れる。
手には紫色の光……いや稲妻が十字を描いていた。
「ミラナ! アンナ! 頼む!」
「よそ見をしている場合ですか!!」
ミラナ達に声をかけた瞬間だった、空気が震えた。
それが何かしらの危機が迫る前兆だと気づくのに一瞬。
そして、防御姿勢をとるのに刹那。
俺の体は反射的に動いていた。
「ッ!!」
声にもならない叫びが俺の喉の奥から絞り出される。
いつのまにかクロスしていた腕の盾に向かってマシラウスの弾丸すら凌駕する拳が飛来していた。
俺の腕は折れはしなかったものの、まるで砲弾の着弾音のような轟音が響き渡り、しかも運動エネルギーを吸収しきれずそのまま、吹き飛ばされた。
「がッ!!」
木々の中へ俺の体は射出される。気を薙ぎ倒し、折り倒し。そして認識した。
「クソ……! なんでパンチしてやがる!!」
マシラウスという男は強い。
どうする……まさか急所を狙った攻撃ですらあいつに取ってはちょっとした痛みに過ぎないらしい。
(言霊の剣……! クソッ! 落としたか!?)
頼みの綱の言霊の剣もおそらく最初の一撃で取り落としたようだ。
つまり俺は……。
「ほう! 私の一撃を受けて人の形を保っていられるとは!!」
体が、弾丸のように舞う最中、右からのさっきに気づいた俺は、再び反射的に動く次は体を捻り、木の太い枝を掴み取る。
そして、その枝を軸にぐるりと俺は体を縦に回転させた。
「はぁぁ!!」
瞬間そんな回避行動を取った俺の背後を手刀が通り過ぎる。
カミソリを錯覚させるほどの強烈なイメージともなった、その手刀は俺には当たらなかったがしかし、木を両断。
そのまま、周囲半径三十メートルほどの木を切り取った。
「化け物かよ!」
その手刀の主、マシラウスは笑う。
「いやいや、アナタも充分、化け物ですよ私の二撃目を生き延びられる戦士はそうそういない」
木と共に吹き飛ばされ、着地した俺に対して送られた賛辞。
残念ながら喜ぶ余裕などない。
俺は拳を握り締めた。
やるしかない言霊の剣はおそらく、馬車の近く、俺が吹き飛ばされた距離は100メートルほど取りに行く暇はない!
そうつまり、俺は──。
「さあ、楽しみましょうよ、レッツマッスル!」
この筋肉の化身と格闘戦を挑まなければならないと言うことだ。
白のズボンに裸の上半身。そして茶色い長髪の男マシラウスはそう言った。
なるほど、状況が読めてきた。
「潰し合いってことかい? はっ! S級冒険者が聞いて呆れるぜ」
俺の皮肉にしかしマシラウスは動じない。
「冒険者に清廉潔白を求めるとは……アナタは私たちS級冒険者がどのようにしてなるのかわかりますか?」
「興味ないからわからん」
俺の率直な意見にマシラウスは笑顔で返す。
「それは、飽くなき力への渇望です。そんなハングリー精神で私はこの地位まで上り詰めました。最弱のD級から始まり、そのトップS級までにね……」
「話が見えてこないな……不死鳥狩りのはずだろうが」
「はは」とマシラウスは笑う。俺のことを見下し、そしてまだ理解していないのかと言わんばかりに。
「不死鳥の血、それには人を不死の力を授けるといいます。最強を目指す戦士ならば当然……狙う他はない」
なるほど、通りで……こいつらはどさくさに紛れて、我が子、不死鳥のファムファームから血を掠め取るつもりのようだ。
当然、ギルドが指定したのは不死鳥の体そのもの、血に関してなど、なんの説明もなかった。
つまりは、ギルドも暗黙の了解で、その不死鳥の血を冒険者が掠め取ることに関しては黙認しているのかもしれない。
そうすれば、このように血を求める実力派の冒険者を釣れるというわけだ。
「さて、では聞きましょう。諦めますか? 死にますか?」
俺は一瞬、黙る。マシラウスの足と足の間からミラナが焦りの表情でこちらを見ている。大丈夫だミラナ、と目で訴える。
諦めるか、死ぬか、だと? そんなの決まっている。
「わかったよ……不死鳥は諦める、だから……命だけは……」
「聞き分けがいいですね……感心です……きちんと脳みそにも筋肉がついているようだ」
「そうだ、俺が独自に調査した不死鳥の居場所を予想した地図もやるよ」
「ほう?」
「ちょっと待てよ……どこだったっけ……なぁ!!」
俺は思い切り、マシラウスの股間を蹴り飛ばした。
「はうぁ!!!」
答えなどもちろん決まっているノーだ。悶えるマシラウスに向かって俺は叫ぶ。
「バカが! 自信で脳みそ溺れてんのか? この筋肉ダルマ!!」
続けて、俺は右ストレートをマシラウスの顔面にお見舞いする。
「ごほぉ!!」
そのままマシラウスは、吹っ飛ばされ背中に土をつけた。
「き、君! よくわかりました! 戦いたいのなら! ケルシー!!」
ケルシー……確かそれもS級の冒険者とかいう。
「はいよぉ」
その時、胸元が大きく開いた赤ローブの女が光と共に、馬車の付近に現れる。
手には紫色の光……いや稲妻が十字を描いていた。
「ミラナ! アンナ! 頼む!」
「よそ見をしている場合ですか!!」
ミラナ達に声をかけた瞬間だった、空気が震えた。
それが何かしらの危機が迫る前兆だと気づくのに一瞬。
そして、防御姿勢をとるのに刹那。
俺の体は反射的に動いていた。
「ッ!!」
声にもならない叫びが俺の喉の奥から絞り出される。
いつのまにかクロスしていた腕の盾に向かってマシラウスの弾丸すら凌駕する拳が飛来していた。
俺の腕は折れはしなかったものの、まるで砲弾の着弾音のような轟音が響き渡り、しかも運動エネルギーを吸収しきれずそのまま、吹き飛ばされた。
「がッ!!」
木々の中へ俺の体は射出される。気を薙ぎ倒し、折り倒し。そして認識した。
「クソ……! なんでパンチしてやがる!!」
マシラウスという男は強い。
どうする……まさか急所を狙った攻撃ですらあいつに取ってはちょっとした痛みに過ぎないらしい。
(言霊の剣……! クソッ! 落としたか!?)
頼みの綱の言霊の剣もおそらく最初の一撃で取り落としたようだ。
つまり俺は……。
「ほう! 私の一撃を受けて人の形を保っていられるとは!!」
体が、弾丸のように舞う最中、右からのさっきに気づいた俺は、再び反射的に動く次は体を捻り、木の太い枝を掴み取る。
そして、その枝を軸にぐるりと俺は体を縦に回転させた。
「はぁぁ!!」
瞬間そんな回避行動を取った俺の背後を手刀が通り過ぎる。
カミソリを錯覚させるほどの強烈なイメージともなった、その手刀は俺には当たらなかったがしかし、木を両断。
そのまま、周囲半径三十メートルほどの木を切り取った。
「化け物かよ!」
その手刀の主、マシラウスは笑う。
「いやいや、アナタも充分、化け物ですよ私の二撃目を生き延びられる戦士はそうそういない」
木と共に吹き飛ばされ、着地した俺に対して送られた賛辞。
残念ながら喜ぶ余裕などない。
俺は拳を握り締めた。
やるしかない言霊の剣はおそらく、馬車の近く、俺が吹き飛ばされた距離は100メートルほど取りに行く暇はない!
そうつまり、俺は──。
「さあ、楽しみましょうよ、レッツマッスル!」
この筋肉の化身と格闘戦を挑まなければならないと言うことだ。
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