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第二十六話 内定かもしれない
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クレーターの中を一条の光が駆け抜ける。
それは、俺の両手が放った。『天喰い』の破壊エネルギーの残光だった。
体に流れる、生命エネルギーその本流を掌底の強化に使い思い切り相手に叩きつける技。
クレーターを走った光線はその有り余る生命エネルギーの余波だ。
俺の渾身の一撃は間違いなく、マシラウスに届いたようだった。
「ゴハッ!」
クレーターの斜面にマシラウスは叩きつけられ、少量の血を吐いている。
肺を少し傷つけたようだ、さらにあまりのインパクトでしばらくはまともに立てないらしい。
だが、奴の闘志は未だに燻っている。俺を射抜くように見つめ、そして反撃の機会を今でも伺っている。
流石はS級冒険者、といったところだろうか。
奴の闘志は潰えていない。
俺は警戒しながら近づく、奴にはまだ聞かなければいけないことがある。
未だに余力を残しているのか、どうかすらわからないが、反撃のリスクを感じながらも俺は斜面に背を預けるマシラウスの正面に辿り着く。
「若干手加減したとはいえ、流石だな。まさか意識を保っていられるとは思わなかったぜ」
俺の言葉を、マシラウスはただ黙って傾聴する。
「さて、アンタに聞きたいことがいくつかある。俺を連れていくって言ってたよな、どこにだ?」
マシラウスは答えない。
「協力者がいるのか? 不死鳥を探す協力者が?」
やはりマシラウスは答えない。
困ったな、口が硬い。
それとも口が聞けないほどに疲弊しているのか?
「あなた……」
するとマシラウスが呟いた。
何だ喋るじゃないか。
「流血、止まっていますね……」
「なに?」
「あなたの言う……神獣の血とやら……随分と便利そうなものですが……なぜ最初から使用しないのです……?」
「おいおいおい、随分とまあ……口達者じゃねえか? こっちが質問してんだぜぇ?」
マシラウスは笑った。
「なに、ちょっとした疑問ですよ。あなたの事をメモしておくのです頭の中にね……」
「さて」とマシラウスは続ける。
「考えられる、ことは二つ。一つは単純に私の事を舐めていた。そしてもう一つは──」
「──その神獣の血とやらを使うととてつもないデメリットがある……違いますか?」
チリリ、と青白い光の毛皮が揺れた。
「二つ目の考察が正解だな。おめでとう、プレゼントは拳しかないんだが、いるか?」
「結構です……時間稼ぎもできたので……」
は? なにを──。
あれ……何だ、足に力が……。
─────────────
どさりと、エルマーが倒れるそれと同時に、腕や肩に纏っていた青白い光の毛皮は消え去っていった。
マシラウスはため息をつく。
終わった、もう少しで自分は負けるところだった。
「遅いですよ……危うく殺されるところでした」
するとクレーターの地面がボコリと膨れ上がり、そして土を蹴散らして大地から男が顔を出した。
長髪の男は右手にライフルを持ち、その銃口からは煙が漏れ出ていた
「そっちがメテオフォールなんて使うからでしょうが」
「……まあ、信じていたんですよ……傭兵団『ビートストッパー』の実力をね」
「やめてくださいウチは貿易会社です」と長髪の男は土を払いながら少年エルマーに近づいていく。
「効いているのですか?」
「ええ、モンスター用の麻酔弾……その三倍の濃度を打ち込みました」
長髪の男の言葉にマシラウスは冷や汗を垂らす。
「それは致死量というのでは?」
「しょうがないでしょ、手加減ありとはいえアンタのメテオフォールを受けて、ピンピンで立って、そのままアンタをまかした人間何ですよ?」
「私は負けてません」
「はいはい」と長髪の男はマシラウスの言葉を躱しエルマーを担ぎ上げる。
「ではいきましょうか……ボスの元に……」
─────────────
「お……い……おい! 目、覚ませー?」
なんだ? 俺は倦怠感に包まれながらもいつのまにか閉じていた瞼を開いた。
いつのまに寝ていた? 俺はマシラウスと戦っていたはずだが……。
「ふぁぁぁ……」
しまった思わずあくびをしてしまった。
「おいおい、マジかよ……2時間ぐらいしか経ってねぇんだろ? 昼寝でもさせてたのか?」
そんな声と共に、目の中に情報が飛び込んでくる。
俺の目の前にはテンガロンハットを被った黒マントの男がいた。
その男の周りには、部下なのだろうか革鎧と拳銃やライフルを引っ提げている。美人や、同じく美形の男。
縦にも横にもデカい男など妙に外見に特徴のある人間がテンガロンハットの男の周りにいた。
いや、こいつ……こいつら、見たことある……!
「アンタ……!! そうだ……! 傭兵団の……!!」
「ちげえよ、貿易会社「ビートストッパー」だ。小僧」
テンガロンハットの男は食い気味にそう訂正した。
それは、俺の両手が放った。『天喰い』の破壊エネルギーの残光だった。
体に流れる、生命エネルギーその本流を掌底の強化に使い思い切り相手に叩きつける技。
クレーターを走った光線はその有り余る生命エネルギーの余波だ。
俺の渾身の一撃は間違いなく、マシラウスに届いたようだった。
「ゴハッ!」
クレーターの斜面にマシラウスは叩きつけられ、少量の血を吐いている。
肺を少し傷つけたようだ、さらにあまりのインパクトでしばらくはまともに立てないらしい。
だが、奴の闘志は未だに燻っている。俺を射抜くように見つめ、そして反撃の機会を今でも伺っている。
流石はS級冒険者、といったところだろうか。
奴の闘志は潰えていない。
俺は警戒しながら近づく、奴にはまだ聞かなければいけないことがある。
未だに余力を残しているのか、どうかすらわからないが、反撃のリスクを感じながらも俺は斜面に背を預けるマシラウスの正面に辿り着く。
「若干手加減したとはいえ、流石だな。まさか意識を保っていられるとは思わなかったぜ」
俺の言葉を、マシラウスはただ黙って傾聴する。
「さて、アンタに聞きたいことがいくつかある。俺を連れていくって言ってたよな、どこにだ?」
マシラウスは答えない。
「協力者がいるのか? 不死鳥を探す協力者が?」
やはりマシラウスは答えない。
困ったな、口が硬い。
それとも口が聞けないほどに疲弊しているのか?
「あなた……」
するとマシラウスが呟いた。
何だ喋るじゃないか。
「流血、止まっていますね……」
「なに?」
「あなたの言う……神獣の血とやら……随分と便利そうなものですが……なぜ最初から使用しないのです……?」
「おいおいおい、随分とまあ……口達者じゃねえか? こっちが質問してんだぜぇ?」
マシラウスは笑った。
「なに、ちょっとした疑問ですよ。あなたの事をメモしておくのです頭の中にね……」
「さて」とマシラウスは続ける。
「考えられる、ことは二つ。一つは単純に私の事を舐めていた。そしてもう一つは──」
「──その神獣の血とやらを使うととてつもないデメリットがある……違いますか?」
チリリ、と青白い光の毛皮が揺れた。
「二つ目の考察が正解だな。おめでとう、プレゼントは拳しかないんだが、いるか?」
「結構です……時間稼ぎもできたので……」
は? なにを──。
あれ……何だ、足に力が……。
─────────────
どさりと、エルマーが倒れるそれと同時に、腕や肩に纏っていた青白い光の毛皮は消え去っていった。
マシラウスはため息をつく。
終わった、もう少しで自分は負けるところだった。
「遅いですよ……危うく殺されるところでした」
するとクレーターの地面がボコリと膨れ上がり、そして土を蹴散らして大地から男が顔を出した。
長髪の男は右手にライフルを持ち、その銃口からは煙が漏れ出ていた
「そっちがメテオフォールなんて使うからでしょうが」
「……まあ、信じていたんですよ……傭兵団『ビートストッパー』の実力をね」
「やめてくださいウチは貿易会社です」と長髪の男は土を払いながら少年エルマーに近づいていく。
「効いているのですか?」
「ええ、モンスター用の麻酔弾……その三倍の濃度を打ち込みました」
長髪の男の言葉にマシラウスは冷や汗を垂らす。
「それは致死量というのでは?」
「しょうがないでしょ、手加減ありとはいえアンタのメテオフォールを受けて、ピンピンで立って、そのままアンタをまかした人間何ですよ?」
「私は負けてません」
「はいはい」と長髪の男はマシラウスの言葉を躱しエルマーを担ぎ上げる。
「ではいきましょうか……ボスの元に……」
─────────────
「お……い……おい! 目、覚ませー?」
なんだ? 俺は倦怠感に包まれながらもいつのまにか閉じていた瞼を開いた。
いつのまに寝ていた? 俺はマシラウスと戦っていたはずだが……。
「ふぁぁぁ……」
しまった思わずあくびをしてしまった。
「おいおい、マジかよ……2時間ぐらいしか経ってねぇんだろ? 昼寝でもさせてたのか?」
そんな声と共に、目の中に情報が飛び込んでくる。
俺の目の前にはテンガロンハットを被った黒マントの男がいた。
その男の周りには、部下なのだろうか革鎧と拳銃やライフルを引っ提げている。美人や、同じく美形の男。
縦にも横にもデカい男など妙に外見に特徴のある人間がテンガロンハットの男の周りにいた。
いや、こいつ……こいつら、見たことある……!
「アンタ……!! そうだ……! 傭兵団の……!!」
「ちげえよ、貿易会社「ビートストッパー」だ。小僧」
テンガロンハットの男は食い気味にそう訂正した。
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