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第七十七話 始まり始まり
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いつのまにかカミネは王都の外にいた。
そうだ、そうだったここからのことはよく覚えている。
見た……気がする。目の前で王都アトスが崩壊していく。建物が重力に反して天へと登っていき崩れ去っていく。
それをカミネはカミネと一緒に連れてこられた他の住人達と見ていた。
「これは……そうか夢見てるんだ私」
これはあの時のエルマーとカミネが旅に出た日だ。
旅に出た、と言ってもカミネが勝手に車に乗り込んだだけなのだが。
「……私は……」
どうしてこの車に乗ったのだろうか。
変わりたかった? 逃げ出したかった? それとも自分がこの事件の英雄にでもなりたかったのか?
だが一つ言えることがとにかく、カミネは自由になりたかった。
だからこそこの車の食糧庫に隠れたのだ。
だが結果はどうだろう。変われただろうか。
カミネは俯いた。自分は、ただ目を背けているだけだ。
自分を変えたいと願いつつも変わる努力もせず、逃げたいと思っても逃げる気力さえも湧かなかった。
エルマー達との車に乗り込んだのはきっと自分が変われる最後のチャンスだと思ったのだ。
だが、現状はどうだ。
ビクビクする自分は直せたか? 父に立ち向かうような勇気は己にあるか?
何も変われていない。
カミネは思う。自分は弱いままなんだと。
ポタリと涙がこぼれ落ちる。
夢に溶けてしまった方がいいのだろうか。
変われない自分、向き合えない自分、全てを忘れて。
「どうした泣くなよカミネ」
その時だった。
カミネの頬に柔らかいものが当たった。
いい香りがする。太陽の元に晒されて安心する布の香り。
いつのまにか、カミネの顔にはハンカチが押し付けられていた。
「エルマー?」
エルマーはニコリと笑った。いつのまにか、エルマーがカミネの目の前にいたのだ。
この脈絡のなさやはりここは夢で間違いない。
「何、泣いてるんだよ。嫌なことあったか?」
「……嫌なこと思い出した。何にもできない自分のこと……」
「ほう?」
「変われない、動けない。閉じ込めれた自分のこと」
エルマーは黙って聞く。
「私は弱い……まんまだ……」
「弱い?」
「うん」
「……ぷ……ぷは……!!」
すると唐突にエルマーは笑いだす。
「だーはっはっはっ!! お前が!? 弱い?! あはははは!!」
腹を抱えてこれ以上、面白いことはないと言わんばかりに大声を天に響かせるエルマーにカミネは頬を膨らませる。
「……ん! なんなの! そこまで笑わなくても! 夢のくせに!」
「ひー……悪いでもな? カミネ、君が弱いなんて俺思ったことないぜ?」
「……なんで?」
「本当に弱いなら見ず知らずの俺たちの食料庫食い荒らすような、肝っ玉の太いことできないからな!! しかも二回も!! ガハハ」
またエルマーは笑う。
そんなエルマーの態度にカミネは再び不機嫌になりつつ、そして言った。
「もういい! エルマーなんて知らない!!」
平原を歩いて、どこぞへと行くあてもないが歩きだすカミネ。
「あ、待てよカミネ!」
「もう知らないったら!! 知らない!!」
「一つだけ言わせてくれ!」
カミネは思わず立ち止まり、
「なに?」
と、目を半目に睨みつけながら振り返った。
「君は、強い。君は変われるし。変えられる。俺はさ君がどんな人間にだってなれると思ってんだ」
「……にも、なれる?」
「うん?」
「鳥にもなれる? 私」
それを聞くとエルマー笑った。
「バカいえ、鳥なんて器かよ君が」
そしてエルマーは真っ直ぐとカミネを見つめる。
「君ならドラゴン辺りがちょうどいいんじゃねえの?」
その言葉にカミネは目を見開く。
そして自然と腹がくすぐったくなった。
「ははは!! なにそれ!」
「何笑ってんだ! ピッタリだろドラゴン!」
「そうかもね」
カミネは笑った。
「ねぇ、エルマー」
「なんだ?」
「私ね、一年後に名前が変わるの」
「へーそうなんだ」
「私、古い商人の家系で慣わしでさ、幼名から成人の名前をもらうんだって」
「マジか、じゃあカミネって呼べなくなるのか」
「別に好きにしてくれていいよ……でも……私が名前が変わっても……私が……家に戻っても会いに来てくれる?」
エルマーは笑顔で天に向かって叫んだ。
「当然!!」
その言葉でカミネは覚悟を決めた。自分が見るべきは夢ではない。
浸るべきは感傷ではない。
ただ今を、カミネは望んだ。
世界が再び崩れた。
そうだ、そうだったここからのことはよく覚えている。
見た……気がする。目の前で王都アトスが崩壊していく。建物が重力に反して天へと登っていき崩れ去っていく。
それをカミネはカミネと一緒に連れてこられた他の住人達と見ていた。
「これは……そうか夢見てるんだ私」
これはあの時のエルマーとカミネが旅に出た日だ。
旅に出た、と言ってもカミネが勝手に車に乗り込んだだけなのだが。
「……私は……」
どうしてこの車に乗ったのだろうか。
変わりたかった? 逃げ出したかった? それとも自分がこの事件の英雄にでもなりたかったのか?
だが一つ言えることがとにかく、カミネは自由になりたかった。
だからこそこの車の食糧庫に隠れたのだ。
だが結果はどうだろう。変われただろうか。
カミネは俯いた。自分は、ただ目を背けているだけだ。
自分を変えたいと願いつつも変わる努力もせず、逃げたいと思っても逃げる気力さえも湧かなかった。
エルマー達との車に乗り込んだのはきっと自分が変われる最後のチャンスだと思ったのだ。
だが、現状はどうだ。
ビクビクする自分は直せたか? 父に立ち向かうような勇気は己にあるか?
何も変われていない。
カミネは思う。自分は弱いままなんだと。
ポタリと涙がこぼれ落ちる。
夢に溶けてしまった方がいいのだろうか。
変われない自分、向き合えない自分、全てを忘れて。
「どうした泣くなよカミネ」
その時だった。
カミネの頬に柔らかいものが当たった。
いい香りがする。太陽の元に晒されて安心する布の香り。
いつのまにか、カミネの顔にはハンカチが押し付けられていた。
「エルマー?」
エルマーはニコリと笑った。いつのまにか、エルマーがカミネの目の前にいたのだ。
この脈絡のなさやはりここは夢で間違いない。
「何、泣いてるんだよ。嫌なことあったか?」
「……嫌なこと思い出した。何にもできない自分のこと……」
「ほう?」
「変われない、動けない。閉じ込めれた自分のこと」
エルマーは黙って聞く。
「私は弱い……まんまだ……」
「弱い?」
「うん」
「……ぷ……ぷは……!!」
すると唐突にエルマーは笑いだす。
「だーはっはっはっ!! お前が!? 弱い?! あはははは!!」
腹を抱えてこれ以上、面白いことはないと言わんばかりに大声を天に響かせるエルマーにカミネは頬を膨らませる。
「……ん! なんなの! そこまで笑わなくても! 夢のくせに!」
「ひー……悪いでもな? カミネ、君が弱いなんて俺思ったことないぜ?」
「……なんで?」
「本当に弱いなら見ず知らずの俺たちの食料庫食い荒らすような、肝っ玉の太いことできないからな!! しかも二回も!! ガハハ」
またエルマーは笑う。
そんなエルマーの態度にカミネは再び不機嫌になりつつ、そして言った。
「もういい! エルマーなんて知らない!!」
平原を歩いて、どこぞへと行くあてもないが歩きだすカミネ。
「あ、待てよカミネ!」
「もう知らないったら!! 知らない!!」
「一つだけ言わせてくれ!」
カミネは思わず立ち止まり、
「なに?」
と、目を半目に睨みつけながら振り返った。
「君は、強い。君は変われるし。変えられる。俺はさ君がどんな人間にだってなれると思ってんだ」
「……にも、なれる?」
「うん?」
「鳥にもなれる? 私」
それを聞くとエルマー笑った。
「バカいえ、鳥なんて器かよ君が」
そしてエルマーは真っ直ぐとカミネを見つめる。
「君ならドラゴン辺りがちょうどいいんじゃねえの?」
その言葉にカミネは目を見開く。
そして自然と腹がくすぐったくなった。
「ははは!! なにそれ!」
「何笑ってんだ! ピッタリだろドラゴン!」
「そうかもね」
カミネは笑った。
「ねぇ、エルマー」
「なんだ?」
「私ね、一年後に名前が変わるの」
「へーそうなんだ」
「私、古い商人の家系で慣わしでさ、幼名から成人の名前をもらうんだって」
「マジか、じゃあカミネって呼べなくなるのか」
「別に好きにしてくれていいよ……でも……私が名前が変わっても……私が……家に戻っても会いに来てくれる?」
エルマーは笑顔で天に向かって叫んだ。
「当然!!」
その言葉でカミネは覚悟を決めた。自分が見るべきは夢ではない。
浸るべきは感傷ではない。
ただ今を、カミネは望んだ。
世界が再び崩れた。
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