92 / 115
第九十二話 二人のママ
しおりを挟む
「ケイトネールのお母さん!?」
間違いない、この白いドラゴン、ダナノニウナは確かにそう言った。
だとすればそれはつまり……。
「う、産みの親……?」
俺が驚愕していると突然、胸に衝撃が走った。
比喩的な表現でなく、まさしく衝撃が肋骨や内臓に響いたのだ。
「お母さぁぁん!!」
俺の胸に飛び込み顔をペロペロと舐めるのは、ケイトネールその子だった。
「こ、こらアルバ! 下賎な人の子の頬など舐めてはいけません!」
「ええ~いいじゃんお母さんなんだし」
「お、お母さんは妾です! 何度いえば良いのですか!」
「でも……私のお母さんはこのお母さんだけだし……」
「じゃ、じゃあ妾は……」
「うーん……? 優しいオバさん?」
「オバ……ッ!! クッ……ガッ……ゥぉン! ドンキホーテ!!」
ダナノニウナの懇願の声にめんどくさそうにドンキホーテはため息をつく。
「……なんすか」
「オバ……ッ! オバさんて言われた……!」
「いい加減、慣れてくれよダナノさん、しょうがないだろ。育ての親に愛着が湧いちゃうのはさ」
「でも……!! 産みの親で…………!! 六年前に……お腹痛めて、7人も……7つ子の母なんだぞ!? ドンキホーテ! 私がどんなに……! 夫は帝の座について忙しいから妾は一人で……なのに、オバッ……ウッ、ウッ……ウッ……盗人に奪われたからやっとの思いで……ウッ……」
「……わかった、辛かったな奥さん、後で話を聞くから……」
「で……」とドンキホーテと呼ばれた男はミラナと俺をそれぞれ一瞥し、啜り泣くドラゴンを一旦、横に置いて問いかける。
「君たち、何モン?」
─────────────
「なるほどね、だいたいわかった……」
「妾は!! 納得などしていない!! 怪しいであろうが!」
「ダナノさんわかってるよ! 俺も急にSFみてぇな話されたから混乱してる!」
そんなドンキホーテとダナノニウナの声が洞窟に響き渡る。
俺たちはあれからどうにもならない気まずさと共に、一旦洞窟の中へと場所を移して、事の経緯を一切合切、説明した。
王都アトスのことも、転移事件の事も全てだ。
その結果がこの口論だ。
干し草や、さらにはなぜか毛布などもある。案外住みやすそうなその洞窟内部に招かれた俺たちはケイトネールを両の腕で抱きながら、ただ目の前で繰り広げられる、修羅場を黙って見ていた。
ダナノニウナはおそらく本当のことを言っているのだろう。
初見で見た時に成長したケイトネールだと見間違うほどにこの母ドラゴンとケイトネールは特徴が一致している。
そしてダナノニウナも俺達がケイトネールにとって重要な存在だいうことに気がついているはずだ、ケイトネールのなつき具合から見て、俺たちに危害を加えればケイトネール自身が悲しむという事を彼女は気がついている。
現に今も俺の両腕から心地良さそうにミラナに撫でられているケイトを見れば俺たちを傷つけるなどという気も起きないだろう。
「アルバ! 人間の汚い手を……」
「いいじゃん! ダナノオバさん!」
「お、おば……! また言った! 夫にも言われた事ないのに! せめて母上と呼びなさい! アルバ!」
しかし、ケイトネールは突っぱねるようにミラナの手に自分の頭を委ねている。
おいミラナもなですぎだ! ずるいぞ俺にも……じゃない! 挑発するみたいに撫でるな! マジでどつきあいになるぞ!
「はあ……まぁ、その様子じゃ信じざるを得ないか」
するとドンキホーテは再びため息をつき、そして洞窟の壁に背をつけた。
そういえば、俺の頭にもう一つ疑問が湧いた。
「そういえば、ドンキホーテさん、あんたこそ何者なんだ?」
「俺?」
俺の問いかけにドンキホーテさんは首を傾げる。
すると笑いながら青い上着の懐から一枚の紙を取り出した。
その紙、いや名刺に書かれた文字を見て思わず俺は目玉が落ちるかと思った。
『秘密結社、黒い羊。特殊問題介入担当、騎士ドンキホーテ』
「ラクレさんと同じ……組織の人?!」
「お、王様知ってるのか君」
ドンキホーテさんはそう言って笑った。
いや笑い事ではないが。
間違いない、この白いドラゴン、ダナノニウナは確かにそう言った。
だとすればそれはつまり……。
「う、産みの親……?」
俺が驚愕していると突然、胸に衝撃が走った。
比喩的な表現でなく、まさしく衝撃が肋骨や内臓に響いたのだ。
「お母さぁぁん!!」
俺の胸に飛び込み顔をペロペロと舐めるのは、ケイトネールその子だった。
「こ、こらアルバ! 下賎な人の子の頬など舐めてはいけません!」
「ええ~いいじゃんお母さんなんだし」
「お、お母さんは妾です! 何度いえば良いのですか!」
「でも……私のお母さんはこのお母さんだけだし……」
「じゃ、じゃあ妾は……」
「うーん……? 優しいオバさん?」
「オバ……ッ!! クッ……ガッ……ゥぉン! ドンキホーテ!!」
ダナノニウナの懇願の声にめんどくさそうにドンキホーテはため息をつく。
「……なんすか」
「オバ……ッ! オバさんて言われた……!」
「いい加減、慣れてくれよダナノさん、しょうがないだろ。育ての親に愛着が湧いちゃうのはさ」
「でも……!! 産みの親で…………!! 六年前に……お腹痛めて、7人も……7つ子の母なんだぞ!? ドンキホーテ! 私がどんなに……! 夫は帝の座について忙しいから妾は一人で……なのに、オバッ……ウッ、ウッ……ウッ……盗人に奪われたからやっとの思いで……ウッ……」
「……わかった、辛かったな奥さん、後で話を聞くから……」
「で……」とドンキホーテと呼ばれた男はミラナと俺をそれぞれ一瞥し、啜り泣くドラゴンを一旦、横に置いて問いかける。
「君たち、何モン?」
─────────────
「なるほどね、だいたいわかった……」
「妾は!! 納得などしていない!! 怪しいであろうが!」
「ダナノさんわかってるよ! 俺も急にSFみてぇな話されたから混乱してる!」
そんなドンキホーテとダナノニウナの声が洞窟に響き渡る。
俺たちはあれからどうにもならない気まずさと共に、一旦洞窟の中へと場所を移して、事の経緯を一切合切、説明した。
王都アトスのことも、転移事件の事も全てだ。
その結果がこの口論だ。
干し草や、さらにはなぜか毛布などもある。案外住みやすそうなその洞窟内部に招かれた俺たちはケイトネールを両の腕で抱きながら、ただ目の前で繰り広げられる、修羅場を黙って見ていた。
ダナノニウナはおそらく本当のことを言っているのだろう。
初見で見た時に成長したケイトネールだと見間違うほどにこの母ドラゴンとケイトネールは特徴が一致している。
そしてダナノニウナも俺達がケイトネールにとって重要な存在だいうことに気がついているはずだ、ケイトネールのなつき具合から見て、俺たちに危害を加えればケイトネール自身が悲しむという事を彼女は気がついている。
現に今も俺の両腕から心地良さそうにミラナに撫でられているケイトを見れば俺たちを傷つけるなどという気も起きないだろう。
「アルバ! 人間の汚い手を……」
「いいじゃん! ダナノオバさん!」
「お、おば……! また言った! 夫にも言われた事ないのに! せめて母上と呼びなさい! アルバ!」
しかし、ケイトネールは突っぱねるようにミラナの手に自分の頭を委ねている。
おいミラナもなですぎだ! ずるいぞ俺にも……じゃない! 挑発するみたいに撫でるな! マジでどつきあいになるぞ!
「はあ……まぁ、その様子じゃ信じざるを得ないか」
するとドンキホーテは再びため息をつき、そして洞窟の壁に背をつけた。
そういえば、俺の頭にもう一つ疑問が湧いた。
「そういえば、ドンキホーテさん、あんたこそ何者なんだ?」
「俺?」
俺の問いかけにドンキホーテさんは首を傾げる。
すると笑いながら青い上着の懐から一枚の紙を取り出した。
その紙、いや名刺に書かれた文字を見て思わず俺は目玉が落ちるかと思った。
『秘密結社、黒い羊。特殊問題介入担当、騎士ドンキホーテ』
「ラクレさんと同じ……組織の人?!」
「お、王様知ってるのか君」
ドンキホーテさんはそう言って笑った。
いや笑い事ではないが。
1
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる