いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!

ゆるぽ

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いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!

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「ようやく離婚できるわ~」



教会にたどり着いたフランシアは肩を伸ばしながらつぶやいた。

この国では基本的に離婚することが難しいのだが、特別な理由なく3年間夫婦としての実態が無ければ離婚が可能であった。



「本当に良かったですわお嬢様。あのクソ男ときたらお嬢様に仕事だけ押し付けて自分は遊びまわって浮気し放題とずいぶんふざけてくれましたからね!」



フランシアが幼い時からずっと付き従っている侍女のアンが手を振り回しながら憤る。

それもそのはずでフランシアの夫であったベンは伯爵家を受け継いでおきながら当主としての仕事のすべてをフランシアに押し付けていたのだ。

伯爵家の次女であったフランシアは本来当主の仕事などはできないはずなのだが、いざというとき夫を補助できるようにと両親が色々と教えてくれていたおかげて代行することが出来ていたのだった。



「でも今日でそれもおしまい!書類おねがいしまーす!」



この国では婚姻関係は教会が請け負っているため、各協会に専用の窓口が置いてある。

この日のために揃えた夫婦の営みが無かった証拠を提出する。

事前に専門家にチェックしてもらったときに太鼓判を押してもらったので、問題はないはずだった。










「大変言いにくいのですが、フランシア・リーフ様とベン・グラウブ伯爵はそもそも婚姻の事実がございません」



担当者が言うにいは結婚式が行われた日に一度提出はされたのだがベンの方で字に間違いがあったため書き直しのために返却されたのだった。



「えっとつまり、婚姻届けが出てないから結婚してないってことで良いのよね?なんだ~こんなことなら3年も待たなくてよかったじゃない!」

「あの、そのことなんですが…」



担当者は厳しい顔をして話だした。

フランシアがやっていた当主の仕事は妻であれば許されることであるが、フランシアは書類上未婚であったためベンは未婚の女性を無休で働かせていたことになるのだという。

また、結婚式を挙げておいて婚姻届けを出していないことも結婚詐欺に当たるという。



「リーフ様が提出なされた資料が証拠にもなりますし、こちらとしては騎士団に結婚詐欺と強制労働として訴えることをおススメしますが、どうしますか?」

「もちろん訴えるわ!」



当主代行につかれていたフランシアはベンと離婚さえできればそれでよいと復讐は半ばあきらめていたのだが、思わぬところからチャンスが来たので乗ることにした。





































「キャサリンは今日も素敵だな」

「ベンこそ今日もカッコいいわ」



昼間から酒を飲み愛人とイチャイチャするベン。

そんな彼のもとに使用人たちが紙束をもって現れた。



「旦那様当主としてのお仕事が溜まっております」

「はあ?そんなもんフランシアにやらせときゃいいだろ!邪魔スンナ」

「フランシア様は出ていかれましたよ。今頃は離婚も成立しているでしょう」

「離婚だと?何を言って…あっ」



言いかけてベンは自分がフランシアと結婚してから3年たっていることに気が付いた。



「や、やばい!今すぐ教会に行くぞ!」

「え?なにキャッ!」



愛人キャサリンがこけるのも気にせず慌てて立ち上がるベン。

フランシアとの結婚はリーフ家からの援助をもらうためのもので結婚するまでは良い婚約者を演じていた。

だがこの国では離婚が難しいことに安心してフランシアをないがしろにしていたのだ。

このままではリーフ家からの援助もなくなり代わりに仕事をしてくれるものもいなくなることを理解したベンは急いで彼女を連れ戻そうと急ぐ。



「(婚約中は俺にぞっこんだったんだ。ちょっと優しくすれば戻ってくるはず…)」



そんな甘い考えをしている時に玄関から人がなだれ込んできた。


「ベン・グラウブ伯爵貴殿には結婚詐欺と未婚女性に対する強制労働の件で逮捕状が出ている!おとなしく捕まれ!」

「結婚詐欺!?強制労働!?なんのことだ、はなせ!」


抵抗もむなしくベンは連れていかれたのだった。
























「以上が貴様の罪状だ」

「ちっ違うただ提出し忘れただけなんだ!詐欺をする気なんてなかった!」

「普通婚姻届けなんて大事なもんを忘れるか?しかも貴族がよぉ」


ベンの弁明にガラの悪い騎士が答える。

この国では詐欺などの犯罪は平民や下級貴族を中心とした最下級の騎士団が請け負っておりため取り調べも乱暴になりがちだったりする。

特にこの国の騎士たちは多忙な自分たちを支えてくれる妻や家族にとても感謝しており、愛妻家や家族思いが多いのでベンのような結婚詐欺を行うものには特に厳しく当たっていた。


「結婚詐欺もそうだが、未婚女性の強制労働は重罪だぜ?しかもあんた投手としての仕事のすべてを押し付けてたそうじゃないか!」

ダンッと机をたたく騎士におびえるベン。

彼に対する取り調べはまだ始まったばかりである。













「で、結局ベンはどうなったの?」



リーフ家に戻ったフランシアはアンに尋ねた。



「鉱山で30年の強制労働だそうですよ。なんでもなかなか罪を認めなかったから悪質だと判断されたんですって」

「なるほど結婚詐欺と私への強制労働の割には罪が重いと思ったけど、下手に言い訳して自分の首を絞めたのね」



ベンの正確ならあり得るかとフランシアは思った。

婚約者時代は優しい好青年をうまく演じて周りを騙していたベンだ、今回もうまく周りを騙せるかと思ったのかもしれない。



「馬鹿ね。世間知らずだった私はともかく騎士団相手に通じるわけないでしょうに…でもいい気味だわ!」



フランシアはそういって紅茶を一口飲んだ。

その味は3年間の苦労をねぎらうような優しい味だった。

その後フランシアはベンのことで慎重になりすぎてなかなか結婚に踏み出せなかったが、気の合う男性と出会い今度こそ素敵な結婚をしたという。
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