嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ

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中編

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隣国は心地が良かった。

いや、村のほうが異常だったのだと今ならわかる。

村ではすべてが愛し子中心に回っていたがここではそうじゃない。



このままのんびり暮らそう、そう思った頃に運命が大きく変わる出来事が起こる。


この国の愛し子が私の住んでいる町に来るのだという。



「会いに行こうミミカ!」


私の唯一の友達の花の精霊カスミが突然そんなことを言った。

愛し子には正直会いたくない。

リリスのことを思い出して泣きそうになっている私の額を小さな手でなでてからカスミは続ける。



「大丈夫だよミミカ。この国の愛し子も花の精霊王もとってもいい人だから。信じて」


私は唯一の友の言葉を信じてみることにした。















愛し子と会うと言っても少し離れたところからほかのギャラリーに紛れて見るという感じだっただが。




「まあ!あなた精霊術師になりましょう!」




愛し子は私を見つけるとそんなことを言い出した。





「あら、花の精霊術師の才能があるわ!このままお城に連れ帰っちゃいましょ!」





愛し子の言葉に続けて花の精霊王もとんでもないことを言い出した。

愛し子と精霊王の言葉に逆らえずはずもなくその日のうちにお城に連れていかれてしまった。



それからは本当に色々あった。

まず精霊術師見習いとして養成学校に入学。

この国ではより多くの精霊術師を育てるために才能あるものは無料で養成所に入ることが出来るという。

また学費だけではなく生活費も国が出してくれるほか、学校で研修として実際に仕事をするのだが、学生だから無償ということもなくばっちりお給料がもらえるのだ。




「才能を自覚してたならもっと早く言ってくれれば良かったのに!」




優しく笑いながらそういったのはこの国の愛し子にして養成学校の学長を務めるアリシア・リーフェリアだ。

彼女は本当に良くしてくれた。

この世界では16歳で一応成人となるため17歳の私は親の同意はいらなかったのだが、筋は通した方がいいでしょうと言って入学したことについて一筆書いてくれたりもした。


アリシア様の手紙と自分の手紙を一緒にして両親に送ったところ戻ってきたのは




「噓つきのあなたはもう娘ではありません。仕送りももう結構です」




その一文だけが付いた簡素な手紙だった。

アリシア様の手紙には隣国の正式な紋章があったはずで調べれば本物なのはすぐにわかるはずなのに、結局両親の中で私は愛し子に嫉妬する嘘つきの娘だったのだ。

手紙を見て泣きそうになる私をアリシア様と花の精霊王は優しくなでてくれた。



「悲しいわね。でもこれからは私たちがあなたの家族になるから大丈夫よ」








花の精霊王ローゼリアは愛し子を特別扱いしなかった。

いや、正確に言えばパートナーとして一番大事にはしているが、炎の精霊王のように溺愛したりせずほかの精霊術師たちのことも愛情をもって接していた。





「ねぇミミカ知ってる?世の中の精霊はみな精霊王たちから生まれた子供なのよ。だからね私の子供に愛される精霊使いたちはみな間接的な愛し子だと思っているの」




ローゼリア様は私の髪の毛をやさしくなでながら続ける。




「私の娘であるカスミに愛されるあなたもまた私の愛し子よ。愛しているわミミカ、アリシアも…いいえ周りのみんなあなたのことを好ましく思っているわ」



愛していると言われたのは生まれて初めてかもしれない。

いや、生まれて間もないころは言われていたのかもしれない。

でも7歳の時に両親に精霊術師になりたいと告げたときから嘘つきだと決め付けられ敵意を向けられ続けられてきた。

私は私を愛してくれるローゼリア様やアリシア様、そして精霊術師候補の仲間たち。

彼らがいるから大丈夫。村のことは忘れて彼らを愛して生きていこう。





私の中にずっとあった重くて暗い何かがスッと消えた気がした。












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