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1章
箱入り娘はオーガキング
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アレスがソシアとジョージ、それにティナとダンジョンに素材回収へ行った日から1週間後。
休日だったその日の昼過ぎに、アレスたちはハズヴァルド学園の正門のすぐそばでティナが呼んでいた馬車を待っていた。
「お待たせ皆!今日はありがとう!」
「いやいや、むしろ貴族家の晩餐会に参加させてもらえるんだから感謝するのはこっちの方だろ」
(うわぁ!見たことないくらい豪華な馬車!)
(さ、流石御三家のご令嬢……)
他愛もない雑談をしながら待っていたアレスたちの元にやってきたのは見るからに身分の高いものしか乗れないような豪華すぎる馬車。
白く美しい馬に金の装飾がふんだんに施されたキャビンの外装。
中の装飾も豪華で座り心地のよさそうな広々とした二人掛けの椅子が向かい合うような形で配置されている。
「とにかく皆馬車に乗って。話はこの中でしましょ」
「おう。邪魔するぜ」
「し、ししし、失礼します!」
「どうしましょう。まだ馬車に乗っただけなのに緊張してきてしまいました」
ティナに促され平然と馬車に乗り込んだアレスはティナの横に座る。
少し遅れて緊張からカチコチになったソシアとジョージがアレスとティナの向かいに縮こまりながら座った。
こうして4人が乗り込んだ馬車はティナの実家であるフォルワイル家本邸へと向かっていったのだ。
「うぅ……」
「……」
「ちょっとどうしたのよ2人とも。そんなに緊張して」
「き、緊張するに決まってるじゃないですか!」
「僕らは生まれも育ちも平民なのでこんな豪華な馬車に乗るなんて初めてなんですよ」
「まあ確かにな。久々に乗るとちょっと落ち着かないかも」
「アレス君は昔王族だったことがあるからこういうの経験あるんだよね?」
「どおりで落ち着いてるわけですね」
「まあでも今はただの下民だからな。そういう意味じゃ1番この場には相応しくないよ」
「下民も平民も御三家から見れば大差ありませんよきっと」
「もう皆それくらいにして。皆は私の友達なんだから御三家とか平民とか関係ないんだってば」
「でもティナさん、本当に私たちなんかが貴族の晩餐会に参加してもいいのかな」
「何よ今更ね。この前説明して皆もOKしてくれたじゃない」
そもそもなぜこんなことになったのか。
時は1週間前に遡る……
『晩餐会ってどういうことだ。ちゃんと説明してくれ』
『もちろん。ほら、私はこれでもフォルワイル家の長女だろう?他の貴族たちが内心どう思っていようと流石に無視できる存在ではないんだ。だからよく他の貴族が主催する晩餐会などに呼ばれる機会があってね。参加するのはいいんだが結局形だけのあいさつが終わった後は誰も私と話してくれないの』
『それは大変ですね。ですがなんでそれで先程の話に?』
『その晩餐会には父上も呼ばれているのだけど、多忙な父上は途中で帰ってしまわれるから代わりに私は最後まで残らないといけないの。最後まで残っても誰も話してくれないのに。それで他の皆が楽しそうに会話をする中で私だけ1人なのは寂しいなって思って、皆には来てもらいたいと思ったのだ』
素材回収を終えたアレスたちはダンジョン内で余裕たっぷりな様子で歩きながら会話を続ける。
時々大きな木の陰から魔物が飛び出してくるが、もはやアレスが一瞥もせずに斬り捨て会話を続けていた。
『理由は分かりましたけど……ティナさんが招待されるような晩餐会に、私たちなんかが参加してもいいんですか?』
『もちろん。今度の晩餐会は本当に夕食を頂いて話をするだけの緩いものらしいし、同伴者も歓迎と言われていたからね』
『ですが、僕たちみたいな貴族でも何でもないような人間と一緒に居たらティナさんが周りの方からいろいろと陰口をたたかれてしまうんじゃないでしょうか』
『そんなの今更よ!それに他の貴族連中は父上に取り入ろうと夢中になるから私なんかに目もくれないわ。服装はこっちで用意するし、皆は出された食事を食べながら私とお喋りしてくれるだけでいいの』
『まあ、ティナがそう言うなら俺はいいぞ』
『わ、私も……』
『僕も。少し気が引けますがそういったものに少し興味がありますし』
そうして現在、ティナの頼みを引き受けた3人はこうして馬車に揺られてフォルワイル家へと向かっていたのだ。
「ふふっ。今までいろんなパーティーに招待されてきたけどこんなに楽しみなのは初めてね♪」
「そういえばティナさん。肝心の晩餐会の招待をくれた貴族の方の名前をまだ伺っていませんでしたが、一体どんな方ですか?」
「ああ、そういえば忘れていたわ。今回招待をくれたのはローゲランス家の当主、ビーラ・ローゲランス氏」
「ビーラ・ローゲランス?なーんか聞いたことがあるな」
「えっとたしか……昔は王国軍の銀将だった方ですね」
「ぎ、銀将?」
「あっ。銀将というのは王国軍の中の位のことで、大体真ん中くらいの偉さです」
「思い出した!月影ビーラ!銀将の中でも実力が結構高い方でそこそこ有名だったはず。7歳くらいの時だったかな。俺も1回その人と稽古した事があったわ!」
ビーラ・ローゲランスという名前に聞き覚えがあったアレスは幼かったころの記憶を呼び覚まし手を叩いてみせた。
「そうだな。私も剣術を学ぶ上で彼の名は何度か聞いたことがあった。あまり使い手は多くないらしいが独特で優秀な月影流という流派を修めていて、かなり武闘派の人らしい」
「月影流……そういえば、アレスさんも月影流の技を使ってたりしませんでした?」
「よく覚えてたな。お前の想像通り俺が使ってる月影の技は彼から教えてもらったんだ。月影流剣術は使い勝手がいいから結構愛用してんだ」
「ん?でもアレス、さっき君はビーラ氏と稽古したのは1度だと言っていたはずだが?」
「それは、だな……その時の俺は7歳だったからまだ剣聖のスキルがあっただろ?だから1回の稽古でみた月影の技は全部覚えちまったんだ。んでもってクソガキだった俺は加減もせずに彼をボコボコにしちまった」
「い、いくら何でも無法すぎるぞ君!」
「流石はあの英雄ラーミア様が持っていたスキルですね!」
「うーん。ビーラ様の立場だったらちょっと辛すぎないかなぁ……」
ティナは1度見ただけで相手の技を覚えてしまったという剣聖のチートっぷりに驚き、ジョージは伝承でしか伝えられていない英雄ラーミアが持っていたものと同じ剣聖のスキルの生の話に興奮し、ソシアは武闘派だったのに当時7歳のアレスに完敗したというビーラの心情を思い複雑な感情になるなど、アレスの話に対する3人の反応は様々だった。
「しかしどうすることも出来なかったとはいえ剣聖のスキルが消えてしまったのは本当に惜しかったな。この国にとっても非常に大きな損失だ」
「そうだな。あの時の俺はそれはもう運命を恨んだよ。天国から地獄に落とされた気分だった。でも今では剣聖のスキルを無くして王族を追い出されたことは良かったと思ってるよ」
「そうなんですか?」
「ああ。多分あのまま剣聖のスキルを失ってなかったら、俺は間違いなく自分よりスキルが劣る人間を見下すようになってた。いや、実際そうなりかけてた。今俺が心の底から嫌ってるような人間に」
「そっか……こんなこと言うのはアレス君にすごく申し訳ないと思うけど、私はアレス君がスキルを無くしてよかったなって思ったな。そうじゃなかったら私はアレス君とこんな風に仲良くなんてなれなかったと思うし、今のアレス君が大好きだからスキルで人を差別するような人にならなくて本当に……」
「ソシア……」
「っ///!!ち、違っ……大好きって別にそういう意味で言ったんじゃないよ///!!人間としてというか友達としてというか、別に恋愛感情があるとかそういうことじゃ……///」
「僕も。アレスさんが今のアレスさんでいてくれることが嬉しいです。僕もアレスさんが大好きですから」
「私もだ。私も今の君だから心から友達になりたいと思えたんだ。今の君が大好きだ」
「んだよお前ら。照れるじゃねえか……でもまあ俺もお前らと友達になれて良かったと思ってるよ」
(ふ、2人のおかげで変に誤解されなくて済んだ?私だって2人と同じ理由で好きだって言ったはずなのに……どうしてあんなに取り乱しちゃったんだろう……)
自分だって特別な意味はなくアレスのことを友人として好きだといったはず。
それなのに自分でも驚くほどに取り乱してしまったことに、ソシアは自身の感情が分からなくなり戸惑ってしまった。
「ティナ様。屋敷に到着いたしました」
「あ、ああ。ありがとう。もう屋敷についていたなんて気が付かなかったな。皆とのお喋りに夢中になっていたからかな」
「あーよかった。ちょうど体が火照ってきたところだったから助かったぜ」
「どうしましょう。僕は今から豪邸に入ると考えたらさっきより緊張してきてしまいました」
「友達のうちに遊びに行くのに緊張なんてする必要が無いだろう?」
「いやこれは緊張するって。なあソシア?」
「えっ!?あ、うん!そうだね」
「そうかな。まあとにかく行こうか。家のものに出くわすと面倒になりそうだから裏口から入って着替えたらすぐに出かけてしまおう」
馬車が目的地に到着し4人は外に降りると、そこにはエメルキア王国でもトップクラスの貴族家の屋敷に相応しい豪勢で巨大な建物が目前に出現したのだ。
これにはさすがのアレスも多少の緊張を隠せないようで、上流階級の暮らしを経験していないジョージはなおさらであった。
中へ入るとやはり建物の外観に劣ることのない豪華絢爛さであり、ティナの後に続く3人は屋敷のあらゆるところに目を奪われていた。
「これは……ちょっと凄すぎないか?記憶の中の王宮にも負けてない気がするぞ」
「うーむ、確かにフォルワイル家はここ十数年でさらに成長していると聞いているな」
「ここ数十年で戦争の火種が大きくなってきていますから、御三家の中で武力を売りにしているフォルワイル家は成長が著しいんでしょうか」
「エメルキア王国軍総軍団長様が現フォルワイル家の当主様で、その下の5人の団長のうち3人がフォルワイル家の人間だっけか。そりゃ家の力が増すわけだ」
「我ながらなかなか大変な家に生まれてしまったよ。とまあ、そんな話は置いておいてここが衣裳部屋だ。あっちが紳士用でこっちが婦人用。ソシアの方は私がみるが、アレスたちはどうする?平服でお越しくださいとあったから衣装は部屋にあるものから自由に見繕ってもらっていいが、もし分からないことがあれば使用人を呼んでこようか?」
「俺は平気。ジョージは?」
「僕も知識だけなら一応持ってますので大丈夫かと」
「そうか。すまないな。本当なら使用人を呼ぶべきなんだが家の者……特に父上に知られたら君たちに色々と迷惑を掛けそうなものだから」
「さっきの馬車の女の人は大丈夫なんですか?」
「ああ、彼女は口が堅く信頼できるからな。それじゃあもし困ったら私を呼んでくれ。準備が出来たら隣の部屋で待っていてくれたらいい」
「じゃあ2人とも、またあとでね」
晩餐会に参加するための服装に着替えるため、ティナはソシアと共に衣裳部屋へと入っていった。
アレスとジョージもティナに言われた通り衣裳部屋に入ったのだが、そこには想像を超える種類の服が並べられていた。
「す、凄すぎる……ここにある服をあわせたら一体いくらになるんでしょうか」
「もう想像も出来ん。まあ適当に選んで隣の部屋で待ってようぜ」
特に服装にこだわりのない男子チームは比較的早く衣装を決め、白のシャツに黒の蝶ネクタイ、黒のスーツを着こなしていく。
一方の女子チームはティナの拘りでソシアが着せ替え人形のようにされてしまっており多少時間をかけ過ぎてしまっていたのだ。
「こっちの色もいいわね~!素材がいいから何でも似合っちゃうんだわ!」
「てぃ、ティナさん?」
「ちょっと待ってて!もっといろいろ試したいから!」
「あいつら遅くないか……?」
「アレスさん。女性の身支度は急かしちゃいけませんよ」
「でもたぶんティナの奴がソシアにどんなドレスを着せようか迷いすぎて全然準備が進んでないんだぞ」
「何となく想像は出来ますが……それも込みで、急かしてはいけないんです」
「わぁ~お!ソシアって脱いだら意外とあるのね♪」
「や、やめてくださいよ///!!」
「よいではないか~、よいではないか~♪」
「おっ、この置物すげぇ高そう」
「アレスさん!?不用意に触って壊さないでくださいよ!?」
「流石に大丈夫だって……あっ」
「アレスさん!!??」
「なーんて、冗談冗談」
「こ、こんなに胸元が開いたドレス着られませんよ///!!」
「えー、普段とのギャップでいい感じだと思うんだけどな。それともこっちの金ぴかで派手なドレスを……」
「ティナさん!!」
「ジョージー……なんか最近王都で新しいクレープ屋が出来たって噂あるじゃん?」
「ええ、そうですね」
「今度一緒にいかねー?俺金ないんだけど」
「いいですけど、奢って欲しいならティナにお願いしたほうが良くないですか?」
「あいつの家の財力に頼るのってなんかヤバそうじゃん」
「はぁ……」
「つーかあいつらマジで遅すぎるだろ!!」
ティナは今まで友達がいなかったのだ、女子同士でファッションについてキャッキャウフフした経験などあるわけがなかった。
そのため予想以上にテンションが上がってしまい、結果としてアレスとジョージは長時間待たされることになってしまったのだ。
「ごめん2人とも!少し待たせすぎちゃったかも!」
「いいや、全然待ってないよ」
(アレスさん。最後の方キレてましたけどね……)
しばらくして、ようやく準備が終わったティナがアレスとジョージの待つ部屋に姿を現したのだった。
ティナが選んだのは彼女の銀色の髪がよく映える赤を基調とした少し派手めな袖なしロングワンピース、そして腰のあたりには普段髪を結んでいる青いリボンを結んでアクセントにしている。
靴はヒールが低めのパンプスをチョイス。普段は結んでいる髪も解いてどこかいつもよりお淑やかな印象を受ける。
「ほらソシア!早く来なさいよ!」
「えっと。2人とも、遅くなってごめんね。その私……変、じゃないかな?」
堂々とやってきたティナに対し、生まれて初めて着るような服装で自信なさげな様子のソシアが恐る恐るアレスたちの前に姿を現した。
ソシアはティナのドレスとは対照的な印象を受ける落ち着いた様子の青いドレス。
ワンピースもロングで袖があるため肌の露出はとても少なく靴はヒールがない物を履いていた。
「全然変じゃありませんよ!とても素敵です!」
「ああ。いつもより大人っぽい感じで美しいな」
「ほ、ほんと!?よかった……」
「ねえ、私には何の感想もないのかしら?」
「ティナは……普段からお嬢様っぽいから意外性がないな」
「ちょっと!?」
「嘘だよ。情熱的で綺麗だよ」
「はい。とても似合っていて……僕だけなんだか浮きすぎてるような気がしてきました」
「あら。あなたたちもとっても素敵よ?それじゃあもういい感じの時間になったことだし、さっそくローゲランス家に向かいましょうか」
こうして晩餐会に出ても違和感のない服装に着替えたアレスたちは、再び馬車に乗り込み晩餐会の会場であるローゲランス邸へと向かったのだ。
フォルワイル家の屋敷からローゲランス邸まではあまり距離はなく、4人を乗せた馬車はすぐに目的地へと辿りついた。
ローゲランス邸も貴族の屋敷ということでそこそこの広さはあったが、やはり御三家であるフォルワイル家の屋敷と比べるとどうしても小さく感じてしまうのだった。
「先にティナさんのお家にお邪魔してよかったかもしれません。あっちのお屋敷に入った時よりも緊張がマシです」
「ほんとだね。先にこっちに来てたらカチコチになって歩けてないかも」
「感覚がマヒってんねぇ。別にここもしっかりと豪邸だぞ」
「そうね~。予定だとちょうどもうすぐ父上もここに到着するころだろうから、少し憂鬱だけど会いにいってくるわ」
「俺たちはどうすれば?」
「近くで待っていてくれればいいわ。父上と一緒にビーラ氏への挨拶を済ませたら私はフリーになるから後は晩餐会を楽しみましょ」
「わ、私たちはなにしなくてもいいんですよね?やっぱりドキドキしてきたかも」
「そうですね。貴族の皆様の中に混じってパーティーに参加するなんて今後の人生でもあるかどうか……って、あれは?」
ローゲランス家の屋敷の中を4人が歩いていると、ジョージが遠くの方にある異様な光景を目撃したのだった。
それは1人の少女が10人を超える兵士に囲まれて移動する姿。
ただ歩くだけの動作から純真無垢さが溢れ出るようなその少女は先端まで綺麗に整えられた美しいホワイトブロンドの長い髪をしており、屈強な兵士に囲まれているのがとても印象に残ったのだ。
「凄い警戒態勢。どこか凄い貴族の人なのかな」
「彼女はビーラ氏の1人娘のネオン・ローゲランス氏よ」
「自分の屋敷の中であんな厳重な警備を敷いてるのか?なんかおかしくねえか?」
「ネオン・ローゲランス……少し聞いたことがありますね。確か父親がもの凄い過保護で常に何人もの警備兵に娘を守らせ、ほとんど外出もさせていないんだとか」
「え?なにそれ!」
「過保護……そうね。私もあまり詳しくないのだけど、ビーラ氏は常に怯えてるらしいの。娘さんが持つスキルを目当てに刺客が送られてくるんじゃないかって」
「あのネオン様、そんなにすごいスキルをお持ちなのか?」
「確か彼女は、今まで誰も授かったことがないスキル【オーガキング】を所持しているらしいの」
大量の警備兵に囲まれて歩くネオンはそのままアレスたちから遠ざかるように遠くを歩いていった。
ティナからネオンの話を聞かされたアレスはその光景に異様さを感じ眉をひそめたのだった。
休日だったその日の昼過ぎに、アレスたちはハズヴァルド学園の正門のすぐそばでティナが呼んでいた馬車を待っていた。
「お待たせ皆!今日はありがとう!」
「いやいや、むしろ貴族家の晩餐会に参加させてもらえるんだから感謝するのはこっちの方だろ」
(うわぁ!見たことないくらい豪華な馬車!)
(さ、流石御三家のご令嬢……)
他愛もない雑談をしながら待っていたアレスたちの元にやってきたのは見るからに身分の高いものしか乗れないような豪華すぎる馬車。
白く美しい馬に金の装飾がふんだんに施されたキャビンの外装。
中の装飾も豪華で座り心地のよさそうな広々とした二人掛けの椅子が向かい合うような形で配置されている。
「とにかく皆馬車に乗って。話はこの中でしましょ」
「おう。邪魔するぜ」
「し、ししし、失礼します!」
「どうしましょう。まだ馬車に乗っただけなのに緊張してきてしまいました」
ティナに促され平然と馬車に乗り込んだアレスはティナの横に座る。
少し遅れて緊張からカチコチになったソシアとジョージがアレスとティナの向かいに縮こまりながら座った。
こうして4人が乗り込んだ馬車はティナの実家であるフォルワイル家本邸へと向かっていったのだ。
「うぅ……」
「……」
「ちょっとどうしたのよ2人とも。そんなに緊張して」
「き、緊張するに決まってるじゃないですか!」
「僕らは生まれも育ちも平民なのでこんな豪華な馬車に乗るなんて初めてなんですよ」
「まあ確かにな。久々に乗るとちょっと落ち着かないかも」
「アレス君は昔王族だったことがあるからこういうの経験あるんだよね?」
「どおりで落ち着いてるわけですね」
「まあでも今はただの下民だからな。そういう意味じゃ1番この場には相応しくないよ」
「下民も平民も御三家から見れば大差ありませんよきっと」
「もう皆それくらいにして。皆は私の友達なんだから御三家とか平民とか関係ないんだってば」
「でもティナさん、本当に私たちなんかが貴族の晩餐会に参加してもいいのかな」
「何よ今更ね。この前説明して皆もOKしてくれたじゃない」
そもそもなぜこんなことになったのか。
時は1週間前に遡る……
『晩餐会ってどういうことだ。ちゃんと説明してくれ』
『もちろん。ほら、私はこれでもフォルワイル家の長女だろう?他の貴族たちが内心どう思っていようと流石に無視できる存在ではないんだ。だからよく他の貴族が主催する晩餐会などに呼ばれる機会があってね。参加するのはいいんだが結局形だけのあいさつが終わった後は誰も私と話してくれないの』
『それは大変ですね。ですがなんでそれで先程の話に?』
『その晩餐会には父上も呼ばれているのだけど、多忙な父上は途中で帰ってしまわれるから代わりに私は最後まで残らないといけないの。最後まで残っても誰も話してくれないのに。それで他の皆が楽しそうに会話をする中で私だけ1人なのは寂しいなって思って、皆には来てもらいたいと思ったのだ』
素材回収を終えたアレスたちはダンジョン内で余裕たっぷりな様子で歩きながら会話を続ける。
時々大きな木の陰から魔物が飛び出してくるが、もはやアレスが一瞥もせずに斬り捨て会話を続けていた。
『理由は分かりましたけど……ティナさんが招待されるような晩餐会に、私たちなんかが参加してもいいんですか?』
『もちろん。今度の晩餐会は本当に夕食を頂いて話をするだけの緩いものらしいし、同伴者も歓迎と言われていたからね』
『ですが、僕たちみたいな貴族でも何でもないような人間と一緒に居たらティナさんが周りの方からいろいろと陰口をたたかれてしまうんじゃないでしょうか』
『そんなの今更よ!それに他の貴族連中は父上に取り入ろうと夢中になるから私なんかに目もくれないわ。服装はこっちで用意するし、皆は出された食事を食べながら私とお喋りしてくれるだけでいいの』
『まあ、ティナがそう言うなら俺はいいぞ』
『わ、私も……』
『僕も。少し気が引けますがそういったものに少し興味がありますし』
そうして現在、ティナの頼みを引き受けた3人はこうして馬車に揺られてフォルワイル家へと向かっていたのだ。
「ふふっ。今までいろんなパーティーに招待されてきたけどこんなに楽しみなのは初めてね♪」
「そういえばティナさん。肝心の晩餐会の招待をくれた貴族の方の名前をまだ伺っていませんでしたが、一体どんな方ですか?」
「ああ、そういえば忘れていたわ。今回招待をくれたのはローゲランス家の当主、ビーラ・ローゲランス氏」
「ビーラ・ローゲランス?なーんか聞いたことがあるな」
「えっとたしか……昔は王国軍の銀将だった方ですね」
「ぎ、銀将?」
「あっ。銀将というのは王国軍の中の位のことで、大体真ん中くらいの偉さです」
「思い出した!月影ビーラ!銀将の中でも実力が結構高い方でそこそこ有名だったはず。7歳くらいの時だったかな。俺も1回その人と稽古した事があったわ!」
ビーラ・ローゲランスという名前に聞き覚えがあったアレスは幼かったころの記憶を呼び覚まし手を叩いてみせた。
「そうだな。私も剣術を学ぶ上で彼の名は何度か聞いたことがあった。あまり使い手は多くないらしいが独特で優秀な月影流という流派を修めていて、かなり武闘派の人らしい」
「月影流……そういえば、アレスさんも月影流の技を使ってたりしませんでした?」
「よく覚えてたな。お前の想像通り俺が使ってる月影の技は彼から教えてもらったんだ。月影流剣術は使い勝手がいいから結構愛用してんだ」
「ん?でもアレス、さっき君はビーラ氏と稽古したのは1度だと言っていたはずだが?」
「それは、だな……その時の俺は7歳だったからまだ剣聖のスキルがあっただろ?だから1回の稽古でみた月影の技は全部覚えちまったんだ。んでもってクソガキだった俺は加減もせずに彼をボコボコにしちまった」
「い、いくら何でも無法すぎるぞ君!」
「流石はあの英雄ラーミア様が持っていたスキルですね!」
「うーん。ビーラ様の立場だったらちょっと辛すぎないかなぁ……」
ティナは1度見ただけで相手の技を覚えてしまったという剣聖のチートっぷりに驚き、ジョージは伝承でしか伝えられていない英雄ラーミアが持っていたものと同じ剣聖のスキルの生の話に興奮し、ソシアは武闘派だったのに当時7歳のアレスに完敗したというビーラの心情を思い複雑な感情になるなど、アレスの話に対する3人の反応は様々だった。
「しかしどうすることも出来なかったとはいえ剣聖のスキルが消えてしまったのは本当に惜しかったな。この国にとっても非常に大きな損失だ」
「そうだな。あの時の俺はそれはもう運命を恨んだよ。天国から地獄に落とされた気分だった。でも今では剣聖のスキルを無くして王族を追い出されたことは良かったと思ってるよ」
「そうなんですか?」
「ああ。多分あのまま剣聖のスキルを失ってなかったら、俺は間違いなく自分よりスキルが劣る人間を見下すようになってた。いや、実際そうなりかけてた。今俺が心の底から嫌ってるような人間に」
「そっか……こんなこと言うのはアレス君にすごく申し訳ないと思うけど、私はアレス君がスキルを無くしてよかったなって思ったな。そうじゃなかったら私はアレス君とこんな風に仲良くなんてなれなかったと思うし、今のアレス君が大好きだからスキルで人を差別するような人にならなくて本当に……」
「ソシア……」
「っ///!!ち、違っ……大好きって別にそういう意味で言ったんじゃないよ///!!人間としてというか友達としてというか、別に恋愛感情があるとかそういうことじゃ……///」
「僕も。アレスさんが今のアレスさんでいてくれることが嬉しいです。僕もアレスさんが大好きですから」
「私もだ。私も今の君だから心から友達になりたいと思えたんだ。今の君が大好きだ」
「んだよお前ら。照れるじゃねえか……でもまあ俺もお前らと友達になれて良かったと思ってるよ」
(ふ、2人のおかげで変に誤解されなくて済んだ?私だって2人と同じ理由で好きだって言ったはずなのに……どうしてあんなに取り乱しちゃったんだろう……)
自分だって特別な意味はなくアレスのことを友人として好きだといったはず。
それなのに自分でも驚くほどに取り乱してしまったことに、ソシアは自身の感情が分からなくなり戸惑ってしまった。
「ティナ様。屋敷に到着いたしました」
「あ、ああ。ありがとう。もう屋敷についていたなんて気が付かなかったな。皆とのお喋りに夢中になっていたからかな」
「あーよかった。ちょうど体が火照ってきたところだったから助かったぜ」
「どうしましょう。僕は今から豪邸に入ると考えたらさっきより緊張してきてしまいました」
「友達のうちに遊びに行くのに緊張なんてする必要が無いだろう?」
「いやこれは緊張するって。なあソシア?」
「えっ!?あ、うん!そうだね」
「そうかな。まあとにかく行こうか。家のものに出くわすと面倒になりそうだから裏口から入って着替えたらすぐに出かけてしまおう」
馬車が目的地に到着し4人は外に降りると、そこにはエメルキア王国でもトップクラスの貴族家の屋敷に相応しい豪勢で巨大な建物が目前に出現したのだ。
これにはさすがのアレスも多少の緊張を隠せないようで、上流階級の暮らしを経験していないジョージはなおさらであった。
中へ入るとやはり建物の外観に劣ることのない豪華絢爛さであり、ティナの後に続く3人は屋敷のあらゆるところに目を奪われていた。
「これは……ちょっと凄すぎないか?記憶の中の王宮にも負けてない気がするぞ」
「うーむ、確かにフォルワイル家はここ十数年でさらに成長していると聞いているな」
「ここ数十年で戦争の火種が大きくなってきていますから、御三家の中で武力を売りにしているフォルワイル家は成長が著しいんでしょうか」
「エメルキア王国軍総軍団長様が現フォルワイル家の当主様で、その下の5人の団長のうち3人がフォルワイル家の人間だっけか。そりゃ家の力が増すわけだ」
「我ながらなかなか大変な家に生まれてしまったよ。とまあ、そんな話は置いておいてここが衣裳部屋だ。あっちが紳士用でこっちが婦人用。ソシアの方は私がみるが、アレスたちはどうする?平服でお越しくださいとあったから衣装は部屋にあるものから自由に見繕ってもらっていいが、もし分からないことがあれば使用人を呼んでこようか?」
「俺は平気。ジョージは?」
「僕も知識だけなら一応持ってますので大丈夫かと」
「そうか。すまないな。本当なら使用人を呼ぶべきなんだが家の者……特に父上に知られたら君たちに色々と迷惑を掛けそうなものだから」
「さっきの馬車の女の人は大丈夫なんですか?」
「ああ、彼女は口が堅く信頼できるからな。それじゃあもし困ったら私を呼んでくれ。準備が出来たら隣の部屋で待っていてくれたらいい」
「じゃあ2人とも、またあとでね」
晩餐会に参加するための服装に着替えるため、ティナはソシアと共に衣裳部屋へと入っていった。
アレスとジョージもティナに言われた通り衣裳部屋に入ったのだが、そこには想像を超える種類の服が並べられていた。
「す、凄すぎる……ここにある服をあわせたら一体いくらになるんでしょうか」
「もう想像も出来ん。まあ適当に選んで隣の部屋で待ってようぜ」
特に服装にこだわりのない男子チームは比較的早く衣装を決め、白のシャツに黒の蝶ネクタイ、黒のスーツを着こなしていく。
一方の女子チームはティナの拘りでソシアが着せ替え人形のようにされてしまっており多少時間をかけ過ぎてしまっていたのだ。
「こっちの色もいいわね~!素材がいいから何でも似合っちゃうんだわ!」
「てぃ、ティナさん?」
「ちょっと待ってて!もっといろいろ試したいから!」
「あいつら遅くないか……?」
「アレスさん。女性の身支度は急かしちゃいけませんよ」
「でもたぶんティナの奴がソシアにどんなドレスを着せようか迷いすぎて全然準備が進んでないんだぞ」
「何となく想像は出来ますが……それも込みで、急かしてはいけないんです」
「わぁ~お!ソシアって脱いだら意外とあるのね♪」
「や、やめてくださいよ///!!」
「よいではないか~、よいではないか~♪」
「おっ、この置物すげぇ高そう」
「アレスさん!?不用意に触って壊さないでくださいよ!?」
「流石に大丈夫だって……あっ」
「アレスさん!!??」
「なーんて、冗談冗談」
「こ、こんなに胸元が開いたドレス着られませんよ///!!」
「えー、普段とのギャップでいい感じだと思うんだけどな。それともこっちの金ぴかで派手なドレスを……」
「ティナさん!!」
「ジョージー……なんか最近王都で新しいクレープ屋が出来たって噂あるじゃん?」
「ええ、そうですね」
「今度一緒にいかねー?俺金ないんだけど」
「いいですけど、奢って欲しいならティナにお願いしたほうが良くないですか?」
「あいつの家の財力に頼るのってなんかヤバそうじゃん」
「はぁ……」
「つーかあいつらマジで遅すぎるだろ!!」
ティナは今まで友達がいなかったのだ、女子同士でファッションについてキャッキャウフフした経験などあるわけがなかった。
そのため予想以上にテンションが上がってしまい、結果としてアレスとジョージは長時間待たされることになってしまったのだ。
「ごめん2人とも!少し待たせすぎちゃったかも!」
「いいや、全然待ってないよ」
(アレスさん。最後の方キレてましたけどね……)
しばらくして、ようやく準備が終わったティナがアレスとジョージの待つ部屋に姿を現したのだった。
ティナが選んだのは彼女の銀色の髪がよく映える赤を基調とした少し派手めな袖なしロングワンピース、そして腰のあたりには普段髪を結んでいる青いリボンを結んでアクセントにしている。
靴はヒールが低めのパンプスをチョイス。普段は結んでいる髪も解いてどこかいつもよりお淑やかな印象を受ける。
「ほらソシア!早く来なさいよ!」
「えっと。2人とも、遅くなってごめんね。その私……変、じゃないかな?」
堂々とやってきたティナに対し、生まれて初めて着るような服装で自信なさげな様子のソシアが恐る恐るアレスたちの前に姿を現した。
ソシアはティナのドレスとは対照的な印象を受ける落ち着いた様子の青いドレス。
ワンピースもロングで袖があるため肌の露出はとても少なく靴はヒールがない物を履いていた。
「全然変じゃありませんよ!とても素敵です!」
「ああ。いつもより大人っぽい感じで美しいな」
「ほ、ほんと!?よかった……」
「ねえ、私には何の感想もないのかしら?」
「ティナは……普段からお嬢様っぽいから意外性がないな」
「ちょっと!?」
「嘘だよ。情熱的で綺麗だよ」
「はい。とても似合っていて……僕だけなんだか浮きすぎてるような気がしてきました」
「あら。あなたたちもとっても素敵よ?それじゃあもういい感じの時間になったことだし、さっそくローゲランス家に向かいましょうか」
こうして晩餐会に出ても違和感のない服装に着替えたアレスたちは、再び馬車に乗り込み晩餐会の会場であるローゲランス邸へと向かったのだ。
フォルワイル家の屋敷からローゲランス邸まではあまり距離はなく、4人を乗せた馬車はすぐに目的地へと辿りついた。
ローゲランス邸も貴族の屋敷ということでそこそこの広さはあったが、やはり御三家であるフォルワイル家の屋敷と比べるとどうしても小さく感じてしまうのだった。
「先にティナさんのお家にお邪魔してよかったかもしれません。あっちのお屋敷に入った時よりも緊張がマシです」
「ほんとだね。先にこっちに来てたらカチコチになって歩けてないかも」
「感覚がマヒってんねぇ。別にここもしっかりと豪邸だぞ」
「そうね~。予定だとちょうどもうすぐ父上もここに到着するころだろうから、少し憂鬱だけど会いにいってくるわ」
「俺たちはどうすれば?」
「近くで待っていてくれればいいわ。父上と一緒にビーラ氏への挨拶を済ませたら私はフリーになるから後は晩餐会を楽しみましょ」
「わ、私たちはなにしなくてもいいんですよね?やっぱりドキドキしてきたかも」
「そうですね。貴族の皆様の中に混じってパーティーに参加するなんて今後の人生でもあるかどうか……って、あれは?」
ローゲランス家の屋敷の中を4人が歩いていると、ジョージが遠くの方にある異様な光景を目撃したのだった。
それは1人の少女が10人を超える兵士に囲まれて移動する姿。
ただ歩くだけの動作から純真無垢さが溢れ出るようなその少女は先端まで綺麗に整えられた美しいホワイトブロンドの長い髪をしており、屈強な兵士に囲まれているのがとても印象に残ったのだ。
「凄い警戒態勢。どこか凄い貴族の人なのかな」
「彼女はビーラ氏の1人娘のネオン・ローゲランス氏よ」
「自分の屋敷の中であんな厳重な警備を敷いてるのか?なんかおかしくねえか?」
「ネオン・ローゲランス……少し聞いたことがありますね。確か父親がもの凄い過保護で常に何人もの警備兵に娘を守らせ、ほとんど外出もさせていないんだとか」
「え?なにそれ!」
「過保護……そうね。私もあまり詳しくないのだけど、ビーラ氏は常に怯えてるらしいの。娘さんが持つスキルを目当てに刺客が送られてくるんじゃないかって」
「あのネオン様、そんなにすごいスキルをお持ちなのか?」
「確か彼女は、今まで誰も授かったことがないスキル【オーガキング】を所持しているらしいの」
大量の警備兵に囲まれて歩くネオンはそのままアレスたちから遠ざかるように遠くを歩いていった。
ティナからネオンの話を聞かされたアレスはその光景に異様さを感じ眉をひそめたのだった。
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