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1章
無法すぎるにも限度がある
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「うそ……首を斬っても体を真っ二つにしても倒せないなんて……」
アレスによって首を落とされ体を縦に切断された鬼蜘蛛の化け物は何事もなかったかのように完璧に再生してしまった。
一方のアレスは体の不調により意識が朦朧とし始めていた。
(だめだ、このままここで戦っても全滅する!)
「お前ら!早くここから……うっ!?」
「アレスさん!?」
「グギャァアア!!」
首を斬っても死なない化け物を目の当たりにしてすぐに撤退の判断を下そうとしたアレス。
しかしその直後めまいを起こしたようにふらふらと倒れそうになってしまう。
その隙を付き化け物はアレスを捕食しようと口を大きく開け飛びかかってきた。
「アレスさん!ぐあ!?」
「ジョージ!!すまん、油断した!」
「くそ!!てめぇの相手は俺がしてやるよぉ!!」
一瞬動きの止まってしまったアレスを間一髪でジョージが助ける。
ユーゴはそんなアレスの隙をカバーするため単身化け物に戦いを挑んだ。
「くそがっ!!ミンチになれやぁ!!」
「グギャアアア!!」
(くそ!俺の力じゃこいつの固い体を打ち破れねえ……)
「アレス君ジョージ君!!大丈夫?今すぐ回復を!」
「すまんソシア……」
洞窟内の明かりはユーゴが浮かせ続けている火の玉で賄うことが出来ている。
ソシアはアレスとジョージに駆け寄ると、光源魔法の継続をやめすぐさま2人の回復を行おうとした。
しかし……
「グギャァアア!!」
「ぐはっ!?」
「ユーゴ!!」
(まずい!明かりが!!)
ソシアが光源魔法を解除したそのすぐ直後、化け物の拳をもろに食らったユーゴが火の玉を維持することができなくなり洞窟内は暗闇に包まれたのだ。
「ユーゴ!?大丈夫ですかユーゴ!?」
「声を出すなネオン!!喋ると位置が化け物に知られるぞ!」
「グロロ……グギャアアア!!」
「ひっ!?」
(まずい!!ネオンが襲われる……でも、体が動かん……)
「も、もう一度光源魔法を……」
明かりが消えたことを認識したソシアは再び光源魔法の発動を試みる。
焦る気持ちを抑え素早く詠唱をするソシア。
なんとか光源魔法の発動自体は成功させることには成功したのだがその明かりによって見えたものは、化け物に今にも食べられそうになっていたネオンの姿だったのだ。
「グギャアアア!!」
「っ!た、助け……」
「ネオン様!!」
「そんな!?」
(ダメだ、間に合わねぇ……)
「ぐわぁああああ!!」
「っ!!ユーゴ!?」
しかし化け物がネオンに噛みつく寸前、さっき殴り飛ばされたはずのユーゴが頭部から血を流しながらもネオンと化け物の間に割って入ったのだ。
こん棒を拾う余裕のなかったユーゴはネオンを庇い化け物に右肩を大きく噛みつかれてしまう。
オーガの強靭な肉体で何とか肩を食い千切られる最悪の事態を避けられたユーゴは力を振り絞り化け物に左拳を叩き込んだ。
「グギャアア……ガッ!?」
「すまんユーゴ!大丈夫か!?」
「ごほっ……はぁ……はぁ……なん、とか……な」
「ユーゴ!ユーゴ!?」
なんとか肩を食い千切られることはなかったが、それでもかなりの深手でユーゴはその場に崩れ落ちてしまった。
アレスは何とか化け物の注意を引き付けようと戦うが、どこを斬っても致命傷とならない相手ではただの時間稼ぎにしかならない。
「ネオン様……あなたが、無事で……ごほっ!よかったです……」
「ユーゴ!どうして……どうしてあなたは、私のためにここまで……いえ、そうでしたね。私がオーガキングのスキルを持っているから。あなたは私を守ろうとするんですよね」
「……。実は……ネオン様に黙っていたことが、あります」
「私に、黙っていたこと?」
「オーガキングのスキルは譲渡するしか他者に渡せないと説明しましたが。もう一つ、オーガキングのスキルを持つ者の心臓をオーガが喰らえば、そのスキルを奪うことが出来るのです」
「えっ……」
(なに!?じゃあこいつがネオンを食おうとする理由はそういうことか!?)
「だから、里の大半のものはネオン様を里に連れ帰らずに殺して心臓を奪えばよいといったのです。でも……俺はそれに反対しました」
深手を負い喋るのも苦しそうな様子のユーゴだったが、それまでネオンに隠してきた真実を必死に打ち明け始めたのだ。
オーガの里は排他的で、もともとはスキルを譲渡したネオンを里に住まわせると考えるものは誰一人いなかった。
それどころかオーガキングのスキルも長距離で不安定な転移魔方陣で2人を里へ移動させるなんてことはせず心臓を奪い1人で帰還する方法をとる予定だったのだ。
「どうして?確かにスキルを譲渡した後の私のことなんてあなた方が考える必要なんてないはずです。では、なぜあなたはその考えに反対されたんですか?」
「ネオン様の境遇を聞き……辛い思いをされてきたのだと知り、何とかして、助けたいと思ったんです。テレパシーで聞いたあなたの声は優しそうだったのに酷く寂しそうで……」
「ユーゴ……」
「俺は、ネオン様に惚れてしまったんです。スキルのためじゃなく……あなたに幸せになって欲しかったんです」
「っ!!」
ユーゴはずっと隠してきた本当の気持ちをネオンに打ち明けたのだ。
始めはユーゴは人間のことが大嫌いだった。
オーガと人間は昔から人間と対立関係にあり、人間であるネオンのこともスキルを奪えれば後はどうなっても構わないと考えていた。
しかし……
『はい。この家は普段は警備が厳しすぎるので、お父様に外から人が大勢やってくるような催しを開くように誘導します』
『ご協力感謝する。それでは屋敷の情報も含め詳しい情報提供も頼めるか』
『はい。もちろんでございます』
(世間知らずのお嬢様だな。スキルだけ奪われて命を取られるとはまるで思っていない……)
『必要な情報はなんでもお渡しします。その代わりと言っては何ですが……お暇な時でよろしいので、私とお喋りをしてくれませんか?』
『お喋り、ですか?』
『はい。私は6年以上も外に出られなくて友人なども一人もおりません。ですので、こうして家の者以外の方とお喋りすることが私にとっては憧れなんですよ』
『はあ……それくらいなら、構いませんが』
『まあ!ありがとうございます!ふふっ、ずっと退屈していましたのでなんだか楽しくなってきてしまいましたわ』
『……』
ユーゴはネオンと話していくうちに彼女に感情移入して行ってしまったのだ。
ネオンは悪い人間ではなく、むしろとても優しく心の澄んだ人間だと知った。
そしていつしか彼女と話すことがユーゴにとっての楽しみとなっていた。
もっと話をしたいと……もっと彼女の笑う声が聞きたいと。
いつしか彼女と直接会って……そして、彼女の顔を見て共に笑いたいと願うようになっていた。
「ユーゴ!ユーゴ!!」
ユーゴからそんな思いを打ち明けられたネオンは涙を流して彼の名前を叫んでいた。
スキルのせいで長い間屋敷に閉じ込められ、大好きだったはずの父親も自分ではなく自分が持つスキルに対してしか関心を示さなくなっていた。
だからスキルではなく本当の自分を想ってくれるユーゴの気持ちが嬉しくて……そんな彼を守りたいと考えた。
(私は、守られるだけなのはもう嫌だ!!オーガキングのスキルを持つ者はオーガを……ユーゴを導かなきゃいけないはずだから。このスキルで私はユーゴを守りたい!!)
「くそが!全身くまなく切り刻んでも再生しやがる!」
「アレス君!!……っ!?」
「この光は、ネオンさん!?」
ユーゴを守りたいと強く願ったネオンは突如眩い光を放った。
光の中でネオンはまるで10年の時が経過したかのように体が大きくなっていった。
子供らしかった彼女の見た目は大人のようになり……額と前髪の境目からはオーガを象徴する立派な角が生えてきていたのだ。
「私も、ユーゴを守るために戦うから!」
「ネオン様!まるでオーガのお姫様みたい……」
「へへっ、当たり前だよなぁ。俺はお前らが未練なく死ぬための遺言タイムを稼いでたわけじゃないんだからな」
「す、まん……アレス、恩に……きる」
「グギャァアア!!!」
ネオンの覚醒に化け物は耳を劈くような咆哮をみせた。
そんな様子を見ていたジョージがあることを思い出し声を張り上げたのだ。
「アレスさん!!ネオン様!!思い出しました!!昔どこかで鬼の王が不死身の化け物を打ち倒すというおとぎ話を聞いたことがあります!!」
「鬼の王が不死身の化け物を!?」
「それってまさか……」
「鬼の王が化け物の胸を貫いて、それで戦いは終わったんです!」
「なるほど。賭けてみる価値はありそうだ」
「グギャァアア!!」
ここで化け物は再び狙いをネオンに定め突進を開始する。
「私が、胸を貫いて……はぁあああ!!」
バチィン!!
「弾かれた!?」
「避けろネオン!!」
「くっ……きゃああ!!」
ネオンはジョージの言う通りに化け物の胸をめがけてエネルギー弾を放った。
しかしその攻撃は化け物の蜘蛛の脚に弾かれてしまう。
そのまま突進してきた化け物の攻撃をネオンはギリギリで回避したのだった。
「胸に、当てないと……でも……」
「グギャアアア!!」
(スキルを覚醒させても戦闘経験がなさすぎる。奴の脚を避けて胸に攻撃を当てることも……そもそも攻撃力が低すぎて奴の強靭な筋肉を貫けない!)
「ごほっ、ごほっ……」
「アレス君!?大丈夫!?」
「大丈夫……とはいえないな。次の攻撃で決めないとまずい!」
アレスは必死に思考を巡らせる。
化け物を倒すためにはネオンの攻撃で胸を貫かなければいけない。
しかし戦闘素人のネオンでは化け物の脚を避けて攻撃を命中させる技術も、奴の外皮を貫けるだけの威力を出すこともできない。
(奴の動きを止めつつ蜘蛛の脚を無力化し、固すぎる外皮をはがして弱点を露出させる……あれしかねぇ!!)
肉体の限界を迎えかけていたアレスがこの状況を打破できるベストの技を思いつく。
剣を強く握りしめたアレスは一瞬だけ近くで倒れているティナの方に視線を送ったのだ。
(よし、ティナは気絶してるな。悪いがまた無法をはたらかせてもらうぞ!)
「ネオン!!次の一撃で決めろ!!」
「え、でも……」
「俺に任せろ!!」
「っ!はい!!」
「グギャァアア!!!」
残されたすべての力を振り絞るべく、アレスは剣を強く握り全力で化け物に駆け出した。
「グギャァアア!!」
「フォルワイル家奥義……」
「ギィ!?」
「万花繚乱!!!!!」
「ギャアァアアアア!!」
アレスの繰り出した万の斬撃が激しく化け物を切り刻む。
まるで咲き乱れる花のような光が治まるとそこには表面をくまなく削り取られ外皮を失い、蜘蛛の脚だけでなく手足をも切り刻まれたことにより攻撃の手段を失った化け物の姿があった。
「うっ……」
「アレスさん!」
「決めろネオン!ラストチャンスだ!」
極大の奥義を放ち倒れ行くアレス。
そんなアレスの声に覚悟を決めたネオンは重力に抗う術を失い膝から崩れ落ちる化け物の胸をめがけて渾身の攻撃を放ったのだ。
アレスによって首を落とされ体を縦に切断された鬼蜘蛛の化け物は何事もなかったかのように完璧に再生してしまった。
一方のアレスは体の不調により意識が朦朧とし始めていた。
(だめだ、このままここで戦っても全滅する!)
「お前ら!早くここから……うっ!?」
「アレスさん!?」
「グギャァアア!!」
首を斬っても死なない化け物を目の当たりにしてすぐに撤退の判断を下そうとしたアレス。
しかしその直後めまいを起こしたようにふらふらと倒れそうになってしまう。
その隙を付き化け物はアレスを捕食しようと口を大きく開け飛びかかってきた。
「アレスさん!ぐあ!?」
「ジョージ!!すまん、油断した!」
「くそ!!てめぇの相手は俺がしてやるよぉ!!」
一瞬動きの止まってしまったアレスを間一髪でジョージが助ける。
ユーゴはそんなアレスの隙をカバーするため単身化け物に戦いを挑んだ。
「くそがっ!!ミンチになれやぁ!!」
「グギャアアア!!」
(くそ!俺の力じゃこいつの固い体を打ち破れねえ……)
「アレス君ジョージ君!!大丈夫?今すぐ回復を!」
「すまんソシア……」
洞窟内の明かりはユーゴが浮かせ続けている火の玉で賄うことが出来ている。
ソシアはアレスとジョージに駆け寄ると、光源魔法の継続をやめすぐさま2人の回復を行おうとした。
しかし……
「グギャァアア!!」
「ぐはっ!?」
「ユーゴ!!」
(まずい!明かりが!!)
ソシアが光源魔法を解除したそのすぐ直後、化け物の拳をもろに食らったユーゴが火の玉を維持することができなくなり洞窟内は暗闇に包まれたのだ。
「ユーゴ!?大丈夫ですかユーゴ!?」
「声を出すなネオン!!喋ると位置が化け物に知られるぞ!」
「グロロ……グギャアアア!!」
「ひっ!?」
(まずい!!ネオンが襲われる……でも、体が動かん……)
「も、もう一度光源魔法を……」
明かりが消えたことを認識したソシアは再び光源魔法の発動を試みる。
焦る気持ちを抑え素早く詠唱をするソシア。
なんとか光源魔法の発動自体は成功させることには成功したのだがその明かりによって見えたものは、化け物に今にも食べられそうになっていたネオンの姿だったのだ。
「グギャアアア!!」
「っ!た、助け……」
「ネオン様!!」
「そんな!?」
(ダメだ、間に合わねぇ……)
「ぐわぁああああ!!」
「っ!!ユーゴ!?」
しかし化け物がネオンに噛みつく寸前、さっき殴り飛ばされたはずのユーゴが頭部から血を流しながらもネオンと化け物の間に割って入ったのだ。
こん棒を拾う余裕のなかったユーゴはネオンを庇い化け物に右肩を大きく噛みつかれてしまう。
オーガの強靭な肉体で何とか肩を食い千切られる最悪の事態を避けられたユーゴは力を振り絞り化け物に左拳を叩き込んだ。
「グギャアア……ガッ!?」
「すまんユーゴ!大丈夫か!?」
「ごほっ……はぁ……はぁ……なん、とか……な」
「ユーゴ!ユーゴ!?」
なんとか肩を食い千切られることはなかったが、それでもかなりの深手でユーゴはその場に崩れ落ちてしまった。
アレスは何とか化け物の注意を引き付けようと戦うが、どこを斬っても致命傷とならない相手ではただの時間稼ぎにしかならない。
「ネオン様……あなたが、無事で……ごほっ!よかったです……」
「ユーゴ!どうして……どうしてあなたは、私のためにここまで……いえ、そうでしたね。私がオーガキングのスキルを持っているから。あなたは私を守ろうとするんですよね」
「……。実は……ネオン様に黙っていたことが、あります」
「私に、黙っていたこと?」
「オーガキングのスキルは譲渡するしか他者に渡せないと説明しましたが。もう一つ、オーガキングのスキルを持つ者の心臓をオーガが喰らえば、そのスキルを奪うことが出来るのです」
「えっ……」
(なに!?じゃあこいつがネオンを食おうとする理由はそういうことか!?)
「だから、里の大半のものはネオン様を里に連れ帰らずに殺して心臓を奪えばよいといったのです。でも……俺はそれに反対しました」
深手を負い喋るのも苦しそうな様子のユーゴだったが、それまでネオンに隠してきた真実を必死に打ち明け始めたのだ。
オーガの里は排他的で、もともとはスキルを譲渡したネオンを里に住まわせると考えるものは誰一人いなかった。
それどころかオーガキングのスキルも長距離で不安定な転移魔方陣で2人を里へ移動させるなんてことはせず心臓を奪い1人で帰還する方法をとる予定だったのだ。
「どうして?確かにスキルを譲渡した後の私のことなんてあなた方が考える必要なんてないはずです。では、なぜあなたはその考えに反対されたんですか?」
「ネオン様の境遇を聞き……辛い思いをされてきたのだと知り、何とかして、助けたいと思ったんです。テレパシーで聞いたあなたの声は優しそうだったのに酷く寂しそうで……」
「ユーゴ……」
「俺は、ネオン様に惚れてしまったんです。スキルのためじゃなく……あなたに幸せになって欲しかったんです」
「っ!!」
ユーゴはずっと隠してきた本当の気持ちをネオンに打ち明けたのだ。
始めはユーゴは人間のことが大嫌いだった。
オーガと人間は昔から人間と対立関係にあり、人間であるネオンのこともスキルを奪えれば後はどうなっても構わないと考えていた。
しかし……
『はい。この家は普段は警備が厳しすぎるので、お父様に外から人が大勢やってくるような催しを開くように誘導します』
『ご協力感謝する。それでは屋敷の情報も含め詳しい情報提供も頼めるか』
『はい。もちろんでございます』
(世間知らずのお嬢様だな。スキルだけ奪われて命を取られるとはまるで思っていない……)
『必要な情報はなんでもお渡しします。その代わりと言っては何ですが……お暇な時でよろしいので、私とお喋りをしてくれませんか?』
『お喋り、ですか?』
『はい。私は6年以上も外に出られなくて友人なども一人もおりません。ですので、こうして家の者以外の方とお喋りすることが私にとっては憧れなんですよ』
『はあ……それくらいなら、構いませんが』
『まあ!ありがとうございます!ふふっ、ずっと退屈していましたのでなんだか楽しくなってきてしまいましたわ』
『……』
ユーゴはネオンと話していくうちに彼女に感情移入して行ってしまったのだ。
ネオンは悪い人間ではなく、むしろとても優しく心の澄んだ人間だと知った。
そしていつしか彼女と話すことがユーゴにとっての楽しみとなっていた。
もっと話をしたいと……もっと彼女の笑う声が聞きたいと。
いつしか彼女と直接会って……そして、彼女の顔を見て共に笑いたいと願うようになっていた。
「ユーゴ!ユーゴ!!」
ユーゴからそんな思いを打ち明けられたネオンは涙を流して彼の名前を叫んでいた。
スキルのせいで長い間屋敷に閉じ込められ、大好きだったはずの父親も自分ではなく自分が持つスキルに対してしか関心を示さなくなっていた。
だからスキルではなく本当の自分を想ってくれるユーゴの気持ちが嬉しくて……そんな彼を守りたいと考えた。
(私は、守られるだけなのはもう嫌だ!!オーガキングのスキルを持つ者はオーガを……ユーゴを導かなきゃいけないはずだから。このスキルで私はユーゴを守りたい!!)
「くそが!全身くまなく切り刻んでも再生しやがる!」
「アレス君!!……っ!?」
「この光は、ネオンさん!?」
ユーゴを守りたいと強く願ったネオンは突如眩い光を放った。
光の中でネオンはまるで10年の時が経過したかのように体が大きくなっていった。
子供らしかった彼女の見た目は大人のようになり……額と前髪の境目からはオーガを象徴する立派な角が生えてきていたのだ。
「私も、ユーゴを守るために戦うから!」
「ネオン様!まるでオーガのお姫様みたい……」
「へへっ、当たり前だよなぁ。俺はお前らが未練なく死ぬための遺言タイムを稼いでたわけじゃないんだからな」
「す、まん……アレス、恩に……きる」
「グギャァアア!!!」
ネオンの覚醒に化け物は耳を劈くような咆哮をみせた。
そんな様子を見ていたジョージがあることを思い出し声を張り上げたのだ。
「アレスさん!!ネオン様!!思い出しました!!昔どこかで鬼の王が不死身の化け物を打ち倒すというおとぎ話を聞いたことがあります!!」
「鬼の王が不死身の化け物を!?」
「それってまさか……」
「鬼の王が化け物の胸を貫いて、それで戦いは終わったんです!」
「なるほど。賭けてみる価値はありそうだ」
「グギャァアア!!」
ここで化け物は再び狙いをネオンに定め突進を開始する。
「私が、胸を貫いて……はぁあああ!!」
バチィン!!
「弾かれた!?」
「避けろネオン!!」
「くっ……きゃああ!!」
ネオンはジョージの言う通りに化け物の胸をめがけてエネルギー弾を放った。
しかしその攻撃は化け物の蜘蛛の脚に弾かれてしまう。
そのまま突進してきた化け物の攻撃をネオンはギリギリで回避したのだった。
「胸に、当てないと……でも……」
「グギャアアア!!」
(スキルを覚醒させても戦闘経験がなさすぎる。奴の脚を避けて胸に攻撃を当てることも……そもそも攻撃力が低すぎて奴の強靭な筋肉を貫けない!)
「ごほっ、ごほっ……」
「アレス君!?大丈夫!?」
「大丈夫……とはいえないな。次の攻撃で決めないとまずい!」
アレスは必死に思考を巡らせる。
化け物を倒すためにはネオンの攻撃で胸を貫かなければいけない。
しかし戦闘素人のネオンでは化け物の脚を避けて攻撃を命中させる技術も、奴の外皮を貫けるだけの威力を出すこともできない。
(奴の動きを止めつつ蜘蛛の脚を無力化し、固すぎる外皮をはがして弱点を露出させる……あれしかねぇ!!)
肉体の限界を迎えかけていたアレスがこの状況を打破できるベストの技を思いつく。
剣を強く握りしめたアレスは一瞬だけ近くで倒れているティナの方に視線を送ったのだ。
(よし、ティナは気絶してるな。悪いがまた無法をはたらかせてもらうぞ!)
「ネオン!!次の一撃で決めろ!!」
「え、でも……」
「俺に任せろ!!」
「っ!はい!!」
「グギャァアア!!!」
残されたすべての力を振り絞るべく、アレスは剣を強く握り全力で化け物に駆け出した。
「グギャァアア!!」
「フォルワイル家奥義……」
「ギィ!?」
「万花繚乱!!!!!」
「ギャアァアアアア!!」
アレスの繰り出した万の斬撃が激しく化け物を切り刻む。
まるで咲き乱れる花のような光が治まるとそこには表面をくまなく削り取られ外皮を失い、蜘蛛の脚だけでなく手足をも切り刻まれたことにより攻撃の手段を失った化け物の姿があった。
「うっ……」
「アレスさん!」
「決めろネオン!ラストチャンスだ!」
極大の奥義を放ち倒れ行くアレス。
そんなアレスの声に覚悟を決めたネオンは重力に抗う術を失い膝から崩れ落ちる化け物の胸をめがけて渾身の攻撃を放ったのだ。
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