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1章
ただの小娘と侮るなかれ
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モーリスから逃れたアレスと合流を果たしたアリアは、火炎魔法によるやけどを負っていたアレスに回復魔法を使用したのだった。
「アレスさんがここまでやられるなんて、相手はとても手強いんですね」
「ああ、はっきり言って舐めてたな。それにしてもアリア、回復も上手いんだな。流石光魔術師だ」
アリアは光源魔法を維持したままアレスに回復魔法を施している。
アリアのスキルは【光魔法強化】というもの。
仲間にプラスの影響を与える魔法に特化した光魔術師の才能を伸ばすスキルであり、多くの魔物に特効となる光の攻撃魔法も扱えるという優れたもの。
そんなアリアの回復魔法によってアレスのダメージはほとんど回復してしまった。
「ありがとうアリア。助かったよ」
「はい。ですがすみません。私の実力では毒の回復まではできませんでした」
「いや、大丈夫だ。これで十分戦える」
爆傷が癒えたアレスだったのだが、立ち上がった際に一瞬毒の影響でふらりとバランスを崩しかけてしまう。
回復魔法と一口に言ってもなにを回復させるかによりその難易度は異なり、単純な肉体の損傷から魔力の回復とその難易度の差は計り知れない。
回復魔法に大切な要素の一つに挙げられるのはイメージすること。
目に見える傷を治すのなら何を治せばいいのか一目瞭然だが、それが自身のイメージできるものからかけ離れるほどに回復が困難となる。
一般的に外傷の治癒、解析が完了している毒の解毒、魔力の回復の順に難易度が変化すると言われている。
ちなみに病気の回復には一般的な回復魔法は効果が薄いとされている。
「よし、それじゃあアリア。お前に頼みたいことがあるんだが」
「はい!私にできることなら頑張ります!」
立ち上がって軽くストレッチをしたアレスはあの老人を倒す策をアリアに伝える。
そしてモーリスが先にマグナ達を発見しないようにアレスたちは急いで移動を始めたのだった。
「私としたことが。あの後すぐに追いかけるべきでしたかな」
アレスを見失ったモーリスは奇襲を警戒し、アレスを真っ先に始末しようと遺跡を探索していた。
先程の戦いはモーリスが終始優勢だったとはいえ一歩間違えればアレスに軍配が上がっていた。
それゆえにモーリスは自分の命を脅かすアレスを排除しようとしていたのだ。
「まったく、この入り組んだ遺跡の中では捜索は困難ですかな。かといって放置すればいつ奇襲を仕掛けてくるかもわからない。本当に困ったものだ……おや?」
「よう。元気してたか、爺さん」
あまり広範囲の探索魔法が得意ではなかったモーリスがアレスの捜索にため息をついていると、突如目の前からアレスが姿を現したのだった。
アレスは奇襲を試みるでもなく仁王立ちでモーリスを待ち構えていた。
そんなアレスの姿にモーリスは当然警戒を強める。
(あの少年が無策で私にリベンジをするわけがない。何か策を弄しているのは間違いない……サーチ!)
モーリスはアレスから距離をとった状態で探索魔法を使用する。
(むっ!?彼の奥……下の通路に1人いる?あれは……先ほど彼と一緒に行動していたお嬢さんか)
探索魔法を使用したモーリスはすぐにその異変に気が付いた。
モーリスとアレスがいる通路のすぐ下、少し進んだ所にアリアが待ち構えていることを発見したのだ。
(彼女がいるすぐ傍の天井……奥の床に小さな穴が開いている。まさか、私があそこを通過するときに下から魔法で攻撃するつもりか?)
「どうした爺さん、ビビってんのか?」
「……この私がビビる?ふふっ、まさか。あなたの実力は認めていますが、あのお嬢さんは戦いに関しては全くの素人でしょう?魔力量も恐れるものではない」
(先にあのお嬢さんを始末するか?いや、それより彼から目を離す方がよっぽど危険だ)
「それじゃあ第2ラウンド、始めるとしようか。飛翔・鷹の目!!」
「ふんっ!メガファイア!!」
(何か仕掛けてくることさえ把握していれば私が遅れを取ることはない!!)
アリアの存在に思考を巡らせるモーリスに、アレスは離れた位置から斬撃を飛ばし攻撃を開始した。
それに対してモーリスも魔法で応戦する構え。
「ひゃお!こりゃ分が悪いぜ!また逃げようかな!」
「なんとヘタな芝居を。彼女の元に誘導したいのが丸見えです!」
アレスはモーリスの魔法に怯んだような下手な演技で後方へ下がる。
モーリスは罠があることを分かったうえで、再びアレスを逃がす方が面倒だと判断し真っ向から罠を潰すべくアレスとの間合いを詰めたのだった。
「くそ!くるなよ爺さん!」
(あのお嬢さんが構えた。やはり私があの穴を通過するときに攻撃を仕掛ける気か。失望しましたよ少年。こんな下手な小細工に頼るなど)
モーリスは心底がっかりしたような目でアレスを見ながら異様な雰囲気を纏いだす。
(来た、あの重力スキルだ)
「ここでは私のスキルから逃れることは出来ない!!」
(あの穴の真上をを通過する瞬間に穴に魔法を捻じ込んで彼女を殺し、私の【重力強化】で彼を拘束する!!」
アリアの頭上の穴を通過するときに魔法でアリアを、それと同時にスキルでアレスを仕留める。
そんな作戦でアレスの策を正面から叩き潰そうとモーリスは考える。
「フラッシュ!!」
「なにっ!?」
しかしモーリスが穴を通過するよりも早く。
アリアは光源魔法を発動させ、アレスとモーリスの間に光の球を発生させたのだ。
(攻撃じゃない!?……しまっ)
「フルパワー!!」
「ぬぁあああああ!!」
想定外の魔法にモーリスは一瞬思考を止めてしまう。
その隙にアリアは光源魔法の明かりを最大化。
それによりモーリスの目をくらませ視界を奪うことに成功したのだ。
『あいつのスキルで発生する重力がクソほど厄介だが、恐らくあれは視界内の相手にしか効果がない。俺が階下に落ちた瞬間にその効果が切れたし、あいつは魔力探知が出来るのにわざわざ光源魔法を使用し直した。だから視界を奪えれば重力に捕まることはない』
「くそっ!!」
「適当に放った魔法が俺に当たるわけがない。チェックメイトだ、モーリス・エドワルド」
「ぐぁあああ!!!」
視界を完全に失ったモーリスは苦し紛れに火炎魔法を放つ。
しかし目を閉じていても周囲の状況を把握できるアレスは当てずっぽうに放たれた魔法をいとも簡単に回避し、振り上げた剣を勢いよくモーリスに振り下ろしたのだった。
「アレスさんがここまでやられるなんて、相手はとても手強いんですね」
「ああ、はっきり言って舐めてたな。それにしてもアリア、回復も上手いんだな。流石光魔術師だ」
アリアは光源魔法を維持したままアレスに回復魔法を施している。
アリアのスキルは【光魔法強化】というもの。
仲間にプラスの影響を与える魔法に特化した光魔術師の才能を伸ばすスキルであり、多くの魔物に特効となる光の攻撃魔法も扱えるという優れたもの。
そんなアリアの回復魔法によってアレスのダメージはほとんど回復してしまった。
「ありがとうアリア。助かったよ」
「はい。ですがすみません。私の実力では毒の回復まではできませんでした」
「いや、大丈夫だ。これで十分戦える」
爆傷が癒えたアレスだったのだが、立ち上がった際に一瞬毒の影響でふらりとバランスを崩しかけてしまう。
回復魔法と一口に言ってもなにを回復させるかによりその難易度は異なり、単純な肉体の損傷から魔力の回復とその難易度の差は計り知れない。
回復魔法に大切な要素の一つに挙げられるのはイメージすること。
目に見える傷を治すのなら何を治せばいいのか一目瞭然だが、それが自身のイメージできるものからかけ離れるほどに回復が困難となる。
一般的に外傷の治癒、解析が完了している毒の解毒、魔力の回復の順に難易度が変化すると言われている。
ちなみに病気の回復には一般的な回復魔法は効果が薄いとされている。
「よし、それじゃあアリア。お前に頼みたいことがあるんだが」
「はい!私にできることなら頑張ります!」
立ち上がって軽くストレッチをしたアレスはあの老人を倒す策をアリアに伝える。
そしてモーリスが先にマグナ達を発見しないようにアレスたちは急いで移動を始めたのだった。
「私としたことが。あの後すぐに追いかけるべきでしたかな」
アレスを見失ったモーリスは奇襲を警戒し、アレスを真っ先に始末しようと遺跡を探索していた。
先程の戦いはモーリスが終始優勢だったとはいえ一歩間違えればアレスに軍配が上がっていた。
それゆえにモーリスは自分の命を脅かすアレスを排除しようとしていたのだ。
「まったく、この入り組んだ遺跡の中では捜索は困難ですかな。かといって放置すればいつ奇襲を仕掛けてくるかもわからない。本当に困ったものだ……おや?」
「よう。元気してたか、爺さん」
あまり広範囲の探索魔法が得意ではなかったモーリスがアレスの捜索にため息をついていると、突如目の前からアレスが姿を現したのだった。
アレスは奇襲を試みるでもなく仁王立ちでモーリスを待ち構えていた。
そんなアレスの姿にモーリスは当然警戒を強める。
(あの少年が無策で私にリベンジをするわけがない。何か策を弄しているのは間違いない……サーチ!)
モーリスはアレスから距離をとった状態で探索魔法を使用する。
(むっ!?彼の奥……下の通路に1人いる?あれは……先ほど彼と一緒に行動していたお嬢さんか)
探索魔法を使用したモーリスはすぐにその異変に気が付いた。
モーリスとアレスがいる通路のすぐ下、少し進んだ所にアリアが待ち構えていることを発見したのだ。
(彼女がいるすぐ傍の天井……奥の床に小さな穴が開いている。まさか、私があそこを通過するときに下から魔法で攻撃するつもりか?)
「どうした爺さん、ビビってんのか?」
「……この私がビビる?ふふっ、まさか。あなたの実力は認めていますが、あのお嬢さんは戦いに関しては全くの素人でしょう?魔力量も恐れるものではない」
(先にあのお嬢さんを始末するか?いや、それより彼から目を離す方がよっぽど危険だ)
「それじゃあ第2ラウンド、始めるとしようか。飛翔・鷹の目!!」
「ふんっ!メガファイア!!」
(何か仕掛けてくることさえ把握していれば私が遅れを取ることはない!!)
アリアの存在に思考を巡らせるモーリスに、アレスは離れた位置から斬撃を飛ばし攻撃を開始した。
それに対してモーリスも魔法で応戦する構え。
「ひゃお!こりゃ分が悪いぜ!また逃げようかな!」
「なんとヘタな芝居を。彼女の元に誘導したいのが丸見えです!」
アレスはモーリスの魔法に怯んだような下手な演技で後方へ下がる。
モーリスは罠があることを分かったうえで、再びアレスを逃がす方が面倒だと判断し真っ向から罠を潰すべくアレスとの間合いを詰めたのだった。
「くそ!くるなよ爺さん!」
(あのお嬢さんが構えた。やはり私があの穴を通過するときに攻撃を仕掛ける気か。失望しましたよ少年。こんな下手な小細工に頼るなど)
モーリスは心底がっかりしたような目でアレスを見ながら異様な雰囲気を纏いだす。
(来た、あの重力スキルだ)
「ここでは私のスキルから逃れることは出来ない!!」
(あの穴の真上をを通過する瞬間に穴に魔法を捻じ込んで彼女を殺し、私の【重力強化】で彼を拘束する!!」
アリアの頭上の穴を通過するときに魔法でアリアを、それと同時にスキルでアレスを仕留める。
そんな作戦でアレスの策を正面から叩き潰そうとモーリスは考える。
「フラッシュ!!」
「なにっ!?」
しかしモーリスが穴を通過するよりも早く。
アリアは光源魔法を発動させ、アレスとモーリスの間に光の球を発生させたのだ。
(攻撃じゃない!?……しまっ)
「フルパワー!!」
「ぬぁあああああ!!」
想定外の魔法にモーリスは一瞬思考を止めてしまう。
その隙にアリアは光源魔法の明かりを最大化。
それによりモーリスの目をくらませ視界を奪うことに成功したのだ。
『あいつのスキルで発生する重力がクソほど厄介だが、恐らくあれは視界内の相手にしか効果がない。俺が階下に落ちた瞬間にその効果が切れたし、あいつは魔力探知が出来るのにわざわざ光源魔法を使用し直した。だから視界を奪えれば重力に捕まることはない』
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