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1章
どうせ学ぶなら最高レベルの先生を
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四級ダンジョン、ワーマレー樹林。
背の高い針葉樹が密集した森の中心部に激しい戦闘音が響き渡っていた。
「ワンツースリー……ワンツースリー……」
「ワァオオン!!」
「アオォオオン!!」
木の上を素早く飛び回っていたのはこのワーマレー樹林に生息しているワルツウルフ。
群れで狩りを行い、一定のリズムで連携をし獲物を捕らえるその魔物は、群れごとに違ったリズムを刻むためワルツウルフという名がつけられている。
そしてそんなワルツウルフの群れに囲まれながら嬉々として狩りを行っていたのはハズヴァルド学園1年7組のアレス。
そしてその近くに構えるのはジョージとソシアの2人だった。
「うっし。リズムはつかめた。あとは迎撃だな」
(ワルツウルフなんて学生が1人で相手をするような魔物じゃないんですけどね……アレスさん1人で終わっちゃいそうだ)
「うぅ……動きが速くて、捉えきれない」
「ソシアさん、落ち着いてください!」
王国軍やプロの冒険者でも苦戦することがあるという規則的で素早いワルツウルフの連携を、アレスは一瞬で見切り殲滅モードへと移行していた。
連携虚しくどんどんと数を減らしてゆくワルツウルフ。
そんな中ワルツウルフの素早い動きに狙いを付けられず、ソシアは火炎魔法を構えたまま魔法を放てないでいた。
(……うーん。やっぱまだソシアには厳しかったか?)
「ワオオン!!」
「やべっ!」
「きゃっ!?」
「はああああ!!」
「すまんジョージ!!ナイス!」
アレスが一瞬油断した隙に1匹のワルツウルフが火炎魔法を構えたまま無防備となってしまっていたソシアに襲い掛かったのだが、それはジョージが盾を使い見事ガードしてみせた。
「おっ、あれが群れのリーダーだな?」
「グロオオオ!!」
「飛翔・鷹の目!!」
「グロォ!?」
「ソシア、いまだ!!」
そしてアレスは頭上を飛び回る群れのリーダーを発見した。
素早く剣を構え、斬撃を飛ばしてその群れのリーダーに深い一撃を与える。
そうして木から落ちてきたところを、アレスはいまだに魔法を放てていなかったソシアに合図を出し仕留めるよう誘導したのだ。
「やぁあああ!」
「ギャアアオオ!?」
落下するだけの単調な動きをするワルツウルフにソシアはずっと放てずに至火炎魔法を放つ。
それはお世辞にも速いといえない速度でワルツウルフへと向かっていき、何とか群れのリーダーを仕留めることに成功したのだった。
「ナーイスソシア!やるじゃねえか!」
「……ううん。やっぱり、私なんてダメダメだよ」
「……」
ソシアに気を使い明るく声をかけたアレスだったが、ソシアは浮かない表情をしていた。
それもそのはず、アレスのおこぼれを貰う形で魔物を仕留めただけではソシアが胸を張ってその成果を誇れるはずが無い。
「だから言ったじゃないですかアレスさん!火炎魔法を覚えたばかりの初心者にワルツウルフは早すぎるって!」コソコソ……
「しゃーねーだろ!かといってゴブリン退治にしようか、なんて言ったら気を使ってるの丸わかりなんだから!」コソコソ……
もともとワーマレー樹林にはアレスとジョージともう一人で来る予定だったのだが、火炎魔法を使えるようになったというソシアが自分も連れて行ってくれと懇願する形で同行していた。
その時のソシアの様子は明らかに成果を急ぐように見えたのだが、アレスたちはそれを指摘できずソシアの同行を許した。
その結果ソシアは自信の力量不足を痛感する羽目になり、アレスとジョージはソシアに聞こえないように小声で言い合いをしたのだった。
「……そうですね。やはり少し、学び方を変えたほうがいいんじゃないでしょうか?」
「学び方を?」
「そうだな。このまま魔法の勉強を続けても皆からおいて行かれるばかりだ」
「そうだよね……」
「ちなみにソシア。攻撃魔法を諦めるって選択肢は……」
「それは、したくない。どれだけ大変でも私は頑張るから」
「そうか……」
「それなら一度、先生に相談してみるのはいかがでしょうか?」
「先生って、レハート先生か?」
ワーマレー樹林から帰る道中、アレスとジョージは完全に行き詰っているソシアに担任の先生であるレハートにアドバイスを貰うよう進言したのだ。
「でもなあ、あの先生別に魔法が得意ってわけじゃないだろう?」
「レハート先生に直々に教わるのではなく、学び方を教わるんです」
「まあ、聞くだけなら損もないしな」
「わかった。ありがとう2人とも」
こうしてレハート先生からアドバイスを貰うことにしたソシアは、付き添ってくれるというアレスとジョージと共に翌日の早朝にレハート先生に会うため職員室に向かったのだ。
職員室にやってくると、部屋の隅の机に座るレハート先生の姿を発見した。
彼は何やら書類の作成を行っているようだったが、その途中で疲れてしまったのかアイマスクを付けて眠っている。
「先生。なんでこんなところで寝てるんですか?」
「んがっ!?何事だ!?……って、お前らか」
「お前らか、じゃないですよ。アイマスクつけてがっつり寝ちゃって」
「まあ、ちょっとやらなきゃいかん仕事があったんだが少し休憩を。というか俺ぁそもそもこういう書類作成の仕事が苦手なんだよ!」
(ダメだジョージ。やっぱこの人あてになりそうもないや)
(まあまあ。とにかく話だけ聞いてみましょう)
「あの、レハート先生。少し相談がありまして……」
だらしない様子のレハート先生にアレスはアイコンタクトでジョージに彼からアドバイスを貰うことをやめようという。
しかしそれを同じくアイコンタクトでなだめ、ソシアにアドバイスを貰うよう勧める。
そしてソシアは自分が攻撃魔法の習得で悩んでいる現状をレハート先生に打ち明けたのだった。
「あー、これ真面目な話じゃん」
「そうだよ。一体なんだと思ったんだよ」
「そうだな……まずはソシア、お前。攻撃魔術師の道を諦めるって選択肢はないのか?」
「はい。私は……どうしても自分で魔物を倒せる力が必要なんです」
「うーん。魔物を直接倒す力だけが冒険者に求められるものじゃないんだが……自分がやりたいことと、自分に向いているものは別物だって理解したほうがいいぞ?」
「……はい。それでも私は……」
ソシアの悩みにレハート先生はアレスたちと同様の意見で攻撃魔術師の道を諦めさせようとする。
しかしソシアはそれでも食い下がるのだ。
「ちっ、わかったよ。お前の人生だから悔いが残らないようにやればいいさ」
「それで先生、なんかこうしたほうが良いよとかアドバイスないですかね」
「そうだなー。俺が思うに、今まで攻撃魔法に触れてこなかったお前にこの学園の授業があってないと思うんだな」
ソシアは躓いているのは攻撃魔術師の基礎中の基礎の部分。
それは本来学園に来る前にみんながクリアするレベルの話であり、それが出来る前提で話が進む学園の授業にソシアはついて行けていないのだ。
「マンツーマンで基礎から教えてくれる先生が必要だな」
「でもそれを引き受けてくれる先生がいないんです。担当のクラスの生徒ならまだしも、よそのクラスの生徒にそこまで気をかけてくれる先生がここじゃみつからないんです」
「だろうな。ただでさえウチにクラスは落ちこぼれの平民クラスだからな。だが、それならいっそもっと最高の先生の元で学んでみるってのはどうだ?」
「最高の先生?」
「そうだ。この学園で教師をしてるやつは確かに実績があって凄い奴ばかりだ」
(じゃああんたは何なんだよ)
「だがあくまで実績があるというだけで最先端じゃないし、そもそも現役でもない」
「ちょっと待ってください。それってつまり……」
「そうだ。どうせ学ぶなら現役のナンバーワンの魔法使いから学んだほうが良いだろ」
「ナンバーワン?」
「ああ。俺が知る中で1番の魔法使い。ミルエスタ騎士団団長、スフィア・ラスケラだ」
「「はぁあああああ!?」」
最高の魔法使いに教えを乞うのがいいと、その名前を口にしたレハート先生にアレスとジョージは驚きを隠せなかった。
「ちょいちょいちょい、何言ってんだ先生!?んなの不可能に決まってるでしょ!?」
「そうですよ!ミルエスタ騎士団の団長なんてとんでもない人じゃないですか!?そんな人に攻撃魔法の基礎を教わるなんて!!そんなのOKしてくれるはずがありません!」
「大丈夫だろ。あいつは俺の教え子だし、俺の紹介があれば無下にはしないさ」
「教え子!?」
「え、もしかしてレハート先生ってすごい人?」
「お前ら俺を何だと思ってたんだ。まあとにかく、そういうことだ。騎士団団長様から魔法を教えてもらえるなんて貴重なことだぞ?」
「騎士団の団長から……はい!私、教えてもらいたいです!」
あまりに衝撃な事実に冷静さを失うアレスとジョージに対し、ソシアはまたとないチャンスを前に学びたい意欲を示したのだった。
「よしわかった。それじゃあアポが取れたら行ってこい」
「はい!」
「すみませんレハート先生。俺、てっきり先生のこと学園がそこら辺で捕まえてきた暇人だと思ってました」
「ふざけんなお前」
「僕も、先生のこと見直しました」
「ジョージまで……俺どんだけ信頼なかったの?」
「ところで先生、今書いてる書類って何ですか?」
「うん、これか?前にハズヴァルド学園に王国軍の人が優秀な人材を発見するために指導に来てくれるって話しただろ?その時に王国軍の人に渡すお前らのプロフィールみたいなもんだ」
「はぁ!?先生、王国軍の人が来るの今日ですよ!?」
「おう、だから必死になって今書類を作ってんだろ」
(見直しかけたけど……やっぱダメだこの人)
(必死になってるって言うわりにアイマスクを付けて寝てましたけど……)
(騎士団で魔法を学べる……これできっと私も……)
この国で1番の魔法使いに指導してもらえれば自分もきっと上手に戦えるようになる。
ソシアはそんな未来を想像し必ず魔法の腕を上達してみせると意気込んでいた……努力をすればそれが必ず報われると信じて。
背の高い針葉樹が密集した森の中心部に激しい戦闘音が響き渡っていた。
「ワンツースリー……ワンツースリー……」
「ワァオオン!!」
「アオォオオン!!」
木の上を素早く飛び回っていたのはこのワーマレー樹林に生息しているワルツウルフ。
群れで狩りを行い、一定のリズムで連携をし獲物を捕らえるその魔物は、群れごとに違ったリズムを刻むためワルツウルフという名がつけられている。
そしてそんなワルツウルフの群れに囲まれながら嬉々として狩りを行っていたのはハズヴァルド学園1年7組のアレス。
そしてその近くに構えるのはジョージとソシアの2人だった。
「うっし。リズムはつかめた。あとは迎撃だな」
(ワルツウルフなんて学生が1人で相手をするような魔物じゃないんですけどね……アレスさん1人で終わっちゃいそうだ)
「うぅ……動きが速くて、捉えきれない」
「ソシアさん、落ち着いてください!」
王国軍やプロの冒険者でも苦戦することがあるという規則的で素早いワルツウルフの連携を、アレスは一瞬で見切り殲滅モードへと移行していた。
連携虚しくどんどんと数を減らしてゆくワルツウルフ。
そんな中ワルツウルフの素早い動きに狙いを付けられず、ソシアは火炎魔法を構えたまま魔法を放てないでいた。
(……うーん。やっぱまだソシアには厳しかったか?)
「ワオオン!!」
「やべっ!」
「きゃっ!?」
「はああああ!!」
「すまんジョージ!!ナイス!」
アレスが一瞬油断した隙に1匹のワルツウルフが火炎魔法を構えたまま無防備となってしまっていたソシアに襲い掛かったのだが、それはジョージが盾を使い見事ガードしてみせた。
「おっ、あれが群れのリーダーだな?」
「グロオオオ!!」
「飛翔・鷹の目!!」
「グロォ!?」
「ソシア、いまだ!!」
そしてアレスは頭上を飛び回る群れのリーダーを発見した。
素早く剣を構え、斬撃を飛ばしてその群れのリーダーに深い一撃を与える。
そうして木から落ちてきたところを、アレスはいまだに魔法を放てていなかったソシアに合図を出し仕留めるよう誘導したのだ。
「やぁあああ!」
「ギャアアオオ!?」
落下するだけの単調な動きをするワルツウルフにソシアはずっと放てずに至火炎魔法を放つ。
それはお世辞にも速いといえない速度でワルツウルフへと向かっていき、何とか群れのリーダーを仕留めることに成功したのだった。
「ナーイスソシア!やるじゃねえか!」
「……ううん。やっぱり、私なんてダメダメだよ」
「……」
ソシアに気を使い明るく声をかけたアレスだったが、ソシアは浮かない表情をしていた。
それもそのはず、アレスのおこぼれを貰う形で魔物を仕留めただけではソシアが胸を張ってその成果を誇れるはずが無い。
「だから言ったじゃないですかアレスさん!火炎魔法を覚えたばかりの初心者にワルツウルフは早すぎるって!」コソコソ……
「しゃーねーだろ!かといってゴブリン退治にしようか、なんて言ったら気を使ってるの丸わかりなんだから!」コソコソ……
もともとワーマレー樹林にはアレスとジョージともう一人で来る予定だったのだが、火炎魔法を使えるようになったというソシアが自分も連れて行ってくれと懇願する形で同行していた。
その時のソシアの様子は明らかに成果を急ぐように見えたのだが、アレスたちはそれを指摘できずソシアの同行を許した。
その結果ソシアは自信の力量不足を痛感する羽目になり、アレスとジョージはソシアに聞こえないように小声で言い合いをしたのだった。
「……そうですね。やはり少し、学び方を変えたほうがいいんじゃないでしょうか?」
「学び方を?」
「そうだな。このまま魔法の勉強を続けても皆からおいて行かれるばかりだ」
「そうだよね……」
「ちなみにソシア。攻撃魔法を諦めるって選択肢は……」
「それは、したくない。どれだけ大変でも私は頑張るから」
「そうか……」
「それなら一度、先生に相談してみるのはいかがでしょうか?」
「先生って、レハート先生か?」
ワーマレー樹林から帰る道中、アレスとジョージは完全に行き詰っているソシアに担任の先生であるレハートにアドバイスを貰うよう進言したのだ。
「でもなあ、あの先生別に魔法が得意ってわけじゃないだろう?」
「レハート先生に直々に教わるのではなく、学び方を教わるんです」
「まあ、聞くだけなら損もないしな」
「わかった。ありがとう2人とも」
こうしてレハート先生からアドバイスを貰うことにしたソシアは、付き添ってくれるというアレスとジョージと共に翌日の早朝にレハート先生に会うため職員室に向かったのだ。
職員室にやってくると、部屋の隅の机に座るレハート先生の姿を発見した。
彼は何やら書類の作成を行っているようだったが、その途中で疲れてしまったのかアイマスクを付けて眠っている。
「先生。なんでこんなところで寝てるんですか?」
「んがっ!?何事だ!?……って、お前らか」
「お前らか、じゃないですよ。アイマスクつけてがっつり寝ちゃって」
「まあ、ちょっとやらなきゃいかん仕事があったんだが少し休憩を。というか俺ぁそもそもこういう書類作成の仕事が苦手なんだよ!」
(ダメだジョージ。やっぱこの人あてになりそうもないや)
(まあまあ。とにかく話だけ聞いてみましょう)
「あの、レハート先生。少し相談がありまして……」
だらしない様子のレハート先生にアレスはアイコンタクトでジョージに彼からアドバイスを貰うことをやめようという。
しかしそれを同じくアイコンタクトでなだめ、ソシアにアドバイスを貰うよう勧める。
そしてソシアは自分が攻撃魔法の習得で悩んでいる現状をレハート先生に打ち明けたのだった。
「あー、これ真面目な話じゃん」
「そうだよ。一体なんだと思ったんだよ」
「そうだな……まずはソシア、お前。攻撃魔術師の道を諦めるって選択肢はないのか?」
「はい。私は……どうしても自分で魔物を倒せる力が必要なんです」
「うーん。魔物を直接倒す力だけが冒険者に求められるものじゃないんだが……自分がやりたいことと、自分に向いているものは別物だって理解したほうがいいぞ?」
「……はい。それでも私は……」
ソシアの悩みにレハート先生はアレスたちと同様の意見で攻撃魔術師の道を諦めさせようとする。
しかしソシアはそれでも食い下がるのだ。
「ちっ、わかったよ。お前の人生だから悔いが残らないようにやればいいさ」
「それで先生、なんかこうしたほうが良いよとかアドバイスないですかね」
「そうだなー。俺が思うに、今まで攻撃魔法に触れてこなかったお前にこの学園の授業があってないと思うんだな」
ソシアは躓いているのは攻撃魔術師の基礎中の基礎の部分。
それは本来学園に来る前にみんながクリアするレベルの話であり、それが出来る前提で話が進む学園の授業にソシアはついて行けていないのだ。
「マンツーマンで基礎から教えてくれる先生が必要だな」
「でもそれを引き受けてくれる先生がいないんです。担当のクラスの生徒ならまだしも、よそのクラスの生徒にそこまで気をかけてくれる先生がここじゃみつからないんです」
「だろうな。ただでさえウチにクラスは落ちこぼれの平民クラスだからな。だが、それならいっそもっと最高の先生の元で学んでみるってのはどうだ?」
「最高の先生?」
「そうだ。この学園で教師をしてるやつは確かに実績があって凄い奴ばかりだ」
(じゃああんたは何なんだよ)
「だがあくまで実績があるというだけで最先端じゃないし、そもそも現役でもない」
「ちょっと待ってください。それってつまり……」
「そうだ。どうせ学ぶなら現役のナンバーワンの魔法使いから学んだほうが良いだろ」
「ナンバーワン?」
「ああ。俺が知る中で1番の魔法使い。ミルエスタ騎士団団長、スフィア・ラスケラだ」
「「はぁあああああ!?」」
最高の魔法使いに教えを乞うのがいいと、その名前を口にしたレハート先生にアレスとジョージは驚きを隠せなかった。
「ちょいちょいちょい、何言ってんだ先生!?んなの不可能に決まってるでしょ!?」
「そうですよ!ミルエスタ騎士団の団長なんてとんでもない人じゃないですか!?そんな人に攻撃魔法の基礎を教わるなんて!!そんなのOKしてくれるはずがありません!」
「大丈夫だろ。あいつは俺の教え子だし、俺の紹介があれば無下にはしないさ」
「教え子!?」
「え、もしかしてレハート先生ってすごい人?」
「お前ら俺を何だと思ってたんだ。まあとにかく、そういうことだ。騎士団団長様から魔法を教えてもらえるなんて貴重なことだぞ?」
「騎士団の団長から……はい!私、教えてもらいたいです!」
あまりに衝撃な事実に冷静さを失うアレスとジョージに対し、ソシアはまたとないチャンスを前に学びたい意欲を示したのだった。
「よしわかった。それじゃあアポが取れたら行ってこい」
「はい!」
「すみませんレハート先生。俺、てっきり先生のこと学園がそこら辺で捕まえてきた暇人だと思ってました」
「ふざけんなお前」
「僕も、先生のこと見直しました」
「ジョージまで……俺どんだけ信頼なかったの?」
「ところで先生、今書いてる書類って何ですか?」
「うん、これか?前にハズヴァルド学園に王国軍の人が優秀な人材を発見するために指導に来てくれるって話しただろ?その時に王国軍の人に渡すお前らのプロフィールみたいなもんだ」
「はぁ!?先生、王国軍の人が来るの今日ですよ!?」
「おう、だから必死になって今書類を作ってんだろ」
(見直しかけたけど……やっぱダメだこの人)
(必死になってるって言うわりにアイマスクを付けて寝てましたけど……)
(騎士団で魔法を学べる……これできっと私も……)
この国で1番の魔法使いに指導してもらえれば自分もきっと上手に戦えるようになる。
ソシアはそんな未来を想像し必ず魔法の腕を上達してみせると意気込んでいた……努力をすればそれが必ず報われると信じて。
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