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2章
次なる刺客
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モルネ教会があるスセス森林の北東に抜けたアレスたちはそこで一夜を明かし、日の出とともに東方向の国境を目指していた。
「うし。多少西側に出たが無事に街道に出られたな」
「もうすぐ国境か?」
「ああ。だがその前に街がある。そこで買えるものを揃えておきたい」
岩山を抜けたアレスたちは国境付近の村であるヤマーテ村へと続く街道に出ていた。
そこでアレスはティナたちにレベッカから受け取った資金を使って必要なものを買い揃えるようにお願いする。
「何が必要なのアレス君」
「1番欲しいのは服だな。俺もティナもあいつらに斬られた服を買い替えないと。血まみれの服じゃ都合が悪いこともあるだろうし。あとは食料や水を少々……まあそこら辺はお前らに任せるよ」
「アレスさんはどうするんですか?」
「俺は村の外でステラちゃんと待ってるよ。誰か1人はステラちゃんと一緒に居なきゃいけないし、流石にこの服じゃ村の中に入ったら怪しまれるからな」
アレスの背中は昨日能面にバッサリと斬られており、傷は治っても服の穴と染みついた血液はそのまま残ってしまっているのだ。
そしてどのみち竜人族であるステラは村人にその姿を見られるわけにはいかない。
その命を狙われている彼女を守るためにもアレスは村の外で待つことを選んだ。
「……それを言うなら私もかなり服が血まみれなんだが」
「俺に比べたらマシだろう。それに戦力を偏らせるのはあまりに危険だ。何かあった時は2人のことを守って欲しいからな」
「それは、能面のことか?」
「ああ。あいつが狙いを俺からお前らに切り替えることも十分あり得る。村の中だからって油断はできない」
アレスの今の1番の悩み、それは現在も遠くで自分たちのことを監視している能面の存在だった。
沼気の里という住民全員が殺し屋という異様な里の出身である能面は、その優れた暗殺スキルで常にアレスたちの隙を窺っている。
逆に襲撃を受けないように一定の距離を保ちつつ、それでいてアレスが隙を見せればいつでも襲えるよう昨日からずっと待っていたのだ。
(……私があの男からソシアとジョージを守りきれるだろうか。昨日は奴の気配に一切気付かず簡単に背後を取られてしまった。服を気にするよりも奴に襲われるリスクを重く見たほうが……いや)
「わかった。必ず私が2人を守る」
「ああ。頼んだ」
能面の気配はあまりに弱く、ティナには敵の位置を掴むことはほとんどできなかった。
もし村の中で能面に襲われれば2人の安全は愚か自分の身すら守り切れるかどうかも怪しい。
それでもティナは昨日のアレスに頼りきりだった情けない自分の姿を思い出し、そんな自分から変わりたいと必ず与えられた役割をこなすと決めたのだ。
「よし。それじゃあステラちゃんはお兄ちゃんと一緒にお留守番してよっか」
「わかった」
「じゃあ私たちは急いで買い出しを済ませて来るね」
「すぐに戻ってきますので待っていてくださいね」
「おう、行ってこい」
村の入り口から少し離れたところでアレスとステラはソシアたちを見送った。
無論アレスもこのやり取りを見ていた能面がティナたちを狙う可能性があることも理解している。
もしティナたちが狙われるようなことがあればかなり危険な状況に陥りかねないことも。
「待ってる、ね……」
「アレスにいに?お顔怖い……?」
「ん?ああ、ごめんよステラちゃん。そうだ。お姉ちゃんたちを待ってる間、お兄ちゃんと一緒に遊んでよっか」
村に向かうソシアたちを見送っていたステラは、隣に立つアレスの表情がすぐれないことに気が付いたのだった。
そんなステラにアレスはすぐに笑顔を向けると、ポケットから1枚の小銭を取り出し少し遊びながら時間を潰そうと提案した。
「はいいらっしゃ……あんた!!血まみれだが大丈夫なのかい!?」
アレスたちと別れたソシアたちはそのまままっすぐヤマーテ村の中にやって来ていた。
「大丈夫です!少しトラブルに巻き込まれちゃったんですけど何とか解決しましたので!」
「そうかい?それならいいが……」
「……」
ソシアたちが1番はじめに訪れたのは村の端にあった服屋。
ティナの血に染まった服に驚かれるも、何とかごまかして服の購入を進める。
ソシアとジョージの2人は店の中に入りいくつかよさそうな服を見繕っていたが、その間ティナは険しい表情で店の前に立っていた。
(能面は……こっちに来ているのか?いつ、どこから襲ってきてもおかしくない……もしかしたら通行人に紛れているかも……)
アレスには能面が漏らす僅かな殺気を読み取ることが可能であったが、ティナはその気配を感じ取ることが難しかった。
特に人通りがある程度あるこの大通りでは人の気配に紛れ少しでも油断すれば命を落とす危険すらある。
(アレスは……こんな状態で一睡もしないで見張りをしていてくれたのか。本来なら安静にしていないといけないのに……)
いるかどうかすらわからない敵を警戒し続けるのは想像以上に精神がすり減る。
ティナの心境を少なからず感じ取っていたソシアとジョージも含め、3人は一切余裕のない買い出しの時間を過ごしていた。
(……やっぱあっちには行かねえか)
能面の脅威に怯えながら買い物を進めるティナたちであったが、ティナたちが警戒を続ける能面は変わらずアレスの傍を離れなかったのだ。
「どっちの手にコインがあるでしょうか」
「うーん……こっち!」
「ふふっ、正解」
アレスは空中に弾いたコインをどっちの手で掴んだのかというゲームでステラの相手をしながら能面の微かな気配に意識を向けていた。
(まあ俺でもティナたちの方には行かねえからな。あっちに行った隙に俺がステラを連れて姿をくらましたら最悪だからな)
能面の狙いはあくまで竜人族の少女。
ティナたちに意識を向けた隙にアレスに逃げられでもしたらその目的を果たせなくなるということで、ティナたちを囮に姿をくらませようと考えていたアレスの作戦は失敗に終わったのだ。
「今度はどっちでしょうか?」
「えっと、えっとね……こっち?」
「残念~」
「じゃあこっち!」
「こっちも違うよ。フードの中を見てみて」
「フード?うわぁ!いつの間に!」
(まあいいか。本当にあいつを置いて先に進んだら後でティナたちからすげえ怒られそうだし。このままあいつらを待って国境を……)
「っ!?」
「アレスにいに?」
能面を撒きたいと考えていたアレスだったがその機会を逃したと少し気を落としていた。
だがその時、コインを空中に弾いたアレスは視線を空に上げたことである違和感を感じ取ったのだ。
(なんだこの気配……どこからだ?)
「上……?」
「上?」
アレスが感じ取ったもの、それは上空からかすかに感じる奇妙な気配。
アレスは宙に舞ったコインを右手でキャッチするとそのまま微かに感じた気配の正体を探すために上空に目を凝らす。
(……なんもないよな。いや!何か音が聞こえる……気がする)
「ひっ!!」
「っ!?どうしたステラちゃ……ッ!!」
ガシャガシャァァァン!!!
アレスの視線の先にはなにも見えない。
それでも微かに上空から異音がすると感じ取ったアレスだったが、その時アレスは空から何かが降って来ていたことに気が付いたのだ。
「きゃあ!!」
「なんだ!?ガラス……の容器か何か!?」
空から降ってきたのは数本のガラス製フラスコ。
アレスたちの目の前に落ちてきたそれらは地面にあたり粉々に砕け散る。
(この感じ……何かマズい!!)
「ステラちゃんごめん!!」
「うわっ!!」
そのフラスコが落ちたのはアレスたちから少し離れた場所であり、ガラス片が飛び散ろうともアレスたちには届くことはない距離であった。
しかしその破片が地面に散らばったのを見たアレスは自身の直感に従いステラを抱え割れたフラスコから距離を取る。
「あのフラスコ、空から降ってきたよな。一体誰が……」
「おい!!ほんとにいたぜぇ!!」
「あん?」
「情報通りだ!!おいてめえ!!竜人族の子供を渡しやがれ!!」
身の危険を感じステラを抱え、フラスコが落ちた地点より風上の木の枝に飛びあがったアレス。
アレスは木の上から落ちたガラス片の様子を確認していると、そこにステラを狙う賊が集団で現れた。
「本当にしつこいな。そんなに命が惜しくないのか」
「黙れぇ!早くそこから降りてこい!!」
「大人しくそいつを渡せば命だけは助けて……うッ!!がァ!!」
「なに!?」
木の上に避難していたアレスとステラを発見した賊たちは興奮しながらアレスたちに接近してくる。
しかし男たちが先程降ってきたフラスコの近くにやってきた途端、なんと彼らは突然苦しみバタバタと倒れていったのだ。
「ガハッ!!息が……」
「てめぇ……なに、を……」
「やっぱり……あれは毒だったか……」
ドゴォオオオン!!!
「ッ!?木が!!」
「きゃあああ!!」
口から泡を吹いて苦しむ男たちの様子を木の上から眺めていたアレス。
しかしその次の瞬間、けたたましい音と共にアレスたちが乗っていた木が勢いよく傾き始めたのだ。
「よっと!何すんだお前、危ないだろ!」
「よくも……貴様よくも……」
「ん?一体何を……」
「よくも俺様の部下を殺してくれたな!!毒などという卑怯な手を使いおって!!」
「はぁ!?いやいや、あれは俺がやったんじゃ……」
「問答無用!!」
「ちょ!?」
「きゃあ!!」
メキメキと音を立てながら倒れる木からアレスは恐怖に震えるステラをしっかりと抱えながら脱出する。
ステラを抱えたアレスが地面に降りると、根元からへし折られたその木の傍に上半身裸の筋骨隆々な男が立っていた。
その男は先程毒で倒れた男たちがアレスの罠でやられたと勘違いし怒りに燃えていた。
男はアレスの話も聞かずに倒れた木を恐ろしい力で持ち上げると、槍投げの要領で勢いよくアレスに向かってその木を投げたのだった。
「うし。多少西側に出たが無事に街道に出られたな」
「もうすぐ国境か?」
「ああ。だがその前に街がある。そこで買えるものを揃えておきたい」
岩山を抜けたアレスたちは国境付近の村であるヤマーテ村へと続く街道に出ていた。
そこでアレスはティナたちにレベッカから受け取った資金を使って必要なものを買い揃えるようにお願いする。
「何が必要なのアレス君」
「1番欲しいのは服だな。俺もティナもあいつらに斬られた服を買い替えないと。血まみれの服じゃ都合が悪いこともあるだろうし。あとは食料や水を少々……まあそこら辺はお前らに任せるよ」
「アレスさんはどうするんですか?」
「俺は村の外でステラちゃんと待ってるよ。誰か1人はステラちゃんと一緒に居なきゃいけないし、流石にこの服じゃ村の中に入ったら怪しまれるからな」
アレスの背中は昨日能面にバッサリと斬られており、傷は治っても服の穴と染みついた血液はそのまま残ってしまっているのだ。
そしてどのみち竜人族であるステラは村人にその姿を見られるわけにはいかない。
その命を狙われている彼女を守るためにもアレスは村の外で待つことを選んだ。
「……それを言うなら私もかなり服が血まみれなんだが」
「俺に比べたらマシだろう。それに戦力を偏らせるのはあまりに危険だ。何かあった時は2人のことを守って欲しいからな」
「それは、能面のことか?」
「ああ。あいつが狙いを俺からお前らに切り替えることも十分あり得る。村の中だからって油断はできない」
アレスの今の1番の悩み、それは現在も遠くで自分たちのことを監視している能面の存在だった。
沼気の里という住民全員が殺し屋という異様な里の出身である能面は、その優れた暗殺スキルで常にアレスたちの隙を窺っている。
逆に襲撃を受けないように一定の距離を保ちつつ、それでいてアレスが隙を見せればいつでも襲えるよう昨日からずっと待っていたのだ。
(……私があの男からソシアとジョージを守りきれるだろうか。昨日は奴の気配に一切気付かず簡単に背後を取られてしまった。服を気にするよりも奴に襲われるリスクを重く見たほうが……いや)
「わかった。必ず私が2人を守る」
「ああ。頼んだ」
能面の気配はあまりに弱く、ティナには敵の位置を掴むことはほとんどできなかった。
もし村の中で能面に襲われれば2人の安全は愚か自分の身すら守り切れるかどうかも怪しい。
それでもティナは昨日のアレスに頼りきりだった情けない自分の姿を思い出し、そんな自分から変わりたいと必ず与えられた役割をこなすと決めたのだ。
「よし。それじゃあステラちゃんはお兄ちゃんと一緒にお留守番してよっか」
「わかった」
「じゃあ私たちは急いで買い出しを済ませて来るね」
「すぐに戻ってきますので待っていてくださいね」
「おう、行ってこい」
村の入り口から少し離れたところでアレスとステラはソシアたちを見送った。
無論アレスもこのやり取りを見ていた能面がティナたちを狙う可能性があることも理解している。
もしティナたちが狙われるようなことがあればかなり危険な状況に陥りかねないことも。
「待ってる、ね……」
「アレスにいに?お顔怖い……?」
「ん?ああ、ごめんよステラちゃん。そうだ。お姉ちゃんたちを待ってる間、お兄ちゃんと一緒に遊んでよっか」
村に向かうソシアたちを見送っていたステラは、隣に立つアレスの表情がすぐれないことに気が付いたのだった。
そんなステラにアレスはすぐに笑顔を向けると、ポケットから1枚の小銭を取り出し少し遊びながら時間を潰そうと提案した。
「はいいらっしゃ……あんた!!血まみれだが大丈夫なのかい!?」
アレスたちと別れたソシアたちはそのまままっすぐヤマーテ村の中にやって来ていた。
「大丈夫です!少しトラブルに巻き込まれちゃったんですけど何とか解決しましたので!」
「そうかい?それならいいが……」
「……」
ソシアたちが1番はじめに訪れたのは村の端にあった服屋。
ティナの血に染まった服に驚かれるも、何とかごまかして服の購入を進める。
ソシアとジョージの2人は店の中に入りいくつかよさそうな服を見繕っていたが、その間ティナは険しい表情で店の前に立っていた。
(能面は……こっちに来ているのか?いつ、どこから襲ってきてもおかしくない……もしかしたら通行人に紛れているかも……)
アレスには能面が漏らす僅かな殺気を読み取ることが可能であったが、ティナはその気配を感じ取ることが難しかった。
特に人通りがある程度あるこの大通りでは人の気配に紛れ少しでも油断すれば命を落とす危険すらある。
(アレスは……こんな状態で一睡もしないで見張りをしていてくれたのか。本来なら安静にしていないといけないのに……)
いるかどうかすらわからない敵を警戒し続けるのは想像以上に精神がすり減る。
ティナの心境を少なからず感じ取っていたソシアとジョージも含め、3人は一切余裕のない買い出しの時間を過ごしていた。
(……やっぱあっちには行かねえか)
能面の脅威に怯えながら買い物を進めるティナたちであったが、ティナたちが警戒を続ける能面は変わらずアレスの傍を離れなかったのだ。
「どっちの手にコインがあるでしょうか」
「うーん……こっち!」
「ふふっ、正解」
アレスは空中に弾いたコインをどっちの手で掴んだのかというゲームでステラの相手をしながら能面の微かな気配に意識を向けていた。
(まあ俺でもティナたちの方には行かねえからな。あっちに行った隙に俺がステラを連れて姿をくらましたら最悪だからな)
能面の狙いはあくまで竜人族の少女。
ティナたちに意識を向けた隙にアレスに逃げられでもしたらその目的を果たせなくなるということで、ティナたちを囮に姿をくらませようと考えていたアレスの作戦は失敗に終わったのだ。
「今度はどっちでしょうか?」
「えっと、えっとね……こっち?」
「残念~」
「じゃあこっち!」
「こっちも違うよ。フードの中を見てみて」
「フード?うわぁ!いつの間に!」
(まあいいか。本当にあいつを置いて先に進んだら後でティナたちからすげえ怒られそうだし。このままあいつらを待って国境を……)
「っ!?」
「アレスにいに?」
能面を撒きたいと考えていたアレスだったがその機会を逃したと少し気を落としていた。
だがその時、コインを空中に弾いたアレスは視線を空に上げたことである違和感を感じ取ったのだ。
(なんだこの気配……どこからだ?)
「上……?」
「上?」
アレスが感じ取ったもの、それは上空からかすかに感じる奇妙な気配。
アレスは宙に舞ったコインを右手でキャッチするとそのまま微かに感じた気配の正体を探すために上空に目を凝らす。
(……なんもないよな。いや!何か音が聞こえる……気がする)
「ひっ!!」
「っ!?どうしたステラちゃ……ッ!!」
ガシャガシャァァァン!!!
アレスの視線の先にはなにも見えない。
それでも微かに上空から異音がすると感じ取ったアレスだったが、その時アレスは空から何かが降って来ていたことに気が付いたのだ。
「きゃあ!!」
「なんだ!?ガラス……の容器か何か!?」
空から降ってきたのは数本のガラス製フラスコ。
アレスたちの目の前に落ちてきたそれらは地面にあたり粉々に砕け散る。
(この感じ……何かマズい!!)
「ステラちゃんごめん!!」
「うわっ!!」
そのフラスコが落ちたのはアレスたちから少し離れた場所であり、ガラス片が飛び散ろうともアレスたちには届くことはない距離であった。
しかしその破片が地面に散らばったのを見たアレスは自身の直感に従いステラを抱え割れたフラスコから距離を取る。
「あのフラスコ、空から降ってきたよな。一体誰が……」
「おい!!ほんとにいたぜぇ!!」
「あん?」
「情報通りだ!!おいてめえ!!竜人族の子供を渡しやがれ!!」
身の危険を感じステラを抱え、フラスコが落ちた地点より風上の木の枝に飛びあがったアレス。
アレスは木の上から落ちたガラス片の様子を確認していると、そこにステラを狙う賊が集団で現れた。
「本当にしつこいな。そんなに命が惜しくないのか」
「黙れぇ!早くそこから降りてこい!!」
「大人しくそいつを渡せば命だけは助けて……うッ!!がァ!!」
「なに!?」
木の上に避難していたアレスとステラを発見した賊たちは興奮しながらアレスたちに接近してくる。
しかし男たちが先程降ってきたフラスコの近くにやってきた途端、なんと彼らは突然苦しみバタバタと倒れていったのだ。
「ガハッ!!息が……」
「てめぇ……なに、を……」
「やっぱり……あれは毒だったか……」
ドゴォオオオン!!!
「ッ!?木が!!」
「きゃあああ!!」
口から泡を吹いて苦しむ男たちの様子を木の上から眺めていたアレス。
しかしその次の瞬間、けたたましい音と共にアレスたちが乗っていた木が勢いよく傾き始めたのだ。
「よっと!何すんだお前、危ないだろ!」
「よくも……貴様よくも……」
「ん?一体何を……」
「よくも俺様の部下を殺してくれたな!!毒などという卑怯な手を使いおって!!」
「はぁ!?いやいや、あれは俺がやったんじゃ……」
「問答無用!!」
「ちょ!?」
「きゃあ!!」
メキメキと音を立てながら倒れる木からアレスは恐怖に震えるステラをしっかりと抱えながら脱出する。
ステラを抱えたアレスが地面に降りると、根元からへし折られたその木の傍に上半身裸の筋骨隆々な男が立っていた。
その男は先程毒で倒れた男たちがアレスの罠でやられたと勘違いし怒りに燃えていた。
男はアレスの話も聞かずに倒れた木を恐ろしい力で持ち上げると、槍投げの要領で勢いよくアレスに向かってその木を投げたのだった。
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