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第46話
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「昨夜は、本当に大きくて綺麗なお月様でしたからね、眺めに出たお嬢様のお気持ちもわかりますわ。
でも、ご自分で破片を拾うなんて、あのグラスは薄くて綺麗な分、割れてしまうと刃物みたいで本当に危険なんですよ」
私は朝からメイドのレニーに叱られていました。
昨夜バルコニーで落として割ってしまったグラスの破片を、明るい朝になってから拾おうとして、指を切ってしまったのです。
切った傷口から、見る見る間に血が盛り上がって。
思わず口に含み、吸いました。
錆びたような独特の血の味に、吸血鬼はどうしてこんなものが好きなのかしら、とつまらない事を考えて……
手早く消毒して、手当てをしてくれるレニーは続けます。
「お嬢様がお身体を傷つけられたりしたら、殿下からどのようなお叱りを受けるか。
お前の不注意だと、レニーはお手打ちにされてしまうかも。
本当に御身には、お気をつけてくださいまし」
3年前には、いかに殿下がクラリスに夢中なのかを熱く語ったレニーの口は。
現在は、どれ程殿下が私を溺愛しているかを熱心に力説します。
彼女が悪い訳ではないのです。
今でこそ、使用人達は私を殿下の想いびとだと扱いますが、最初はお相手が姉でなかった事に驚いていたのを知っていました。
でも、また。
遠くない未来に。
殿下が本当に愛していたのは姉だったと。
やはり姉だったと、彼等は知ることになる。
レニー貴女もね、また殿下と姉のロマンスに夢中になるのよ。
そんな事を考えて、また私の涙腺が緩んで。
「痛いの、傷口が」
私の涙を見て心配そうなレニーに、私は訴えました。
「指先は痛いんですよ、他のところを切るよりも」
そうね身体ではね、指先を切ると疼くのね。
でも、心はもっと痛くて、ずっとずっと疼いてるの。
それはもちろん、レニーには訴えません。
今朝は早くから殿下からのご使者がいらして、手紙を届けられました。
『明日、話したい事があるので、会えないか』という内容でしたので、下校してからならという返信を書き、母からの
『夕食をご一緒に』という申し出を付け加えました。
朝食の席で、今日はクラリスを連れて、ダウンヴィルの母のところへ参ります、と母が父に言っていました。
何故母と姉が祖母のところへ呼ばれたのか、私は知っていました。
祖母はバロウズのタウンハウスを処分して、トルラキアの別荘に夏だけではなく本格的に移住を決めたのです。
そうは言っても、前伯爵夫人という肩書きがありますので、それを捨ててトルラキア国民になるというのでもなく。
王国の外務事務次官様と何度も面談し、書類をやり取りし、全財産を持って出るのではなく、1年に1回はこちらに戻る事を条件に許されたのです。
私は前回ひとりで祖母の元へ遊びに行った時にその話を聞き
『選びなさい』と、祖母の秘蔵の宝石類から好きなものを選ばせて貰いました。
祖母は私が選んだ3点を美しい箱に入れて、他の宝石類とは別のところに仕舞い込みました。
そして後の残り8点から母と姉に選ばせる、と仰いました。
移住の話はまだしないでね、と言われていて、今日の母達の呼び出しは、その話を聞かされ、宝石を選ばされるのでしょう。
朝食が終わり、兄と登校の為に馬車に乗ろうとすると、姉が見送りに出てきました。
「怪我をしたの?どうしたの?」
昔、大好きだった姉と兄を追いかけて、幼くて体力のなかった私は転倒や突き指もよく致しました。
するとその時、姉は私の手を握って……
あの頃のように怪我をした私の手に触れようとしてるのだと思いました。
それで私はそのまま姉のしたいようにさせて。
怪我をした私の右手は、姉の両手で優しく包まれました。
これで、あの頃に戻れると?
……昨日の言い訳を私が信じていると?
『私はあなただけを愛しています』
私がトルラキア語で、小さくそう呟くと。
咄嗟に手を引いた姉が怯えた目で私を見ました。
私は何度も温室の話をしたのに。
どうして私が、殿下を温室に連れて行ったのか考えていらっしゃらなかったのかしら。
姉からは、少しもその話が出なくて。
今晩はちゃんと温室での事を聞かせて貰いますね、と暗に伝えたのです。
そして明日、殿下は私に何を語るのでしょうか。
私が登校したら、姉は殿下に早馬を出して、昨日のあれからの話を伝えるのでしょう。
どうせ今夜の話もあるのだから、二度手間になるのに。
明日の午前中に馬を走らせても、間に合うわ。
そして、ふたりは話を擦り合わせて。
夕食の席で父からまたは母から、私との婚約について話を振られたら、殿下はどうお答えになるのかしら。
ふたりの嘘や誤魔化しはどこまで?
いつまで続けるおつもりだったの?
……そうか、来月の婚約披露の夜会までか。
姉から妹、また妹から姉と。
愛が移る殿下を、両親は王族から望まれて名誉だと受け入れるのでしょうか。
もう何も考えたくない。
いっそ、早く明日になればいい。
私は投げ槍になっていたのです。
◇◇◇
魔が差したというのでしょうか。
学園から帰宅し、母と姉が祖母のタウンハウスからまだ戻っていないと知り。
私はもう一度、あのドレスが見たくて。
明日に返品すると言っていて、その前にもう一度と。
自分の部屋にあのドレスを持ってきてしまったのでした。
それは本当に、紛れもなく美しいドレスでした。
これを見て、どうして姉は手離せるのでしょう。
本来なら目にしたくもないと、嫌っても良さそうなのに。
私はこのドレスに魅せられていました。
私より全然サイズが大きいし、返品すると言うから試しに袖を通すことも出来ないけれど。
それでも姿見の前で、自分の身体に当ててみたりして。
こんな素敵なドレスで、殿下にエスコートされて、一度は夜会に参加してみたかった。
くるりと回ると、ふわりと広がって。
綺麗な人達の中でも、このドレスならきっと一際綺麗に輝けた。
殿下とのダンスレッスンも、最近はターンをすると広がる裾の短めのドレスを用意してくださって、それを身に付けて、裾を捌く練習も始まっていて。
ドレスの裾が足に纏わりついても下を見ずに前を向いて歩けるように、エスコートされる練習も始めないとね、と囁いてくださったのに。
『君が完璧なデビュタントを迎えられるように』
そう言ってくださったのに、待ちくたびれてしまったのかな。
貴方が隣に居てくれるだけで、それだけで完璧だったのに。
空しくて、悲しいまま。
ドレスを丁寧に畳み箱に入れ、リボンを姉のやり方で結びました。
カードがもう入っていなかったのは、それだけは特別などこかに大切に仕舞ったのでしょう。
部屋を出て、その箱を姉のクローゼットへ戻そうと廊下へ出ると、階下で
『旦那様に早く! お知らせを!』と、いつも落ち着いている家令の慌てた大声も聞こえて。
誰かが階段を駆け上がってくる気配を感じたからです。
咄嗟にそのまま部屋に戻り、ドレスを自分のクローゼットに隠しました。
部屋の扉が狂ったように叩かれ、開けると。
初等部の私より遅れて下校した兄でした。
「母上と姉上が戻っていない。
同行していた護衛だけ帰ってきた。
お前も下へ降りて……」
「護衛だけとは、どういう……」
「クラリスが忘れ物を取りに行け、と言って。
護衛は馬車を離れたんだ。
先に帰ってるはずの馬車がなくて、それでそれで。
俺もどうしていいか、わからないよ」
いつも、大人ぶっている兄の表情も口調も幼くて、これが只事ではないのだ、と私にも伝わりました。
私達子供には付きませんが、現侯爵夫人の母が出掛ける時には必ず馬車に、護衛が1騎付くのです。
その護衛に離れるように言った姉。
忘れ物なんて、祖母のタウンハウスなのに、何を急いで取りに行かせたのか……
兄に手を握られて、私も下へ降りました。
下ではますます騒ぎは大きくなり、それを見ていた兄は私の手をぎゅっと握って。
「王城に居る父上に、次の伝令を出してくれ!
おばあ様にも、早馬を出した!
身代金目当ての誘拐も考えられるから、王立騎士団に知らせるかは、父上にお任せする!
こちらはこちらで出来る事は何か、考えて動きます、と!」
でも、ご自分で破片を拾うなんて、あのグラスは薄くて綺麗な分、割れてしまうと刃物みたいで本当に危険なんですよ」
私は朝からメイドのレニーに叱られていました。
昨夜バルコニーで落として割ってしまったグラスの破片を、明るい朝になってから拾おうとして、指を切ってしまったのです。
切った傷口から、見る見る間に血が盛り上がって。
思わず口に含み、吸いました。
錆びたような独特の血の味に、吸血鬼はどうしてこんなものが好きなのかしら、とつまらない事を考えて……
手早く消毒して、手当てをしてくれるレニーは続けます。
「お嬢様がお身体を傷つけられたりしたら、殿下からどのようなお叱りを受けるか。
お前の不注意だと、レニーはお手打ちにされてしまうかも。
本当に御身には、お気をつけてくださいまし」
3年前には、いかに殿下がクラリスに夢中なのかを熱く語ったレニーの口は。
現在は、どれ程殿下が私を溺愛しているかを熱心に力説します。
彼女が悪い訳ではないのです。
今でこそ、使用人達は私を殿下の想いびとだと扱いますが、最初はお相手が姉でなかった事に驚いていたのを知っていました。
でも、また。
遠くない未来に。
殿下が本当に愛していたのは姉だったと。
やはり姉だったと、彼等は知ることになる。
レニー貴女もね、また殿下と姉のロマンスに夢中になるのよ。
そんな事を考えて、また私の涙腺が緩んで。
「痛いの、傷口が」
私の涙を見て心配そうなレニーに、私は訴えました。
「指先は痛いんですよ、他のところを切るよりも」
そうね身体ではね、指先を切ると疼くのね。
でも、心はもっと痛くて、ずっとずっと疼いてるの。
それはもちろん、レニーには訴えません。
今朝は早くから殿下からのご使者がいらして、手紙を届けられました。
『明日、話したい事があるので、会えないか』という内容でしたので、下校してからならという返信を書き、母からの
『夕食をご一緒に』という申し出を付け加えました。
朝食の席で、今日はクラリスを連れて、ダウンヴィルの母のところへ参ります、と母が父に言っていました。
何故母と姉が祖母のところへ呼ばれたのか、私は知っていました。
祖母はバロウズのタウンハウスを処分して、トルラキアの別荘に夏だけではなく本格的に移住を決めたのです。
そうは言っても、前伯爵夫人という肩書きがありますので、それを捨ててトルラキア国民になるというのでもなく。
王国の外務事務次官様と何度も面談し、書類をやり取りし、全財産を持って出るのではなく、1年に1回はこちらに戻る事を条件に許されたのです。
私は前回ひとりで祖母の元へ遊びに行った時にその話を聞き
『選びなさい』と、祖母の秘蔵の宝石類から好きなものを選ばせて貰いました。
祖母は私が選んだ3点を美しい箱に入れて、他の宝石類とは別のところに仕舞い込みました。
そして後の残り8点から母と姉に選ばせる、と仰いました。
移住の話はまだしないでね、と言われていて、今日の母達の呼び出しは、その話を聞かされ、宝石を選ばされるのでしょう。
朝食が終わり、兄と登校の為に馬車に乗ろうとすると、姉が見送りに出てきました。
「怪我をしたの?どうしたの?」
昔、大好きだった姉と兄を追いかけて、幼くて体力のなかった私は転倒や突き指もよく致しました。
するとその時、姉は私の手を握って……
あの頃のように怪我をした私の手に触れようとしてるのだと思いました。
それで私はそのまま姉のしたいようにさせて。
怪我をした私の右手は、姉の両手で優しく包まれました。
これで、あの頃に戻れると?
……昨日の言い訳を私が信じていると?
『私はあなただけを愛しています』
私がトルラキア語で、小さくそう呟くと。
咄嗟に手を引いた姉が怯えた目で私を見ました。
私は何度も温室の話をしたのに。
どうして私が、殿下を温室に連れて行ったのか考えていらっしゃらなかったのかしら。
姉からは、少しもその話が出なくて。
今晩はちゃんと温室での事を聞かせて貰いますね、と暗に伝えたのです。
そして明日、殿下は私に何を語るのでしょうか。
私が登校したら、姉は殿下に早馬を出して、昨日のあれからの話を伝えるのでしょう。
どうせ今夜の話もあるのだから、二度手間になるのに。
明日の午前中に馬を走らせても、間に合うわ。
そして、ふたりは話を擦り合わせて。
夕食の席で父からまたは母から、私との婚約について話を振られたら、殿下はどうお答えになるのかしら。
ふたりの嘘や誤魔化しはどこまで?
いつまで続けるおつもりだったの?
……そうか、来月の婚約披露の夜会までか。
姉から妹、また妹から姉と。
愛が移る殿下を、両親は王族から望まれて名誉だと受け入れるのでしょうか。
もう何も考えたくない。
いっそ、早く明日になればいい。
私は投げ槍になっていたのです。
◇◇◇
魔が差したというのでしょうか。
学園から帰宅し、母と姉が祖母のタウンハウスからまだ戻っていないと知り。
私はもう一度、あのドレスが見たくて。
明日に返品すると言っていて、その前にもう一度と。
自分の部屋にあのドレスを持ってきてしまったのでした。
それは本当に、紛れもなく美しいドレスでした。
これを見て、どうして姉は手離せるのでしょう。
本来なら目にしたくもないと、嫌っても良さそうなのに。
私はこのドレスに魅せられていました。
私より全然サイズが大きいし、返品すると言うから試しに袖を通すことも出来ないけれど。
それでも姿見の前で、自分の身体に当ててみたりして。
こんな素敵なドレスで、殿下にエスコートされて、一度は夜会に参加してみたかった。
くるりと回ると、ふわりと広がって。
綺麗な人達の中でも、このドレスならきっと一際綺麗に輝けた。
殿下とのダンスレッスンも、最近はターンをすると広がる裾の短めのドレスを用意してくださって、それを身に付けて、裾を捌く練習も始まっていて。
ドレスの裾が足に纏わりついても下を見ずに前を向いて歩けるように、エスコートされる練習も始めないとね、と囁いてくださったのに。
『君が完璧なデビュタントを迎えられるように』
そう言ってくださったのに、待ちくたびれてしまったのかな。
貴方が隣に居てくれるだけで、それだけで完璧だったのに。
空しくて、悲しいまま。
ドレスを丁寧に畳み箱に入れ、リボンを姉のやり方で結びました。
カードがもう入っていなかったのは、それだけは特別などこかに大切に仕舞ったのでしょう。
部屋を出て、その箱を姉のクローゼットへ戻そうと廊下へ出ると、階下で
『旦那様に早く! お知らせを!』と、いつも落ち着いている家令の慌てた大声も聞こえて。
誰かが階段を駆け上がってくる気配を感じたからです。
咄嗟にそのまま部屋に戻り、ドレスを自分のクローゼットに隠しました。
部屋の扉が狂ったように叩かれ、開けると。
初等部の私より遅れて下校した兄でした。
「母上と姉上が戻っていない。
同行していた護衛だけ帰ってきた。
お前も下へ降りて……」
「護衛だけとは、どういう……」
「クラリスが忘れ物を取りに行け、と言って。
護衛は馬車を離れたんだ。
先に帰ってるはずの馬車がなくて、それでそれで。
俺もどうしていいか、わからないよ」
いつも、大人ぶっている兄の表情も口調も幼くて、これが只事ではないのだ、と私にも伝わりました。
私達子供には付きませんが、現侯爵夫人の母が出掛ける時には必ず馬車に、護衛が1騎付くのです。
その護衛に離れるように言った姉。
忘れ物なんて、祖母のタウンハウスなのに、何を急いで取りに行かせたのか……
兄に手を握られて、私も下へ降りました。
下ではますます騒ぎは大きくなり、それを見ていた兄は私の手をぎゅっと握って。
「王城に居る父上に、次の伝令を出してくれ!
おばあ様にも、早馬を出した!
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