とある彼女の災難な日々

饕餮

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八話目

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「【ファルコン】、そろそろ目的地につくぞ」

 そう言った【グリズリー】の声に意識が浮上する。目を開けて周りを見回せばジープの中だった。どうやら昔の夢を見ていたらしいことに苦笑する。
 グッ、と腕を上に伸ばして伸びをすると、外していた装備を身につける。ほどなくしてジープは停まり、荷物を持ったあたしは【グリズリー】のあとをついて行く。

 着いた場所は鬱蒼と繁った森の側にある小屋で、ちょっと前にも同じようなことをやったよなぁ、と遠い目をしながら乾いた笑いが込み上げる。今回も前回と同じメンバーで、今回は裏切り者うそつきはいない。

「で? 今回は確かに本物なんでしょうね? いくら任務とは言え、二度も三度もなんて嫌よ?」
「ああ、本物だ。FBIの捜査官が潜入捜査をしている。だが、偽物を消したあたりから連絡が途絶えているらしい」
「まさか、ナッシュに麻薬を打たれて裏切ったとかじゃないわよね? 或いはナッシュに言いくるめられたとか」
「そのまさかだ。潜入捜査官は女性だったらしくてな……麻薬を打たれた形跡はないようだが、ナッシュと接しているうちに口説かれ、惚れたらしい。今やナッシュの女だ」
「うげっ! とんだ恥さらしだわ。もちろん、狙撃対象者の一人よね?」
「ああ、許可は出ている」

 銃を分解して手入れをし、また組み直してバランスを見る。そんなことをしながら【グリズリー】と話をする。

「なら、さっさと行く? 時間がないんでしょ?」
「ああ。逃げられても困るしな」
「それもそうね」

 行くぞと言った【グリズリー】のあとをついて行く。先頭は【グリズリー】、次に彼の部下二人、最後はあたし。それぞれに警戒しつつ、息と音を殺して目的地へと進む。どれくらい歩いただろうか……【グリズリー】がサインを出して歩みを止め、それぞれに指示を出すと部下二人は左右に散った。
 右に【ブラックカイト】、左に【コンドル】が散る。そのコードネームが示す通り、二人はあたしと同じ狙撃手でもある。それを見送ってからあたしも迷彩服のあちこちから銃のパーツを取り出すと、それを素早く組み立てる。それを見ていた【グリズリー】は苦笑していた。

「……相変わらずだな」
「別に、前回みたいに砲身が曲がってるわけじゃないわよ? ただ、前回よりも距離がある分、慣れている銃を使いたいだけ。前回と同じくらいの距離なら、この銃でも良かったんだけどね」

 そう言いながら持っていた銃を【グリズリー】に渡すと、木の上に登って屋敷がある方向に身体を向ける。銃のスコープから覗けば、無用心としか思えないほど窓がしっかり開いていた。その反対側の枝に登って来た【グリズリー】もまた、同じように屋敷のある方向を見ていた。但し【グリズリー】は双眼鏡だ。

「前回も思ったが、無用心だな。バカなのか、或いは誘っているのか……」
「さあ? ただ、ナッシュはお楽しみ中みたいだけど?」
「……バカのほうだったか」

 呆れたように小さく呟いた【グリズリー】にあたしも同意する。距離は前回より長い五百メートル。
 スコープの先ではナッシュが女の顔を見ながら下から突き上げているらしく、女もそれに合わせて動いているのかナッシュの肩を掴み、背中を反らせながら喘いでいた。揺れる胸に気付いたナッシュは、女の胸にしゃぶりつき、ねっとりと舐めあげている。【グリズリー】からの合図がまだないから仕方なくそれを見ていたら、どうやら二人して上り詰めたらしく、抱き合って荒い息をついていた。
 ふと【グリズリー】の方を見れば、いつの間にか腕時計を見ている。

(ああ、時間を待ってたのか)

 そう思って意識をまたナッシュ達へと向けると、二人はキスをしながらまたセックスを始めた。そのことに呆れていたら「殺れ」と言う【グリズリー】のGOサインが出る。
 女を押し倒し、上半身が顕になったナッシュを確実に仕留めるために、彼の心臓に一発と額に一発、銃弾をめり込ませる。心臓からは血が飛び散り、口から血を流し、後頭部から血と脳ミソが飛び散って後ろに倒れた。
 暫くすると今度は女がライフルを持って窓際に寄り、銃を構えて警戒している。しかも、ナッシュの血が着いたのか、裸の胸からお腹にかけて血だらけだった。

(バスローブくらい羽織りなさいよ)

 そう思うもののナッシュと同じように心臓と額に銃弾をめり込ませると、ナッシュと同じように心臓から血を流し、後頭部から脳ミソが飛び散ってそのまま後ろに倒れた。
 屋敷から飛び立とうとしていたヘリコプターは別方向からの砲撃にやられたのか落下し、屋敷の上へと落ちて爆発炎上した。

任務完了ミッション・コンプリート
「よし、撤収だ」

 【グリズリー】の言葉に木から飛び降り、寄って来た【ブラックカイト】と【コンドル】と一緒に小屋へと戻り、集まった特殊部隊シールズの連中と一緒に撤収した。

 んだけど。

「あの……【グリズリー】、何やってるの?」
「ん? お前を裸にしている」
「いや、そうじゃなく、んんっ」

 前回同様に基地内の【グリズリー】の部屋に連れ込まれたあたしは、キスをされながら迷彩服を脱がされていく。そのままバスルームへと連れていかれ、あたしを愛撫しながら身体を洗って行きながら、自分の身体を洗っていく【グリズリー】。

「あんっ、【グリズリー】、待って!」
「待てない。そして任務は終わったぞ、フラン」

 あたしの弱いところを知りつくしている【グリズリー】……ダニーの指先に翻弄され、ぐったりしている間に髭を剃ったダニーは、あたしの手を壁につかせると、そのまま後ろから貫いた。

「あっ、あああっ!」
「っは、フラン……っ」
「あっ、あっ、ダニーっ、んんっ!」

 胎内を穿つダニーの熱い塊が、あたしの胸と乳首を弄る指先が、秘部の突起を弄る指先が、背中を舐める唇と舌が、あたしを翻弄し、淫らな身体に変えて行く。

「やぁっ、それ、ダメっ! あああ!」
「嘘つけ。ちょっと擦っただけで、俺のモノをギュッと締め付けてるじゃないか」
「ああんっ! はあっ、あっ、ああっ!」

 後ろから穿つダニーと一緒に登りつめた。バスルームでセックスを終えたダニーは、ベッドの上でもあたしを翻弄する。どこで覚えて来たのか、あたしの秘部を舐め回しながら胸と乳首を弄るダニー。

「ひゃあっ、あんっ! あああっ!」
「……本当に可愛いよ、フラン」

 ナッシュに見せつけられたから止まらないぞと言ったダニーに、「そんなのあたしには関係ないじゃない!」と言っても無駄で、今までそこまで激しく抱かれたことがないほど更に激しく執拗に抱かれたあたしは、ようやく満足したダニーに解放された途端に眠り落ちた。

「いい加減、離れ離れだと、またフランを抱き潰しそうだ……」

 ダニーがそんなことを言ってるなんて思いもしなかったけど。

 翌朝、ダニーに貫かれながらプロポーズされ、お互いに避妊を忘れていたがために妊娠。あたしはダニーと結婚をしたあとで軍を退役した。
 結婚式はお互い海軍の白い制服でと思っていたのにダニーに「ウェディングドレスを着てくれ」と懇願され、あたしはウェディングドレスを、ダニーは正装である白い軍服を纏って結婚式を挙げた。


 ――その幸せを噛みしめつつ、産まれて来る子供には軍人にはなって欲しくないなと願うものの、三人産んだ子供たちが全員軍人になるのはまた別の話。



 < 了 >

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