12 / 15
ジョンパルト家の末路
しおりを挟む
まず、元兄とミランダは、先週末どころか、問題行動を起こした二日後に退学となりました。
エドムンド殿下がそのお話を聞いたのは、授業も終わり、城に帰ったあとの先週末だったそうです。一応カレスティア家のお父様にはお手紙でお知らせしたそうですが、カレスティア家に来て最初の家族団欒だからと、わたくしには話さないと決めたのだそうです。
できれば関わってしまった殿下からお話されたほうがいいのではとも提案されたらしく、殿下がそれをお受けしたそうです。
それはわかったのですが……どうして謹慎がとけるどころか退学になったのでしょう?
その理由は、元兄がジョンパルト家で問題を起こしたことと、それによってミランダが学園に通えなくなったこと。そしてミランダがかけていた魔法を解除したことによって伯爵家に起こった事件のせい、とお聞きしたまではよかったのですが……。
「え……爵位返上、ですか?」
「ああ。正確には、取り潰しと変わらないがな」
「まあ……」
爵位を返上とは驚きです。どういうことなのかとお聞きしますと。
まず、オビエス様がかけた解除の魔法は翌日にその効果が表れたと、監視のために王宮から派遣された騎士様と魔導師様、オビエス様が確認したそうです。けれど、懸念していた通り長い間ミランダの魔法にかかっていたせいで、使用人たちのほぼ全員が精神崩壊を起こす寸前だったそうです。
すぐにオビエス様が伝言鳥で王宮に連絡し、追加で派遣されてきた騎士様と魔導師様によって王都郊外にある療養所に運ばれたそうです。こちらはミランダの近くにいなかった人たちばかりで、魔法を解除したこととゆっくりと静養すれば、元に戻るそうです。
ただし、症状によっては通常の生活ができるようになるまで、半年から三年はかかるそうです。回復すればまた仕事もできるようになるのだとか。
次に、ミランダの一番近くにいたせいで、ある意味被害者ともいえる元両親と元兄、ミランダ付の侍女二人ですが。元両親はミランダよりも高い魔力量でしたので、かろうじて精神崩壊は起こさなかったものの一部の記憶が曖昧なのと、軽い混乱と錯乱状態であることから、療養所にて隔離されたうえで数年間の静養が必要だそうです。
ですので、王宮へ出仕してのお仕事はもちろんのこと、たとえ領地で静養しようとも、領地経営などできるはずもありません。
代官を立てるにしても、王家から賜った土地なので王家から派遣することになるそうですが、ジョンパルト家の血筋――元父の直系であるわたくしや、彼の兄夫婦が二組おります。なので、わたくし以外にジョンパルトの領地経営を打診したところ、どちらも拒否。
わたくしも未成年ですし、デビュタントをしていないので現状は爵位を継ぐことは認められず、既にカレスティア家に移籍しておりますので、返上するのが一番いいのだそうです。
ただ、わたくしがデビュタントをし、もしジョンパルト家を継いでもいいと思うのであれば、学園を卒業するまでは代官を立て、王家が管理してくださるそうです。こればかりは話し合いをしないといけないようですが、わたくしがどうするか決めるまでは、王宮から代官を派遣すると、陛下と宰相様がお決めになったそうです。
そしてミランダの専属侍女二人は、ミランダよりも低い魔力量だったせいで精神崩壊を起こし、廃人になってしまったのだとか。現在は療養所にて静養中だそうですが、今のところ元に戻る様子はないそうです。
それから後継者の元兄に至っては、魔力量はミランダよりも高かったけれど、侍女二人と同様に元両親よりも長い時間をミランダと過ごしていたことで、やはり精神崩壊を起こしたそうです。同時に幻覚に見舞われたらしく、騎士様の制止を振り切り、錯乱した状態でミランダの背中や腕を切ってしまったのだそうです。
ミランダの左腕は肘から先を切り落とされ、背中からの出血もあり、あわや命を落とす大惨事になるところだったのだとか。
ミランダを切った元兄は彼女を切ったことで落ち着いたのか、それ以降は騎士様に拘束されても暴れることなく、おとなしくなったそうです。
けれど、その後の元兄は突然声をあげて笑い続けたり、あるいは突然泣き出したり、いきなり叫んで暴れたりと危険な状態に。ある意味廃人になってしまったがために、療養と称して鉄格子のはまった小さな家に隔離という名の軟禁状態にされてるのだそうです。
そして、一番の元凶であるミランダは、魔法を封じられはしたものの一番元気でした。けれど、元兄に切られたことが恐怖となって自分の殻に閉じこもり、幼児退行――つまり、それまでの記憶をなくしてしまったそうなのです。
ミランダにお話を聞くと、七歳くらいまでの記憶しかなかったそうですが、その時に、ジョンパルト伯爵家の記憶とは別に、おかしなことを話したと言います。
自分の前世はニホンジンでこことは違う世界の記憶があり、なにかしらの理由で死んだこと。
それによって神を名乗る人物に転生を持ち掛けられ、それならば記憶を持ったまま自分が好きだった小説の世界に転生したいと願ったこと。
兄か弟がいる公爵家か侯爵家の娘に生まれたいと願ったこと。
魅了か隷属の魔法が欲しいと願ったこと。
そう、話したのだそうです。
あらまあ……ずいぶんと業突く張りですわね。一緒に育った今までのミランダとなんら変わらないではありませんか。
けれど、そのどれもが却下されたうえ、小説の世界などないと言われて暴れ、散々ごねてふたつの魔法を奪うようにもらった挙句、小説に近い世界に転生させてもらったミランダは、その段階ではある意味全てを叶えられました。
ところが、いざ生まれてみれば、小説の世界に近いどころか自分が考えていたのとは全く別の世界で、しかも一人娘どころか伯爵家の双子に転生。それに激怒したミランダは、奪った魔法のうち、魅了を使うことを決めたそうです。
そして使ってみたものの、最初は両親と兄、わたくしには効果がなかったのだそうです。どうしてだろうと思ったミランダは、自分の専属侍女にかけてみたところ、きちんと魅了魔法にかかりました。
魅了だけでは無理なのかもしれないと、魅了魔法と一緒に隷属魔法をかけたところ、短時間ではありましたが、両親と兄がかかりました。このままずっとかけ続けていれば、自分の好き勝手に生活できると考えたのだそうです。
しばらくはそれでよかったのですが、一人だけ違う動きを見せました。それが双子の姉であるわたくしでした。
こっそりとわたくしに魔法をかけたそうですが、なぜか魔法にかからなかったのです。気のせいかと思い、わたくしが寝ている間に何度もかけましたが、一度もかかることはなかったそうです。
これはミランダにとって想定外だったのだそうです。
どうしたら自分の言うことを聞かせられるか考えていた時、前世で読んだ小説――姉、または妹の持ち物を奪う話がたくさんあったことを思い出したミランダは、その小説のように妹であることを利用して姉であるわたくしを貶め、家から追い出そうとしたのだそうです。魔法がかからない以上、小説と同じように自分が断罪される可能性があるから、と。
なんと身勝手なのでしょう。
そこまで聞いて、殿下と一緒に嘆息いたしました。
それから、ここから先は秘密の内容だとしてお話しくださったのですが。
今お話くださったミランダのお話は宮廷魔導師様が犯罪者に使用する、過去の記憶を覗き見ることができる魔法を使い、彼女の失った記憶を探った時に出てきた話だそうなのです。
その内容は呆れるほど自分勝手で、意味のわからない荒唐無稽な内容でした。
エドムンド殿下がそのお話を聞いたのは、授業も終わり、城に帰ったあとの先週末だったそうです。一応カレスティア家のお父様にはお手紙でお知らせしたそうですが、カレスティア家に来て最初の家族団欒だからと、わたくしには話さないと決めたのだそうです。
できれば関わってしまった殿下からお話されたほうがいいのではとも提案されたらしく、殿下がそれをお受けしたそうです。
それはわかったのですが……どうして謹慎がとけるどころか退学になったのでしょう?
その理由は、元兄がジョンパルト家で問題を起こしたことと、それによってミランダが学園に通えなくなったこと。そしてミランダがかけていた魔法を解除したことによって伯爵家に起こった事件のせい、とお聞きしたまではよかったのですが……。
「え……爵位返上、ですか?」
「ああ。正確には、取り潰しと変わらないがな」
「まあ……」
爵位を返上とは驚きです。どういうことなのかとお聞きしますと。
まず、オビエス様がかけた解除の魔法は翌日にその効果が表れたと、監視のために王宮から派遣された騎士様と魔導師様、オビエス様が確認したそうです。けれど、懸念していた通り長い間ミランダの魔法にかかっていたせいで、使用人たちのほぼ全員が精神崩壊を起こす寸前だったそうです。
すぐにオビエス様が伝言鳥で王宮に連絡し、追加で派遣されてきた騎士様と魔導師様によって王都郊外にある療養所に運ばれたそうです。こちらはミランダの近くにいなかった人たちばかりで、魔法を解除したこととゆっくりと静養すれば、元に戻るそうです。
ただし、症状によっては通常の生活ができるようになるまで、半年から三年はかかるそうです。回復すればまた仕事もできるようになるのだとか。
次に、ミランダの一番近くにいたせいで、ある意味被害者ともいえる元両親と元兄、ミランダ付の侍女二人ですが。元両親はミランダよりも高い魔力量でしたので、かろうじて精神崩壊は起こさなかったものの一部の記憶が曖昧なのと、軽い混乱と錯乱状態であることから、療養所にて隔離されたうえで数年間の静養が必要だそうです。
ですので、王宮へ出仕してのお仕事はもちろんのこと、たとえ領地で静養しようとも、領地経営などできるはずもありません。
代官を立てるにしても、王家から賜った土地なので王家から派遣することになるそうですが、ジョンパルト家の血筋――元父の直系であるわたくしや、彼の兄夫婦が二組おります。なので、わたくし以外にジョンパルトの領地経営を打診したところ、どちらも拒否。
わたくしも未成年ですし、デビュタントをしていないので現状は爵位を継ぐことは認められず、既にカレスティア家に移籍しておりますので、返上するのが一番いいのだそうです。
ただ、わたくしがデビュタントをし、もしジョンパルト家を継いでもいいと思うのであれば、学園を卒業するまでは代官を立て、王家が管理してくださるそうです。こればかりは話し合いをしないといけないようですが、わたくしがどうするか決めるまでは、王宮から代官を派遣すると、陛下と宰相様がお決めになったそうです。
そしてミランダの専属侍女二人は、ミランダよりも低い魔力量だったせいで精神崩壊を起こし、廃人になってしまったのだとか。現在は療養所にて静養中だそうですが、今のところ元に戻る様子はないそうです。
それから後継者の元兄に至っては、魔力量はミランダよりも高かったけれど、侍女二人と同様に元両親よりも長い時間をミランダと過ごしていたことで、やはり精神崩壊を起こしたそうです。同時に幻覚に見舞われたらしく、騎士様の制止を振り切り、錯乱した状態でミランダの背中や腕を切ってしまったのだそうです。
ミランダの左腕は肘から先を切り落とされ、背中からの出血もあり、あわや命を落とす大惨事になるところだったのだとか。
ミランダを切った元兄は彼女を切ったことで落ち着いたのか、それ以降は騎士様に拘束されても暴れることなく、おとなしくなったそうです。
けれど、その後の元兄は突然声をあげて笑い続けたり、あるいは突然泣き出したり、いきなり叫んで暴れたりと危険な状態に。ある意味廃人になってしまったがために、療養と称して鉄格子のはまった小さな家に隔離という名の軟禁状態にされてるのだそうです。
そして、一番の元凶であるミランダは、魔法を封じられはしたものの一番元気でした。けれど、元兄に切られたことが恐怖となって自分の殻に閉じこもり、幼児退行――つまり、それまでの記憶をなくしてしまったそうなのです。
ミランダにお話を聞くと、七歳くらいまでの記憶しかなかったそうですが、その時に、ジョンパルト伯爵家の記憶とは別に、おかしなことを話したと言います。
自分の前世はニホンジンでこことは違う世界の記憶があり、なにかしらの理由で死んだこと。
それによって神を名乗る人物に転生を持ち掛けられ、それならば記憶を持ったまま自分が好きだった小説の世界に転生したいと願ったこと。
兄か弟がいる公爵家か侯爵家の娘に生まれたいと願ったこと。
魅了か隷属の魔法が欲しいと願ったこと。
そう、話したのだそうです。
あらまあ……ずいぶんと業突く張りですわね。一緒に育った今までのミランダとなんら変わらないではありませんか。
けれど、そのどれもが却下されたうえ、小説の世界などないと言われて暴れ、散々ごねてふたつの魔法を奪うようにもらった挙句、小説に近い世界に転生させてもらったミランダは、その段階ではある意味全てを叶えられました。
ところが、いざ生まれてみれば、小説の世界に近いどころか自分が考えていたのとは全く別の世界で、しかも一人娘どころか伯爵家の双子に転生。それに激怒したミランダは、奪った魔法のうち、魅了を使うことを決めたそうです。
そして使ってみたものの、最初は両親と兄、わたくしには効果がなかったのだそうです。どうしてだろうと思ったミランダは、自分の専属侍女にかけてみたところ、きちんと魅了魔法にかかりました。
魅了だけでは無理なのかもしれないと、魅了魔法と一緒に隷属魔法をかけたところ、短時間ではありましたが、両親と兄がかかりました。このままずっとかけ続けていれば、自分の好き勝手に生活できると考えたのだそうです。
しばらくはそれでよかったのですが、一人だけ違う動きを見せました。それが双子の姉であるわたくしでした。
こっそりとわたくしに魔法をかけたそうですが、なぜか魔法にかからなかったのです。気のせいかと思い、わたくしが寝ている間に何度もかけましたが、一度もかかることはなかったそうです。
これはミランダにとって想定外だったのだそうです。
どうしたら自分の言うことを聞かせられるか考えていた時、前世で読んだ小説――姉、または妹の持ち物を奪う話がたくさんあったことを思い出したミランダは、その小説のように妹であることを利用して姉であるわたくしを貶め、家から追い出そうとしたのだそうです。魔法がかからない以上、小説と同じように自分が断罪される可能性があるから、と。
なんと身勝手なのでしょう。
そこまで聞いて、殿下と一緒に嘆息いたしました。
それから、ここから先は秘密の内容だとしてお話しくださったのですが。
今お話くださったミランダのお話は宮廷魔導師様が犯罪者に使用する、過去の記憶を覗き見ることができる魔法を使い、彼女の失った記憶を探った時に出てきた話だそうなのです。
その内容は呆れるほど自分勝手で、意味のわからない荒唐無稽な内容でした。
596
あなたにおすすめの小説
私の、虐げられていた親友の幸せな結婚
オレンジ方解石
ファンタジー
女学院に通う、女学生のイリス。
彼女は、親友のシュゼットがいつも妹に持ち物や見せ場を奪われることに怒りつつも、何もできずに悔しい思いをしていた。
だがある日、シュゼットは名門公爵令息に見初められ、婚約する。
「もう、シュゼットが妹や両親に利用されることはない」
安堵したイリスだが、親友の言葉に違和感が残り…………。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?
カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。
フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。
【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた
東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」
その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。
「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」
リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。
宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。
「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」
まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。
その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。
まただ……。
リシェンヌは絶望の中で思う。
彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。
※全八話 一週間ほどで完結します。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる